ひぐらし 2     213句

くづれる家のひそかにくづれるひぐらし    種田山頭火

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし  かなかな

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風に消ゆ遠ひぐらしの声かそか 熊岡俊子 雨月 200609
ひぐらしや木立に消ゆる阿闍梨道 石垣幸子 雨月 200610
ひぐらしや神奈川宿の高札場 磯野たか 風土 200612
ひぐらしや風新しき雲と化し 池崎るり子 六花 200704
ひぐらしのいつぽんの木の故郷かな 鈴鹿仁 京鹿子 200709
ひぐらしや蘂ほのかなる白芙蓉 阿部ひろし 酸漿 200709
ひぐらしのいつしか風となりにけり 三浦晴子 200710
金色堂夕ひぐらしの浄土かな 君島栄子 酸漿 200710
ひぐらしのとぎれしよりのひとりなる 豊田都峰 京鹿子 200710
樹海より夕ひぐらしの湧きあがる 荒井書子 馬醉木 200710
ひぐらしの声のしぶける閼伽の桶 中山皓雪 200711
凭れゐる樹にひぐらしの鳴きはじむ 戸栗末廣 火星 200711
法話聴くひぐらし時に和すごとく 中原敏雄 雨月 200711
暫くを初ひぐらしに浸るかな 坪井洋子 200711
ひぐらしの白馬安曇野鳴き通す 鈴木多枝子 あを 200711
ひぐらしのこゑ銀箔を曇らする 水野恒彦 200712
暁ひぐらし二度寝の夢のたしかさよ 益本三知子 馬醉木 200712
ひぐらしや胸の底ひを水流れ 伊東恵美子 馬醉木 200712
ひぐらしの声につつまれ一軒家 佐藤和子 万象 200801
ひぐらしのとほさに灯りさそはるる 豊田都峰 京鹿子 200809
夕ひぐらし煙草止めたる夫とゐる 城孝子 火星 200809
ひぐらしの塗り込む杜は斎宮址 豊田都峰 京鹿子 200810
ひぐらしのさそふあたりは庵あと 豊田都峰 京鹿子 200810
ひぐらしの染み込んでゐるわが句帳 豊田都峰 京鹿子 200810
明けのひぐらし雨は珠絹かもしれぬ 関根誠子 炎環 200810
ひぐらしの波状抱擁剥がされさう 関根誠子 炎環 200810
夕ひぐらしヒトの脱け殻ナンニン 関根誠子 炎環 200810
夜明聞く梅雨ひぐらしは母の声 中島伊智子 酸漿 200810
蜩の奥にひぐらし峡のバス 米山のり子 馬醉木 200811
貝塚へひぐらしの道抜けにけり 藤田良 炎環 200811
遠ひぐらし母の囁きかも知れぬ 中西蘭子 炎環 200811
ひぐらしや近江の絵馬の混み合へる 米澤光子 火星 200811
ことしまた初ひぐらしをおとうとと 奥田順子 火星 200811
ひぐらしの幹のまはりの微熱かな 中尾公彦 200811
ひぐらしや心細さはご同様 菊谷潔 六花 200811
ひぐらしに閉づる夕日の大手門 森ひろ 馬醉木 200812
ひぐらしの別れの曲や吉野越 山中宏子 200812
我が海馬に夕ひぐらしのオノマトペ 大島翠木 200812
ひぐらしの最後の声のセピア色 松原仲子 200812
ひぐらしや弓道場に的ひとつ 遠藤和彦 彩雲 200901
ひぐらしやよすがの山の人となる 鈴鹿仁 京鹿子 200909
ひぐらしや北国街道くきと折れ 片山由美子 200910
ひぐらしや庄内藩の城の内 縄文人 炎環 200910
ひぐらしの中の一服澁茶かな 伊藤洋子 200911
蜩がひぐらしを呼び風となる 伊東恵美子 馬醉木 200911
いつまでもいつまでもひぐらしなく日 大川ゆかり 200911
ひぐらしの木に吊しあり地蔵の灯 城孝子 火星 200911
山没日ひぐらしのこゑまぶしたる 戸栗末廣 火星 200911
ひぐらしや亡夫との旅を辿りなば 名取袿子 200912
ひぐらしやこゑ出して師を忍びたる 木下もと子 200912
ひぐらしや結界越えし湖の寺 江本路代 酸漿 200912
巫女の鈴振ればひぐらし応へけり 鳳蛮華 201001
ひぐらしや死を諾へどわれ急かず 南光翠峰 馬醉木 201011
ひぐらしの声にも気品御所なれば 木村幸 201011
ひぐらしの谿より届く手漉き和紙 浜口高子 火星 201011
上がらずに子の帰りけり夕ひぐらし 蘭定かず子 火星 201011
ひぐらしや硯にすこし水を足す 宮川みね子 風土 201011
料亭の手水の小石夕ひぐらし 安田一郎 京鹿子 201011
黄昏の森ひぐらしの根限り 小林一榮 末黒野 201012
ひぐらしや一人降りたる無人駅 稲垣佳子 末黒野 201012
ひぐらしのこゑの頻りや森の縁 渡邉孝彦 やぶれ傘 201012
ひぐらしにかの残像のよみがへり 年森恭子 ぐろっけ 201012
ひぐらしやそろそろ腰を上げようか 矢野百合子 201101
ひぐらしの静まりゆくや一番星 山口天木 雨月 201105
初ひぐらし「女人結界」しるべ内 坂上香菜 201109
ひぐらしにいよよ古刹の霊気かな 松岡和子 201110
ひぐらしをきき水底にゐるごとし コ田千鶴子 馬醉木 201110
ひぐらしの夕の輪唱十方へ 小林輝子 風土 201110
ひぐらしや鎌を片手に山下る 田中文治 火星 201110
初ひぐらし一ト声のみの早とちり 小菅礼子 春燈 201110
ひぐらしや画架に残りし未完の絵 コ田千鶴子 花の翼 201111
病む夫も夕ひぐらしも遥かかな コ田千鶴子 花の翼 201111
ひぐらしの真昼を鳴きて雨誘ふ 江澤弘子 201111
ひぐらしの声ふりかぶる鞍馬寺 江澤弘子 201111
ひぐらしに目覚めこの世の青畳 村上倫子 201111
ひぐらしや「長姫神社」の淋しらに 小野寺節子 風土 201111
ひぐらしや赤信号に立ちどまる 丑久保勲 やぶれ傘 201112
ひぐらしのこゑ裏山へ遠ざかる 渡邊孝彦 やぶれ傘 201112
ひぐらしと鳥語沁み入る山湖かな 西川みほ 末黒野 201112
ひぐらしに囲まれ出ず野天の湯 仲田眞輔 ぐろっけ 201112
ひぐらしに琴の音和する佳き日かな 相沢有理子 風土 201112
ひぐらしや鉄輪の事をくりかへし 熊川暁子 201112
ひぐらしや木の間隠れの庵の灯 豊田都峰 水の唄 201203
山荘のひぐらし町に届かざる 稲畑汀子 ホトトギス 201208
雨上がりひぐらしの声さえわたる 丸山酔宵子 かさね 201210
ひぐらしや参道長き社かな 菊地崇之 かさね 201210
ひぐらしの遠音に暮るる宗祇水 臼杵游児 春燈 201210
ひぐらしの声かやぶきに消え入りぬ 中井登喜子 201211
砂遊び夕ひぐらしの鳴きはじめ 伊藤憲子 201211
ひぐらしや三百段の奥の院 田中清秀 かさね 201211
ひぐらしの森に分け入り少し老ゆ 辻前冨美枝 201211
ひぐらしの鳴きのこしたるごとき祠 豊田都峰 京鹿子 201211
夕ひぐらし轆轤挽く手の止まりたる 前田忍 火星 201211
ひぐらしの余情より抜け出せぬまま 田中貞雄 ろんど 201211
声かけて洗ふ子の墓遠ひぐらし 安立公彦 春燈 201212
ひぐらしの止まざる森や雲魚亭 神田恵琳 跫音 201303
ひぐらしの真つ只中や弓絞る 岡田史女 私の一句 201307
夕遍路梅雨ひぐらしに歩をゆるめ 綿谷ただ志 馬醉木 201309
ひぐらしに鳴き包まれて句帳閉づ 大石よし子 雨月 201310
ひぐらしの鳴きつぎ影絵劇はじまる 豊田都峰 京鹿子 201310
ひぐらしや祠への道細りゆく 豊田都峰 京鹿子 201310
桜樹老ゆ初ひぐらしを縋らせて 小川玉泉 末黒野 201310
ひぐらしの一語が一語誘ひけり 内藤静 風土 201311
病院を出てひぐらしを振りかぶる 塩田博久 風土 201311
ひぐらしの声の奥より盆の月 岩木茂 風土 201311
凭れゐる木にひぐらしの鳴きはじむ 戸栗末廣 201312
かなかな聴く母校ひぐらし小学校 塩田博久 風土 201312
ひぐらしや午後の日陰の深まりて 川村亘子 末黒野 201312
夕ひぐらし青き水面を震はせて 中井登喜子 201312
ひぐらしに十七年の月日かな 久保田万太郎 春燈 201408
一日足る夕ひぐらしのさざ波に 森岡正作 201409
ひぐらしのさそひに林の径ほそし 豊田都峰 京鹿子 201410
ひぐらしの鳴いて寺領の寂深め 菅野日出子 末黒野 201411
輪唱は遠ひぐらしに倣ふかな 田中貞雄 ろんど 201411
夕ひぐらし来し方遠く遠くなり 阪上多恵子 雨月 201411
森にひぐらし脳の疲れの執刀医 堀内一郎 堀内一郎集 201412
ひぐらしや木立の空気動かさず 清水量子 201412
ひぐらしや胸の余白の広ごりぬ 紅谷芙美江 万象 201412
ひぐらしの語尾の省略うすずみに 鈴鹿けい子 京鹿子 201501
ひぐらしのぺージは痛い白のまま 直江裕子 京鹿子 201501
ひぐらしの一啼けふの終りたり 井上石動 あを 201509
リハビリヘ坂ひぐらしのなかにかな 宮川みね子 風土 201510
ひぐらしの奥多摩道や塩むすび 土屋光男 春燈 201511
ひぐらしやどちら向いても山ばかり 吉永すみれ 風土 201511
ひぐらしや人生疾くと終盤に 舘泰生 風土 201511
ひぐらしを待つともなしに酒となり 根橋宏次 やぶれ傘 201511
ひぐらしのこゑをぐるりに石切場 藤井美晴 やぶれ傘 201511
ひぐらしに追ひつめられし水のいろ 中田みなみ 201511
ひぐらしやあの世あひたき人ばかり だいじみどり 201511
ひぐらしの声を遠くに山仰ぐ 樺山翠 雨月 201511
ひぐらしの鳴きやまぬまゝ夕日落つ 河島坦 京鹿子 201512
ひぐらしを聞きて水面の暮れてゆく 村高也 末黒野 201512
風やみて今微に入りし遠ひぐらし 池永加代 京鹿子 201601
ひぐらしやなすべきことの手に余り 森清堯 末黒野 201601
ひぐらしや句碑に誰が来し香の灰 山田六甲 六花 201609
ひぐらしや紀伊の湯壺の溢れつつ コ田千鶴子 馬醉木 201610
ひぐらしの声の底なるひとり住 白井友梨 馬酔木 201611
ひぐらしや飢ゑし日のこと考のこと 錫木妙子 馬酔木 201611
かなかなに覚めひぐらしの径帰る 南うみを 風土 201611
ひゆうと鳴く風の電話か夕ひぐらし 塩貝朱千 京鹿子 201611
ひぐらしやたつぷりと聴く姉の愚痴 田代貞香 201611
放心にをりひぐらしの谷暮るる 新海英二 春燈 201611
ひぐらしや陽明門のねむり猫 菊池洋子 やぶれ傘 201611
ひぐらしの輪唱に丘昏れにけり 小川玉泉 末黒野 201611
ひぐらしを聴き少年の儘でゐる 丸井巴水 京鹿子 201612
ひぐらしと風の径ゆく寺領林 牧原嘉子 京鹿子 201612
ひぐらしや陽明門のねむり猫 菊池洋子 やぶれ傘 201612
ひぐらしに急かされ野外映写会 秋川泉 あを 201610
ひぐらしを聴き少年の儘でゐる 丸井巴水 京鹿子 201701
死を軽しと言ひし友あり夕ひぐらし 小山田子鬼 201708
河口とは佇むところ夕ひぐらし 亀井福恵 京鹿子 201709
母郷とはひぐらし鳴ける空のいろ 小山田子鬼 201710
ひぐらし→3      

 

2021年9月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。