春時雨 3    200句

春時雨投票箱の固い鍵    上田多津子

春時雨  秋時雨  初時雨  時雨  青時雨 青葉時雨

村時雨  片時雨  時雨雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春時雨大樹諸手を挙げて受く 東亜未 あを 200905
無言てふやさしさのあり春時雨 藤原はる美 200905
春時雨夜の帷のやはらかに 渡辺玄子 酸漿 200905
石庭の色深まりし春しぐれ 伊東和子 200906
赤門をぬらして過ぎぬ春しぐれ 山口耕堂 万象 200906
古傷のちりりと攣れし春時雨 石田静 200906
噺家の弾むなぞとき春時雨 竹内美穂 炎環 200906
春時雨薬草園の中に佇ち 中谷葉留 風土 200906
春時雨おもはぬ人と会ひにけり 奥山絢子 風土 200906
こゆるぎの浜より晴るる春時雨 山本浪子 風土 200906
青石の機嫌が戻る春時雨 丸井巴水 京鹿子 200906
僧形の足早に過ぐ春しぐれ 鈴木静恵 春燈 200906
城ヶ島海鳥競ふ春しぐれ 山川好美 春燈 200906
春しぐれ寒くないかと気遣はれ 吉村さよ子 春燈 200906
春しぐれとふに昏さの募るなり 久保晴子 雨月 200906
春時雨終日家居となりにけり 戸谷たみ子 酸漿 200906
碁石打つ夫の横顔春時雨 吉沢陽子 200907
春時雨京の路地てふ出会かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201002
春時雨俳磚の文字尖らせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201002
春時雨ありたる町を抜けて来し 稲畑汀子 ホトトギス 201002
てのひらに春の時雨を確かむる ことり 六花 201003
湯あがりの身を軽々と春時雨 橋本榮治 馬醉木 201004
春時雨はるるを待たず逝きにけり 片山由美子 201004
湯かげんの良くて長風呂春しぐれ 清水侑久子 201005
一力の角曲りくる春時雨 岩下芳子 201005
ゼウス化す黄金の雨や春しぐれ 鈴木撫足 春燈 201005
春時雨河原の石の先づ濡れて 松本三千夫 末黒野 201005
三千院春の時雨となりにけり 遠藤逍遙子 風土 201005
春しぐれ幾曲がりして曼荼羅図 雨宮桂子 風土 201006
百齢生きし姉とのわかれ春時雨 川下明子 雨月 201006
残照の嶺のくれなゐ春時雨 松井千鶴子 201006
新橋に師の匂ひして春時雨 阿部知代 201007
人の世をふと濡らしゆき春時雨 井上浩一郎 ホトトギス 201007
春時雨「め」の字の絵馬の薬師堂 松本善一 やぶれ傘 201007
干し物に天の悪戯春時雨 楯野正雄 201007
春しぐれ読経のさ中孫生まる 福島悠紀 ぐろっけ 201007
耳すこしあいまいなんです春しぐれ 畑佳与 京鹿子 201008
びーどろの細工のときを春時雨 安藤久美子 やぶれ傘 201008
明るさへ差してたたむも春時雨 宮崎正 ホトトギス 201009
山頭火の涙の句碑や春時雨 今村千年 末黒野 201009
春時雨この路地出れば先斗町 稲畑廣太郎 ホトトギス 201102
春時雨なごりの道を歩き来し 稲畑汀子 ホトトギス 201102
弔辞書き終りし窓の春時雨 稲畑汀子 ホトトギス 201102
春日野の鹿遠ざかる初しぐれ 宮川みね子 風土 201102
春時雨ありしと告げて訪ね来し 稲畑汀子 ホトトギス 201103
春しぐれ京都タワーに夜の帷 紀川和子 201104
蛇の目傘買ふ大原の春しぐれ 辻知代子 201105
緩やかな参道濡らす春時雨 長濱順子 201105
五色豆買うて大路の春しぐれ 近藤きくえ 201105
春しぐれ黒松多きかつしか野 久染康子 201105
春時雨欅の幹に雨の筋 白石正躬 やぶれ傘 201106
磐座のうらにまはりし春しぐれ 杉浦典子 火星 201106
春時雨丹の顕つ美濃の一の宮 塩見英子 雨月 201106
春しぐれ高齢の喪主絶句せり 林哲夫 ぐろっけ 201107
春時雨核シェルターが欲しいとふ 三崎千恵子 ろんど 201107
巫女の灯の渡り廊ゆく春時雨 浜口高子 火星 201107
年寄の額の広うて春時雨 深澤鱶 火星 201107
竹人形の竹の御髪よ春しぐれ 栗栖恵通子 201108
繭細工買ひゐる嵯峨の春しぐれ 武井美代子 万象 201110
おばしまを渡り切らざる春しぐれ 吉弘恭子 あを 201110
恋語る軒下も借り春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
隧道を抜けて奥伊豆春時雨 安藤時次 末黒野句集 201203
婚姻届済ます二人に春時雨 川崎真樹子 春燈 201204
理屈などはいらず京の春時雨 布川直幸 201204
唐破風の門に駆け込み春時雨 山崎稔子 末黒野 201204
春時雨見えゐて我が家遠かりし 建守悠紀子 万象選集 201205
初孫の晴着を濡らす春時雨 後藤克彦 かさね 201206
春時雨有楽町の人恋し 古川夏子 201206
傘差さぬニッカーボッカーズや春時雨 西谷良樹 春燈 201206
春時雨舌ちよつと出す陶狸 宇都宮敦子 201205
金色の霊柩車濡らす春時雨 丹生をだまき 京鹿子 201206
茅葺の未完の塔や春時雨 豊田高子 万象 201207
ふとテラス濡れてをりしと春時雨 稲畑汀子 ホトトギス 201302
春しぐれ桶屋の散らす鉋屑 鳳蛮華 201304
目鼻なき小さき露座仏春しぐれ 辻知代子 201305
国東の石仏に傷春時雨 川井素山 かさね 201305
きのふより濃き土手の青春時雨 岡崎伸 201305
傘すこし開きまた閉ぢ春時雨 黒澤登美枝 201305
春時雨硬き蕾に沁み入みて 新倉ゆき江 末黒野 201305
ピエタめく奉納の雛春時雨 宮田香 201306
寺町の路地に迷へり春時雨 亀田やす子 ははのこゑ 201306
春時雨山路を塞ぐ孔雀羊歯 田中清秀 かさね 201306
知らぬ間に庭石の濡れ春時雨 福田房子 末黒野 201306
春しぐれ川面に黒き橋の影 渡邊孝彦 やぶれ傘 201306
春時雨楓の青さ磨きけり 笹井康夫 201307
春しぐれ去来の墓に佇みて 今井妙子 雨月 201405
印旛沼見ゆる樹間や春しぐれ 西岡啓子 春燈 201405
春時雨八角輪堂一切経 竹内悦子 201406
春時雨あをあをと散り苔深し 立村霜衣 ホトトギス 201406
会釈してひとの軒借る春しぐれ 柴田志津子 201406
枝折戸の開きしけはひや春しぐれ 佐藤信子 春燈 201406
鯖街道行くか戻るか春時雨 松岡和子 201406
徳川を誇る名園春時雨 松田和子 201406
春時雨止み万象の光かな 水田むつみ ホトトギス 201407
春時雨今見送りし人恋し 長山あや ホトトギス 201407
春しぐれ金網ひかる嘉手納基地 福島せいぎ 万象 201407
三日三晩の山火事治む春時雨 鈴木石花 風土 201407
春時雨ともなく濡れて石畳 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春時雨すぐに止むてふ心あり 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春時雨零す雲より動き初む 稲畑汀子 ホトトギス 201502
春時雨いつやら雪に曼佗羅華 山田六甲 六花 201503
円錐の清めの砂や春時雨 石川かおり 201504
茶屋町や出格子濡らす春時雨 塩田博久 風土 201505
佐々木邦の老いらくの恋春時雨 遠藤逍遙子 風土 201505
ひとり旅糺の森に春しぐれ 川田好子 風土 201505
俳優の手形百ほど春時雨 内藤静 風土 201505
春しぐれ窓の内なる顔並ぶ 松田千枝 春燈 201505
木馬館通り暮れゆく春時雨 大崎紀夫 やぶれ傘 201505
春時雨革の表紙の手に馴染む 安藤久美子 やぶれ傘 201505
春しぐれ蛇窯の叶のあかるくて 笹村政子 六花 201505
苔衣常寂光の春しぐれ 松本鷹根 京鹿子 201505
春時雨句碑建立の浜清め 木下圭子 ホトトギス 201506
終章の耳を澄ませば春しぐれ 佐藤佐津 201506
父の忌の山をけぶらせ春しぐれ 泉本浩子 馬醉木 201506
春時雨遺品は茶箱二つのみ 荻悠子 201506
デザートの頃には上がり春時雨 今橋眞理子 ホトトギス 201507
熊笹に光生まるる春時雨 根岸善行 風土 201507
春時雨蚕飼名残りの壁の染み 黒滝志麻子 末黒野 201507
野仏の襞にしみ入る春しぐれ 小山直子 末黒野 201507
難波橋のライオン濡らし春時雨 金森信子 雨月 201507
春時雨本当に甘いマディラワイン 赤座典子 あを 201507
たもとほる「トトロの森や」春しぐれ 鈴木静恵 花こぶし 201508

 悼・上山永晃氏

春しぐれ遣影は笑みをかへしけり

松橋利雄 春燈 201605
春時雨勾配ゆるき石畳 中島昌子 201605
春時雨すっきりしたる木立かな 笹倉さえみ 雨月 201605
春時雨恋ひ来し丹波姑はなく 笹倉さえみ 雨月 201605
容赦なく日の差しきたり春時雨 藤生不二男 六花 201606
銀座より日比谷見附へ春時雨 安藤久美子 やぶれ傘 201606
榛の木の瘤の黒ずみ春しぐれ 黒滝志麻子 末黒野 201606
春時雨くちびる赤き童子仏 飛高隆夫 万象 201606
春時雨髪を止めたるピン一本 高橋ひろ 万象 201606
春しぐれ散歩の犬も合羽着て 駒形祐右子 万象 201606
滲む灯に昏るる桟橋春しぐれ 岡淑子 雨月 201606
俳磚の藍の字浮かせ春時雨 涌羅由美 ホトトギス 201607
稲荷社の朱の鮮やかや春時雨 神谷さうび 末黒野 201607
春時雨慌ててたたむ綿菓子屋 宮暗他異雅 末黒野 201607
春時雨甕より掬ふ紹興酒 久留島規子 万象 201608
春しぐれ薄暮に架かる泪橋 伊藤五六歩 船団 201612
君となら濡れて行けさう春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
番傘の音からからと春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春時雨猫の額を濡らすほど 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春時雨琵琶湖疎水を誇る古都 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春時雨湖北の哀史語り初む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
対岸に日差鏤め春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
年上は興味おまへん春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
佐保姫の恋路の闇や春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春時雨とはもう言へぬ本降りに 稲畑汀子 ホトトギス 201702
止みさうに止みさうに春時雨かな 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春時雨予報は聞いて出掛け来し 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春時雨零せし雲の消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201702
草蔭の猫の思案や春しぐれ 鈴鹿仁 京鹿子 201703
春しぐれ一つの嘘にでこつつく 鈴鹿呂仁 京鹿子 201704
春しぐれ瘡蓋の取れひらがなに 鈴鹿呂仁 京鹿子 201704
春時雨傘を使はぬ小学生 赤座典子 あを 201705
春しぐれ余生まだまだ捨て難し 北川孝子 京鹿子 201705
春しぐれ京の舞妓の小走りに 山田春生 万象 201705
春しぐれ口笛の行く歩道橋 北川孝子 京鹿子 201705
産科とは知らずとび込む春しぐれ 植村蘇星 京鹿子 201705
春しぐれフランスパンをさくつと割る 塩貝朱千 京鹿子 201705
子の居りし音二階から春しぐれ 井上菜摘子 京鹿子 201706
寄らで過ぐ牧水歌碑や春時雨 安斎久革 末黒野 201706
さよならを両手で返す春時雨 高野春子 京鹿子 201706
反省の積もる抽出春しぐれ 北川孝子 京鹿子 201706
一力の渋きのれんや春しぐれ 竹内喜代子 雨月 201706
ペン措くや聴くともなしに春時雨 西川保子 春燈 201707
濡れて着く小さな荷物春時雨 今井千鶴子 ホトトギス 201707
比良比叡裾を広げて春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201711
野仏を背ナから洗ふ春しぐれ 西村白杼 京鹿子 201801
大琵琶の静寂彩る春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
比良比叡裾を広げて春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
春時雨今日も出掛ける用意して 稲畑汀子 ホトトギス 201802
四旬節始まる朝春時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
九〓(人分)のお茶とランタン春時雨 七郎衛門吉保 あを 201805
寮監の部屋に集へり春時雨 笹村政子 六花 201805
春立つや懐紙に受くる黄身しぐれ 安斎久英 末黒野 201805
皇子眠る二上山ぬらす春しぐれ 玉置かよ子 雨月 201806
春しぐれ生田の森の水みくじ 鈴木みのり 201806
地下室のザッハトルテや春時雨 辻響子 201806
石畳いつ過ぎしやら春時雨 廣畑育子 六花 201806
春しぐれ老松空を抱くかな 竹内喜代子 雨月 201806
春時雨線路の先の空晴れて 小山陽子 やぶれ傘 201806
春時雨吉野の魂を鎮めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
小倉山の時雨亭跡春かすみ 岡本尚子 風土 201906
罅走る左千夫の墓や春しぐれ 安立公彦 春燈 201907
峰に日を残して京の春時雨 森清信子 末黒野 201907
山門に句仏の一句春しぐれ 横山昭子 雨月 201907
漱石の句碑春秋や蝉時雨 本田豊明 201910
口中に干菓子溶けゆく春時雨 石本百合子 馬醉木 202004
括られし愛書を襲ふ春時雨 宮崎他異雅 末黒野 202005
来し方へ心の遊ぶ春時雨 谷田貝順子 202005
耳を病み眠れぬ夜半の春時雨 今井千鶴子 ホトトギス 202006
大そろばん置きある喫茶春時雨 延川五十昭 六花 202006
日と影のあはひに春のしぐれかな 藤生不二男 六花 202006
地球儀の空は透明春しぐれ 本郷公子 京鹿子 202006
猫少し濡れて戻りぬ春時雨 湖東紀子 ホトトギス 202007
百歳の姉は浄土へ春時雨 高井修一 京鹿子 202008
春しぐれ軒端を借りて傘借りて 上月智子 末黒野 202008
日の差して行手きらきら春時雨 田中とし江 202010
予報には従ふ心春時雨 稲畑汀子 ホトトギス 202102
春時雨 →4

 

2022年11月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。