かなかな 1   199句

寢ころぶは戰死のかたち夕かなかな   田沼文雄   呼気

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし  かなかな

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書その他
かなかなや大き水車の蕎麦処 水原春郎 馬醉木 199810  
しばらくをかなかなの木になる欅 杉浦典子 火星 199811  
宝石のようだな夕日もかなかなも 田中空音 海程 199811  
かなかなの鳴き加はれる飯噴けり 鹿野佳子 199811  
かなかなや母校は真田館址 小宮山勇 青胡桃 199905  
夕ベより朝かなかなの胸にひゞく 神蔵器 風土 199910  
かなかなの声の日暮れとなりにけり 伊藤美喜 風土 199910  
かなかなの鳴く杜陰の落暉かな 中里カヨ 酸漿 199910  
かなかなや客ありし日は商ひて 北吉裕子 俳句通信 199910  
かなかなや母に似て来し独り言 高野美佐子 俳句通信 199910  
かなかなに掘れば骨片透く村里 丸山海道 丸山海道全句集 199910  
かなかなに千手の一指宙をさす 丸山海道 丸山海道全句集 199910  
母の忌の厨に立てばかなかなかな 入野田干寿子 199911  
かなかなや蒟蒻うすき箸の先 中島徳子 酸漿 199911  
人情のやうにかなかな胸に染む 浅井勝子 199911  
裏山にかなかな囃す目覚めかな 斎藤双風 円虹 199911  
かなかなや長蔵小屋に煙立つ 代田青鳥 風土 199911  
胎内にきき覚えあり遠かなかな 世家栄子 199911  
かなかなや奈良の茶粥の黒米よ 平橋昌子 199912  
かなかなやかくも武骨なアスファルト 久保智恵 海程 199912  
かなかなやきのふより濃き湖のいろ 長尾康子 風土 199912  
もう鳴かぬかなかなの樹を見てゐたり 藤岡紫水 京鹿子 199912  
母恋の師とかなかなを聞く旅ぞ 樺山翠 雨月 199912  
かなかなや湯灌の後も髭のぶる 上村福恵 六花 199912  
かなかなや熱き遺骨をだきしめて 上村福恵 六花 199912  
暁のかなかなよりも泣き上戸 桐木榮子 船団 199912  
かなかなと始発終発かなかなと 葉月ひさ子 船団 199912  
かなかなかなカ行の行方杳と 葉月ひさ子 船団 199912  
かなかなのひと息長き夜の底 山田弘子 ホトトギス 200001  
かなかなや黄昏いろに桂川 山村桂子 遠嶺 200001  
かなかなや仰願寺売る大和棟 脇本千鶴子 200002  
かなかなの歳月こんな結論で 星野早苗 空のさえずる 200002  
かなかなや柩の釘の音高し 新関一社 京鹿子 200007  
かなかなに日暮残して山下る 稲畑汀子 ホトトギス 200008  
かなかなや画布まで届く木々の影 白倉ボラン ヒッポ千番地 200008  
かなかなが朝の帷を剥ぎつ鳴く 阿部ひろし 酸漿 200009  
夕ベより朝かなかなの胸に満つ 神蔵器 風土 200010  
かなかなや郷の鬼門に神祀り 大竹淑子 風土 200010  
新陵の暁けのかなかなしぐれかな 盛良孝 200010  
驟雨去りかなかな俄かなる頭上 有働亨 馬醉木 200010  
かなかなや土人形に耳のなき 杉浦典子 火星 200011  
かなかなや藤村館の初版本 水野あき子 遠嶺 200011  
かなかなの痒いところに手が届く 柳生正名 海程 200011  
宿下駄の男女兼用かなかなかな 横山昌子 200011  
かなかなや茶入の仕覆休め緒に 牧野睦子 200011  
かなかなや遊具待つ子の長き列 柴田美佐子 いろり 200011  
かなかなや色褪せし黄色の財布 信崎和葉 六花 200011  
かなかなの催眠術に落ちにけり 平居澪子 六花 200011  
かなかなや沖で鯨もきいてゐる 中川二毫子 遠嶺 200012  
かなかなのはじめ冷たき声出せり 浜口高子 火星 200012  
かなかなは落人の裔暮れはじむ 塩出眞一 ぐろっけ 200012  
かなかなや片袖残るほどきもの 中島たけ子 200101  
かなかなやもう一仕事しておくか 深澤鱶 火星 200103  
かなかなや小栗街道深轍 鳴海清美 遊び蔓 200105  
かなかなの声を届けて下されし 稲畑汀子 ホトトギス 200108  
盆前の初かなかなを庭に聴く 阿部ひろし 酸漿 200108  
かなかなや夫と野良着に着替へをり 白鳥武子 酸漿 200109  
かなかなの昨日と違ふ鳴き方よ 松山律子 六花 200109  
かなかなも爆音もなし富士山頂 河野友子 六花 200109  
かなかなやいつまどろみていつ覚めし 朝妻力 俳句通信 200109  
初かなかな夕べの風の立ちしとき 鈴木翔子 百鳥 200110  
かなかなや夕ベを兆す日の光 岡本明美 俳句通信 200110  
かなかなや盛塩かたくなりゐたり 北吉裕子 俳句通信 200110  
かなかなや死ぬまで姉は姉の顔 竹川美佐子 いろり 200110  
ひぐらしの夢の内外かなかなかな 竹川美佐子 いろり 200110  
かなかなの刃こぼれ声に避暑期果つ 岡田貞峰 馬醉木 200111  
かなかなや鉄の匂ひの船着場 山田禮子 遠嶺 200111  
かなかなや大工道具の忘れもの 高畑信子 遠嶺 200111  
かなかなやひと鳴きしては螺旋を巻き 中村昭義 百鳥 200111  
かなかなや何も考へないことに 杉浦典子 火星 200111  
かなかなや円山川の舟屋びと 深澤鱶 火星 200111  
かなかなや尾根の悪路を懐かしむ 桑久保奈美子 酸漿 200111  
杉襖開けてかなかなかなかなよ 村田明子 円虹 200111  
かなかなやコバルトの風吹いてくる 木暮陶句郎 ホトトギス 200112  
かなかなや閉会の辞を促さる 岩垣子鹿 ホトトギス 200112  
かなかなとひらがなに鳴く夕茜 長山あや ホトトギス 200112  
山の闇かなかなひとつ暮れ残り 長山あや ホトトギス 200112  
高原のかなかなを聞き旅終る 永森とみ子 ホトトギス 200112  
かなかなや大師のみ許墓万基 南光翠峰 馬醉木 200112  
かなかなや寝覚の水を子とわかつ 藤木竹志 馬醉木 200112  
永遠のひきしおかなかなかな細く 澁谷道 海程 200112  
かなかなやかしらの欠けし如来仏 安養寺美人 200112  
かなかなに仰ぐ扁額「無尽蔵」 中谷葉留 風土 200112  
かなかなや母のカレーの大きな具 郷田健郎 百鳥 200112  
かなかなや日暮の道を野良仕舞 小浦遊月 酸漿 200112  
竹林の夕かなかなに閉づる園 浅野恵美子 酸漿 200112  
百年の樟にかなかな陶の里 勝野薫 ぐろっけ 200112  
また啼いているかなかなの日暮れ道 稲用飛燕 船団 200201  
かなかなが口火切りたる日の夜明け 桐木榮子 船団 200201  
かなかなに葛に峠は高くなる 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202  
かなかなに澄みゆくばかり花背風 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202  
かなかなや肋一本なき人と 嵯峨根鈴子 火星 200207  
裏声で啼くかなかなのありにけり 宮原みさを 花月亭 200208  
かなかなの声も仕込みて缶詰屋 池田崇 200209  
生きざまと死に様通ずかなかなかな小林絹子 橋本幸 帆船 200209  
朝明のかなかな賛歌ききに出づ 阿部ひろし 酸漿 200209  
かなかなのこゑより風の生れそむ 佐藤よしい 風土 200210  
かなかなや三日が山の三日越す 山路紀子 風土 200210  
かなかなや日時計に影失せてをり 中根美保 風土 200210  
かなかなの声の出だしをゆづりあふ 鷹羽狩行 200210  
かなかなや川から日暮れの来る故郷 藤岡紫水 京鹿子 200210  
母許を去るにかなかな鳴きやまず 久保田雪枝 雨月 200210  
あかときの水の響きとかなかなと 山田弘子 円虹 200210  
かなかなや開山堂に星見えて 泉田政子 雲の峰 200210  
かなかなや酔ひたる僧が万屋に 根本孝子 春耕 200210  
かなかなの鳴きて江の島昏れ残る 新福ふく 春耕 200210  
かなかなや句稿投凾悔少し 後藤志づ あを 200210  
かなかなや夕雲つぎつぎ丘城址 丸山冬鳳 京鹿子 200211  
かなかなや稀に空手の外歩き 鷹羽狩行 200211  
かなかなや欄間に波の透彫 小山徳夫 遠嶺 200211  
かなかなにはじまる朝な朝なかな 宮地玲子 円虹 200211  
かなかなやお父さーんと夫呼びぬ 杉浦典子 火星 200211  
むかふ側にいつたりきたり夕かなかな 加藤みき 200211  
一日を巻き戻しをり遠かなかな 今村恵子 200211  
落人の径はかなかな通学路 笹村政子 六花 200211  
渓水のきららにかなかなかなかなと 大橋麻沙子 雨月 200211  
かなかなや我につきたる数へ癖 八代嫋 ぐろっけ 200211  
みづいろに鳴くかなかなのダム衰史 和田照海 京鹿子 200212  
夕かなかな酒を断ちたる日を数ふ 中村立身 百鳥 200212  
かなかなや茣蓙に正座の女の子 有村明子 百鳥 200212  
かなかなや戸締まり早き妻籠宿 飛高隆夫 万象 200212  
かなかなや林立の竹触れ合はず 村上和子 対岸 200212  
かなかなの終章の楽くりかへす 阿部正枝 遠嶺 200212  
湖風にかなかなしぐれ始まりぬ 山下美絵子 遠嶺 200212  
青春は過ぎて知るもの夕かなかな 赤池英津子 遠嶺 200212  
かなかなのかなたの戦傷日なりけり 関口八郎 200302  
老人ホームの父や母たち夕かなかな 佐藤喜孝 青寫眞 200304  
かなぶんとかなかな脚で闘へり 佐藤喜孝 青寫眞 200304  
川下へ買物にゆくかなかなかな 佐藤喜孝 青寫眞 200304  
かなかなに明けかなかなに夕心 井上哲王 ホトトギス 200309  
かなかなにつくづく命惜しきかな 井上哲王 ホトトギス 200309  
かなかなや誤字多かりし母の文 川島真砂夫 200309  
かなかなや谷の向かうに灯がひとつ 池屍足穂 雲の峰 200309  
かなかなの鳴いて大石りくの墓 野田光江 雨月 200309  
かなかなや明けつつ残る月の舟 阿部ひろし 酸漿 200309  
かなかなや急かさるること何もなき 城戸愛子 酸漿 200310  
梅雨の夕初かなかなの声のあり 大内恵 酸漿 200310  
初蝉はかなかななりし街に聞く 大内恵 酸漿 200310  
かなかなや未明の夢と混じり合ふ 中緒和子 酸漿 200310  
かなかなの一鳴網戸ふるはせて 中緒和子 酸漿 200310  
ゴンドラの夕かなかなの村に着き 高垣和恵 雨月 200310  
かなかなや享保と刻む手水鉢 渡辺政子 雲の峰 200310  
かなかなや爪さきだちに灯をともし 南うみを 風土 200310  
かなかなや釣堀つなぐ橋五つ 塩沢とき子 対岸 200310  
間伐のなき森深くかなかなかな 西宮舞 200311  
かなかなや無縁仏の万の石 池田光子 風土 200311  
かなかなや白む障子を少し開け 大西まりゑ 酸漿 200311  
かなかなや遠流の島の能舞台 大井東一路 百鳥 200311  
かなかなや文机二つ向ひ合ひ 神谷瑛子 百鳥 200311  
かなかなを振り切つて山下りけり 平田倫子 百鳥 200311  
かなかなの競ふ二の沢三の沢 乗光雅子 雨月 200311  
かなかなや赤い鼻緒の湯治客 延川五十昭 六花 200311  
老母の帰らないでとかなかな語 府川房江 遠嶺 200311  
かなかなや富士の名水汲みをれば 灘秀子 200311  
かなかなの山に入りたるジョベルカー 米澤光子 火星 200311  
かなかなや本籍移し墓移し 磯みどり 遠嶺 200312  
かなかなや壁に古代の舞楽面 内海はるか 200312  
かなかなや精根尽きしこの日頃 杉山瑞恵 雨月 200312  
かなかなや暁けゆく空の鴇いろに 岡淑子 雨月 200312  
夕かなかな帰へろ鍵穴見えるうち 荻野千枝 京鹿子 200312  
火星接近かなかなかなかな沁みとほる 田村みどり 京鹿子 200312  
もてあます暁のかなかな時雨かな 糸井芳子 200312  
かなかなや渡り廊下を日に三度 井上信子 200401  
かなかなや濡れ縁にニス塗り重ね 山仲英子 200408  
仇討ちを賛美せし世や夕かなかな 大串章 百鳥 200409  
かなかなの声を合図に畑に出づ 井関祥子 酸漿 200409  
風よぎる度にかなかな湧きあがる 水谷ひさ江 六花 200409  
夕べより朝かなかなのはるかかな 神蔵器 風土 200410 悼 池田絹女
かなかなや丹の美しき竹生島 岩木茂 風土 200410  
かなかなや下闇深き湧水池 辻恵美子 栴檀 200410 醒ヶ井
初かなかな父の墓前の供華替へて 神山テル 栴檀 200410  
人間の言葉使はせかなかな村 丸山佳子 京鹿子 200410  
かなかなや子授け岩の常湿り 丸井巴水 京鹿子 200410  
かなかなや光悦寺垣にあるほつれ 野口みどり 酸漿 200410  
かなかなや過疎化対策村総出 鏡山千恵子 帆船 200410  
かなかなやランプの火屋ほやを磨くとき 淵脇護 河鹿 200411  
遅れ来てかなかなを聞く末座あり 千坂美津恵 200411  
かなかなや連れ鳴きに暮れ蓑虫庵 長谷川閑乙 馬醉木 200411  
かなかなや少し長めの文結ぶ 亀ヶ谷照子 遠嶺 200411  
かなかなの厨に近く来て鳴けり 青木政江 酸漿 200411  
納骨にかなかなの声収めけり 金子輝 春燈 200411  
かなかなや夕日あかりの妣の部屋 武田巨子 春燈 200411  
かなかなや二人つきりのかくれんぼ 藤井智恵子 百鳥 200411  
かなかなや六戸となりし士族村 有山紫於 雨月 200411  
かなかなや金峯山寺の灯されて 鈴木五鈴 草の花 200411  
旅の日の湖のかなかな沸くごとし 淵脇護 河鹿 200412  
かなかなや傷みに怯ゆ車椅子 土生逸磨 河鹿 200412  
かなかなや御池に水漬く舟ひとつ 九万田一海 河鹿 200412  
かなかなやさびしからねどもう傘々 長谷川春 200412  
かなかなや燈百段の観音堂 大澤君予 遠嶺 200412  
水音へ夕かなかなの流れ初む 間島あきら 風土 200412  
かなかなや朝はまた来るまた来ると ことり 六花 200412  
あかときのかなかなは転生の母 ほんだゆき 馬醉木 200501  
かなかなや明るきうちに日の沈み 鷹羽狩行 200509  
かなかなが夕日はなさぬ湖北かな 鷹羽狩行 200509  
かなかなや遠嶺に夕日隠れゆく 卓田謙一 万象 200509  
かなかなや貧窮の思ひ出とならむ日も 瀧春一 菜園 200509  
身につきし懶情かなかなわめくなり 渡邉友七 あを 200509  
かなかなやキャンプ朝飯の煙上げぬ 三宅句生 馬醉木 200510 かなかな→ 2

2013年8月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。