かなかな 2   200句

かなかなや赤坂を往く異郷のごと   高島茂   軍鶏

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし  かなかな

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
かなかなや時折届く山の風 飯島きみい 対岸 200510  
かなかなの初鳴き誰も仰ぎ見て 辻恵美子 栴檀 200510  
標高千スピード落せとかなかなが 丸山佳子 京鹿子 200510  
かなかなに防火用水滿たされよ 丸山佳子 京鹿子 200510  
波郷恋ふ水引草もかなかなも 神蔵器 風土 200510  
高きより昼かなかなの深大寺 神蔵器 風土 200510  
かなかなは山湖の風のささやきか 田所節子 200510  
かなかなを山の鼓動と思ほゆる 犬塚芳子 200511  
バンガロー近しかなかなかなの中 近藤きくえ 200511  
かなかなや走り根に子がおしつこす 中山純子 万象 200511  
今にして土葬かなかなひとしきり 谷田部栄 万象 200511  
赤松をはなさぬ夕日かなかなかな 山崎靖子 200511  
かなかなの水に銅鏡沈みをり 杉浦典子 火星 200511  
かなかなや古道具店の壺に耳 戸田春月 火星 200511  
かなかなかなさやかなれども風の音 野澤あき 火星 200511  
かなかなや宇陀に大きな晒桶 高松由利子 火星 200511  
かなかなや為すこともなき里の橡 近藤真夫 遠嶺 200511  
喪に籠るひと日よく鳴く夕かなかな 栗原公子 200511  
かなかなや円の傾きて童話村 栗城静子 200511  
かなかなや掃きのこしたる雲ひとつ 五十嵐暢子 対岸 200511  
かなかなや戻りて変はる山の相 門脇なづな 対岸 200511  
四十九日言ひたき事もかなかなと 片山八重子 ぐろっけ 200511  
かなかなの声のさざ波加悦の里 橋添やよひ 風土 200511  
厨子開く弥陀にかなかなしぐれかな 武久昭子 風土 200511  
夕かなかな浴びて波郷に会ひに行く 林いづみ 風土 200511  
かなかなや宝物殿の大庇 三浦てる 風土 200511  
かなかなの声に濁世の澄みゆくか 山口天木 雨月 200511  
かなかなやひと日の旅の屋形舟 宮尾直美 200511  
かなかなや耳朶にほどよき風とどき 木村風師 馬醉木 200512  
かなかなの声の木陰に憩ひけり 山嵜ヤス子 酸漿 200512  
百段の上に百段夕かなかな 鳴海清美 六花 200512  
かなかなと夕ともにす一人居て 向江醇子 ぐろっけ 200512  
かなかなや旅の双膝すぐ崩れ 木内憲子 200512  
かなかなやぐんぐん母が遠くなる 岩岡中正 ホトトギス 200601  
かなかなのかなかなかなと響灘 遠藤若狭男 200601  
風呂沸かす煙か喉に遠かなかな 工藤ミネ子 風土 200601  
水湧きくるごと吾子の日の夕かなかな 工藤ミネ子 風土 200601  
かなかなやこだはり無くば身は軽し 本城布沙女 雨月 200602  
かなかなかな此れ日本語の仮名はじめ 山元志津香 八千草 200603  
かなかなの終助詞ばかりの唄に酔う 藤原りくを 八千草 200603  
かなかなに沈む一院萱の屋根 瀧春一 常念 200606 淺川高乘寺
かなかなが熊笹の露を吸ふ旦 瀧春一 常念 200606  
かなかなや僧俗白き單衣にて 瀧春一 常念 200606  
かなかなや師弟の道も恋に似る 瀧春一 瓦礫 200606 水原秋櫻子先生を訪問現在の俳句観を述べて諒解を求む
かなかなや男の料理時計見て 杉良介 200607  
かなかなに途方に暮れてしまひけり 山田六甲 六花 200608  
かなかなや飢ゑここちよき厨ごと 矢島久栄 200609  
かなかなの森を夕日がさし通す 伊藤白潮 200609  
かなかなの森にわづかな高低差 伊藤白潮 200610  
浴身のばら色立ちてかなかなかな 安藤しおん 200610  
かなかなの声なかなかに揃はざる 芝尚子 あを 200610  
かなかなの今年も鳴かず秋半ば 田中藤穂 あを 200610  
かなかなをききてあの世へ旅立ちし 田中藤穂 あを 200610  
かなかなや敵のごとく押し寄せ来 吉弘恭子 あを 200610  
かなかなを聞くや朝比奈切通し 鎌倉喜久恵 あを 200610  
ミシン踏む音にかなかなかさなりぬ 鎌倉喜久恵 あを 200610  
ひもすがらかなかなの居る假の宿 芝尚子 あを 200610  
かなかなや稜線やさし奈良の山 早崎泰江 あをかき 200610  
かなかなや遠のいて行く千曲川 森理和 あを 200610  
かなかなや同窓会で手をつなぐ 須賀敏子 あを 200610  
かなかなや極楽浄土に居るごとし 鈴木多枝子 あを 200610  
かなかなや桐下駄うれし雨あがり 東亜未 あを 200610  
かなかなや戦なき六十余年 長崎桂子 あを 200610  
かなかなや酢の香に噎せて厨ごと 竹内弘子 あを 200610  
岩風呂の思はぬ深さ夕かなかな 風間史子 200611  
かなかなやペンキの匂ふ農機小屋 田村園子 200611  
みんみんとかなかな森を分かち合ふ 富沢敏子 200611  
かなかなや白玉だんご浮いてきし 大城戸みさ子 火星 200611  
かなかなの止んで瀬音の戻りけり 竹下幸子 火星 200611  
落款のまだ濡れてゐる夕かなかな 竹下幸子 火星 200611  
かなかなや湖の芯より漣す 諸岡和子 200611  
かなかなの遠しと聴けば近くにも 南幸子 春燈 200611  
かなかなや戦争映画入場券 永田哲心 遠嶺 200611  
かなかなや子供の顔が風となる 近藤喜子 200611  
夕かなかな苔に埋もれし翁句碑 上原瑞子 200611  
かなかなや柩は死者の仮の宿 竪山道助 風土 200611  
かなかなや早き日暮の切通し 千手和子 馬醉木 200611  
かなかなの鳴きつなぎゐる御廟かな 加地芳女 雨月 200611  
かなかなの樹となる欅一樹かな 竹内志げ子 酸漿 200611  
夕月を叩きかなかなかなかなと 辻直美 200611  
かなかなを里の語部かと思ふ 彦根伊波穂 200612  
かなかなや妻遺してはまだ死ねぬ 西川五郎 馬醉木 200612  
かなかなや見慣れし山の影深む 久保久子 春燈 200612  
瀟洒なる亭のかなかな時雨かな 小山徳夫 遠嶺 200612  
哀しみを更に深むる夕かなかな 西村しげ子 雨月 200612  
かなかなの月に鳴き澄む宿りかな 山田弘子 ホトトギス 200701  
かなかなや森は夜明へ移り初む 山田弘子 ホトトギス 200701  
かなかなや城山に城なかりけり 高橋千美 京鹿子 200701  
かなかなや回文なりしホテルの名 梶浦玲良子 六花 200701  
かなかながなかなかなかと鳴きだせり 佐藤喜孝 あを 200701  
かなかなの旦を鳴ける噴井かな 瀧春一 200706  
かなかなや妊女の理容院 加藤克 200709  
かなかなや水を満たせる露天風呂 滝沢伊代次 万象 200709  
かけまくもかなかなの森透き通す 鈴鹿仁 京鹿子 200709  
かなかなのよき風を得し声のあり 阿部ひろし 酸漿 200709  
かなかなや雨の雫の残る枝 ことり 六花 200709  
かなかなやひたとそよがぬ竹林 布川直幸 200710  
かなかなや武田棒道雨のあと 宇佐美ゆき 酸漿 200710  
夕風の庭にかなかな鳴き初む 井上幸子 酸漿 200710  
かなかなやつるりと過ぎし黙示録 高木智 京鹿子 200710  
夜念仏和してかなかな浄土かな 水野節子 雨月 200710  
飾り窓の帽子の疲れ夕かなかな 田中藤穂 あを 200710  
大壺を挽き上ぐ安堵夕かなかな 生井慶子 万象 200711  
かなかなや標本箱にピン数多 田村すゝむ 風土 200711  
かなかなや矯正中の歯のきらり 市橋章子 ぐろっけ 200711  
預り児夕かなかなに母恋へる 山本漾子 雨月 200711  
かなかなの声や背より行く手より 緑川啓子 馬醉木 200711  
かなかなの極上のこゑ誰か逝く 上谷昌憲 200711  
かなかなや雑木林の今日暮るる 木内美保子 六花 200711  
兄の忌の近きかなかな時雨かな 上林孝子 200711  
かなかなの鈴より朝の明け始む 丸山敏幸 200711  
かなかなや暮れゆく空の青きまま 稲岡長 ホトトギス 200712  
人がゐて没日の中のかなかなかな 竹内悦子 200712  
かなかなや小屋に凭れて朽ち水車 池田好 200712  
かなかなの声の降り来る大水車 池田好 200712  
かなかなの鳴き止めば夜となりにけり 小松惠子 200712  
かなかなや串こんにやくを頬張りぬ 石田きよし 200712  
かなかなや愛宕の坂の土石老ゆ 小宮山勇 遠嶺 200712  
かなかなや奥の院への長廊下 今井松子 遠嶺 200712  
かなかなや嵯峨化野の石仏 山村修 酸漿 200712  
かなかなやふと蘇る敗戦日 木下忠雄 酸漿 200712  
かなかなや浚渫船に人ひとり 上林孝子 200712  
漂白のまないた乾く遠かなかな 服部早苗 200801  
かなかなに水みな病める夕べなり 岡本高明 船団 200801  
かなかなやずっと入居者募集中 火箱遊歩 船団 200801  
手をあげて別れしよりの夕かなかな 豊田都峰 草の唄 200805  
かなかなに粛々と句碑披かるる 稲畑汀子 ホトトギス 200808  
かなかなの遠ざかる森あとにして 稲畑汀子 ホトトギス 200808  
かなかなの夜明うながす声のあり 阿部ひろし 酸漿 200809  
かなかなの鳴き交うて書写暮色濃し 朝妻力 雲の峰 200809  
かなかなや胸突八丁登りきり 兼久ちわき 馬醉木 200810  
かなかなとゆふづつと入れかはりたる 鷹羽狩行 200810  
かなかなや燭消ゆるまで墓に添ひ 林和子 万象 200810  
かなかなのかなにかくれしかくれんぼ 石寒太 炎環 200810  
かなかなの鳴くや真昼がつと曇り 海上俊臣 酸漿 200810  
かなかなに誘はれてつい遠出する 早崎泰江 あを 200810  
かなかなや養老院の早夕餉 遠藤実 あを 200810  
はじめからこゑ澄みとほりかなかなかな 田中春生 200811  
かなかなに追はるる心地宮を辞す 松田とよ子 200811  
オリンピック果ててかなかな聞く夕餉 竹内悦子 200811  
かなかなにわが総身の透けゆけり 布川直幸 200811  
かなかなや産山遠くなりにける 栗栖恵通子 200811  
かなかなや城に小さき美術館 佐治奈津 雨月 200811  
かなかなや孤島のごとき岬の村 足立典子 雨月 200811  
かなかなのふと加はりし霊迎 阿部ひろし 酸漿 200811  
突如なりかなかなしじま破りけり 長谷川たか子 酸漿 200811  
かなかなに目覚む生家の北座敷 笠井敦子 200811  
遠くよりかなかなの呼ぶ目覚めかな 荒木常子 200811  
在りし師の謙譲を聞けりかなかな 有馬克代 200811  
かなかなや返却本を脇抱へ 松山直美 火星 200811  
かなかなや疎開の村に道の駅 遠藤実 あを 200811  
かなかなに身ぬち透けゆく遠浅間 永峰久比古 馬醉木 200812  
星の出をさそふかなかなしぐれかな 田口紅子 200812  
かなかなや夕べ澄みたる人のこゑ 林郁子 200812  
かなかなの鳴きそびれたる峡の葬 和田照海 京鹿子 200812  
かなかなや墓石一つに灯が残り 久津見風牛 200812  
かなかなのこゑ波のごと露天の湯 山口裕子 万象 200812  
シドニーヘ電話かなかな聞かせたく 大島寛治 雨月 200812  
かなかなの鳴き声確と個性あり 北川とも子 ぐろっけ 200812  
夕暮れの芝生を去れとかなかなかな 中田みなみ 200812  
山冷えも夕かなかなも俄なる 上崎暮潮 ホトトギス 200901  
かなかなの声水底を出できたる 岡本高明 船団 200901  
かなかなや上座のひとつ空いてをり 津野洋子 京鹿子 200901  
かなかなや船霊宿る大錨 中田禎子 白猪 200901  
かなかなや石置き屋根の朝湿り 大崎紀夫 やぶれ傘 200901  
弁慶の六法を踏むかなかなかな 吉原一暁 200903  
かなかなや辨当忘れ来し但馬 山田六甲 六花 200908  
かなかなやべんとうわすれきしたじまろっこう 山田六甲 六花 200908  
かなかなの山よりひゞく俎板へ 滝沢伊代次 万象 200909  
読経の後かなかなの鳴き継げり 森岡正作 200909  
かなかなや遠き落日負ふ大樹 秋葉雅治 200909  
かなかなかな糸口探しゐるやうな 高橋あさの 200909  
かなかなや厨に地場産あれこれと 長崎桂子 あを 200909  
かなかなや百四歳の月日閉づ 石川清子 炎環 200910  
聞き澄ますかなかな沢の水甘し 小澤淳子 200910  
かなかなや仏陀の修羅の声かとも 川崎利子 200911  
かなかなや夕映えを背に欅道 三川美代子 200911  
父の忌の熊蝉ははの忌のかなかな 南うみを 風土 200911  
閼伽桶に水たつぷりとかなかなかな 石脇みはる 200911  
かなかなや足元暮るる中尊寺 今井弘雄 春燈 200911  
夕かなかなまた二人居に戻りけり 吉沢陽子 200911  
眠た気な森に鳥居や夕かなかな 千田百里 200911  
かなかなや電動ベツド軋むなか 山田をがたま 京鹿子 200911  
かなかなの声のかさぶり来る山路 高垣和恵 雨月 200911  
かなかなや何でも遠き姉に聞き 渡辺数子 火星 200911  
かなかなや水底にゐて聞くやうに 永田圭子 ろんど 200911  
かなかなを防空壕で聞きし日よ 大西よしき ろんど 200911  
月のぼるかなかなのこゑ満つるなか 田中春生 200912  
かなかなの声の終りて静かかな 稲岡長 ホトトギス 200912  
かなかなや昭和は母と生きし日々 林和子 200912  
かなかなや今宵笑顔の母うかぶ 池田光子 200912  
夕かなかな水音消さぬ遠さにて 大島翠木 200912  
かなかなの波のごとくに満ち引けり 穂苅照子 万象 200912  
森の声今朝かなかなを加へけり 大橋伊佐子 末黒野 200912  
かなかなや子に促され骨拾ふ 樺沢やすの 末黒野 200912  
ふりかへる癖かなかなに知られをり 直江裕子 京鹿子 200912  
熟睡児の素描かなかなしぐれかな 関根洋子 風土 200912  
かなかなや葉山に残るポンプ井戸 関根洋子 風土 200912  
鼎談へかなかなの風吹いてきし 垣岡暎子 火星 200912  
かなかなやいくら責めても日は帰る 梶浦玲良子 六花 200912 かなかな →3

2013年8月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。