寒戻る    134句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
指紋みな左に流れ寒戻る 大沢みちの 青湖 199805
竹簡の彫りくろぐろと寒戻り 鷹羽狩行 199902
若き日の傷痍疼きぬ寒戻り 松崎鉄之介 199904
寒もどり夕べにしまふ花小鉢 渋沢小枝 いろり 199904
カルテから浮かぶ癌の字寒戻る 井田道子 199906
寒戻りパソコンのキー意に添はず 今井忍 ぐろっけ 199906
ひよいと死ぬ話のつゞき寒戻る 笹村政子 六花 200005
ボン発の旅信投函寒戻り 福場朋子 200006
寒戻り平均寿命近くあり 久保田一豊 いろり 200006
人寝ねしのちの灯に寒戻りけり 宮津昭彦 200104
寒戻る川に滑らぬ石を打つ 大森美恵 風土 200105
蝋涙の透きて熱しや寒戻り 鷹羽狩行 200202
芯ありし父のげんこつ寒戻り 鷹羽狩行 200203
赤啄木鳥の枝に黙せり寒もどり 永見博子 酸漿 200204
峰打ちを食らひしごとき寒戻り 鷹羽狩行 200303
不整脈圧へて離す寒もどり 後藤志づ あを 200303
起きぬけの厨を包む寒戻 山本静江 築港 200305
裏通り思はぬ事故や寒もどる 横瀬伸子 帆船 200305
バス停にポストと少女寒もどり 内山けい子 200305
何くれと嫁の気遣ひ寒戻り 葛馬房夫 雨月 200306
樂鳴らし灯油屋の来る寒もどり 北村香朗 京鹿子 200306
寒戻り暖簾斜めに潜る店 射場智也 六花 200307
寒戻る納竿速む太公望 中田征二 ぐろっけ 200405
寒戻る帽子忘れし頭より 中田征二 ぐろっけ 200405
松に降る雪の眺めも寒もどり 大橋敦子 雨月 200405
玻璃越しの陽に騙されし寒戻り 楯野裕子 200406
寒戻る小諸荒町荒物屋 小林優子 酸漿 200406
漉桁の手捌き踊る寒もどり 浅野恵美子 酸漿 200406
強情の情使ひよう寒戻る 鈴鹿仁 京鹿子 200503
ねんごろに鰤大根や寒もどる 小松鈴子 酸漿 200504
星一つ風に光りて寒戻り 鵜飼紫生 雨月 200505
寒もどりワインの城も人まばら 水野弘 ぐろっけ 200505
熊野路に筋金入りの寒戻る 永井雪狼 200506
白昼の音の消えゐる寒戻り 二瓶洋子 六花 200506
篠懸の幹の斑くきと寒戻り 松原ふみ子 200506
メタセコイヤの裾の水音寒もどり 中谷葉留 風土 200506
寒もどり四つ目格子に女の眼 横井博行 万象 200510
死者は戻らず生者には寒戻り 鷹羽狩行 200603
女湯の覚えある声寒もどり 山田六甲 六花 200603
寒戻る家に籠りて十七字 須賀敏子 あを 200604
竹林の琅玗色に寒戻る 上薗櫨夫 河鹿 200605
外濠に月の貼りつく寒戻り 上谷昌憲 200605
鏡面に小疵のあまた寒もどり 塚越美知子 200605
書の首尾のかんばしからず寒もどり 椋本一子 雨月 200605
寒もどり独居房を覗きをり 梅村五月 栴檀 200605
寒戻りたる石人に朱がのこり 角直指 京鹿子 200606
動物園不協和音の寒戻る 禰寝瓶史 京鹿子 200606
寒もどる夜明前なる月丸し 阿部文子 酸漿 200606
寒戻りみな反り返る木つ端仏 小池八重子 200704
前歯抜き口噤みゐる寒戻り 大橋敦子 雨月 200704
寒戻る神馬木となり埒もなし 鈴鹿仁 京鹿子 200704
撫牛のざらついてゐる寒戻り 北川たみ子 200706
黝ぐろと潮のぼる河寒戻り 小島みつ代 200706
寒もどりお酒呑みたい気分です 横山迪子 六花 200706
寒戻り妻不得手なる家事整理 村田とくみ ぐろっけ 200707
寒戻りけり水底のごはん粒 山尾玉藻 火星 200803
寒戻る水湧く村の屋敷神 高松由利子 火星 200805
藁苞の中の赤き芽寒戻る 山本耀子 火星 200805
老いを打つ確定申告寒もどる 馬場宏一 春燈 200805
寒もどりけり水煙の空の青 丸山照子 火星 200805
漬樽の薄黴に寒もどりけり 山本耀子 火星 200805
寒もどり閨のすさびの幾夜さを 溝内健乃 雨月 200805
絹糸のぴんと鳴らして寒戻る 上原榮子 京鹿子 200901
寒戻るピエロの鼻の真つ赤つ赤 布川直幸 200904
寒戻る戻らなくともよいものを 布川直幸 200904
ひよどりの来ぬ静けさよ寒戻る 早崎泰江 あを 200904
学園に化石ざらつき寒戻り 北川光子 ぐろっけ 200905
一語のスパイス妙に利きたる寒戻り 益田寿美子 春燈 200905
杜子春のはかなき夢に寒もどり 鈴木勢津子 樹間 200911
黒鯉まごい吐く口髭に寒戻りけり 山田六甲 六花 201002
鷺は川に吾橋渡る寒もどり 荻野千枝 京鹿子 201005
先師句碑永久に声なく寒もどり 荻野千枝 京鹿子 201005
一条の厨の水や寒もどり 藤田千枝子 末黒野 201005
寄ればどこか病める話や寒戻り 芝孝子 末黒野 201005
庭下駄の裏返りゐる寒戻 松本文一郎 六花 201006
禅寺の庭モノトーン寒戻る 石川かおり 201104
禅寺の床軋む音戻り寒 石川かおり 201104
寒戻る鍵箱にまた鍵かけて 諸岡和子 201104
寒戻る悪さの猿また畑に 谷口俊郎 201105
寒もどり戸外のリハビリ一頓挫 山田をがたま 京鹿子 201105
底浅き底脱の井や寒戻る 松本三千夫 末黒野 201105
寄り合うて眠る猫たち戻り寒 溝口健也 201105
寒戻る獄死・殉死の合葬寺 田中貞雄 ろんど 201105
未曾有の災害更に寒戻り 西垣順子 201106
托鉢の僧の念仏寒戻り 前田美恵子 201106
寒戻り南に雲を押し込めて 大坪景章 万象 201106
戻り寒敢へて背筋を伸ばしたる 谷泰子 ぐろっけ 201106
戻り寒成るべき話躓きて 品川鈴子 ぐろっけ 201202
交差点の人達磨めく寒戻り 品川古市 末黒野句集 201203
身の緊る伊勢神域や寒戻る 吉村勝也 末黒野句集 201203
寒戻る居間にぼそつとだんご虫 布川直幸 201204
戻り寒朝の紅茶に生姜入れ 藤見佳楠子 201204
寒戻り帰るそぶりを見せずなり 布川直幸 201301
寒戻り昔闇市高架下 大西和子 ぐろっけ 201307
投函ののちの四五日寒戻る 生田恵美子 風土 201401
幼な友相次ぐ他界戻り寒 品川鈴子 ぐろっけ 201402
肩書もハンドルも棄て戻り寒 品川鈴子 ぐろっけ 201403
亀池に寒の戻りのとどまれる 山尾玉藻 火星 201404
招かざる客来たるごと寒戻り 大堀賢二 201405
寒戻る大音響にカーラジオ 鈴木江奈 201405
戻り寒ゴム風船の犬凋み 粟倉昌子 201405
忘れ物せしかに寒の戻り来る 大橋晄 雨月 201405
戻り寒蕾ウインクするばかり 森下康子 201406
戻り寒む記憶のひとつ揺れて居り 北川孝子 京鹿子 201406
毛糸編む手の休みなし戻り寒 菅野蒔子 末黒野 201406
寒戻るまた考へを振り出しに 布川直幸 201502
病棟の消灯コール寒戻る 森下康子 201504
あかしやの棘きらきらと寒戻る 成智いづみ 馬醉木 201504
四天王を四隅に手水寒戻る 下山田美江 風土 201505
日本海まだ芯のある寒戻り 太田チヱ子 末黒野 201507
土臭きサッカー少年寒戻る 布川直幸 201602
寒戻るマンション保安パトロール 佐藤惠子 風土 201605
呑み込めぬ嵩の郵便寒戻る 笠井敦子 201606
戻り寒足踏みて待つエレベーター 布川孝子 京鹿子 201607
寒戻る歩幅小さく息詰めて 宮田豊子 春燈 201704
寒戻る予兆の腰の痛みかな 山本無蓋 201705
講堂に竹刀のひびき寒戻る 笠井敦子 201705
拭へどもくもる手鏡寒戻る 笹村政子 六花 201705
寒戻りほんの些細な行き違ひ 前田美恵子 201706
素うどんに葱たつぷりと寒戻る 田中珠生 馬醉木 201804
リハビリの歩行躓く寒戻り 田中繁夫 末黒野 201805
橋脚にぶつかる波や寒戻る 天野美登里 やぶれ傘 201805
寒戻るひとりお百度踏む人に 尾崎みつ子 雨月 201806
深更のぺージ繰る指寒戻り 町山公孝 201904
空の気と地の気とがるや寒戻る 竹中一花 201905
鋏持つ指のかたまる寒戻り 森屋慶基 風土 201906
橋鼻に「山門不幸」寒戻る 間島あきら 風土 202002
気を付けて嗽手洗ひ寒戻る 長崎桂子 あを 202004
竹林の風打ちあへる寒戻 山田六甲 六花 202202
トンネルに雪の警告寒戻り 村田敦子 やぶれ傘 202207
外出着探してばかり寒戻り 永田万年青 六花 202207
寒戻り膝の傷痕疹きけり 永田万年青 六花 202207
磨き上げ鏡の中に寒戻る 田岡千章空 202211
寒戻る朝餉に卵掛けご飯 瀬島洒望 やぶれ傘 202308

 

2024年3月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。