冬 至 1      236句

四まいの障子いっぱい冬至の日   長谷川素逝   暦日

冬至  冬至粥  冬至湯  冬至南瓜  冬至梅  柚子湯  冬至柚子

作品
作者
掲載誌
掲載年月
会釈する火宅の人の冬至かな 小堀寛 京鹿子 199901
あかあかと猿も飯くふ冬至かな 小堀寛 京鹿子 199901
唇つけた憎らしい鼻冬至かな 小堀寛 京鹿子 199901
白飯の珠と透くなり冬至光 頓所敏雄 199903
仏壇に冬至の夕日とどきをり 小林螢二 春耕 199903
石工小屋に石の粉ある冬至かな 今木偉郎 199904
首ひねる芝居見終わり冬至の夜 児玉硝子 ヒッポ千番地 199905
帰宅せし部屋に冬至の暗さかな 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
仰ぎみて冬至近づく木の梢 阿部ひろし 酸漿 200001
ほろほろと石に日の射す冬至かな 有働亨 馬醉木 200002
沈む日の冬至といへど目を射るも 宮津昭彦 200002
到来の冬至の鮭の切身かな 渋谷ひろ子 酸漿 200003
眼に痛きまでに尖りて冬至の芽 太田寛郎 200004
冬至来とこころのどこか走り出す 定藤素子 雨月 200004
五円玉拡大鏡で見る冬至 中原幸子 遠くの山 200010

英知大学講義

黒板に今日は冬至と書きにけり

稲畑汀子 ホトトギス 200012
大垂水峠越えゆく冬至かな 阿部ひろし 酸漿 200102
雨ありて明けし冬至の千木良村 阿部ひろし 酸漿 200102

悼 昆ふさ子さん

みちのくより冬至の朝の訃報なる

松崎鉄之介 200102
師と在りてあたたかかりし冬至なる 笠原ひろむ 200103
痩せし日を背に遊ばせる冬至かな 亀田愚風 銀化 200103
猫背して亀食べにゆく冬至かな 緒方敬 200103
陽に背中押されて冬至なりにけり 星野早苗 船団 200106
落款や冬至もとよりしづかにて 岡井省二 200109
杖先の石ころとても冬至かな 村越化石 200202
まつすぐに獏がもの言う冬至かな 小形さとる 200202
灯籠の火袋に入る冬至の日 平田紀美子 風土 200202
叱られし幼連れ出す冬至かな 阿部悦子 酸漿 200202
ヒルトンに身の丈映す冬至かな 城孝子 火星 200203
もやもやと日のありどころ見ゆ冬至 溝内健乃 雨月 200203
雲も世相も千変万化し冬至なり 溝内健乃 雨月 200203
冬至近き戸の開け閉てのきしみかな 川上恵子 雨月 200203
冬至近し父母と夕餉に対ひゐて 小島せつ子 百鳥 200203
追善の能見て帰る冬至の夜 門伝史会 風土 200203
浦賀水道船の往き交ふ冬至かな 平田紀美子 風土 200203
山畑に日和靄立つ冬至かな 田崎凛 春耕 200203
檜葉垣を揺らす冬至の風の音 伯井茂 春耕 200203
松山に松は影置く冬至かな 青山丈 200203
見とどけし入日の始終冬至前 塩原昌子 200203
玄関に潮の満ちくる冬至かな 荒井千佐代 系図 200203
壺飾る床の間日射す冬至かな 小浦遊月 酸漿 200204
弦月のかかる冬至の家路かな 川口利夫 ホトトギス 200205
頂上に冬至の落暉置く眉山 上崎暮潮 ホトトギス 200209
冬至てふ穏やかな日を賜はれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
隣家の工事冬至の日暮まで 稲畑廣太郎 ホトトギス 200212
暁けきらぬ冬至の朝の旅立に 稲畑汀子 ホトトギス 200212
忽ちに冬至の夕日落ちにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200212
沈む日の冬至へ急ぐ姿なる 宮津昭彦 200301
葉一枚悠然と落ち冬至かな 林翔 200302
駅伝の冬至の京の大路駆く 安陪青人 雨月 200302
屋上を人歩きをる冬至かな 平田倫子 百鳥 200303
まばたきて冬至の山を遠くせり 村上一葉子 200303
長電話三つつづきぬ冬至かな 堀米洋江 風土 200303
一葉集読めば冬至の暮色寄る 服部郁史 京鹿子 200303
太陽が河馬に呑まれし冬至かな 奥田節子 火星 200304
冬至寒し花屋の奥の水たまり 藤田あけ烏 草の花 200401
ぜんまいを桶にもどせる冬至寺 田中英子 火星 200402
水底に日のあり冬至十日前 神蔵器 風土 200402
賑やかに汁粉ふるまふ冬至寺 前阪洋子 雲の峰 200402
墓の花替へて昨日が冬至かな 宮津昭彦 200403
泣かぬためあかんべをする冬至かな 田村園子 200403
川波のまたたきてゐる冬至かな 細井紫幸 草の花 200403
行く雲の魚の形に冬至の日 山内須磨子 草の花 200403
餌台のこつと暮れたる冬至かな 青野れい子 200403
日の力もどる冬至の野辺明り 西屋敷峰水 河鹿 200404
冬至の夜母にメールを教へをり 沖増修治 百鳥 200404
白湯味はふ膝に冬至の影受けて 廣島泰三 200405
冬至といふ零時や半身ゆるみそむ 山元志津香 八千草 200406
はやばやと湯屋に冬至の知らせかな 辻井桂子 雲の峰 200502
から足の身を泳がせて冬至かな 中根喜与子 200502
大利根のもつとも細き冬至かな 櫻井白扇 春燈 200502
わが厨冬至の日射入りにけり 小峯雅子 酸漿 200503
冬至の日温み残して落ちにけり 石川琢之 対岸 200503
犬ふぐり咲くを疑ふ冬至前 橋本梢明 200503
冬至来る庄屋の太き柱かげ 奥田節子 火星 200503
臍かみし年も冬至となりにけり 藤井昌治 200503
火を皓と背広を脱いで冬至かな 仲村青彦 200503
冬至の日河馬の半眼うきしづみ 片山タケ子 200503
日暮れ来るうしろ冬至の長い影 川崎光一郎 京鹿子 200503
煤けたる大黒柱冬至過ぎ 中條睦子 万象 200504
すぐ暮るる山陰線の冬至の旅 広岡仁 200504
冬至祝ぐなれ樟の鵯きいききと 浅井青二 雨月 200504
丹沢嶺の窪みに落ちし冬至の日 天野みゆき 風土 200504
風の息して眠れぬ夜冬至くる 佐藤利夫 200504
これからは日永とカラス啼く冬至 杉山涼風 200505
妻の夢みな叶はざり冬至の夜 瀧春一 菜園 200509
石庭で鉄道語る冬至かな 出口誠 六花 200512
冬至かなみかん山から子等の声 河崎尚子 火星 200602
向き向きの養蜂箱の冬至かな 岡和絵 火星 200602
鳶の笛に冬至の心平らにす 丸山佳子 京鹿子 200603
八十年ぶり積雪の冬至かな 川崎光一郎 京鹿子 200603
冬至吹雪に明くる誕日古稀越ゆる 溝内健乃 雨月 200603
風に耐へ冬至詣での人の波 坂本ひさ子 遠嶺 200604
日めくりを見直してゐる冬至の日 宮森毅 六花 200605
日本人居留地に立つ冬至かな 長谷英夫 馬醉木 200612
妣の世は冬至唐茄子いまレタス 林翔 200702
大寺の隅に日の入る冬至かな 鈴木多枝子 あを 200702
靴買ひに冬至十日の昼さがり 上野進 春燈 200703
愛犬と冬至の日の出待ちゐたり 鈴木石花 風土 200703
むらさきに日暮れて冬至十日前 柴田久子 風土 200703
冬至の空見渡す限り雲のなし 松崎鉄之介 200703
稜線のたをりに落つる冬至の日 渡邊紅華 酸漿 200703
病める身に光あまねき冬至の日 杉本重雄 200704
山禽の羽音水音冬至の日 林友次郎 遠嶺 200704
使ふだけ採る白菜や冬至過 関戸国子 酸漿 200705
一の杉根に冬至の日収め立つ 阿部ひろし 酸漿 200712
点滴の終はつてからの冬至かな 岬雪夫 200802
寝過ごしにあらず冬至の朝なれば 四條進 200802
四時半の日没冬至の海残照 新井清 春燈 200803
生烏賊のわた抜く手元冬至の日 新井清 春燈 200803
お人柄と冬至ビールに胸襟を 丸山佳子 京鹿子 200803
影法師斜陽はてなき冬至の野 植村よし子 雨月 200803
冬至芽に急ぎの風の渡りけり 吉田明子 200803
禅林に日の残りゐる冬至かな 奥田順子 火星 200803
空井戸の口あいてゐる冬至の日 高橋邦夫 風土 200804
冬至芽や光に清き石畳 津田礼乃 遠嶺 200806
一の杉冬至の夕日迎へ立つ 阿部ひろし 酸漿 200901
押しなべて田の面は白し冬至の日 橋本貞二 酸漿 200902
富士の背に日の沈みゆく冬至かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 200902
汁粉屋に招き猫ゐる冬至かな 平岡かづを やぶれ傘 200902
腕組みの庭師冬至の空見上ぐ 加藤峰子 200903
ペダル漕ぐ冬至の坂に集ふ風 前川明子 200903
海の面に夕日の潤む冬至かな 府川昭子 春燈 200903
夕雲の金色しるき冬至かな 府川昭子 春燈 200903
バケットに烏賊墨パンや冬至くる 飯塚ゑ子 火星 200903
潮の目のすぐそこにある冬至かな 戸粟末廣 火星 200903
皇帝ダリア揺らし冬至の風あそぶ 西山美枝子 酸漿 200903
伸び伸びと欅浴びをり冬至の日 浅野惠美子 酸漿 200903
鉄瓶の湯気やはらかき冬至かな 高倉和子 200903
踏切を二つ越え来て冬至かぼちや 佐々木秀子 200905
雨より雪に冬至一日人に会はず 野沢しの武 風土 200905
冬至どか雪翌朝刊の総遅れ 野沢しの武 風土 200905
灯ともるを日暮の待てる冬至かな 鷹羽狩行 200912
今日まこと冬至なりしと思ふ旅 稲畑汀子 ホトトギス 200912
早く目の覚めて二度寝の冬至かな 稲畑汀子 ホトトギス 200912
冬至二十日鴟尾残照を伸ばしくる 狭川青史 馬醉木 201001
わが影の壁にふくるる冬至かな 安立公彦 春燈 201002
碧落に日の傾きて冬至来る 酒井湧甫 201002
里人に交じり足湯の冬至かな 伊東和子 201003
耳穴に冷たき小指冬至来る 松本桂子 201003
蛾眉の月置いて冬至の果つるかな 千田百里 201003
独り来て海を見てゐる冬至かな 乙坂きみ子 末黒野 201003
かぼちやケーキ六等分の冬至かな 福永尚子 ろんど 201003
病院の硬きベッドに冬至の日 松嶋一洋 201003
暮れゆくを窓に見てゐる冬至かな 大島英昭 やぶれ傘 201003
葉書買うて冬至の道を戻りけり 藤井美晴 やぶれ傘 201003
富士山頂今冬至の日沈むなり 三井公子 酸漿 201003
手を借りて鉢植仕舞ふ冬至の日 飯田角子 酸漿 201003
時計屋で電池を換へる冬至かな 丑久保勲 やぶれ傘 201004
煎餅のパリンと割るる冬至かな 天野美登里 やぶれ傘 201004
墨東を這ひ回りをり冬至の日 塩田博久 風土 201004
淡き日やことに冬至の村の黙 川井秀夫 ろんど 201004
沈む日よ冬至も近き一の杉 阿部ひろし 酸漿 201101
冬至雲君手短にものを云へ 小形さとる 201102
低き軒連ね冬至の旧街道 岡部玄治 201102
病み暮るゝほどなく冬至来たりけり 高木智 京鹿子 201102
冬至過ぎ残るいくつは木守柚子 阿部ひろし 酸漿 201102
夕焼の冬至の空を見てゐたる 早崎泰江 あを 201102
冬至来て防災備品確かめる 伊東和子 201103
湯殿にも薄日さしたる冬至かな 杉本綾 201103
冬至来て防災備品確める 伊東和子 201103
冬至の日ふと告げらるる癌検査 上原重一 201103
戦友の訃報冬至の今朝も亦 山口博通 ぐろっけ 201103
曇天の影を持たざる冬至の木 野沢しの武 風土 201105
釘一本打つて冬至の心締む 服部郁史 京鹿子 201105
みやげ屋に柚を比べる冬至前 大西まりゑ 酸漿 201106
意識してをりし冬至でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201109
子等の住む街青天と冬至の日 芝宮須磨子 あを 201201
プールにて大きく歩く冬至の日 須賀敏子 あを 201201
一番星早も輝く冬至前 竹内悦子 201202
溌刺と山彦もどる冬至かな 能村研三 201202
冬至凪地球いささか病む気配 辻直美 201202
波止に伸ぶ冬至茜の波がしら 湯橋喜美 201202
地球の餓死語る飲み会冬至の日 高橋泰子 201202
気がつけばとつぷり暮るる冬至かな 黒澤登美枝 201202
聞きかじりばかりの知恵や冬至の日 黒澤登美枝 201202
冬至の日南瓜スイーツ頂戴す 鷲見たえ子 201203
三方の山すこやかに冬至かな 荒井千佐代 201203
二上山のくつきりとある冬至かな 伊勢きみこ 火星 201203
筆箱のどんぐりかろし冬至来る 奥田順子 火星 201203
天に地に人に冬至の今日ありぬ 小野寺節子 風土 201203
クリスマスよりも嬉しき冬至かな 塩田博久 風土 201203
竹薮に薄日さしくる冬至かな 大崎紀夫 やぶれ傘 201203
仏壇の冬至の埃払ひけり きくちきみえ やぶれ傘 201203
宴果てて星空仰ぐ冬至かな 都丸スミ代 やぶれ傘 201203
濡縁に冬至の陽射し木々の蔭 安藤久美子 やぶれ傘 201204
明るさへ退院したる冬至の日 宮崎正 ホトトギス 201205
あはき日に包まれ冬至の五葉松 布川直幸 201211
冬至の日雲に晩鐘聞くごとし 細野恵久 ぐろっけ 201212
踊り場の小窓より見ゆ冬至凪 能村研三 201302
ふつくらと富士の暮れゆく冬至かな 辻美奈子 201302
丈長き影法師ゆく冬至かな 山本丈夫 201303
公園の子の影長き冬至かな 三川寿代子 201303
夕刻の窓辺に時報冬至の日 宮田香 201303
道祖神冬至の夕日に手をあはす 松嶋一洋 201303
三々五々冬至の鳥や経机 鷺山珀眉 京鹿子 201303
流るるとなく水流れ冬至かな 宮川みね子 風土 201303
一灯の下の文机冬至かな 下山田美江 風土 201303
日の渡る谿に声ある冬至かな 生田作 風土 201303
己が影去年より縮む冬至かな 荒木甫 201303
朝の日の部屋突き抜ける冬至かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201303
冬至晴れレモンの色の列車くる 木村信 201303
早々と冬至の暮れて一句会 稲畑汀子 ホトトギス 201312
冬至の日消えて木揺れのはたと止む 瀧春一 花石榴 201312
たくわんのおもしも冬至十日前 神蔵器 風土 201401

佐久間由子句集『岬日和』

安房人の晴れを嘉して冬至晴

能村研三 201403
まなこ剥く冬至日の出の鬼瓦 定梶じょう あを 201403
山とほく雲とほくゆく冬至かな 大崎紀夫 やぶれ傘 201403
美しき空を日渡る冬至かな 根岸善行 風土 201403
仏壇へ陽の届きたる冬至かな 安藤久美子 やぶれ傘 201403
あとすこし鴟尾に冬至の影のこる 狭川青史 馬醉木 201403
連山の冬至のひかり彌陀の前 狭川青史 馬醉木 201403
冬至すぎ碧き地球の膨らみぬ 平松うさぎ 201403
窺ひの足は文楽冬至の日 中島陽華 201404
冬至雨支度に迷ふ旅鞄 佐藤哲 万象 201405
焼栗を売る影法師冬至晴 山田美恵子 火星 201502
爪立ちて冬至の柚子を摘みにけり 佐藤貞子 雨月 201503
ほそほそと火を養へる冬至かな 服部早苗 201503
なかんづく冬至の薄日親しめり 土屋草子 ろんど 201503
冬至から先は気持ちの軽くして 時澤藍 201503
厄祓と言ひて過ぎたる冬至酒 佐渡谷秀一 春燈 201503
欲捨つる冬至の空を仰ぎつつ 山本孝夫 201503
吾が影ののっぽになれる冬至過ぎ 田中淺子 201503
友だちと長く話せる冬至来て 塩路彩奈 201503
朔旦冬至卵の黄味の二つ入り 吉田政江 201503
朔旦冬至ざらりと髭の剃り忘れ 菅谷たけし 201503
朔旦に冬至重なりなほ寒し 菊谷潔 六花 201503
小走りになりし冬至の小買物 高橋泰子 201503
昼の日の仏間に明き冬至かな 佐々木新 春燈 201503
ほそほそと火を養へる冬至かな 服部早苗 201504
堰の水細くなりたる冬至かな 野畑さゆり 201504
習はしの冬至七種店先に 佐藤玲華 ろんど 201504
チーズ食みグラス重ねる冬至かな 松村光典 やぶれ傘 201504
竹藪に薄日さしくる冬至かな 大崎紀夫 虻の昼 201510
閘門をさざなみくぐる冬至かな 大崎紀夫 虻の昼 201510
あと二日冬至待たるる心かな 稲畑汀子 ホトトギス 201512
      冬至→ 2

 

2020年12月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。