良 夜 3     100句

蓮の中羽搏つものある良夜かな   水原秋櫻子   葛飾

名月  明月 満月 月今宵 良夜 望月 雨月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
炮烙の風呂の熱さの良夜かな 吉田康子 火星 200502  
泣きさうに終る二胡きく良夜かな 山元志津香 八千草 200503  
寺の鴟尾彫深くなる良夜かな 渡辺淳子 八千草 200504  
番屋より二た声三声良夜なる 酒本八重 里着 200506  
切りて飛ぶ爪に畳のある良夜 大高芭瑠子 炎夏 200507  
仕事帰りの良夜の月の高々と 鈴木榮子 春燈 200510  
ひとりごと言うて寝につく良夜かな 中村房枝 六花 200510  
青硯に忘れ潮ある良夜かな 栗栖恵通子 200511  
研ぎし米平らに均す良夜かな 太田佳代子 春燈 200511  
瓢箪も瓢箪池も良夜待つ 村越化石 200511  
草踏んで人待つてゐる良夜かな 城孝子 火星 200511  
良夜にて湯屋にややこのこゑのあり 瀬戸悠 風土 200511  
いち早く孫も来てゐる良夜かな 徳田正樹 河鹿 200512  
爪丸く切りて嬰抱く良夜かな 鈴木照子 200512  
病む人を窓に誘ひし良夜かな 新田純子 四葩 200512  
周平に読み痴れてゐし良夜かな 荻野嘉代子 春燈 200512  
良夜発つペガサス行きのエレベーター 中尾公彦 200512  
メドゥサの膝を枕に良夜たり 延広禎一 200512  
おずおずと馬刺食したる良夜かな 松下八重美 200512  
終電の揺れはげしくて良夜かな 戸田和子 200512  
考へる人へちよつかい出す良夜 富沢敏子 200512  
父すでに年下となる良夜かな 中村恭子 200512  
この良夜当て処無けれどうかれ出づ 寺岡ひろし 雨月 200512  
潮騒の島を離るる良夜かな 近藤豊子 雨月 200512  
源氏聴く徳川園の良夜かな 味村志津子 雨月 200512  
投稿の封書抱きゆく良夜かな 磯野しをり 雨月 200512  
亀の背に柳ふれをる良夜かな 吉田康子 火星 200512  
順番に血圧計る良夜かな 城孝子 火星 200512  
おほよそは王子の狐この良夜 伊藤希眸 京鹿子 200512  
着陸の順待つ羽田良夜かな 柿沼盟子 風土 200512  
衝立にいろは絵文字の良夜かな 鈴木庸子 風土 200512  
比治山の雉の醒めゐる良夜かな 辻恵美子 栴檀 200512 祝「雉」
橋の上に見送られゐる良夜かな 加瀬美代子 200512  
独り住むことにも慣れて良夜かな 古賀美喜恵 河鹿 200601  
退院の母へ飯盛る良夜かな 松鶴裕子 河鹿 200601  
なにもかも忘れてゐたる良夜かな 辻兎夢 200601  
籠さげて仔犬貰ひにゆく良夜 師岡洋子 ぐろっけ 200601  
みづうみに女ごゑする良夜かな 大坪景章 万象 200601  
湯あがりの赤子手に受く良夜かな 高橋スミ子 万象 200601  
阪神の優勝迫る良夜かな 大久保白村 ホトトギス 200602  
草木の影も素直な良夜かな 舟橋千枝子 八千草 200603  
悉く雲裏山に良夜かな 芦川まり 八千草 200604  
これよりは夜々欠けゆける良夜かな 稲畑汀子 ホトトギス 200609  
ぞんぶんに槙濡れてゐる良夜かな 山尾玉藻 火星 200610  
過去帳に夫を加へる良夜かな 湯橋喜美 200611  
入子枡出して並べる良夜かな 高橋将夫 200611  
捨猫のひろわれてゆく良夜かな 柴田靖子 200611  
みづうみに人の声ある良夜かな 千手和子 馬醉木 200611  
シーソーの一端が地に良夜かな 定梶じょう あを 200611  
ダム底に一村眠る良夜かな 近藤敏子 200611  
酒林影のふくらむ良夜かな 綱川恵子 万象 200612  
石畳そこだけ濡れてゐる良夜 篠藤千佳子 200612  
五重塔良夜の影をまはすなり 代田幸子 200612  
立て掛けしチェロ艶やかに良夜なり 村本真由美 遠嶺 200612  
地図広げ旅を語りし良夜かな 森野俊子 遠嶺 200612  
良夜なり遺影の夫は書をひらき 熊岡俊子 雨月 200612  
寝そびれて過ぎし日想ふ良夜かな 林美智 ぐろっけ 200612  
後より誰か付き来る良夜かな 奥田茶々 風土 200612  
良夜なり戯画の鳥獣現れよ 木村茂登子 あを 200612  
常夜灯良夜のあしたまだ点る 定梶じょう あを 200612  
月映るまでに卓拭く良夜かな 新井佐知子 遠嶺 200701  
米蔵に米積まれゆく良夜かな 池田加代子 風土 200701  
子等の来て過去取り戻す良夜かな 陳妹蓉 春燈 200702  
手を振りて歩くわが影良夜かな 落合絹代 雨月 200702  
駅頭に思はぬ人と遇ふ良夜 荒木治代 ぐろっけ 200702  
嫁仕度話弾める良夜かな 吉田和子 ぐろっけ 200702  
杜の影良夜の川をせばめけり 瀧春一 200706  
垣外のよその話も良夜かな 富安風生 200709  
文鎮の鯰眼を開く良夜かな 滝沢伊代次 万象 200710  
一燈下妻と書を読む良夜かな 滝沢伊代次 万象 200710  
新しき表札上げる良夜かな 春日豊枝郎 春燈 200711  
みぎひだり子の髪編める良夜かな 城孝子 火星 200711  
島を打つうしほ良夜の書斎より 荒井千佐代 200711  
庭石に我が影を置く良夜かな 神保みね子 酸漿 200711  
千木ほのと森に浮かべる良夜かな 鷹羽狩行 200712 伊勢
愛猫の身を躍らせてゆく良夜 小城綾子 200712  
意地張つてみても二人の良夜かな 内野俊子 春燈 200712  
良夜かな親の命日近づきて 中山純子 万象 200712  
職安通り税務署通り良夜頒け 宮津昭彦 200712  
静かな村良夜浄土の如きかな 仲安俊雄 200712  
黒猫の塀伝ひくる良夜かな 緑川啓子 馬醉木 200712  
院長の屈伸体操良夜かな 代田青鳥 風土 200712  
天平の甍波打つ良夜かな 磯野たか 風土 200712  
雲ながれ松ヶ枝うかぶ良夜かな 小泉和代 酸漿 200712  
明日を待つ心新たの良夜かな 井上幸子 酸漿 200712  
灯を消して良夜明りの茶卓かな 島田尚子 馬醉木 200801  
馴初めを二人で語る良夜かな 赤羽正行 遠嶺 200801  
湖心にて櫂を休める良夜かな 小山徳夫 遠嶺 200801  
祝宴の衣裳整ふ良夜かな 金子慶子 遠嶺 200801  
記念誌に革表紙かけ良夜なり 津田礼乃 遠嶺 200801  
栞挿し暫し良夜を楽しめり 田中清子 遠嶺 200801  
山祗の影絵となれる良夜かな 諸岡孝子 春燈 200801  
それぞれに帰り路ある良夜かな 松井倫子 火星 200801  
風見鶏少し廻りし良夜かな 前田忍 火星 200801  
良夜かな座りてなにをするでなく 白数康弘 火星 200801  
旅鞄ふくらんでをり良夜かな 外川玲子 風土 200801  
音のする方を赤子が見て良夜 柴田佐知子 200801  
わだつみの松の影濃き良夜かな 綱川恵子 万象 200801  
良夜なる雨戸一枚閉め残す 三枝正子 万象 200801  
骨壺へ良夜の窓を開きけり 城詰操 万象 200801 良夜 4

 

2020年9月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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