霧 10           100句

霧の海の底なる月はくらげかな    立圃

 朝霧 夕霧 夜霧 川霧 山霧 海霧 霧笛

作品
作者
掲載誌
掲載年月
荒き霧間近なる富士見え隠れ 島崎久美子 酸漿 200611
わが息の霧にまぎれて路更けし 岡本眸 200611
茶屋に売る杖や草鞋や霧まみれ 加瀬美代子 200611
霧ごめのケーブルカーてふ箱一つ 加瀬美代子 200611
ひそやかに霧迫り来る九十九折り 鈴木政子 200611
夫の世へ攫はれてゆく霧湧く夜 湯橋喜美 200611
霧の夜や寄木細工の独楽一つ 水原春郎 馬醉木 200612
霧茫茫中の緋色は楓かも 林翔 200612
車掌身を乗り出し霧の通過駅 千田百里 200612
霧を来しリフトが霧へ折り返す 千田百里 200612
六根清浄霧に白衣の消えゆくも 北川英子 200612
霧しづくこぼす小暗き遊歩道 笠井敦子 200612
たづね来し姨捨山は霧の中 松下八重美 200612
ひたすらに尾灯を追ふや霧の海 小林眞彦 遠嶺 200612
山門も霧本堂も霧ごめに 高橋照子 雨月 200612
霧雨や菅笠ならぶ露天の温泉 西山美枝子 酸漿 200612
白蓮の遺墨百詩や霧の宿 西山美枝子 酸漿 200612
五年後に届く文書く霧の宿 西山美枝子 酸漿 200612
霧流れまこと幼き松蘿 井出やすはる 酸漿 200612
霧流れ放牧牛の見え隠れ 山崎澄子 酸漿 200612
牧の霧馬の姿を浮べをり 籾山和子 酸漿 200612
山並の生み出す如く登る霧 安部里子 あを 200612
山宿の霧の夜更けの湯が混める 坪井洋子 200612
サハリン行時刻表あり霧港 鈴木照子 200701
秘色とは霧立つ沼の鳥かぶと 有働亨 馬醉木 200701
大瑠璃やたちまち霧の火口壁 田千鶴子 馬醉木 200701
霧の街歩きし髪の湿りかな 君塚敦二 春燈 200701
外つ国の霧降る夜を眠りけり 古川洋三 遠嶺 200701
山靴の隙なく並ぶ霧の宿 田畑幸子 200701
霧こむる鳥海山を枕上 田畑幸子 200701
奥飛騨の霧に閉ざさる如くなる 小林昌子 200701
雨霧や野に傾ける畜魂碑 田中きよ子 酸漿 200701
峠路の名もなき墓に霧深し 上原光代 酸漿 200701
茜さす大佐渡の嶺霧晴るる 本間勇 酸漿 200701
濃く淡く里山烟る霧の中 本間勇 酸漿 200701
峠越え来し方眼下の霧の中 渡辺玄子 酸漿 200701
霧を聞く少年獣のにほひかな 篠田純子 あを 200701
簷つたふ霧か真夜この静けさは 渡邊千枝子 馬醉木 200702
霧錆びて猪田古宮の天狗杉 稲岡長 ホトトギス 200702
やがて消ゆ霧の煉瓦の館かな 岩垣子鹿 ホトトギス 200702
霧深し荘に近づく猿もなく 岩垣子鹿 ホトトギス 200702
霧分けてふはりふはりと杣の人 浦山淑子 万象 200702
人声の遠くに霧のかくれ里 長沼三津夫 200702
風生庵うす日射しつつ湖に霧 伊藤奈津 200702
霧の街時計廻りにビラ配る 岩松八重 六花 200702
賑やかにバス丹波路へ霧の底 後條さと子 200703
雨の音霧の容や箱根にゐ 百瀬七生子 海光 200705
霧走る谷に満ちたる桜かな 山田六甲 六花 200705
霧晴れて六甲山の夢風船 松下幸恵 六花 200705
霧の夜や大き扉の観世音 松崎豊 200705
棚に充つ逆さのコップ夜の霧 松崎豊 200705
崖に沿ふ木曾の桟霧湧けり 中村翠湖 馬醉木 200706
霧の街頭矢印が殺到す 渋川京子 200706
瀧の音とほくてちかし霧ふすま 堀内一郎 あを 200706
秋燈や窓外すでに山の霧 瀧春一 200706
朝の霧ゆらぎそめたるカンナかな 瀧春一 200706
大爆布あつめて霧の乙女号 小林成子 200708
あの山もその山も白山も霧 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
伊吹嶺に霧の存問ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200709
霧深き山路に慣れてカーブ切る 稲畑汀子 ホトトギス 200709
明日の旅霧の峠も待つならん 稲畑汀子 ホトトギス 200709
霧ヶ峰さすがに霧が霧雨が 安陪青人 雨月 200709
霧の中護摩上堂の法螺ひびく 阿部ひろし 酸漿 200709
畦豆に信濃の霧の凝りにけり 草間時彦 ぐろっけ 200710
甲斐にをり霧のふかさの計られず 八田木枯 晩紅 200710
霧を歩しても笑ひこけ娘等若し 嶋田摩耶子 ホトトギス 200711
霜紅居田霧が庭になだれ込む 金井充 百日紅 200711
月山の日光黄菅霧晴るる 小田切明義 春燈 200711
霧襖開き山頂に木のクルス 山本耀子 火星 200711
霧裂きて大手前なる岩の磴 豊田都峰 京鹿子 200711
白日の霧はらしゆく山城址 豊田都峰 京鹿子 200711
累々と城塞組まれ霧の海 豊田都峰 京鹿子 200711
高々と霧抜く石組穴太積 豊田都峰 京鹿子 200711
秀長も立ちし天守も霧の中 豊田都峰 京鹿子 200711
霧纏う鈴緒重たき女人堂 今井忍 ぐろっけ 200711
八千草の蹠に応ふ霧の原 水原春郎 馬醉木 200711
霧を出でまた霧に入る啄木鳥けらのこゑ 水原春郎 馬醉木 200711
霧の奥ふつと灯の入るログハウス 水原春郎 馬醉木 200711
誰が置きし野菊の束や霧の句碑 水原春郎 馬醉木 200711
ダックスフントの長さを濡らす霧雫 甲州千草 200711
峠路や晴れゆく霧の花さびた 上原光代 酸漿 200711
霧走り白山一花目の前に 君島栄子 酸漿 200711
而してねむれる豚舎霧がつつむ 定梶じょう あを 200711
栗鼠稼ぐ森あり霧の深きまま 村越化石 200712
晴れ女晴子が来り霧晴るる 村越化石 200712
奥祖谷の霧の底より粉碾唄 山下佳子 馬醉木 200712
霧の緞帳喝采もなく上りけり 田村すゝむ 風土 200712
病むわれにあつまる霧や車椅子 高橋邦夫 風土 200712
展望の彼方此方も霧の中 曽根治子 風土 200712
ひさびさの山も傷もて霧化粧 山崎靖子 200712
鶏鳴や誘はれしかに霧うごく 戸田和子 200712
霧湧くや海図の暗礁このあたり 北川英子 200712
噴煙のさだかならざる霧の中 酒本八重 200712
たちまちに霧甕となる湖一つ 酒本八重 200712
霧霽れて谿の深さに鳥気分 佐藤康子 遠嶺 200712
霧走る音かけものの臭ふ闇 熊岡俊子 雨月 200712
名物の釧路の霧やななかまど 長田秋男 酸漿 200712
摩周湖の霧を貫く秋日あり 長田秋男 酸漿 200712
滔々と早瀬は霧の梓川 中村昭子 酸漿 200712
伊吹嶺を忽ち匿す霧襖 品川鈴子 ぐろっけ 200712
霧 11      

 

2021年11月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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