春の虹     165句

春の虹消ゆ赤ん坊が泣き出して   山崎ひさを   続百人町

作品
作者
掲載誌
掲載年月
麻酔の中は春の虹左右から 野田田美子 海程 199807
春の虹言ふてしまうて消えにけり 橋場千舟 船団 199811
春の虹遠きあなたと結ぶ橋 菅沼寛江 ぐろっけ 199901
春の虹消えてゐし空暮れてゐし 稲畑汀子 ホトトギス 199904
惜春の虹を立たせて夕べ来し 稲畑汀子 ホトトギス 199904
春の虹あなたに会へるかもしれない 松木知子 ヒッポ千番地 199910
墨染の空あえかなる春の虹 田中きよ子 酸漿 200006
春の虹いもうと生まれわれ七つ 山岸みずき 船団 200006
街洗ひたて生まれたての春の虹 うまきいつこ 200105
海中わたなかにある春虹の根本かな 岩月優美子 200105
ドロ着きてトタン屋根から春の虹 秋野火耕 船団 200105
わだかまり溶けたる電話春の虹 小島和子 百鳥 200106
春虹を経由して着くモノレール 今城知子 船団 200110
クレーン車に狙はれてゐる春の虹 井尻妙子 京鹿子 200201
野の虹と春田の虹と空に合ふ 水原秋櫻子 馬醉木 200203
海老網をたぐり始めの春の虹 遠藤真砂明 200206
春の虹五臓六腑に神ありて 谷口佳世子 200206
春虹や楡の並木を通り過ぐ 竹中一花 200206
春の虹いま着水の島ひとつ 田中清之 百鳥 200207
地平線よりす異国の春の虹 加地芳女 雨月 200207
春の虹消えたるあとを月のぼる 加地芳女 雨月 200207
高嶺かけ三つも並めたる春の虹 加地芳女 雨月 200207
離陸してしばらく沿ひぬ春の虹 肥田美枝子 200208
雨止みて志摩路に淡き春の虹 南栄海 酸漿 200208
春の虹下校の子らを仰がしむ 南栄海 酸漿 200208
春の虹綿の城てふ端に消ゆ 中里カヨ 酸漿 200302
鍵を持つ暮しに慣れて春の虹 矢崎すみ子 200303
子は神が見えてゐるらし春の虹 十河波津 200305
春の虹母に残りし時映えて 田中由喜子 馬醉木 200306
吹かれ行く砂の涯の春の虹 岩月優美子 200306
春の虹脚のあたりの彩濃くて 楠木君子 築港 200306
春虹のひといろで足る片想ひ 宇都宮滴水 京鹿子 200306
みちのくやふはと田に立つ春の虹 内山けい子 200307
おとなしく犬洗われて春の虹 瀬口ゆみ子 ぐろっけ 200307
塔結び伸びて大和路春の虹 福盛悦子 雨月 200308
家系図の始めは養子春の虹 秋田谷明美 帆船 200405
春の虹己小さく見えて来し 蔵澄絹枝 築港 200405
耶馬台の國原に立つ春の虹 苑田ひろまさ 200406
関門の空の渡しや春の虹 中村房子 馬醉木 200407
誰に見せたく春虹の身を反らす 梶浦玲良子 六花 200407
春の虹西の京より斑鳩へ 堀口希望 200407
春の虹名字が変わるだけのこと 倉持梨恵 200505
束の間の句作三昧春の虹 佐々木恭子 遠嶺 200506
水草のゆらぎてをりし春の虹 近藤きくえ 200506
在るがまま今在る幸や春の虹 藤岡紫水 京鹿子 200506
錠剤の断面見たし春の虹 小澤克己 遠嶺 200507
山寺や塔にかかりし春の虹 石山民谷 遠嶺 200507
木道の岐れゆく先春の虹 三枝邦光 ぐろっけ 200507
春の虹名字が変るだけのこと 倉持梨恵 200601
春の虹ホテルの滝を栖とし 磯崎清 200604
南仏の旅信に春の虹立てり 大森春子 200605
春の虹すべては明日へ繋がれり 倉持梨恵 200605
遠山に未完なりける春の虹 近藤きくえ 200605
消えぬ間に渡つてみたい春の虹 安部里子 あを 200605
ローマ字でつづる日記や春の虹 祐森彌香 遠嶺 200606
雲を脱ぐ富士山頂や春の虹 徳田正樹 河鹿 200607
春の虹腕組みとかぬ生き字引 小宮山勇 遠嶺 200608
透明な傘たたむとき春の虹 小林和子 風土 200705
水に浮く海の砦や春の虹 宮崎見昭 遠嶺 200705
春の虹オリーブの枝の跳ね違ひ 杉浦典子 火星 200705
春の虹しばしかざせる竹生島 駒井でる太 200706
山頂に崩れかけたる春の虹 繁芸春香 万象 200706
龍の背の街を抱くや春の虹 平野加代子 春燈 200803
消えてゆくもの美しや春の虹 塩路五郎 200805
島一つ跨ぎてをりし春の虹 岩月優美子 200805
神の恋かくと思ひし春の虹 塩路隆子 200806
山巓に太鼓がひとつ春の虹 小澤克己 遠嶺 200806
逆縁の卒寿の母に春の虹 宮村フトミ ぐろっけ 200806
里帰りの荷を解きをり春の虹 岡村尚子 ぐろっけ 200806
春の虹恋に恋するころの恋 倉持梨恵 200806
みちのくの田の神迎ふ春の虹 小森泰子 馬醉木 200807
春の虹千島の沖に架かりけり 馬崎千恵子 春燈 200807
天啓の生れくる一句春の虹 川口襄 遠嶺 200808
道順を訊ねられたり春の虹 常田創 200904
異国よりメール届きぬ春の虹 近藤きくえ 200905
少女はもあくびひそかに春の虹 定梶じょう あを 200905
春の虹旅への思ひ断ち難く 木山白洋 馬醉木 200906
恐竜のあばらぼね透く春の虹 片岡啓子 遠嶺 200906
流速に添ひゆく歩み春の虹 渡辺昭 200906
春の虹仰ぎ余生を明るくす 中村翠湖 馬醉木 200907
水晶体開かれてゐる春の虹 久津見風牛 200907
旅立つ子見送る門に春の虹 鈴木敬一 200907
辞世てふ後世ごせへの門出春の虹 中本吉信 201005
八衢に先生のこゑ春の虹 中島陽華 201005
届け出は父とありける春の虹 栗栖恵通子 201005
着陸の飛行機春の虹連れて 東良子 遠嶺 201005
少年の土笛に生れ春の虹 楠原幹子 201006
目離さば消ゆ一湾の春の虹 上谷昌憲 201006
天空に春の虹の輪機首上げよ 中尾杏子 201006
ふるさとを捨てる強がり春の虹 中野英伴 春燈 201006
春の虹願ひを告げぬまに消ゆる 鈴木てるみ ぐろっけ 201006
図星突く幼子撫でる春の虹 田中藤穂 あを 201006
早春の虹を探しに行きしまま 山田佳乃 ホトトギス 201007
皿まはし皿止まりをり春の虹 小堀寛 京鹿子 201009
讃美歌の余韻の帰途や春の虹 泉田秋硯 201105
竹林を抜けて出合へり春の虹 小林正史 201106
数珠繰つて春の円虹立たせなば 栗栖恵通子 201106
島九十九ゆるく抱へて春の虹 岩永充三 201106
キャニオンの滝あえかなる春の虹 金森信子 雨月 201107
かいつぶり潜きし春の虹消えし 杉浦典子 火星 201107
春の虹潦から放射能 篠田純子 あを 201107
春の虹鳶はゆるりと弧を描き 有賀昌子 やぶれ傘 201108
幸ひの言触れなるや春の虹 安立公彦 春燈 201204
晩年の空の広さに春の虹 池田光子 201204
片づかぬ瓦礫の山に春の虹 高橋泰子 201205
天つ日の空のスカーフ春の虹 中野京子 201205
色調を試作中なり春の虹 久染康子 201205
霊松の丈なす彼方春の虹 安立公彦 春燈 201206
途中下車しませう春の虹の端 千田百里 201303

 祝・田嶋洋子様

春の虹立つあたりより楽湧ける

藤原若菜 春燈 201304
春の虹島をいくつも跨ぐいろ 小山繁子 春燈 201305
片足は山のあなたや春の虹 田嶋洋子 七線譜 201306
鳰の海朝再びの春の虹 森清信子 末黒野 201404
春の虹声は言葉にならぬまま 楠原幹子 201405
天に描く淡き色合ひ春の虹 後藤マツエ 201406
山の神起きよと春の虹立てり 島谷征良 風土 201406
胸の内明かさぬままや春の虹 前田美恵子 201406
滅びたる棚田の上の春の虹 鴨下昭 201407
雨靴を履いたままなり春の虹 安藤久美子 やぶれ傘 201505
水門の開け放ちあり春の虹 岡田史女 末黒野 201506
春の虹はやく早くと呼ばれけり 富川明子 201506
漫ろ歩くレモンの小道春の虹 赤座典子 あを 201507
新卒の師駆け抜けて春の虹 吉宇田麻衣 201508
前略の筆を遊ばす春の虹 鈴鹿呂仁 京鹿子 201604
フルートの音色軽やか春の虹 上野節子 201605
波立てば色の生まるる春の虹 山田佳乃 ホトトギス 201607
半円の春の虹立つ九十九灘 田中臥石 末黒野 201607
初恋はいまだ錆びなし春の虹 丸井巴水 京鹿子 201607
春の虹あわあわとして夢つつむ 柴田靖子 201607
春虹の真下に捉はれてをりぬ 風間史子 201608
すぐ消ゆる勿来の海の春の虹 内海保子 万象 201610
虹の松原松韻濤声明の春 栗山恵子 雨月 201704
消えてゆく春虹離さぬあふみの海 塩貝朱千 京鹿子 201705
昏るるには間のある沖や春の虹 伊藤美音子 万象 201705
春の虹浦に巻く風くもりゐる 廣畑育子 六花 201706
春の虹何かさがして広野行く 柴田靖子 201706
春虹や水のかをりの草千里 西川麻規 馬醉木 201707
あはあはと春の虹すぐ過去となる 近藤喜子 201707
春虹やしばし無心の刻なりし 岩月優美子 201707
天使マークのキャラメル工場春の虹 川崎真樹子 春燈 201707
黒髪の巫子の舞ひけり春の虹 井上静子 201708

 3月22日17時55分受電

春虹を見よとまさこの一大事

山田六甲 六花 201804
町良猫にまた子がふえて春の虹 柴川志津子 201803
春雨や虹出てゐると知らさるる 永田万年青 六花 201806
ベトコンと云はれし民に春の虹 七郎衛門吉保 あを 201805
寅さんも永さんも行く春の虹 鈴木みのり 201806
かなもじでかたるはつ恋春の虹 山本みち子 201806
春の虹車窓を丸く囲みける 赤座典子 あを 201806
若狭路や海へかたむく春の虹 夏生一暁 馬醉木 201807
夫呼べばもう消えてをり春の虹 今井康子 201808
翻車魚のゆらりと躱す春の虹 寺田すず江 201905
夢遠し追ひておひかけ春の虹 柴田靖子 201905
春の虹その根に春の髑髏されかうべ 柳川晋 201906
兄弟の山と山あり春の虹 坪内稔典 船団 201906
顔を見せぬ富士の辺りに春の虹 大日向幸江 あを 201906
草木に淀みもあらす春の虹 鷺山珀眉 京鹿子 201907
如雨露より虹の生まれて春浅し コ田千鶴子 馬醉木 202003
春の虹見たる話題の中にあり 稲畑汀子 ホトトギス 202003
茶畑の起伏やはらか春の虹 石川倜子 馬醉木 202004
善意いくつ賜りし日や春の虹 藤原照子 202005
政客か論客かはて春の虹 瀬川公馨 202005
渡れるは釈迦かもしれず春の虹 緒方七星 202104
追ふほどに根元の見えぬ春の虹 秋川泉 あを 202104
春の虹右手のみあはき二重なす 林いずみ 風土 202106
十年間耐へても見えぬ春の虹 赤座典子 あを 202106
過去はまだかがやいてゐる春の虹 荒尾かのこ 京鹿子 202106
友よりの届く菓子折春の虹 玉川利江 末黒野 202108
回診のやまとことばや春の虹 和田照海 京鹿子 202205
棟梁の削る檜の香や春の虹 石原孝人 京鹿子 202206
片言の手話使ひけり春の虹 綾戸五十枝 202206
手をかざし渡つてみたい春の虹 伊藤希眸 京鹿子 202207
遙かなる美観論争春の虹 塙誠一郎 家系図 202211
児童書の形いろいろ春の虹 服部早仙空 202211
春の虹未だに探す四つ葉かな 山田正子空 202211

 

2023年3月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。