余 寒 4     131句

鶯はきかぬ気でなく余寒かな    一茶

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

寒が明けてからまだ残る寒さ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
孤高とは猫の瞳にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201002
回復期らしきメールの来る余寒 竹内弘子 あを 201003
藩校の畳の荒れし余寒かな 豊谷青峰 春燈 201004
黒々とお堀の水の余寒かな 矢口笑子 春燈 201004
採血のナースの指の余寒かな 中島玉五郎 201004
指先まで袖をひっぱる余寒の日 今中道子 201005
雨戸引く音の重たき余寒かな 浅田をさむ 201005
転倒の膝に余寒の痣徐々に 木下もと子 201005
耳飾り鏡の中の余寒かな 雨村敏子 201005
オーロラの夢より醒めし余寒かな 岩月優美子 201005
聞か猿が真中余寒の庚申塔 大島英昭 やぶれ傘 201005
瓦斯の火の鍋の下這ふ余寒かな きくちきみえ やぶれ傘 201005
寝る前の独りリハビリ余寒の灯 山田をがたま 京鹿子 201005
出不精な齢となりし余寒かな 川崎光一郎 京鹿子 201005
志あれど余寒の運不運 上山永晃 春燈 201005
喜寿自賛余寒自愛を命じけり 上山永晃 春燈 201005
井戸香炉銘は「此の世」の余寒かな 橘正義 春燈 201005
空つぽの一輪挿しの余寒かな 井上春子 春燈 201005
愛猫の声うらがへる余寒かな 矢口笑子 春燈 201005
星空の余寒まともに耳ふたつ 松本三千夫 末黒野 201005
ライターの炎の揺るる余寒かな 小山紫乃布 末黒野 201005
ちぎり絵の指に残れる余寒かな 立野千鶴子 末黒野 201005
目覚むれば肩に淋しき余寒かな 藤田千枝子 末黒野 201005
釣鐘に籠る余寒や街の音 根本公子 末黒野 201005
間伐の切り口白き余寒かな 本田耕造 末黒野 201005
炬燵猫共に過せる余寒かな 小山ナオ子 酸漿 201005
人気なき部屋の鏡の余寒かな 中田みなみ 201005
幾百の鬼面にすくむ余寒かな 塩路隆子 201006
妻寝かせ水仕の二更余寒なほ 中島ひろし 末黒野 201006
サーファーの真つ黒の来る余寒かな 後藤那生 ろんど 201006
面影を偲ぶ余寒の灯を低く 安原葉 ホトトギス 201007
水底に日溜のある余寒かな 岩垣子鹿 ホトトギス 201007
鍵穴のうちそと余寒居座りぬ 栗栖恵通子 201007
余寒に首だして釣鐘饅頭屋 山尾玉藻 火星 201103
東京タワー余寒のネオン挿頭しけり 阿部泰子 春燈 201104
予後の身を気使ふ余寒黄花咲く 黒澤登美枝 201104
独酌の量の増えゆく余寒かな 大橋晄 雨月 201104
余寒なほくろぐろと浮く潜水艦 宮内とし子 201104
声張らぬ鴉群れゐる余寒かな 赤座典子 あを 201104
余寒かな溶接明かり夕べ見て 定梶じょう あを 201104
鳥の羽根欲しや余寒の大津波 鈴木照子 201105
太梁にハーブ干したる余寒の日 西面和子 201105
骨折の仔細に及ぶ余寒かな 木村傘休 春燈 201105
ひとり居の背に貼りつく余寒かな 西川春子 春燈 201105
余寒なほ見せ消ち多きわが句帳 松本三千夫 末黒野 201105
煙草屋の奥に顔ある余寒かな 藤田素子 火星 201105
日の光目に見えつつも余寒なほ 伊藤一枝 酸漿 201105
白鷺の透きとほりゐる余寒かな 笹村政子 初鼓 201105
余寒その後書棚の塵は誰が払ふ 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
書斎には向かぬ余寒の手暗がり 井田実代子 雨月 201105
嘴太鴉頭上掠めし余寒かな 鈴木静恵 春燈 201106
放射能汚染の食品に泣く余寒 池田光子 201106
余寒なほ崖めく壁の津波線 岡部玄治 201106
本堂へ日矢一条の余寒かな 菅野日出子 末黒野 201106
境内の砂利踏む音の余寒かな 横路尚子 末黒野 201106
末裔の案内に余寒武者走り 竹下昭子 ぐろっけ 201106
ことさらに余寒厳しき武者隠し 竹下昭子 ぐろっけ 201106
会見は部外者の如余寒なほ 中島節子 ぐろっけ 201106
釘付けの地震の映像余寒大 中島霞 ぐろっけ 201106
余寒など吹つ飛ぶ露天の女風呂 藤井久仁子 ぐろっけ 201106
到着の電車待つ間の余寒かな 有本勝 ぐろっけ 201106
豊後梅咲くをためらふ余寒かな 夏目満子 酸漿 201106
巨大津浪余寒の町を裏返す 山田暢子 風土 201106
オランダの木橋にあいつのいる余寒 坪内稔典 船団 201107
仮の世の余寒に柩並べられ 工藤節朗 201107
兜煮の白目をこぼす余寒かな 能美昌二郎 201107
ドリツプコーヒー落ちはじめたる余寒 きくちきみえ やぶれ傘 201107
ふつきれぬ余寒と余震そして我 田中貞雄 ろんど 201107
点眼の一滴にある余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
天意なほ吾に生きよと余寒あり 竹下陶子 ホトトギス 201109
鹿の眼に灯の移りゆく余寒かな 雨宮桂子 風土 201111
看護師と片目で会話する余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201202
ふたたびの余寒に備へありしこと 稻畑汀子 ホトトギス 201202
ありし日のままの書棚にある余寒 山田佳乃 ホトトギス 201207
カウンター君との距離にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
かけ違ふボタンの一つ余寒かな 鈴木セツ 201204
そのままの父の書斎の余寒かな 山田本女 末黒野句集 201203
ものわかりよすぎし人の余寒かな 三上程子 春燈 201205
芦屋川水無き幅にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
閏日の予定空白なほ余寒 稲畑汀子 ホトトギス 201302
餌台にひまはりの種余寒かな 西村節子 火星 201205
遠目路に終電の灯や余寒なほ 藤見佳楠子 201204
音信のなき友の夢余寒かな 長崎桂子 あを 201205
兜煮の煮凝りゆるる余寒かな 豊美佐子 万象 201206
観桜の幹事余寒をしきりに詫び 塩田博久 風土 201207
橋渡る靴音固き余寒かな 井上春子 春燈 201205
鍵穴を探す余寒の夕間暮れ 細川コマヱ 雨月 201205
咲くころと覗く花壇に余寒かな 羽賀恭子 201206
山寺のもれくる経や余寒の灯 飛田典子 末黒野句集 201203
自販機に札戻さるる余寒かな 田岡千章 201205
捨て舟の水漬く余寒の山湖かな 神谷さうび 末黒野句集 201203
床屋出る幼のうなじ余寒なほ 古林田鶴子 ぐろっけ 201206
神官の木靴の響く余寒かな 宮元陽子 末黒野句集 201203
総門の屋根の傾斜にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
草庵の竹藪占むる余寒かな 岡野里子 末黒野 201206
藻の陰に稚魚のかたまる余寒かな 佐津のぼる 六花 201212
速報の地震の字にある余寒かな 涌羅由美 ホトトギス 201206
太陽を一と日見ざりし余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 201302
太郎冠者余寒の板を踏みにけり 野口喜久子 ぐろっけ 201205
地震の傷癒えし山家の余寒かな 正谷民夫 末黒野句集 201203
置き忘れ仕舞忘れのふえ余寒 座古稔子 201204
鳥声なき緑化センター余寒なほ 福田かよ子 ぐろっけ 201205
直せない早とちり癖余寒なお 鎌田慶子 ろんど 201205
釣舟のあまた繋がれ湖余寒 平田榮子 春燈 201204
天井の竜の目にある余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
天狼星青き光にある余寒 涌羅由美 ホトトギス 201206
道化師の化粧の紅の余寒かな 西村純太 201205
曇る日の小雨に変る余寒かな 鈴木友子 末黒野句集 201203
白樺の樹皮の薄さや余寒なほ 濱和代 万象選集 201205
被災地を憚り通る余寒かな 本間羊山 風土 201204
琵琶響く能楽堂の余寒かな 荒木千秋 末黒野句集 201203
風固し海より寄せてくる余寒 稲畑汀子 ホトトギス 201302
保存食に買ひし余寒の「ビスコ」缶 鈴木照子 201204
亡兄の書棚にひそむ余寒かな 伊藤由良 末黒野句集 201203
本堂へ長き廊下に踏む余寒 湖東紀子 ホトトギス 201207
問うてゐる余寒答へてゐる震へ 立村霜衣 ホトトギス 201206
門灯の消えたる路地や余寒なほ 今村千年 末黒野句集 201203
余寒なおボルシチ煮込むあと五分 鶴濱節子 始祖鳥 201206
余寒なほ縁者の惚けゆくを目に 長崎桂子 あを 201205
余寒なほ黒塀つづく武家屋敷 土井ゆう子 風土 201206
余寒なほ鳥居の紙垂の揺るるなく 有賀昌子 やぶれ傘 201209
余寒なほ夜空の星を輝かせ 稲畑汀子 ホトトギス 201302
余寒なほ癒えし手に持つ粥茶碗 山口誠 馬醉木 201206
余寒なほ腕失せたる持国天 加藤美代子 万象選集 201205
余寒なほここは河内の比丘尼寺 川井秀夫 ろんど 201206
余寒まだ続く喪心なほ続く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
余寒夜へつゞき星空拡がりし 稲畑汀子 ホトトギス 201302
陽だまりといふも余寒の中なりし 布川直幸 201202
浚ひたる池にもの燃す余寒かな 杉浦典子 火星 201206
漱石庵に猫の道ある余寒かな 湯上稔子 春燈 201205
醪沸く音ふつふつと余寒かな 園部蕗郷 春燈 201205
余寒→5      

 

2021年2月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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