霧 4    99句

ランプ売るひとつランプに霧をともし  安住敦  安住敦集

 朝霧 夕霧 夜霧 川霧 山霧 海霧 霧笛

作品
作者
掲載誌
掲載年月
霧の中蛍光色の上下過ぐ 望月周 百鳥 200201
杣を来て霧の匂ひの少女かな 小山徳夫 遠嶺 200201
霧深し山を下りくる子連れ猿 阿部子峡 200201
古戦場霧が隠せり稲架の馬 久保田由布 ぐろっけ 200201
身ほとりを包みて霧は夜を濡らす 岩垣子鹿 ホトトギス 200202
卓の灯の映れる窓を霧覆ふ 岩垣子鹿 ホトトギス 200202
幹消えて森消えて霧そして霧 岩垣子鹿 ホトトギス 200202
一瞬の霧の魔性を目の当り 藤浦昭代 ホトトギス 200202
奈落見る恐怖濃霧の消す恐怖 藤浦昭代 ホトトギス 200202
見続けて来たる深山の霧に入る 岡田順子 ホトトギス 200202
霧の中声が歩いてをりにけり 塙告冬 ホトトギス 200202
霧湧いてたちまち驟雨峡深し 達山丁字 200202
霽れゆくや島嶼次つぎ霧絵巻 松村富子 200202
霧立ちて飛鳥遠のく思ひあり 伊藤稔代 200202
老の坂越ゆれば別の丹波霧 吉田多美 京鹿子 200202
正午まで霧の閑谷撮れず酌む 禰寝瓶史 京鹿子 200202
杉山の段段墓に狭霧立つ 森津三郎 京鹿子 200202
吹きあぐる霧に横川の尾根をゆく 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
車窓ざゝと霧雨襲ふ音なりし 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
迷ひ込みたる霧の国神の国 岩岡中正 円虹 200202
霧を来て影のごとくに人祈る 岩岡中正 円虹 200202
霧包み世をへだてたる山ホテル 進峰月 円虹 200202
コツコツと足音の行く霧の朝 孝子・フォン・ツェルセン 円虹 200202
石を切る音の谺の嶺々を霧 渡邊牢晴 雨月 200202
一の谷二の谷霧の重たかり 甲斐よしあき 百鳥 200202
日輪と飛び込む霧の中広し 望月周 百鳥 200202
軽井沢銀座といふも霧ごめに 中島真沙 円虹 200202
踏み入りし霧に出口のありやなし 中島真沙 円虹 200202
霧の香やライトで下る九十九折 鳴海清美 六花 200202
音立てて落葉松に霧流れゆく 浅利恵子 ホトトギス 200203
大年の霧の深さの羽黒山 阿部月山子 春耕 200203
美術館出でし一歩に霧匂ふ 山田弘子 ホトトギス 200204
仙台虫喰谷間に霧の流れをり 大塚洋子 酸漿 200208
鮎番屋高嶺はいつも霧のなか 皆川盤水 春耕 200208
摩周湖の霧の水ゆゑ買ひにけり 宮原みさを 花月亭 200208
白樺を霧たちのぼる夜明かな 柴崎英子 200209
蜘蛛の子も蟷螂も生れ霧消せり 奥村鷹尾 京鹿子 200209
風よりも霧を怖るる舟遊び 山本漾子 雨月 200209
とぶ霧に馬車の鈴音葛の花 皆川盤水 春耕 200209
登つて下る螢袋は霧に堪へ 堀内一郎 あを 200209
高速道八ヶ岳まで霧の海 須賀悦子 ぐろっけ 200209
霧湧けり帽燈あをき馬守に 益本三知子 馬醉木 200210
杉山の鉾の先まで霧浸し 鷹羽狩行 200210
霧の中屈めば黄菅咲きゐたり 網野茂子 酸漿 200210
霧切れて山小舎近し星鴉 伊藤いな栄 酸漿 200210
登り来し盧山を包む霧迅し 網野茂子 酸漿 200210
到着は霧の底なる山ホテル 浅利恵子 円虹 200210
人出入り霧出入りするロビーかな 浅利恵子 円虹 200210
山ホテル霧の流れを全景に 浅利恵子 円虹 200210
落葉松のどこかに霧を潜ませし 浅利恵子 円虹 200210
秋霧や砂に汚るる犬矢来 朝妻力 雲の峰 200210
霧流れかすかに見ゆる普賢岳 長山野菊 雲の峰 200210
こまくさの霧の妬みに耐へてをり 下村志津子 銀化 200210
霧の中リフト行き交ふ気配あり 鎌倉喜久恵 あを 200210
霧雨にしつぽり寂の名公園 斉藤静枝 あを 200210
人影の霧を縫ひ来る河童橋 長沼三津夫 200210
霧冷の身に山荘の灯の親し 長沼三津夫 200210
焼岳の肌赫く霧晴れてきし 長沼三津夫 200210
七月の霧のふぶける流人墓 飯塚雅子 200210
わだかまり解くるがごとく霧の渦 長谷川史郊 馬醉木 200211
温泉けむりに霧の加はる葛の花 長谷川史郊 馬醉木 200211
霧湧けばひようひようと鳴く放流魚 矢野千佳子 京鹿子 200211
御山見えず老鶯もまた霧の中 大塚邑紅 200211
隠しても霧に所在の竹生島 稲畑汀子 ホトトギス 200211
妙義嶺を這ふ霧も又峨々として 稲畑汀子 ホトトギス 200211
皇子の墓霧に隠れてしまひけり 大串章 百鳥 200211
霧押して霧押して船現るる 塩川雄三 築港 200211
山上の湖が匂へる霧霽れて 能村研三 200211
根がらみに磁力失ふ霧樹海 能村研三 200211
熊楠や健次や熊野霧籠めに 千田百里 200211
霧景色シャッター強く押しにけり 大沼眞 200211
客愁や霧落ちあふに燈のちから 中原道夫 銀化 200211
暁の湖畔に匂ふ狭霧かな 中川晴美 雲の峰 200211
霧雨に消えざる杉の影ならぶ 阿部ひろし 酸漿 200211
黄鶲の声の明るし霧の中 大塚洋子 酸漿 200211
いつ誰が積みしケルンか走る霧 川原典子 酸漿 200211
霧が背を押せり蔵王の釜の口 川原典子 酸漿 200211
足早に流るる霧よ松虫草 東芳子 酸漿 200211
足下は霧槍ヶ岳へ取り付く鉄格子 篠田純子 あを 200211
霧冷の四肢を平らに旅の夜具 木内憲子 200211
黒犬をつなぐをとこや霧の中 山岸治子 馬醉木 200212
霧雨の上がりし峡に虫時雨 深澤テル子 200212
赤電話がちやんと切つて霧へ去る 宮城白路 風土 200212
海に沿ふ多喜二の町の霧月夜 田村すゝむ 風土 200212
霧うごく中を抜けたる五能線 外川玲子 風土 200212
霧らひては花のふえゆく蕎麦畑 片山由美子 200212
霧這へる林の中の美術館 川瀬信子 築港 200212
木道は霧湧く谷へ下りてゆく 山田弘子 円虹 200212
昨日見し峡の一村霧閉ざす 岡西恵美子 円虹 200212
吹き上げてカルストの端消して霧 佐保美千子 円虹 200212
霧流れゆく山小屋の昼の灯に 佐保美千子 円虹 200212
霧うすれつゝ放牧の牛現るる 佐保美千子 円虹 200212
摘みて食ぶ霧のフランボワーズかな 長山あや 円虹 200212
霧霽れゆく韻にありけり金華山 浜口高子 火星 200212
尾根ごとに霧立ち上る甲斐の国 高橋寛實 帆船 200212
霧深き終着駅に着きにけり 竹内旦 百鳥 200212
竹杖に霧の触れゆく箱根山 忽那保 雲の峰 200212
箱根路の霧灯のともる九十九折 忽那保 雲の峰 200212
桂林にまがふ鉾杉霧ふかし 忽那保 雲の峰 200212
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2021年10月28日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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