9     100句

大いなる幹のうしろの霧の海  富安風生  草の花

 朝霧 夕霧 夜霧 川霧 山霧 海霧 霧笛

作品
作者
掲載誌
掲載年月
星鴉飛び立ち消ゆる霧の中 青木政江 酸漿 200512
時なしに霧鐘のひびく大花野 三輪温子 雨月 200512
宿の灯のどっとにじみ来霧襖 溝内健乃 雨月 200512
霧脚のふくよかなりし獣道 飯塚ゑ子 火星 200512
霧深き追分駅に降り佇ちぬ 鈴木庸子 風土 200512
五合目の霧の中より切手買ふ 須藤美智子 風土 200512
霧の中単線電車近づきぬ 吉永すみれ 風土 200512
霧ごめや坪井杜国の顔しらず 八田木枯 晩紅 200512
富士八合め霧かくす昔小屋 八木紀子 ぐろっけ 200512
球場が霧につつまれ大歓声 早崎泰江 あを 200512
大山を忽ち消して霧襖 桑田青虎 ホトトギス 200601
峻嶮を駈けたる霧の早さかな 桑田青虎 ホトトギス 200601
霧が霧呼び北壁にせめぎ合ふ 桑田青虎 ホトトギス 200601
霧霽れて北壁の景峨々とあり 桑田青虎 ホトトギス 200601
富士駅伝霧の山頂折り返す 嶋田一歩 ホトトギス 200601
霧じめる衣のままに禅定す 小山徳夫 遠嶺 200601
枝川のあなたは母郷霧青し 松村多美 四葩 200601
対岸は霧の中なり壇ノ浦 伊藤以玖子 対岸 200601
塩田の一枚ことに霧深し 飯塚ゑ子 火星 200601
でかんしよの村の狭霧や豆太る 山本耀子 火星 200601
振り向きて霧の妻女山晴るる 鈴木榮子 春燈 200601
濃霧なかなにも映らぬ車窓かな 藤田信義 春燈 200601
月山の霧へつつこむ帰燕かな 須永トシ 栴檀 200601
霧込めの汽笛高鳴る揚子江 大平勝子 栴檀 200601
霧濡れの髪は手櫛に人と逢ふ 福村壽子 京鹿子 200601
霧晴れて雫きららか猿麻 石垣幸子 雨月 200601
霧動き牛の横顔そこにあり 石垣幸子 雨月 200601
木道ゆく躁霧の攫ひとぶ 石垣幸子 雨月 200601
霧晴れて気象レーダー山頂に 石垣幸子 雨月 200601
霧深き奥まる森に美術館 松田延子 風土 200601
霧冷の影が影生む合掌家 長沼三津夫 200601
霧の灯の人働かす船だまり 長沼三津夫 200601
霧降のかくも霽れたる空の色 小山陽子 200601
霧ふかし蟋蟀橋で人を待ち 小林成子 200602
高原の風を濡らして霧走る 塙告冬 ホトトギス 200602
水音の残りて山の霧迅し 田巻和子 遠嶺 200602
深山木へ苔を被せゆく霧時雨 村田菊子 遠嶺 200602
俗世より遁れ霧中の杉木立 川畑はるか 遠嶺 200602
胸白く霧に漂ふ尾長鴨 沢聰 馬醉木 200602
霧の沼金黒羽白眼が光り 沢聰 馬醉木 200602
霧晴れてまた霧のくる山の宿 樋田軻人 四葩 200602
鐘ひびき坊村やがて霧の中 本城布沙女 雨月 200602
霧深きプラハの夜明け旅立ちぬ 伊勢ただし ぐろっけ 200602
菊人形仕上げの霧を滴らす 菅原末野 風土 200602
四方の山島々となる霧の海 丹生をだまき 京鹿子 200602
夜の窓霧雨包むナポリ湾 神田惣介 京鹿子 200602
坑道を抜けきて霧の音の中 鳴海清美 六花 200602
幽邃の極み霧立つウェストン碑 伊藤稔代 200603
去来する霧よ心よ横川路へ 吉田小幸 ホトトギス 200603
霧に来て霧の流れをたのしめる 浅井青陽子 ホトトギス 200603
山の霧出で湯の畑に渦巻けり 金戸知代 万象 200603
山の上に山あり霧の杉くらべ 丸山冬鳳 京鹿子 200603
明け鴉啼きめぐりては杉の霧 丸山冬鳳 京鹿子 200603
しづけさの霧の馬場の脊息弾む 丸山冬鳳 京鹿子 200603
脊を向けて馬上ゆつたり馬場の霧 丸山冬鳳 京鹿子 200603
起き伏しに霧の峠を背負ひけり 柴田朱美 京鹿子 200603
爽やかや雨の霧れたる遠伊吹 森樹夫 栴檀 200603
砂利船の砂利積む音も霧の中 中川博子 対岸 200604
魚は氷に窓にこめたる夜の霧 大島翠木 200605
晩秋やまひるを霧らふ槻並木 瀧春一 常念 200606
慈悲心鳥落花のつちに霧雫 瀧春一 常念 200606
山々の霧らひて柿の照りいでぬ 瀧春一 常念 200606
をながるる霧に早稻匂ふ 瀧春一 常念 200606
寒の霧陽の矢の終焉告げらるる 安部暘子 四葩 200606
ちろちろ鳴る鈴蘭に霧が熱つぽい 瀧春一 瓦礫 200606
霧分けて老鶯の声曲らずに 中田とも子 200608
霧晴れて大きく広き鱚の海 神蔵器 風土 200608
島二つ霧が匿ふ電波の日 神蔵器 風土 200608
五月雨や雲霧木々の合間より 菊谷潔 六花 200608
ゴンドラの窓の霧晴れ蔓手毬 石垣幸子 雨月 200608
山襞は霧を生みつぐ桃の酒 山元志津香 八千草 200608
ゆつくりと霧這ひのぼる天狗沢 大信田梢月 万象 200609
御蓼や富士閉ざす霧湧きつげる 小林碧郎 馬醉木 200610
霧濡れの幣を潜れり登山口 丹羽啓子 馬醉木 200610
霧白し歩まねば我見失ひ 丹羽啓子 馬醉木 200610
雨燕待つ岩座も霧の領 丹羽啓子 馬醉木 200610
霧晴るる期待はいまだ捨てざりし 稲畑汀子 ホトトギス 200610
臆病な足山頂の霧を踏む 稲畑汀子 ホトトギス 200610
髪濡れて霧の魔術につかまりし 稲畑汀子 ホトトギス 200610
山頂の霧の呪縛を解きたまへ 稲畑汀子 ホトトギス 200610
六甲の霧もかくやと偲ぶのみ 稲畑汀子 ホトトギス 200610
見えてゐるやうに見えざる霧を見て 稲畑汀子 ホトトギス 200610
霧ばかり見て来て足りし心あり 稲畑汀子 ホトトギス 200610
霧消えて昨日は遠し由布の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200610
経称ふ霧の摩耶山天上寺 谷村幸子 200610
霧濡れの芝に沈める椅子の脚 蘭定かず子 火星 200610
大霧の巻きたる上に山一つ 滝沢伊代次 万象 200610
霧すでにまとひテントの組上る 藤原照子 200610
霧雨に伏してケルンを一つ積む 岸風三樓 200610
木の洞を嗅いでをりたり霧の馬 戸田和子 200611
遺句集を開けば霧の匂ふかな 出来由子 200611
配膳の音のしてゐる山の霧 田中英子 火星 200611
前後左右上下みな霧ケーブルカー 林翔 200611
抱かるとも閉ざさるるとも霧の湖 藤原照子 200611
霧退いて息継ぐ海の明るさに 大泉伸 遠嶺 200611
霧晴れてお城のやうな影現るる 松本静江 遠嶺 200611
霧はれし眼でみたるこの世かな 谷村幸子 200611
霧の湧き棒切杖に仙人めく 近藤きくえ 200611
霧の香をまとひ榾火に手を翳す 永峰久比古 馬醉木 200611
風雪に耐へし白檜曽霧走る 谷村祐治 雨月 200611
霧の中富士へ導くラインかな 島崎久美子 酸漿 200611
霧雨に伏してケルンを一つ積む 岸風三樓 200610
木の洞を嗅いでをりたり霧の馬 戸田和子 200611
遺句集を開けば霧の匂ふかな 出来由子 200611
配膳の音のしてゐる山の霧 田中英子 火星 200611
前後左右上下みな霧ケーブルカー 林翔 200611
抱かるとも閉ざさるるとも霧の湖 藤原照子 200611
霧退いて息継ぐ海の明るさに 大泉伸 遠嶺 200611
霧晴れてお城のやうな影現るる 松本静江 遠嶺 200611
霧はれし眼でみたるこの世かな 谷村幸子 200611
霧の湧き棒切杖に仙人めく 近藤きくえ 200611
霧の香をまとひ榾火に手を翳す 永峰久比古 馬醉木 200611
風雪に耐へし白檜曽霧走る 谷村祐治 雨月 200611
霧の中富士へ導くラインかな 島崎久美子 酸漿 200611
霧 10      

 

2021年11月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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