霧 2     98句

霧しづく體内暗く赤くして   三橋敏雄   眞神

 朝霧 夕霧 夜霧 川霧 山霧 海霧 霧笛

作品
作者
掲載誌
掲載年月
霧匂う留辺蘂という町の名は 吉川真実 海程 200001
深霧の毎日毎日の山暮らし 阿部幸右 京鹿子 200001
粧ひの裾だけ見せて霧の山 野昭人 遠嶺 200001
切込湖刈込湖へと霧なだる 上田希実 遠嶺 200001
番鷺白さ残せし霧の朝 西村滋子 京鹿子 200001
太陽が見せてくれたる霧の奥 今井千鶴子 ホトトギス 200001
山荘を出て霧の音森の声 今井千鶴子 ホトトギス 200001
霧のバス見えざる富士をみんな見る 嶋田一歩 ホトトギス 200001
霧湧きて豚野峯峯遠ざかる 中川濱子 ぐろっけ 200001
霧まとふずんぐり頭の甲山 中川濱子 ぐろっけ 200001
霧込めの高野に孔雀をりにけり 平橋昌子 200002
奥山の霧に目覚めし龍田姫 高橋芳子 火星 200002
口ずさむ古歌霧ごめの大江山 大西正栄 雨月 200002
麓路の霧の中なる柿の照り 小澤克己 遠嶺 200002
霧雨の端山に折れて峠道 小澤克己 遠嶺 200002
霧の廟岷江の龍封じけり 脇本千鶴子 200002
霧のテラス亡夫かの日の紫煙とも 村上光子 馬醉木 200002
虚無だけは霧もたじろぐ秋の空 尾上有紀子 わがまま 200002
麹沸く酒蔵霧につゝまれて 三浦如水 ぐろっけ 200002
水音は霧の底なり犬放つ 丸井巴水 京鹿子 200003
山の夜の足元に聞く霧の声 倉本マキ ヒッポ千番地 200006
筒鳥に明けて磐梯霧深し 水原春郎 馬醉木 200007
山畑や葱につまずく霧のなか 金子兜太 海程 200007
阿武隈の霧浴び早苗根づきたる 古市枯声 春耕 200007
青潮の霧やはき能登句碑開き 渕上千津 200008
霧晴らし燈台塩辛さうに立つ 畑中とほる 春耕 200008
くの一が霧らひて走るワンカット 塩路隆子 精鋭選集 200008
那智谷の霧吹上ぐる瀧見台 藤谷紫映 馬醉木 200009
霧流れ止まざる虚子の句碑に佇つ 松尾緑富 ホトトギス 200009
山頂の霧山容を明かすなく 稲畑汀子 ホトトギス 200009
ここは蝦夷うつゝに霧の峠越え 稲畑汀子 ホトトギス 200009
霧しざりしざり順路の展けゆく 稲畑汀子 ホトトギス 200009
霧に濡れ山気に触れて来し下山 稲畑汀子 ホトトギス 200009
ロープウエイ四角に霧を纏ひゆく 稲畑汀子 ホトトギス 200009
霧霽れて眼下は玩具めきし町 稲畑廣太郎 ホトトギス 200009
薄霧の樹林に淡き一薬草 小滝奈津江 酸漿 200009
島の端の霧のにほひに芭蕉咲く 城孝子 火星 200009
万緑に霧らふ孝子の塔五輪 渡邊牢晴 雨月 200009
天霧らふ樹々の奥より滝こだま 渡邊牢晴 雨月 200009
霧ごめにひびく波音花海桐 鈴木夢亭 春耕 200009
旅愁ふと尻尾岬に霧幾重 斎藤白砂 海程 200009
獅子独活に火山灰地の霧が飛ぶ 有動亨 馬醉木 200010
出航の舳先はすでに霧の中 牛田修嗣 200010
車窓流る羊群の白霧の白 村松紅花 ホトトギス 200010
邯鄲や草のふかさを霧ながれ 阿部ひろし 酸漿 200010
薄雪草風ながれ霧ながれけり 阿部ひろし 酸漿 200010
岩桔梗剥ぐごとく霧薄れけり 名和節子 200010
霧いつも圍ふこととし奧津城は 中原道夫 銀化 200010
霧の尾根俗名のみの遭難碑 阿部寒林 200010
霧の中に遭ひて互ひに発光す 阿部寒林 200010
霧こめて野草の色の深まりし 内山和江 奧嶺 200010
合掌の屋根の貫禄霧を抽く 内山和江 奧嶺 200010
霧つつみ来る木苺の泪粒 岡本まち子 馬醉木 200010
霧染めて門火増えゆく麓村 和田和子 馬醉木 200011
霧にゐてふたつに岐れ鹿の角 岡井省二 200011
いま越えし峠に濃霧注意報 酒本八重 200011
山小屋の頼る明りも霧がくれ 渕江千代 酸漿 200011
霧冷のフードを深く歩きけり 小島邦子 俳句通信 200011
蟹弁を買ひて乗り込む霧の駅 小島邦子 俳句通信 200011
食卓をはさみて霧の濃くなりぬ 朱間繭生 銀化 200011
雌阿寒岳隠れごころの霧まとふ 石野冬青 馬醉木 200012
霧が研ぐ高野に古りし磨崖仏 高橋好温 馬醉木 200012
明滅のハザードランプ霧奪ふ 林裕子 風土 200012
天霧らふ曽爾原草の香の走る 長山あや 円虹 200012
やうやくに霧の一灯見つけたり 松永唯道 円虹 200012
降りたてばたちまち霧に襲はるる 松永唯道 円虹 200012
主峯霧連なるものもすべて霧 松永唯道 円虹 200012
鉾杉を流るる夜の霧の音 松永唯道 円虹 200012
なほ奥へわが魂呼んでをりし霧 松永唯道 円虹 200012
霧の船より郵袋の下ろさるる 杉浦典子 火星 200012
前を行く声霧ごめの足がかり 湯橋喜美 200012
霧攻めの山小屋に神祀られて 湯橋喜美 200012
霧ごめの小屋に月山遠拝み 湯橋喜美 200012
稜線を越す一団に霧が蹤く 湯橋喜美 200012
見むと来し荒船山ぞ霧隠れ 守屋井蛙 酸漿 200012
霧駆けて樅の大樹の揺ぎけり 菊地惠子 酸漿 200012
トンネルを抜けて更なる霧襖 菊地惠子 酸漿 200012
新涼の霧立ち昇る湖のあり 小滝奈津江 酸漿 200012
朝の霧桂林五万五千余峯なる 松崎鉄之介 200012
霧流れ釣舟草を見失ふ 高橋照子 雨月 200012
穂高嶺の霧降る帝国ホテルの夜 密門令子 雨月 200012
別れきて霧に重さのありにけり 野崎真一 200012
霧の寺百済観音玻璃の裡 中川濱子 ぐろっけ 200012
隧道に阿波と伊予との霧出合ふ 永野秀峰 ぐろっけ 200012
薬草の干されし伊吹山霧ごめに 堀池久世 200012
漓江昏る群峰霧に溺れつつ 千代田葛彦 馬醉木 200101
夜祭の果てし蔵町霧流る 斉木永久 馬醉木 200101
吹抜けの崖を二の霧三の霧 戸田円三 200101
なほ霧の追ひ来る信貴のケーブル駅 杉本艸舟 200101
われの行く道のみ見えて霧深し 杉本艸舟 200101
大江山の鬼を迷はす霧襖 木野本加寿江 火星 200101
昼に消ゆ霧と定めて秋へんろ 市場基巳 200101
眉濡れて霧の中なる伊吹山 小山森生 200101
霧の中霧かかり来る顎かな 延広禎一 200101
霧こめて川にも沖のあるごとし 林翔 200101
最終のバスは午後五時霧迫る 仁科聖烏 円虹 200101
霧襲ひ来る風痩せの芒原 大橋敦子 雨月 200101
霧 3      

2021年10月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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