冴返る 1    99句

一憂は一喜に倍し冴返る    本橋仁

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冴返る鎧かざりし天守閣
松田明
春耕
199805
癌の友の五度目の手術冴返る
三浦勲
199805
やはらかく日の落ちしあと冴返る
山田弘子
円虹
199805
冴返る養殖場の水こだま
矢澤杉子
青湖
199805
風なぎて秩父連山冴返る
小林伸江
遠嶺
199806
風流れて冴返る日となりにけり
稲畑汀子
ホトトギス
199902
弔電を打ち冴返る心かな
稲畑汀子
ホトトギス
199902
又ビルが一つ無くなり冴返る
稲畑廣太郎
ホトトギス
199902
冴返る前鬼後鬼の小角像
酒井章鬼
風土
199904
冴返る地球を救へとの声も
村越化石
199904
冴え返る夜の厩に藁の音
江原正子
春耕
199904
冴返る午前三時の梁の音
長谷川通子
俳句通信
199904
川底に鳥の足跡冴え返る
門伝史会
風土
199905
紙きれが指に血を生み冴返る
林翔
199905
冴返る辻に明治の道標
林和子
俳句通信
199905
冴え返る地震見舞の客来たる
相蘇こいと
春耕
199905
誤作動に鳴る非常ベル冴返る
松尾龍之介
199906
冴返るわが体内のピコグラム
山路紀子
風土
199906
壁を貼る手さばき密に冴返る
相沢有理子
風土
199906
冴返るひときわ白いねこの耳
わたなべじゅんこ
船団
199906
心経に無の字二十一冴返る
渡辺よし生
風土
199907
冴返る闇弓弦の切れる音
川崎不坐
火星
199907
冴返る外は闇音一つなく
川崎不坐
火星
199907
窯小屋に火の神まつり冴返る
岩滝カヅミ
春耕
199907
写経紙にくづし文字無く冴返る
村田孝子
京鹿子
199907
都心又白一色に冴返る
稲畑廣太郎
ホトトギス
199908
をちを見てをる横顔の冴え返る
高橋将夫
199908
冴返る松の本つんとすましたる
岩下恵美子
船団
199912
分身の句碑冴返る伊賀のもの
稲畑汀子
ホトトギス
200002
阿蘇の野に冴返る雨降る日かな
稲畑汀子
ホトトギス
200002
冴返る肥後に別れの人ありて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200002
冴返るやもめ箸とも言ひつべし
能村登四郎
200003
包帯の指が詩を生み冴返る
山田六甲
六花
200003
冴返る道百選の石畳
舘林志津子
俳句通信
200004
海峡の橋冴返る疾風雲
石本秋翠
馬醉木
200005
冴返る伝言忘れゐしことよ
柳生千枝子
火星
200005
冴返るこころにコインランドリー
堀義志郎
火星
200005
切支丹墓に文字なし冴返る
平田安生
風土
200005
冴返るゴッホの部屋に椅子ひとつ
川井政子
風土
200005
冴返る鹿子の木の斑のあたらしき
永田二三子
酸漿
200005
フヰルムに癌の造影冴返る
高橋照子
雨月
200005
蔵の町影正しけり冴返る
山本喜朗
雨月
200005
ぶつぶつと麹の樽や冴返る
桑垣信子
いろり
200005
森閑と写経道場冴返る
春田淳子
俳句通信
200005
冴返る死刑囚の句読みし夜は
沢聰
馬醉木
200006
闘病も終りとなりて冴返る
藤岡亰子
円虹
200006
冴返る母なきあとの厨かな
孝子・フォン・ツェルセン
円虹
200006
尾を向けしままの風見や冴返る
足立賢治
200006
日曜の朝刊どさり冴返る
城尾たか子
火星
200006
こげらつつく音のやみくも冴返る
星佳子
200006
冴返る寺に象の目龍虎の目
鈴木まゆ
馬醉木
200007
くれなゐの火種がひとつ冴返る
堀米洋江
風土
200007
彫像の理事の髭先冴返る
宮嵜亀
船団
200007
磁石コンパスの針ふれ止まず冴返る
宮嵜亀
船団
200007
冴返る遠嶺に生れし光かな
稲辺美津
夏椿
200007
冴返る真下から見る五重の塔
中林明美
ヒッポ千番地
200010
冴えかへる喚鐘五点数へきく
村松美智子
あを
200101
吹かれ飛ぶもの冴返る風の中
稲畑汀子
ホトトギス
200102
冴返る空の変幻受けとめて
稲畑汀子
ホトトギス
200102
冴返る日も刻々に置く未来
稲畑汀子
ホトトギス
200102
準備とは又も見直し冴返る
稲畑汀子
ホトトギス
200102
見直して又見直して冴返る
稲畑汀子
ホトトギス
200102
誰もゐぬ館に用あり冴返る
稲畑汀子
ホトトギス
200102
冴返る道を遠しといひながら
稲畑汀子
ホトトギス
200102
季題とは季語には非ず冴返る
稲畑廣太郎
ホトトギス
200102
直刀の尖青々と冴返る
小山徳夫
遠嶺
200102
ピノキオの鼻の先より冴返る
岡和絵
火星
200102
冴返るたこ焼き買えば駄洒落付き
山田六甲
六花
200103
明け方の着信音や冴返る
篠田純子
あを
200103
調律の一打一音冴返る
丹羽啓子
馬醉木
200104
診断は呆けにあらず冴え返る
大平保子
いろり
200104
荒縄で仕切る弓場冴返る
岩村節子
200104
冴返り冴返り白水阿弥陀堂
神蔵器
風土
200104
冴返る櫟林に水の音
鈴木とおる
風土
200104
冴返る古書街昼の灯をともす
皆川盤水
春耕
200104
三門の急階段や冴返る
辻芳子
馬醉木
200105
石蹴つて竹にこゑあり冴返る
大森美恵
風土
200105
遺されしもの読み返し冴返る
塩田博久
風土
200105
野島断層あの日のままに冴返る
鈴木照子
200105
特攻も散華も死語や冴え返る
藤田かもめ
200105
安乗岬富士見ゆる日の冴返る
内藤順子
酸漿
200105

 日清講話記念館

談判の座をいまここに冴返る

小野喬樹
馬酔木
200106
王将駒彫る一刀の冴返る
山本稚子
馬酔木
200106
冴返る大仏殿の鏡池
梶田敬子
200106
嵐山の稜線天に冴返る
粟津松彩子
ホトトギス
200106
今日蒼き天狼星や冴返る
稲岡長
ホトトギス
200106
冴返る傘連判状の文字
纐纈千鶴子
百鳥
200106
花屑の痛みはげしく冴え返る
小田さやか
船団
200106
冴え返るベネツィアの灯の火焔めく
西村和子
知音
200106
子に怪我はつきものながら冴返る
三村純也
ホトトギス
200107
ホームの灯点々とあり冴返る
家塚洋子
酸漿
200107
冴返るはるか町の灯うるみけり
家塚洋子
酸漿
200107
謎めいて聖刻文字の冴返る
鶴濱節子
船団
200107
酔ひ潰れた女の指よ冴返る
篠田純子
あを
200107
冴え返る魔法使いが指鳴らし
田中桜子
船団
200108
虚子さんは艶福俳人冴え返る
坪内稔典
船団
200108
冴返るビルに映って月二つ
ゆにえす
船団
200110
一枚の扉となって冴返る
小枝恵美子
船団
200111
冴返る背広の列のうつむいて
辻村拓夫
船団
200111
冴返る2→      

 

2021年3月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。