良 夜 4     118句

人それぞれ書を読んでゐる良夜かな   山口青邨   雑草園

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
円卓に大き月餅良夜かな 小泉三枝 春燈 200802
ほろ酔ひの歩の傾ぎたる良夜かな 安原ときこ 遠嶺 200802
二つ目の踏切りわたる良夜かな 大山里 200802
十字架を畳に置きし良夜かな 飯塚ゑ子 火星 200802
赤壁を池に偲べる良夜かな 本城布沙女 雨月 200805
二人でゐても三人の良夜かな 坂本緑 幸せのかたち 200808
ベンジャミンの葉つぱが床に良夜かな 城孝子 飛火野 200808
海彦が天橋渡りゐる良夜 白数康弘 火星 200809
燭消して妻をつれ出す良夜かな 神蔵器 風土 200810
尾を立てて子を負ふ猿や良夜なる 山田六甲 六花 200810
おしみつつ良夜の庭をはなれけり 阿部文子 酸漿 200811
車椅子に屈める影の良夜かな 松井倫子 火星 200811
縄文の巨木聳ゆる良夜かな 能村研三 200811
消しゴムの角のとれたる良夜かな 齊藤實 200811
狸より狐に逢はむ良夜かな 木村茂登子 あを 200811
葭原の風凪ぎわたる良夜かな 徳井節子 馬醉木 200812
子の描く良夜の月の楕円形 神谷文子 馬醉木 200812
引水の厨をめぐる良夜かな 松山三千江 春燈 200812
叱らるる子もまた正座良夜なり 山中宏子 200812
境内を埋めるひとりとなり良夜 山崎靖子 200812
奈良坂にひびく良夜の翁舞 小林成子 200812
老僧のひとり坐しゐる良夜かな 小山徳夫 遠嶺 200812
姿見へ母の消えゆく良夜かな 坂本丹荘 遠嶺 200812
明日のパン求めに出づる良夜かな 星井千恵子 遠嶺 200812
読み返す文の潤みて良夜かな 近藤きくえ 200812
ひと歩む影くつきりと良夜かな 関口青稲 万象 200812
鏡凪ぎの湖の明るき良夜かな 磯野しをり 雨月 200812
中天に全かりける良夜かな 川崎良平 雨月 200812
地球てふ星から星を見る良夜 松本圭司 200812
地卵の売り切れてゐる良夜かな 及川澄江 風土 200812
五車線を並んで走る良夜かな 市村義夫 風土 200812
先を行く人に歩合はす良夜かな 松山直美 火星 200812
つづけざま魚の跳びたる良夜かな 中条さゆり 200812
萩焼に酒なみなみと良夜かな 西氏宣子 遠嶺 200901
眠剤にゆつくり負けてゆく良夜 丹間美智子 炎環 200901
良夜かなロンドン行きの深夜便 中村洋子 風土 200901
良夜かな国宝仏の一書繰り 落合絹代 風土 200901
甘藷畑野ねずみ走る良夜かな 吉田カイ 万象 200901
人それぞれ生くるよろこび良夜かな 山口天木 雨月 200901
森ひとつ供華とし沼の良夜かな  長山あや ホトトギス 200902
消防車車庫に眠れる良夜かな 吉原一暁 200903
野菜サラダ兎のように食い良夜 火箱游歩 船団 200903
残照の空港良夜の月上がる 林和子 万象 200908
ジーパンの乾く硬直良夜かな 丸井巴水 京鹿子 200909
贈られし銘酒辛口良夜かな 岡佳代子 200911
良夜にて明窓浄几の編集長 小澤克己 遠嶺 200911
酒蒸しのあさりかたかた噴く良夜 成宮紀代子 200911
再会の話題の尽きぬ良夜かな 片野美代子 酸漿 200911
川面飛ぶ魚のしろがね良夜なる 間宮あや子 馬醉木 200912
能面のしづかな翳り良夜なる 船越和香 馬醉木 200912
万物の青味帯びたる良夜かな 粟倉昌子 200912
猿沢をめぐる良夜の龍頭船 小林成子 200912
閂の二つ掛かりし良夜かな 縄文人 炎環 200912
黒猫の子猫と来たり良夜かな 細川和子 炎環 200912
折鶴の飛ぶかも知れぬ良夜かな 中貞子 200912
もう少しもう少し読む良夜かな 菅谷たけし 200912
山房に一灯ともる良夜かな 木村傘休 春燈 200912
大皿の餃子平らげ良夜かな 竹内慶子 春燈 200912
たとふれば良夜に送るかぐや姫 石田康明 春燈 200912
旅終へし三番線の良夜かな 前川明子 200912
新刊の匂ひを開く良夜かな 上原恒子 雨月 200912
桐箱に小面ほのと良夜かな 永田圭子 ろんど 200912
良夜かな笑みて故人の艶話 大西よしき ろんど 200912
小面の正面にゐる良夜かな 中村洋子 風土 200912
合掌の梁の手斧目良夜かな 中村洋子 風土 200912
シテの出にすこし間のある良夜かな 中村洋子 風土 200912
子の家で良夜たのしむ親子かな 伊藤公子 酸漿 200912
とぎれゐし虫が音を継ぐ良夜かな 小平恒子 酸漿 200912
島唄に宴盛り上がる良夜かな 杉本明夫 201001
聴衆もハモる良夜のコンサート 木村幸 201001
良夜かな光の海に沈潜し 小山徳夫 遠嶺 201001
水煙の天女抜け出す良夜かな 渡辺若菜 春燈 201001
良夜かな汽笛も聞こゆリサイタル 伊吹之博 京鹿子 201001
石山の良夜に若菜朗読会 原口頌子 ろんど 201001
仏壇を閉め忘れたる良夜かな 宮川みね子 風土 201001
『ひょんの笛』ゴッホの色に良夜かな 井上あい 風土 201001
家々の軒端の光る良夜かな 隅田恵子 雨月 201001
もう会えぬ友を思いし良夜かな 土井蛉夏 ぐろっけ 201001
繰り言を初めてのごと聞く良夜 苑実耶 201002
池畔なる一木として良夜なる 豊田都峰 土の唄 201002
隣席に佳人を得たる良夜かな 岩永はるみ 春燈 201002
川風に身をつつまるる良夜かな 白石正躬 やぶれ傘 201002
追伸に良夜とありし見舞状 田代貞枝 201002
独り居に電話のひびく良夜かな ふじの茜 201002
注文の本の届きし良夜かな 遠山のり子 201002
裏木戸のかくも明るき良夜かな 鷹羽狩行 201009
訪ひの呼鈴すはれゆく良夜 布川直幸 201009
風音も瀬音も優し良夜かな 中島玉五郎 201010
アドリブを利かす挨拶良夜かな 能村研三 201010
後ろ手をついて二人の良夜なる 大石誠 201011
道場へ道急ぎゆく良夜かな 松村光典 やぶれ傘 201011
出不精を子に誘はれし良夜かな 小林成子 201012
大灘に漁火ひとつなき良夜 松井志津子 201012
運河行く舟に揺れなき良夜かな 福島茂 201012
観能の余韻昂る良夜かな 清水美子 春燈 201012
倭人伝読み終りたる良夜かな 内藤静 風土 201012
帰宅急く長き影踏む良夜かな 羽賀恭子 201012
野の花をコップに挿して良夜なり 塩千恵子 201012
水草に魚のかしづく良夜かな 戸栗末廣 火星 201012
新しき家の匂へる良夜かな すずき巴里 ろんど 201012
ひとりには惜しき良夜の歩をはこぶ 川崎良平 雨月 201012
良夜なり夫と二人のハーブテイ 柴野静 201101
采女社に祝詞のあがる良夜かな 伊勢きみこ 火星 201101
太き澪まつすぐつけてゆく良夜 細川洋子 201101
丸椅子の重ね置かれて良夜かな 篠藤千佳子 201101
堪忍袋しぼんで来る良夜かな 甲州千草 201101
研ぎ上げし鎌の匂へる良夜かな 下平しづ子 雨月 201101
病棟の良夜を函嶺連ねたる 山口まつを 雨月 201101
病棟のことりともせぬ良夜かな 山口まつを 雨月 201101
金色の瀬音良夜の故郷かな 長山あや ホトトギス 201102
飲む話着々進む良夜かな 津田霧笛 ぐろっけ 201102
恥ぢらへる母を見てゐる良夜かな 樋口みのぶ 201104
野の花を生けて一人の良夜かな 大橋伊佐子 末黒野 201104
靹の津の日東一の良夜かな 竹下陶子 ホトトギス 201107
やうやくに気温定まる良夜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
思はざる出会ひもありて良夜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
ビル街を包み込みたる良夜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
故郷の良夜大都会の良夜 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
良夜→ 5      

 

2021年10月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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