余 寒 5     119句

鶯はきかぬ気でなく余寒かな    一茶

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

寒が明けてからまだ残る寒さ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ものわかりよすぎし人の余寒かな 三上程子 春燈 201205
橋渡る靴音固き余寒かな 井上春子 春燈 201205
漱石庵に猫の道ある余寒かな 湯上稔子 春燈 201205
道化師の化粧の紅の余寒かな 西村純太 201205
太郎冠者余寒の板を踏みにけり 野口喜久子 ぐろっけ 201205
鳥声なき緑化センター余寒なほ 福田かよ子 ぐろっけ 201205
鍵穴を探す余寒の夕間暮れ 細川コマヱ 雨月 201205
直せない早とちり癖余寒なお 鎌田慶子 ろんど 201205
白樺の樹皮の薄さや余寒なほ 濱谷和代 万象選集 201205
余寒なほ腕失せたる持国天 加藤美代子 万象選集 201205
餌台にひまはりの種余寒かな 西村節子 火星 201205
音信のなき友の夢余寒かな 長崎桂子 あを 201205
余寒なほ縁者の惚けゆくを目に 長崎桂子 あを 201205
余寒なおボルシチ煮込むあと五分 鶴濱節子 始祖鳥 201206
余寒なほ癒えし手に持つ粥茶碗 山口誠 馬醉木 201206
問うてゐる余寒答へてゐる震へ 立村霜衣 ホトトギス 201206
天狼星青き光にある余寒 涌羅由美 ホトトギス 201206
速報の地震の字にある余寒かな 涌羅由美 ホトトギス 201206
床屋出る幼のうなじ余寒なほ 古林田鶴子 ぐろっけ 201206
余寒なほ黒塀つづく武家屋敷 土井ゆう子 風土 201206
兜煮の煮凝りゆるる余寒かな 豊美佐子 万象 201206
浚ひたる池にもの燃す余寒かな 杉浦典子 火星 201206
咲くころと覗く花壇に余寒かな 羽賀恭子 201206
余寒なほここは河内の比丘尼寺 川井秀夫 ろんど 201206
草庵の竹藪占むる余寒かな 岡野里子 末黒野 201206
ありし日のままの書棚にある余寒 山田佳乃 ホトトギス 201207
本堂へ長き廊下に踏む余寒 湖東紀子 ホトトギス 201207
観桜の幹事余寒をしきりに詫び 塩田博久 風土 201207
余寒なほ鳥居の紙垂の揺るるなく 有賀昌子 やぶれ傘 201209
藻の陰に稚魚のかたまる余寒かな 佐津のぼる 六花 201212
芦屋川水無き幅にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
カウンター君との距離にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
天井の竜の目にある余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
総門の屋根の傾斜にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
余寒まだ続く喪心なほ続く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
余寒なほ夜空の星を輝かせ 稲畑汀子 ホトトギス 201302
太陽を一と日見ざりし余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 201302
閏日の予定空白なほ余寒 稲畑汀子 ホトトギス 201302
風固し海より寄せてくる余寒 稲畑汀子 ホトトギス 201302
余寒夜へつゞき星空拡がりし 稲畑汀子 ホトトギス 201302
修禅寺の欠けたる古面余寒なほ 田下宮子 201304
病むひとに文をしたたむ余寒の灯 窪田粧子 馬醉木 201304
諾ひも異論も胸のうち余寒 渕上千津 201304
六星に出でたる乱気余寒なり 国包澄子 201305
余寒なほひとりで過すオペ前夜 田下宮子 201305
岩礁に波の飛びつく余寒かな 市村明代 馬醉木 201305
籠絡を受くる余寒の独り言 松橋利雄 春燈 201305
一木にすずめふくらむ余寒かな 中村恭子 201305
ストレッチャーで渡る廊下の余寒かな 十川たかし 201305
木造の駅舎の灯し余寒なほ 奥山ひろ子 万象 201305
火の玉の巨大隕石余寒なほ 大畑善昭 201305
梅の樹の苔弔花なり余寒なり 田中貞雄 ろんど 201305
八十に三つ踏込む余寒かな 鶴巻誉白 ろんど 201305
余寒なほ寺社の由来もうはのそら 中田のぶ子 ろんど 201305
エレベーター余寒の底のまだ遠し 福永尚子 ろんど 201305
余寒なほ一願不動の自若かな 川井秀夫 ろんど 201305
蹼の一本で立つ余寒かな 小林成子 火星 201305
ももいろの猫の鼻先余寒かな 西村節子 火星 201305
音立てて新聞ひらく余寒かな 松本三千夫 末黒野 201305
余寒なほ体重計の針ふるへ 熊切光子 末黒野 201305
甘酒に若狭の余寒言ひ合へり 田中佐知子 風土 201306
余寒なほちりめんじやこの白さかな 本多俊子 201306
刺の指焼きし針さす余寒かな 山崎郁子 万象 201306
余寒なほ美文調なき句評書き 田中貞雄 ろんど 201306
人気なき部屋に居据はる余寒かな 宮田千優 京鹿子 201306
太鼓橋余寒の風を吹き分けて 安斎久英 末黒野 201306
診察に不安の椅子の余寒かな 鈴木一三 末黒野 201306
本陣の深井にこもる余寒かな 森清堯 末黒野 201306
譜面台並ぶ舞台の余寒かな 和田慈子 末黒野 201306
だし惜しむ余寒の掌には五円玉 平川陽三 船団 201306
額には日ざし指先には余寒 岩岡中正 ホトトギス 201307
赤門の木組みにひそむ余寒かな 橋本くに彦 ホトトギス 201307
墨を摩る音のきしめく余寒かな 赤川誓城 ホトトギス 201307
撫牛も子を抱きよせて余寒顔 吉田光子 ぐろっけ 201307
堂囲む釘抜絵馬に余寒風 吉田光子 ぐろっけ 201307
余寒なほ藤壺千の嘴が向く 田中貞雄 ろんど 201402
過去帳に諡しるす余寒かな 久保久子 湖心 201402
応へなき会話を綴る余寒かな 久保久子 湖心 201402
なほ余寒ありて朝の間なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201403
内陣の余寒覗きし鼻梁かな 山尾玉藻 火星 201403
御中を書くに消す文字余寒なほ 甲州千草 201404
卓上のポットつぶやく余寒かな 矢口笑子 春燈 201404
勤行の背に張りつく余寒かな 齋藤泰子 春燈 201404
起きてゐて歯ぎしりをする余寒かな 篠田純子 あを 201404
眼鏡まで合はぬ余寒のせゐにして 稲畑汀子 ホトトギス 201404
余りたるものと思へぬ余寒かな 常田希望 201404
無人なる家の吐き出す余寒かな 大日向幸江 あを 201404
独り居のただ堪へかぬる余寒かな 西川春子 春燈 201404
もの取るに立つより躄る余寒かな 渕上千津 201404
追伸のやうな余寒に襟合はせ 塩見英子 雨月 201405
昼暗き土蔵に潜む余寒かな 中野久雄 末黒野 201405
滝の上の空の三角余寒かな 山本耀子 火星 201405
太梁の煤にこもりし余寒かな 菊池ふじ子 馬醉木 201405
赤き靴道に片ほう余寒なほ 桐島加代子 ろんど 201405
石庭の日の影しろき余寒かな 安立公彦 春燈 201405
晴れてゆく明日を約して余寒急 稲岡長 ホトトギス 201405
余寒なほ鳶の笛吹く龍太の忌 山下健治 春燈 201405
いつまでも根にもつやうに余寒かな 田中貞雄 ろんど 201405
藩校の文机低し余寒なほ 塙誠一郎 201405
笹鳴や余寒を生きる者同士 菊谷潔 六花 201405
馬捨て場跡の廃るる余寒かな 中澤弘 春燈 201405
押入れの奥に余寒のひそみけり 佐々木永子 末黒野 201405
レントゲンの我が骨美しき余寒かな 藤田素子 火星 201405
こちこちに固まる砂糖余寒なほ 森清信子 末黒野 201406
足早に林を過ぎる余寒かな 岡田香緒里 やぶれ傘 201406
窓越しに人と目の合ふ余寒かな 小山陽子 やぶれ傘 201406
魚板打つ音の沁み入る余寒かな 西川みほ 末黒野 201406
連山も二度寝に入りし余寒かな 丸井巴水 京鹿子 201406
さかな屋の台秤にある余寒 笹村恵美子 201406
チャルメラの音色恋しき余寒かな 小林清彦 末黒野 201406
ロボットも己が影見し余寒かな 熊川暁子 201406
余寒とて命育む雨とこそ 河野美奇 ホトトギス 201407
本堂は隅の隅まで余寒かな 安原葉 ホトトギス 201407
天地のまだ引きずつてゐる余寒 木村享史 ホトトギス 201408
やはらかな日差しの中にある余寒 川口利夫 ホトトギス 201408
臥す母のまなこあはあは余寒かな 鈴木セツ 201405
余寒脱ぎ捨てしホテルのロビーかな 稲畑汀子 ホトトギス 201502
軽装になれざることも余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 201502
ひそひそと老後の話聞く余寒 稲畑汀子 ホトトギス 201502
余寒→ 6      

 

2021年2月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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