冬至湯 (冬至風呂)     149句

おしまひはひとりの時間冬至風呂    中村順子   ザ・俳句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
濡れタオル四角に冬至湯の頭 有吉桜雲 199904
伏魔殿奥の冬至湯勧めらる 丸山海道 丸山海道全句集 199910
ゆらめかす五衰の手足冬至風呂 田中藤穂 水瓶座 200002
冬至湯に浮かべし柚子も形見なる 朝妻力 俳句通信 200002
冬至湯や中にわが家の柚子一つ 水原春郎 馬醉木 200002
亡き母の匂ひの如し冬至風呂 甲田雅子 200003
冬至風呂さらに一句の生れにけり 永田哲心 遠嶺 200004
冬至湯の浮き実あひ寄り師弟めく 品川鈴子 ぐろっけ 200102
この熱き分だけ冬至風呂と思ふ 能村登四郎 羽化 200110
湯加減を問ひし昔よ冬至風呂 網野茂子 酸漿 200202
冬至湯の脱がせて母のものの嵩 山尾玉藻 火星 200202
仏壇に冬至南瓜の湯気あがる 小林螢二 春耕 200202
冬至風呂お裾分けの柚子撫でて 中野辰子 いろり 200202
冬至風呂柚子にけげんな孫の顔 中野辰子 いろり 200202
歳月をわが膚に見る冬至風呂 楠原幹子 200203
足裏に木肌のやさし冬至風呂 井口初江 酸漿 200203
まだ母の在りて冬至湯溢れしむ 山田暢子 風土 200203
冬至の湯淡き色香の柚子二つ 川口咲子 ホトトギス 200205
更けて着く山のホテルの冬至風呂 今井千鶴子 ホトトギス 200205
冬至風呂二階に人はゐないはず 須佐薫子 帆船 200301
白鷺城にわつと沈みし冬至の湯 加古みちよ 冬菜畑 200301
冬至湯にあぎと尾鰭を庇ふなり 堀内一郎 あを 200301
冬至湯の香りの残る髪を硫く 林田茂子 帆船 200302
小ぶりの柚子さはに我が家の冬至風呂 神原操 雨月 200302
冬至湯の柚子の袋の端ほつれ 斉藤小夜 風土 200303
十年は死なぬつもりの冬至風呂 笠間圭子 京鹿子 200303
冬至湯に身を置き加齢うべなへり 根岸善雄 馬醉木 200303
冬至湯に明口検診の身を沈め 武司琴子 ぐろっけ 200303
主婦の座も今はどっぷり冬至風呂 中野英歩 八千草 200307
紐のあと身にくつきりと冬至風呂 土生逸磨 河鹿 200402
冬至風呂忘れたくなき事忘れ 林翔 200402
鐙坂學問所下冬至湯屋 竹内匡子 帆船 200403
冬至湯や一湾を曳くホテルの灯 しばかやこ 風土 200404
白湯味はふ膝に冬至の影受けて 廣島泰三 200405
老いしと思ひ否ともおもひ冬至の湯 岡本眸 200501
介護保険みなおし見送り冬至の湯 芝宮須磨子 あを 200502
はやばやと湯屋に冬至の知らせかな 辻井桂子 雲の峰 200502
冬至湯や柚子がやさしく肌に添ふ 夏目満子 酸漿 200503
冬至湯の柚子を貰ひて山下る 大西八洲雄 万象 200503
存分につかふ冬至のひとりの湯 一瀬昭子 馬醉木 200503
冬至湯や峡を埋めし空の蒼 有島扇水 河鹿 200504
極楽が祖母の口癖冬至風呂 木村茂登子 あを 200602
病院の風呂独り占めけふ冬至 山下青坡 200603
冬至湯や父の年忌を数へゐる 小林成子 火星 200603
冬至湯や看護婦ふたり息合はせ 酒井忠正 百鳥 200603
冬至風呂血圧正常筆不精 江崎成則 栴檀 200603
ひとり居の良くも悪くも冬至風呂 小野寺節子 風土 200603
抉られし乳房の沈む冬至風呂 野崎昭子 四葩 200603
をさな子と母と語れる冬至風呂 瀧春一 常念 200606
光陰の妙薬なるや冬至風呂 久保久子 春燈 200612
冬至風呂小さき柚子の自在なる 赤座典子 あを 200702
恙の身深く沈めて冬至の湯 木下ふみ子 馬醉木 200703
声かくる後先もなき冬至風呂 藤原照子 200703
冬至湯や漁師二人の浜の唄 佐野静子 遠嶺 200703
冬至湯に余後の乳房を鎮めけり 中島静子 酸漿 200703
銭湯に冬至の柚子の一袋 落合裕子 万象 200704
晩く来る倖せもあり冬至風呂 安武晨子 200704
うたかたの命ひとつを冬至湯に 四宮一子 200704
母老いて髪を短く冬至風呂 百瀬七生子 海光 200705
冬至風呂句座を早目に切り上げて 品川鈴子 ぐろっけ 200801
冬至湯を出るうまさうな子の尻よ 辻美奈子 200802
冬至湯に沈むキリストほどに痩せ 伊藤白潮 200802
疵柚子を冬至の湯にと取り置きし 近藤豊子 雨月 200802
寄道は楽し無駄また冬至風呂 東亜未 あを 200802
冬至の湯浸れる幸を噛み締むる 星佳子 200803
踏ん張つて生きてきしかな冬至風呂 高尾幸子 遠嶺 200803
抱き寄せし柚子の豊かや冬至風呂 梶井和呼 酸漿 200803
長生きの肩を沈めて冬至風呂 藤井昌治 200803
冬至湯の歪みし柚子の真黄色 おかたかお 200804
冬至湯や一から十の数へ歌 松本文一郎 六花 200804
息詰めて水風呂に入る冬至かな 山田六甲 六花 200812
生垣を繕ひ終へて冬至の湯 加藤克 200901
冬至の日早目の風呂に浸りけり 橋本貞二 酸漿 200902
冬至風呂小ぶりの柚子の遊びをり 中島伊智子 酸漿 200903
鉄瓶の湯気やはらかき冬至かな 高倉和子 200903
冬至湯に蹠のほてる山の宿 佐藤喜仙 壁炉 200911
海鳴りの明日へめつむる冬至風呂 遠藤真砂明 201002
里人に交じり足湯の冬至かな 伊東和子 201003
宵闇に九九の聞ゆる冬至の湯 後條さと子 201003
獅子柚子の湯船に躍る冬至かな 長田秋男 酸漿 201003
恙なき一年いやす冬至風呂 広瀬敏子 酸漿 201003
湯上りの馥郁と子や冬至風呂 長谷川たか子 酸漿 201003
締め直す心の箍や冬至の湯 林友次郎 遠嶺 201004
冬至湯を両手で掴み明日を待つ 高木智 京鹿子 201102
冬至湯と呼ばれて柚子の二つ三つ 高木智 京鹿子 201102
湯殿にも薄日さしたる冬至かな 杉本綾 201103
一病の日々も自分史冬至風呂 松橋利雄 春燈 201103
一人居の生活のけぢめ冬至風呂 宮内とし子 201103
冬至湯のよろこんでゐる肘ゑくぼ 熊川曉子 201103
薬数多飲みて元氣や冬至の湯 折橋綾子 201103
冬至風呂背中流してくれにけり 木下もと子 201103
膝頭ふたつ浮かばせ冬至の湯 藤田素子 火星 201103
お手玉を柚子もて教ふ冬至風呂 村井一之 末黒野 201104
一句成せずのぼせてしまふ冬至風呂 布川直幸 201201
冬至の湯柚子流れきて流れきて 堀内一郎 あを 201201
しあわせの村の冬至湯ひもすがら 藤田かもめ ぐろっけ 201202
リハビリの足を廻して冬至風呂 吉村摂護 201203
入院を思ひとどまり冬至風呂 小野口正江 末黒野 201203
稽古終へどつぷり浸る冬至風呂 松木清川 ぐろっけ 201203
柚子の黄の数ひかへ目に冬至風呂 椿和枝 201204
晩年を急かず温めの冬至風呂 西川みほ 末黒野 201204
追焚きの桐の木端や冬至風呂 森山暁湖 万象 201206
遠き父母よりいとし冬至の湯 酒井秀郎 返り花 201211
還暦の遊人暮し冬至風呂 赤松赤彦 六花 201212
赤糸の指を浸せり冬至の湯 加藤和子 万象 201303
冬至湯や澱の溜りし腹の中 荒木甫 201303
ルノアール好みの女冬至の湯 三橋早苗 ぐろっけ 201303
冬至湯にスウェーデンの友想ひけり 松岡悠喜夫 ぐろっけ 201303
じんわりとこれもしあはせ冬至風呂 杉本綾 201303
冬至風呂半身浴にをさめけり 長田曄子 火星 201304
採血のテープを剥す冬至の湯 中村ふく子 201403
平成の四半世紀や冬至風呂 荒木甫 201403
柚子二果に目鼻描きぬ冬至風呂 小川玉泉 末黒野 201403
一病も二病もありて冬至風呂 酒井みち子 201404
朝風呂に入り冬至の日と気付く 後藤立夫 ホトトギス 201405
チャイコフスキー聞こゆるけふは冬至風呂 安永圭子 風土 201503
闘病の一年となり冬至風呂 山本無蓋 201503
泊船に投錨音や冬至風呂 和田照海 京鹿子 201504
黄金色に無病息災冬至風呂 大木清美子 201602
自家取りの柚子ふんだんに冬至風呂 青野安佐子 201602
惜し気なく柚子投げ込まる冬至の湯 平居澪子 六花 201603
ゆつくりと曾孫を抱きて冬至の湯 吉田きみえ 末黒野 201604
冬至湯の柚子懐つこく寄つて来る 細川洋子 201703
反骨の男も老いて冬至風呂 宮内とし子 201703
衰ふるわが身はげまし冬至風呂 中原吟子 雨月 201703
冬至風呂お湯の中でも鞠突いて 相良牧人 201704
冬至の湯黄色に染まる身のひとつ 元橋孝之 京鹿子 201704
胸元の香りを数へ冬至風呂 岡野里子 末黒野 201704
ひととせの禍福沈むる冬至風呂 佐藤保子 馬醉木 201802
柚子の寄附募る銭湯明日冬至 前原マチ 末黒野 201804
冬至湯や常より長く手足のべ 志藤章 末黒野 201804
冬至風呂徳島産の柚子といふ 齋藤朋子 やぶれ傘 201804
不自由な我が脚たたく冬至風呂 今井千鶴子 ホトトギス 201805
手術せし大き傷痕冬至風呂 山田閏子 ホトトギス 201805
父よりも母よりも生き冬至風呂 小林共代 風土 201903
溢らする贅沢すこし冬至風呂 小田嶋野笛 末黒野 201904
冬至湯の柚子をふやせばにこにこと 大山夏子 201907
心中のかたはれのごと冬至風呂 佐藤喜孝 あを 202002
風呂の蓋取りて冬至と知りにけり 出牛進 202003
冬至南瓜届きし夜の湯にをりて 竹内悦子 202003
真つ先に浸る末子や冬至風呂 森清堯 末黒野 202004
ジャムつくり一つ残して冬至の湯 七郎衛門吉保 あを 202102
香りごと太き湯気立つ冬至風呂 武田巨子 春燈 202103
手術痕なでて長めの冬至風呂 石黒興平 末黒野 202103
悦惚と温もりまとふ冬至風呂 岡田史女 末黒野 202103
一語浮き一句浮かばせ冬至風呂 森清堯 末黒野 202204
大方の欲の失せたり冬至風呂 石黒興平 末黒野 202204
湯煙と香りたつぷり冬至風呂 大川暉美 末黒野 202204
変哲のなき年なりし冬至風呂 塙誠一郎 家系図 202211

 

2022年12月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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