良 夜 5    204句

山々のみな丹波なる良夜かな   大野林火   方円集

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
けふも勝つ柏レイソル良夜かな 西田史郎 201110
稜線をくつきり見せて良夜かな 中山静枝 201110
雁金橋に人を見送る良夜かな 高橋泰子 201110
ハミングめく夫の鼾良夜かな 篠田純子 あを 201110
背山より鳥の翔びたつ良夜かな 武井美代子 万象 201110
良夜ですと独りごちして雨戸鎖す 田中藤穂 あを 201110
誰も来ぬ部屋に香焚き良夜かな 田中浅子 201112
深々と草眠らせて良夜かな 堀田順子 馬醉木 201112
濡れ縁に子と並びゐる良夜かな 村上絢子 馬醉木 201112
ふくよかな膝に猫くる良夜かな 松井倫子 火星 201112
仰臥して流れ雲観る良夜かな 年森恭子 ぐろっけ 201112
ひらひらと滝落ちてゐる良夜かな 岩木茂 風土 201112
正面に火を噴く山の良夜かな 田村すゝむ 風土 201112
とよ爺もひとり賑はふ良夜かな 小形さとる 201112
貯水池に水満ち足りし良夜かな 岩月優美子 201112
白雲の台座となりし良夜かな 中野京子 201112
反り美しき寺屋根の影良夜かな 本多正子 雨月 201112
影を連れ遊ぶ良夜のはぐれ鹿 植松昌子 馬醉木 201201
鬼女の来て小町となれる良夜かな 延広禎一 201201
籔騒を聞きとめてをる良夜かな 近藤きくえ 201201
ひと口の良夜の酒を許されよ 田中臥石 末黒野 201201
蘇る力たしかむ良夜かな 木村茂登子 あを 201112
流れ藻の浜に残れる良夜かな 坂上じゅん かさね 201201
はろばろと良夜指定の荷の届く 田村すゝむ 風土 201201
恙なし辛寿の義姉と良夜かな 古林田鶴子 ぐろっけ 201201
上木の句集に浸る良夜かな 久保田雪枝 雨月 201201
封筒へ戻せぬ手紙良夜かな 桑名さつき ろんど 201201
命名の筆文字太き良夜かな 平野数子 京鹿子 201201
傍らに居るひとが居て良夜なる 山崎青史 ろんど 201202
辻棲の合ふも合はぬも良夜かな 松本文一郎 六花 201202
孫連れて良夜の町に出でにけり 瀬島洒望 やぶれ傘 201201
うしろにも人の声ある良夜かな 高倉和子 夜のプール 201203
久々の子と時過ごす良夜かな 嵐弥生 末黒野 201204
帆船に波照り返す良夜かな 美田茂子 末黒野 201204
針に糸通してしばし良夜かな 北崎展江 くりから 201209
山城の礎石浮き上がる良夜かな 小林美登里 かさね 201211
びつしりと舳綱に藻草良夜なり 荒井千佐代 201211
良夜なりチェロより小さき老楽師 宮内とし子 201211
幼き日の吾知る人とゐる良夜 栗原公子 201211
川筋に続く白壁良夜かな 林紀夫 春燈 201211
本伏せてひとりぼつちの良夜かな 相沢有理子 風土 201212
波の穂に光芒そそぐ良夜かな 秋葉雅治 201212
声にして西鶴を読む良夜かな 荒井千瑳子 201212
ラジオからブンガワンソロ良夜かな 大木清美子 201212
嵐去りやがて良夜となりにけり 山田天 雨月 201212
良夜かな心安けく生かされて 堀田恵美子 雨月 201212
じゆずだまを鳴らして活けし良夜なる 浜口高子 火星 201212
良夜かな仏足石に金の渦 湯谷良子 火星 201212
カウンター席の空きゐる良夜かな 涼野海音 火星 201212
ころころと門扉を閉ぢし良夜かな 古沢幸次 ろんど 201212
十畳の真ん中さびし良夜かな 中山皓雪 201301
母の書を飽かず眺める良夜かな 山田佳子 201301
津軽三味佳境良夜の膝頭 甲州千草 201301
家舟を洗ふ良夜の汐汲みて 和田照海 京鹿子 201301
キャンドルを小さく点す良夜かな 和田崎増美 雨月 201301
生まれ来る子の名あれこれ良夜かな 田嶋洋子 七線譜 201306
妣の名をただ呼んでみる良夜かな 野坂民子 馬醉木 201311
住職の読経流るる良夜かな 中山静枝 201311
良夜なり児の書架占むる「どらえもん」 鈴木照子 201311
酔ひどれが良夜を電話しつつ来る 藤井美晴 やぶれ傘 201311
鼯の蒼き梢飛ぶ良夜かな 石崎和夫 201311
庭下駄の揃へてありし良夜かな 内藤静 風土 201311
ひらひらと光降り来る良夜かな 和田郁子 201312
軍艦島良夜の影となりて浮く 山田ゆう子 馬醉木 201312
教へ子と杯を重ぬる良夜かな 土屋光男 春燈 201312
晴れ渡る天の明るし良夜かな 島玲子 風土 201312
犀川に旅に良夜や翁の碑 土屋草子 ろんど 201312
帰りゆく子の背の広き良夜かな 古川夏子 201312
三世代揃ひ良夜の喉ぼとけ 北川英子 201312
子規思ひつつ水の辺の良夜なる 山本耀子 火星 201312
舫ひ船のささに揺れゐる良夜かな 錫木妙子 馬醉木 201312
良夜なり影を残しておひらきに 豊田都峰 京鹿子 201312
良夜かな猫も夜道を歩くなり 山田正子 201312
良夜かな海に影おく大鳥居 三枝邦光 ぐろっけ 201312
老若の僧の集へる良夜かな 本多遊方 春燈 201312
酌み交すをとこ某ゐて良夜 千田百里 201312
児と肩を触れ合うてゐる良夜かな 平野加代子 春燈 201312
子の車に海山巡る良夜かな 寺岡ひろし 雨月 201312
葦の葉を舳の鳴らす良夜かな 田中文治 火星 201312
雨戸閉むしかと良夜を記憶して 菅谷たけし 201312
メモしたる用成し終へて良夜かな 岩木眞澄 ぐろっけ 201312
子と孫の満ち足り見ゆる良夜かな 谷口俊郎 201401
補聴器を外せば軽き身の良夜 居内真澄 ぐろっけ 201401
木曽の山蒼く連なる良夜かな 黒滝志麻子 末黒野 201401
旅人に舞良戸ひらく良夜かな 安立公彦 春燈 201401
眠るまで亡き人と和す良夜かな 柴田佐知子 201401
何も彼も忘れてゐたき良夜かな 石黒興平 末黒野 201401
校塔の黒く泛きたる良夜かな 石黒興平 末黒野 201401
そぞろ神身ほとりにゐる良夜かな 久保久子 湖心 201402
シースルーエレベーターの良夜かな 田岡千章 201402
この良夜髪の匂いの幽かなり 東英幸 船団 201403
手術美とワードが書いている良夜 中原幸子 船団 201403
瀬の音の匂ふがごとき良夜かな 正谷民夫 末黒野 201404
子を叱る声を吸ひ込む良夜かな 布川直幸 201409
良夜なり恋の乙女の願ひごと 小林久子 201411
雲一つなき住吉の良夜かな 大橋晄 雨月 201411
良夜なり逆上がりなど子につられ 楠原幹子 201411
花入れを陶に置き換へ良夜なり 小澤菜美 201411
歌舞伎はね良夜の銀座四丁目 水原春郎 馬醉木 201412
大鼓 おほかは の音遠近に良夜なり 加藤みき 201412
短命県八十路生かされ良夜かな 鎌田慶子 ろんど 201412
整然とダンプの並ぶ良夜かな 堀志皋 火星 201412
水底に鯉潜みをる良夜かな 生田作 風土 201412
山城の高くありたる良夜かな 松田明子 201501
家ごとに良夜の翳を頒ち合ふ 樋口英子 201501
牛鳴けるくらかけ山の良夜かな 岡本尚子 風土 201501
海界のほのかに撓む良夜かな 仙頭宗峰 万象 201501
門口に盛塩のある良夜かな 阿部綾子 ろんど 201501
家族からメール届きし良夜かな 伊吹之博 京鹿子 201501
好きなわけ幾つも数へ良夜かな 乾有杏 201502
良夜かな御所に水音砂利の音 天谷翔子 201502
すれ違ふ言葉整へゆく良夜 山田佳乃 ホトトギス 201502
みづうみへ亀の歩める良夜かな 戸栗末廣 201503
指添ふる筆の久しき良夜かな 西岡啓子 春燈 201503
大いなる蜘蛛よこぎっている良夜 津波古江津 船団 201505
甦る良夜に偲ぶ人ありて 稲畑汀子 ホトトギス 201509
よく晴れて良夜の旅路いざなへる 稲畑汀子 ホトトギス 201509
良夜なり男三人諍へる 八木健 八木健俳句集 201509
息急きて課外授業の良夜かな 鈴鹿呂仁 京鹿子 201511
良夜のミサ若き神父が手話まじへ 荒井千佐代 201511
ゆつくりと二人で老ゆる良夜かな 安居正浩 201512
大皿に大海の波良夜かな 甲州千草 201512
良夜かな遺愛の松も添ふ石も 羽根嘉津 201512
騙し絵のスイツチを切る良夜かな 上野紫泉 京鹿子 201512
我が影の我をはなるる良夜かな 有松洋子 201512
コツコツと地下鉄を出る良夜かな 須賀敏子 あを 201512
みどり児の笑ふ声ある良夜かな 臼井珊瑚 201512
わが影の纏りつきし良夜かな 宮崎靖夫 201512
内海は山に抱かれ良夜かな 中川久仁子 201512
良夜かな此の遊星に水と棲み 高村令子 風土 201512
良夜かな友の一人は更科へ 石井ケエ子 風土 201512
東京湾周遊船の良夜かな 遠藤逍遙子 風土 201512
鑑三を説く師の家の良夜かな 遠藤逍遙子 風土 201512
茶を点てて良夜仏と分ちけり 大上充子 馬醉木 201601
どの島も海苔網を生け灘良夜 和田照海 京鹿子 201601
良夜かな寝た子に杜の子守唄 高野春子 京鹿子 201601
椅子ふたつ置きてひとりの良夜かな 平野みち代 201601
唐橋に人影動く良夜かな 黒滝志麻子 末黒野 201601
かぐや姫の現はれさうな良夜かな 山口郁子 末黒野 201601
地図に無き里の背山の良夜かな 東小薗美千代 末黒野 201601
真円を空に良夜の宴かな 宮ア他異雅 末黒野 201601
かぐや姫の衣擦れの音良夜かな 近藤紀子 201601
庭の木々手入のすみし良夜かな 菅澤陽子 春燈 201601
良夜かな消えてしまひし星明り 河野美奇 ホトトギス 201602
峰寺の樹々みな高き良夜かな 安原葉 ホトトギス 201602
良夜かな海にお舟を浮かばせて 和田華凛 ホトトギス 201602
思ひ出し笑ひよ良夜ひとりゐて 近藤紀子 201602
コンテナヘ詰込む理屈良夜かな 高橋龍 201602
考への行きつ戻りつ良夜かな 稲畑汀子 ホトトギス 201609
月見えぬ良夜の旅となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201609
「あれ」「それ」で会話の育つ良夜かな 田所節子 201611
寧楽山の近くに見ゆる良夜かな 谷村祐治 雨月 201612
半眼の月光菩薩良夜かな 堀井英子 雨月 201612
仏滅の次に大安良夜かな 柳川晋 201612
躓きて血の熱くなる良夜かな 西川織子 馬醉木 201612
いつしんに良夜を駆くるハムスター 浅田光代 風土 201612
校庭の松を見てゐる良夜かな 邑田のり子 末黒野 201612
茶畑がなにやら匂う良夜かな たかはしすなお 201612
ぬる燗のまだあたたかし良夜かな 井上石動 あを 201610
杜深く雅楽の響く良夜かな 岡田ちた子 雨月 201701
良夜とふ言葉愛しみ月仰ぐ 水谷保子 雨月 201701
楽譜には無き音出たる良夜かな 熊川暁子 201701
椅子ひとつ庭に運びて良夜かな 渡辺やや 風土 201701
戦後長し生かされ仰ぐ良夜かな 高橋和女 春燈 201701
良夜かな二人そろひて勉強す 出口誠 六花 201701
待つ人も待たるるひともなき良夜 山崎靖子 201701
引越しの挨拶受くる良夜かな 長谷川信也 万象 201701
良夜かな夢の続きに母の下駄 高倉和子 201701
川音の誘ふ闇ある良夜かな 栗原京子 201701
人生のロスタイムてふ良夜かな 藤代康明 201701
川幅を広げ舟ゆく良夜かな 高倉和子 201702
一合の寝酒賜る良夜かな 中川句寿夫 ここのもん 201705
電子版『良夜』賜る春の宵 中嶋陽子 風土 201708
アイガー北壁天を切り裂く良夜かな 高橋和女 風紋 201709
戦後長し生かされ仰ぐ良夜かな 高橋和女 風紋 201709
アイガー北壁天を切り裂く良夜かな 高橋和女 風紋 201709
戦後長し生かされ仰ぐ良夜かな 高橋和女 風紋 201709
分乗で帰る良夜の女性客 甲州千草 201711
押入れの整理を終へて良夜かな 今井充子 201711
良夜なり賽銭すこし奮発する 定梶じょう あを 201711
樹の間より鳥の睦言良夜かな 横田初美 春燈 201712
島唄の声裏返る良夜かな 齊藤實 201712
無農薬農の記を読む良夜かな 赤石梨花 風土 201712
良夜かな月光浴をほしいまま 山田夏子 雨月 201801
一湾を一舟よぎる良夜かな 升田義次 馬醉木 201801
客ひとり降ろす良夜の路線バス 原田しずえ 万象 201801
二階まで墨かをり来る良夜かな 荒井ハルエ 春燈 201801
大變や生みし子の子を産む良夜 高橋龍 201805
エンディング・ノート二人で書く良夜 角野良生 201806
良夜とは月の光に濡るること 山田暢子 風土 201811
良夜かな遊び尽して孫帰る 赤座典子 あを 201811
国境ひ河が朗々良夜にて 定梶じょう あを 201811
犬の尻だか腹だかが鳴る良夜 辻響子 201812
流木の海峡渉る良夜かな 千田百里 201812
白壁に影さす松も良夜なり 工藤義夫 馬醉木 201901
良夜かな山並みいよよ彫深め 窪みち子 201905
今日も飲むワイン良夜に託けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
ワイン蔵出れば良夜の微笑めり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
とぼとぼと良夜の道を一人かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201909
赤い灯と言はるる地にも良夜来て 江島照美 発火点 201909
良夜→6      

 

2021年10月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。