土用干    84句

鎧着て疲れためさん土用干 去来

土用のつく季語  土用  土用あい  土用鰻  土用灸  土用東風

土用凪  土用波  土用干  土用芽  土用餅  土用蜆  土用芝居

土用見舞  秋土用  寒土用

作品
作者
掲載誌
掲載年月
土用干し夫のベルトを加へけり 飯塚ゑ子 火星 199810
シュミーズが二階に干され土用波 寺田良治 船団 199812

 句集『鶴唳』より

贋作ときまりたれども土用干

大橋櫻坡子 雨月 199907
気兼ねせず風通りぬけ土用干し 雫槍紀代 199909
江戸情緒残る旅籠の土用干し 吉田飛龍子 春耕 199910
土用干母の手縫の衣多く 小菅暢子 200009
川宿に投網干さるる土用かな 升本行洋 春耕 200010
帯締の伸び切つてをり土用干 林田江美 馬醉木 200010
土用干をして樟脳の空ぶくろ 雨村敏子 200011
土用干し釦一つは淋しかろう 齋藤一湖 海程 200107
部屋中に思ひ出ひろげ土用干 前田達江 200109
荒布干す荒磯の土用太郎かな 根岸善雄 馬醉木 200110
これといふ家宝もあらず土用干 大石よし子 雨月 200110
ふた昔通さぬものを土用干 波多江イツ子 200111
並べ干す塩噴く草履土用凪 西野愁草子 200111
寅次郎めくや雪駄の土用干し 中山杲 船団 200112
あり金をはたきし記憶土用干し 朝井きよ子 200201
土用照ひびの入るまで田水干す 朝妻力 雲の峰 200209
土用干し担任をせし児の作文 水野弘 ぐろっけ 200210
丁髭ちょんまげの曾祖父の絵も土用干 西村純一 雲の峰 200309
在りし日の夫の声きく土用干 村林久子 遠嶺 200311
土用干しひとつは父の遺愛の書 淵脇護 河鹿 200411
土用干想ひ出と言ふ不用品 大塚まや 京鹿子 200508
燦然と金鵄勲章土用干 辰巳比呂史 200509
梅干や土用三日を干し終へて 小松渓水 酸漿 200510
遣書遺品地震十年の土用干 堀井英子 雨月 200510
ともどもに年を重ねて土用干 藤井昌治 200510
夫在りし頃の詩日記土用干 瀬尾幸代 200511
絹の香のほのとありけり土用干 大石たか 遠嶺 200511
土用干一つ畳紙に父母の衣 池上和子 築港 200511
身につけしおぼえなきもの土用干 望月晴美 200608
土用干し念仏舞の綿衣裳 紺野とも子 200610
土用干しつけあるまま母の衣 秋千晴 200708
土用干記憶の間つながりし 岡部名保子 馬醉木 200709
土用干し明治の母に座り胼胝 大川冨美子 ぐろっけ 200711
連れ添うて四十六年土用干し 田中時子 八千草 200801
妻でありし頃の羽織も土用干し 長谷川智弥子 炎環 200809
断ちきれぬ思ひ出胸に土用干 綿谷美那 雨月 200810
あたらしき匂袋や土用干 中村房子 馬醉木 200811
着ぬままの三棹の箪笥土用干 高木典子 雨月 200811
土用東風干すもの多き農の軒 大槻光枝 京鹿子 200901
手に入れし短冊加へ土用干 稲畑汀子 ホトトギス 200907
土用干弊衣破帽の君に遇ふ 藤原照子 200909
思ひ出の詰まる振袖土用干 竹内悦子 201010
秀吉と家康の書を土用干 古田考鵬 雨月 201010
米櫃の底を晒せり土用干 辻井ミナミ 末黒野 201011
早起きの手に手に土用干しの紐 伊藤希眸 京鹿子 201011
父の眼鏡使はず捨てず土用干 松本三千夫 末黒野 201110
臍の緒は樟脳まみれ土用干 宮井知英 201110
土用干し候文の軍事便 藤田かもめ ぐろっけ 201111
身中の虫を宥める土用干 山本孝子 ろんど 201202
妣真似て部屋に紐張る土用干し 村上倫子 201208
共に老い妻を手つだふ土用干 長憲一 201210
樟脳は昭和のにほひ土用干し 時澤藍 201210
入院の夫のゐぬ間の土用干 竹内悦子 201210
亡き夫の図面の嵩や土用干し 佐野和子 万象 201211
ご破算にならぬこの世の土用干し 松田都青 京鹿子 201211
三代に渡る羽織の土用干し 高橋均 やぶれ傘 201301
その中に父の句集や土用干し 森屋慶基 風土 201310
袖通すあてなきままに土用干 坂口郁子 末黒野 201311
兵歴を記す父の書土用干 岡田史女 末黒野 201311
歳時記の解れ繕ひ土用干 石橋萬里 ぐろっけ 201311
虚子朱筆六十余年や土用干 竹下陶子 ホトトギス 201402
頼朝の瓜実顔を土用干 山本耀子 絵襖 201404
谷落しの獅子の子が宙土用干 山尾玉藻 火星 201409
土用干人は宇宙の善玉菌 高橋将夫 201409
抽斗を引出しておく土用干 高橋道子 201410
手習ひの幼き文字や土用干 古川幸子 春燈 201410
乳張りし頃の紅絹裏土用干 湯谷良 火星 201410
土用干し路地にけだるきジャズ流れ 萩庭一幹 馬醉木 201410
紅絹裏の匂袋も土用干 来海雅子 201509
語られぬ思ひ出もあけ土用干し 大橋伊佐子 末黒野 201511
土用干別けても父の釣果録 田村園子 201511
海の日に山の日くはへ土用干し 今井充子 201611
十余年の俳誌末黒野土用干 磯部愛子 末黒野 201710
土用干思ひ出たたみ直しけり 小倉陶女 春燈 201909
笊赤く染めたる梅の土用干し 篠原美千子 雨月 201912
三人の吾子の臍帯土用干 青柳雅子 春燈 202009
土用干し夫の遺愛のキスリング 平居澪子 六花 202011
土用干愛とふ手間を繰り返す 平松うさぎ 202110
すてられぬ母の黄楊櫛や土用干 菅野日出子 末黒野 202210
彼の人の筆の献辞や土用干し 内山みち 末黒野 202211
土用干ことに重たき婚の帯 宮井知英 202302
文楽の衣裳も交じる土用干 曽根富久恵 202302

 

2023年7月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。