藤の花 1      204句

藤の花長うして雨ふらんとす    正岡子規

藤浪  藤棚  藤の花  白藤   山藤   藤房   藤の実  花藤

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ころあひの夕暮が着て藤の花 橋場千舟 船団 199811
落日に鐘を掻くべし藤の花 赤松弘光 いろり 199906
鯉跳ねる音を聞きをり藤の花 赤松弘光 いろり 199906
藤の花雨に打たれて首ふつて 熊谷みどり いろり 199906
筑波嶺に断崖藤の花ざかり 大場燈児 風土 199907
藤の花近づく鯉の大き口 赤池貴のえ 春耕 199907
縄電車停車す藤の花かげに 増田富子 馬醉木 199908
藤の花男臭さを枯れさせず 丸井巴水 京鹿子 199908
届かない恋の駆け引き藤の花 甲田夏湖 船団 199909
藤の花切らずに良かった邪魔なれど 松沢久子 いろり 200006
小さき風大きく見せて藤の花 吉村春風子 遠嶺 200007
山の背に朝日射しをり藤の花 梅田秀子 酸漿 200007
藤の花かざして山の誘ひけり 林敬子 酸漿 200007
風見えて地に触れてゐる藤の花 阿波谷和子 俳句通信 200007
居囃子の声聞こえくる藤の花 中川晴美 俳句通信 200007
高空より枝垂る紫藤の花 中川濱子 ぐろっけ 200007
裏道を風のひろげて藤の花 宿谷晃弘 200008
師の墓へひれ伏す藤の花明り 北川孝子 京鹿子 200008
藤の花スペイン広場夕日落つ 大塚洋子 酸漿 200009
竹藪のどこをどうして藤の花 鬼頭桐葉 春蘭 200010
虚子句碑の蔵王讃歌や藤の花 稲畑廣太郎 ホトトギス 200105
母のやうほのといろある藤の花 吉弘恭子 あを 200105
藤の花にはぶら下がりぶらさがる 堀内一郎 あを 200106
にふるるほどに垂れゐて藤の花 神崎律子 200107
奥嵯峨の雨に烟れる藤の花 岡本明美 俳句通信 200107
不惑はるか過ぎてもゆるる藤の花 保坂加津夫 いろり 200107
くにはらに時空ときふくらめり藤の花 南敦子 200107
吹き降りの旅にありけり藤の花 武井美代子 風土 200108
塔のへつり岩にかかれる藤の花 広瀬敏子 酸漿 200108
風よりも虻のこぼせる藤の花 岩瀬操舟 円虹 200108
杣道の谷へなだれし藤の花 久保木千代子 春耕 200109
肩触れて肩かゆくなる藤の花 能村登四郎 羽化 200110
いちにちにゆふべのありて藤の花 鷹羽狩行 200205
鳥声の冒険広場藤の花 辻のぶ子 雲の峰 200206
風すぎてあと藤の花匂ひけり 小池洋子 雲の峰 200206
それぞれの風得て揺るる藤の花 吉田紀子 雲の峰 200206
藤の花いつか馴染みてランドセル 渡部義次 雲の峰 200206
石なでて石の減りゆく藤の花 山田六甲 六花 200206
踊つても跳ねても白し藤の花 山田六甲 六花 200206
城にくる海風の白藤の花 山田六甲 六花 200206
利酒に酔うて候藤の花 芝尚子 あを 200206
藤の花鏡が見抜く嘘八百 岩尾みち子 京鹿子 200207
むらさきの似合ふ人亡し藤の花 家塚洋子 酸漿 200207
藤の花呟き洩らすごと零れ 岩瀬操舟 円虹 200208
山の木にからまり渡る藤の花 高木昌子 築港 200208
休めよと暮色がつつむ藤の花 鷹羽狩行 200304
太陽のあつからねども藤の花 鷹羽狩行 200305
杉あらば杉の高さに藤の花 朝妻力 雲の峯 200306
椅子二つ程よく離れ藤の花 芝尚子 あを 200306
千年のけやきを締めて藤の花 南うみを 風土 200307
藤の花身の上話虚飾して 塩川雄三 築港 200307
藤の花なだれて藤の滝となる 松本和代 築港 200307
藤の花池の亀見て暮れにけり 山口たけし 雲の峯 200307
生も死もその下をゆく藤の花 水野恒彦 200307
月おいてライトアップの藤の花 山田富朗 遠嶺 200308
藤の花昂然として神苑に 木下栄子 築港 200308
宮水の古井に照(て)らふ藤の花 忽那保 雲の峯 200308
藤の花能面に声こもりたる 大和あい子 百鳥 200308

枕辺に人のをはりを藤の花

瀬川公馨 200309
天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一 栴檀 200406
藤の花重く垂れをり朝日さす 池田いつ子 酸漿 200406
垂れ下ることが宿命藤の花 塩川雄三 築港 200407
神杉に絡む真昼の藤の花 林範昭 築港 200407
鯉の口浮かんでは消え藤の花 里中章子 200407
藤の花大樹を抱きのぼりたる 石脇みはる 200407
岩たたみに藤の花続く長瀞町 名取富子 帆船 200407
藤の花風のしつ尾のちらと見ゆ 白井墨絵 遠嶺 200407
母恋ふる悲しき熊野の藤の花 加賀富美江 遠嶺 200407
父情まだ芽生えしばかり藤の花 今瀬一博 200407
藤の花乳房のやうに持ち上げし 秋千晴 200408
持て成しの窓を細めに藤の花 府川房江 遠嶺 200408
師を囲む語らひの輪や藤の花 浜田はるみ 遠嶺 200408
重さある風送りきし藤の花 福山広秋 200408
宇治なれや玉露の試飲藤の花 史あかり ぐろっけ 200408
禅寺に色ゆるされて藤の花 鷹羽狩行 200505
若者の寄り添ひて行く藤の花 町田喜久 帆船 200506
薄命の色に咲きけり藤の花 山田六甲 六花 200506
藤の花泣いてはなにも生まれない 山田六甲 六花 200506
垂れてからそののち知らず藤の花 山田六甲 六花 200506
月おぼろライトアツプの藤の花 福田栄子 帆船 200507
お点前や花曼陀羅の藤の花 江崎成則 栴檀 200507
白藤の花期過ぎて居り昼の閑 村岡紀美江 築港 200507
藤の花房いつぱいに咲き匂ふ 辻田忠俊 築港 200507
水落ちて風の生まるる藤の花 今瀬剛一 対岸 200507
鮭たらこ梅干おかか藤の花 高橋紀子 対岸 200507
夕空や房整はぬ藤の花 松山正江 河鹿 200508
藤の花子に随ふもときにあはれ 上野進 春燈 200508
藤の花未だ蕾の塩地蔵 醍醐季世女 200508
神木の梢まで懸けて藤の花 館容子 200509
山巡る各駅停車藤の花 三輪慶子 ぐろっけ 200509
藤の花重りて城隠しけり 小林朱夏 200604
名苑のすぐ剪る藤の花手入 稲畑汀子 ホトトギス 200605
いちばんの心配は我藤の花 出口誠 六花 200605
藤の花山のそよめきをりにけり ことり 六花 200605
真間川に沿ふ家々の藤の花 上村葉子 風土 200607
八百畳の棚より垂るる藤の花 池田博子 四葩 200608
白の褪せ紫勢ふ藤の花 山本漾子 雨月 200608
憩ふ人また入れ替り藤の花 嶋田一歩 ホトトギス 200609
藤の花分けては風のゆきにけり 金月洋子 六花 200704
藤の花大きく橋の架かりをり 百瀬七生子 海光 200705
一輪車の少女ふれゆく藤の花 早崎泰江 あを 200706
藤の花けだるき羽音続きをり 宮澤さくら 遠嶺 200707
昏れどきの揺れひかへめに藤の花 荒木甫 200707
藤の花一瞬過ぐる峠かな 大塚洋子 酸漿 200707
藤の花仮名書くごとく散りにけり 白髭美佐子 200708
落慶の地下室覗く藤の花 木下もと子 200708
虚空より降りて来たらし藤の花 松村義男 遠嶺 200708
父の風母の風来る藤の花 永塚尚代 ぐろっけ 200708
殉職の棺の若し藤の花 岡村尚子 ぐろっけ 200708
咲きそめし藤の花まだ棚の上 恒成久美子 ぐろっけ 200708
藤の花咲ききつて山静かなる 川口崇子 万象 200710
思惟仏の細きうなじや藤の花 大畠政子 雨月 200710
繙けば天女の手紙藤の花 林友次郎 天帝 200806
雲の影近づいてくる藤の花 浅田光喜 絵巻物 200806
四隅から動き始めて藤の花 浅田光喜 絵巻物 200806
老幹は捩れ捩れて藤の花 廣瀬雅男 やぶれ傘 200806
貴婦人の香り仄かに藤の花 森下康子 200807
植物園の奥処を飾り藤の花 笠井清佑 200807
労働の男は寡黙藤の花 天野きく江 200807
山霊の抱き寄せてゐる藤の花 近藤喜子 200807
倒れ木を頼りに藤の花咲けり 仁平則子 200807
氏神の山裾藤の花ざかり 井関祥子 酸漿 200807
藤の花空を身近に目覚めけり 浜田はるみ 遠嶺 200808
切岸に緞帳なせる藤の花 堀井英子 雨月 200808
まどろみて見し夢忘れ藤の花 渡邉友七 あを 200808
藤の花犬語と少し話す人 遠藤実 あを 200905
昏れ初むる棚田に沿へる藤の花 中川すみ子 200907
山藤の花波立てり国ざかひ 伊藤洋子 200907
遺されし日誌や藤の花白し 吉田空音 炎環 200907
地に届く影のしづかに藤の花 鴨下昭 200907
藤の花眺めてじつと刻を過ぐ 佐藤健伍 200907
円陣の方へと藤の花こぼれ 田中春生 200907
六畳の円座の句会藤の花 鈴木武夫 200907
傾ぐ樹に蔓を絡ませ藤の花 吉田晴子 200908
ログハウス藤の花咲くカフェテラス 池田加寿子 200908
ひと棹で急流に乗る藤の花 根岸善行 風土 200908
能面の紐の解かれし藤の花 福富みさ子 200908
中世のギルドの壁や藤の花 古川千鶴 200908
ふたりゐて何の淋しさ藤の花 定藤素子 雨月 200908
道問うて野田は街なか藤の花 小原登志春 雨月 200908
翌檜の天辺大好き藤の花 あかさか鷹乃 ろんど 200908
入母屋の並ぶ街道藤の花 奥田温子 やぶれ傘 200909
藤の花北斎の墓通りぬけ 小俣剛哉 雨月 201001
藤の花つぎを約さず別れけり 片山由美子 201004
山藤の花の滝なす切通し 森清尭 末黒野 201004

 追悼

あどけない童女の笑まひ藤の花

斉藤裕子 あを 201005
藤の花ゆるゆるやはい京言葉 長崎桂子 あを 201006
憂き事の失せざる日々や藤の花 鈴木一三 末黒野 201007
やさしさの時に重たし藤の花 栗原公子 201007
城のある町の日暮や藤の花 鈴木直充 春燈 201007
校庭に風渡りゆく藤の花 塩見治郎 雨月 201007
はればれと子安地蔵に藤の花 谷村幸子 201008
校章は藤の花なり級友とも集ひ 福田漣 201008
池の面の端より暮るる藤の花 樋囗みのぶ 201008
滝となる藤の花房峡の村 生井慶子 万象 201008
奥の院へ坂がかりなる藤の花 岩井ひろこ 火星 201008
紫は暮るるに早く藤の花 川下明子 雨月 201008
根元より走りはじめる藤の花 倉持梨恵 201008
週明けの舗道に藤の花の屑 高田令子 201008
藤の花雨降ればみな雨雫 白石正躬 やぶれ傘 201010
炎天下狂ひ咲きたる藤の花 上藤八重子 酸奬 201010
たをやめの野良着姿や藤の花 増山一代 201107
藤の花こぼれつぐなり石畳 松村光典 やぶれ傘 201108
峠一つ越ゆれば備前藤の花 和田絢子 春燈 201108
藤の花堂守に菓子すすめらる あさなが捷 201108
過去すべて吸ひ込む景色藤の花 福田かよ子 ぐろっけ 201108
高千穂や切り岸懸かる藤の花 小野千枝子 万象 201108
どの声も弥陀のお耳に藤の花 中野京子 201108
金槌で屋根を打つ音藤の花 渡邊孝彦 やぶれ傘 201110
天守閣跡淋しめず藤咲けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201205
池の面を灯して暗き藤の花 布川直幸 201205
松柏に色かさねたり藤の花 細野恵久 ぐろっけ 201205
藤棚に盛り上がる花垂るる花 佐津のぼる 六花 201205
藤の花棚を余さず咲き盛る 渡辺安酔 201207
吹く風も紫にして藤の花 久保東海司 201207
渓谷を吹き上ぐる風藤の花 青木由芙 末黒野 201208
藤の花弟世の山の華鬘なり 北村淳子 ろんど 201208
嵐山は借景にして藤の花 和田照海 京鹿子 201208
なきがらに従きゆく山路藤咲けり 中條睦子 万象 201208
藤咲ける幹と幹とは睦み合ひ 松本文一郎 六花 201209
藤の花吾妻の秘湯あふれさす 阿部綾子 ろんど 201209
荘厳の弟背の山や藤の花 北村淳子 ろんど 201209
陽に揺らぎ色に濃淡藤の花 塩千恵子 201306
藤の花風に揺れゐる静けさに 大島みよし 201307
人の世の歳月を生き藤の花 藤本秀機 201307
山藤の身近に咲きて静かなり 佐藤健伍 201307
古藤の百畳の棚花すだれ 川井素山 かさね 201307
藤の花いにしへよりの色で咲く 長久保郁子 かさね 201307
被災地の杉立ち上る藤の花 吉田克美 ろんど 201310
藤の花キリンのゐない動物園 佐藤喜孝 あを 201307
おでんの端で辛子が乾く藤の花 佐藤喜孝 あを 201307
杉山の鬱蒼として藤の花 吉成美代子 あを 201307
揺れ合うて雨の雫や藤の花 荒井貞子 末黒野 201407
時に粗き城址の風や藤の花 松本三千夫 末黒野 201407
振り返る棚田の里や藤の花 中野久雄 末黒野 201407
藤の花廃線駅の列車宿 岩本紀子 201407
藤の花水面の鴨の暮れにけり 宮川みね子 風土 201407
人の顔隠してをりぬ藤の花 永田万年青 六花 201408
幾すぢの組紐ほどく藤の花 三木千代 201408
藤の花下がる屋敷にあるじ無し 藤波松山 京鹿子 201408
山裾のぽんやりとして藤の花 永田万年青 六花 201408
藤の花ひんやりと土冷え冷えと 飛高隆夫 万象 201408
降り出でてけぶらふ玻璃や藤の花 深澤厚子 馬醉木 201408
産土神の藤の花房仰ぎけり 真柄百合子 末黒野 201409
藤の花 →2      

 

2021年5月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。