余 寒 3     133句

鎌倉を驚かしたる余寒あり    高浜虚子

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

寒が明けてからまだ残る寒さ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
稿債の増ゆるばかりの余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 200602
温泉の素たつぷりと余寒風呂 島谷征良 風土 200602
余寒なほ引く旅予定通りかな 稲畑汀子 ホトトギス 200603
グラタンに細心の舌余寒なほ 金子孝子 200604
流木に波たたみ寄る余寒かな 菊地光子 200604
句作ままならず余寒の籠り居に 大橋敦子 雨月 200604
山祇の供物ひからぶ余寒かな 大畠政子 雨月 200604
余寒なほ飴になだめて咳こらふ 大畠政子 雨月 200604
掌に包む子の拳かな余寒なほ 森永敏子 河鹿 200605
身半分ままならぬ姉余寒なほ 沢田清子 200605
盛り塩に指の痕ある余寒かな 上谷昌憲 200605
お湯割の寸胴グラス余寒かな 菊地光子 200605
立ちてすぐ余寒の座るパイプ椅子 代田幸子 200605
古書店の奥行き深し余寒なほ 上村葉子 風土 200605
羽二重にかはく手を置く余寒かな 村本真由美 遠嶺 200605
命との対話余寒の中に居り 村越化石 200605
雲甍の左右に余寒の避雷針 黒田咲子 200605
余寒なほマーガレットを羽織りけり 岩下芳子 200605
白黒と鳴きゐる鴉余寒かな 天野きく江 200605
語部の長き眉毛の余寒かな 廣畑忠明 火星 200605
余寒風命ある故心細き 鈴木ヒサ子 四葩 200605
子の脂のりきらざる余寒 溝内健乃 雨月 200605
再会の約束延びし余寒かな 上藤八重子 酸漿 200605
校廊の一直線の余寒かな 生方ふよう 200605
白鷺の嘴に余寒の水ひかり 佐藤いね子 馬醉木 200606
出棺の鉦遠ざかる余寒かな 大泉伸 遠嶺 200606
寺余寒うす暗がりの長廊下 荒木治代 ぐろっけ 200606
春月のくつきりとある余寒かな 佐原正子 六花 200607
垣結ひの濡れ縄きしる余寒かな 杉山真寿 200607
あさつての余寒なきこと願ひつつ 稲畑汀子 ホトトギス 200702
手抜かりのなきことせめて余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 200702
掃き清められし庭面にある余寒 稲畑汀子 ホトトギス 200702
朝の間の余寒忘れてをりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200702
残されし今日の稿債余寒かな 稲畑汀子 ホトトギス 200702
引きずりて余寒に対しをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200702
糸底の切り込み深き余寒かな 高崎武義 200702
後ろ手に歩く余寒の鴉とも 杉良介 200702
駅降りて余寒の衿をたて直す 稲葉ちよこ 風土 200703
蹄鉄の高く響ける余寒かな ことり 六甲 200703
雲形定規余寒の灯影廻し描く 小野恵美子 馬醉木 200704
久慈川の吊橋渡る余寒かな 水井千鶴子 風土 200704
余寒なほ土を啄む日の雀 横田初美 春燈 200704
余寒なほ波のひねもす城ヶ島 山川好美 春燈 200704
歌碑よみて風に身さらす余寒かな 久永淳子 春燈 200704
名を呼ばれ歯科医の椅子にある余寒 仁平則子 200704
夕鐘の一打一打に余寒なほ 本藤みつ 200704
燧道へ迫る余寒や天城越 刈米育子 200705
検診の眼科病棟余寒なお 後條さと子 200705
単線の駅みな似たる余寒かな 白井友梨 馬醉木 200705
蔵出しの麹のにほふ余寒かな 上柿照代 馬醉木 200705
針穴の二重に見ゆる余寒かな 池田光子 200705
天竺の破風作に余寒暫し 小倉綾子 ぐろっけ 200705
どの石も余寒の貌をもてるかな 長沼紫紅 200705
沖波の重なつてくる余寒かな 長沼紫紅 200705
余寒なほ月明に澄む深空あり 長沼三津夫 200705
癌の句のマンネリ恐れゐて余寒 小林昭 春燈 200706
土間余寒酒気の漂ふ蔵屋敷 荒木治代 ぐろっけ 200706
余寒まだ去らず孤独の医師われ 岡有志 ぐろっけ 200706
嫁威しの謂れを縷々と越余寒 西村しげ子 雨月 200707
人住まぬ土間黒光る余寒かな 内山弘幸 八千草 200708
竹炭に罅入る音や余寒なほ 森田節子 風土 200801
一本のマストの先の余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
旅になほ余寒に備へ置くものも 稲畑汀子 ホトトギス 200802
掻き出す灰に籠れる余寒かな ことり 六花 200803
開け閉めの門扉のきしむ余寒かな 大橋晄 雨月 200804
チャルメラの音透き通りゐる余寒 大橋晄 雨月 200804
いつまでも余寒肺炎ぶり返す 松崎鉄之介 200804
きざはしにから足を踏む余寒かな 能村研三 200804
マラソンが大路の余寒おどろかす 秋葉雅治 200804
衿立てて急ぐ家路や余寒なほ 岡佳代子 200805
追ひ越してハザードランプにある余寒 瀬下るか 200805
街灯の直列長き余寒かな 峰幸子 200805
白樺の樹皮はためける余寒かな 神山志堂 春燈 200805
余寒の灯ひとつ増えたり人戻り 宮津昭彦 200805
干し物を吊したるまま余寒なほ 白石正躬 やぶれ傘 200805
老猫にくさめもたらす余寒かな 小池一司 やぶれ傘 200805
内陣を点し余寒の読経かな 細川コマヱ 雨月 200805
余寒のみ残し搬出展覧会 奥田妙子 ぐろっけ 200805
余寒顔コーランとなヘ地に伏せり 大阪河村泰子 ぐろっけ 200805
海際に家のはりつく余寒かな 田口紅子 200806
選択の時の迫りて余寒かな 岩崎慶子 200806
間道を来たる余寒の人のあり 島谷征良 風土 200806
牛百頭搾り終へたる余寒かな 佐藤哲 万象 200806
星空の通夜となりけり余寒なほ 赤堀洋子 万象 200806
壁鏡の揺れに手をやり余寒なほ 柴崎英子 絹の波 200806
ひと枝をきる手鋏や余寒なほ 白石正躬 やぶれ傘 200806
目つむりて眼鏡の縁にある余寒 鶴岡加苗 200807
箒目の波に影さす余寒かな 小泉貴弘 筑波の道 200811
心音を野の風と聴く余寒なほ 伊藤希眸 京鹿子 200901
白きもの連れて余寒の都心かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
独り言呟く人に余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
ただならぬ余寒の旅となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200902
あなどりてをりし余寒につかまりし 稲畑汀子 ホトトギス 200902
大会の近づく余寒心して 稲畑汀子 ホトトギス 200902
大会の済みて余寒のとどまれる 稲畑汀子 ホトトギス 200902
会場にせめて余寒のなきことを 稲畑汀子 ホトトギス 200902
孤高とは猫の瞳にある余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 200102
夭折の耕二浩一余寒雲 能村研三 200203
鹿鳴いて余寒厳しうなりにけり ことり 六花 200903
沼はまだ覚めてはをらず余寒なほ 能村研三 200903
流浪とは余寒の浜に着きし壕 ことり 六花 200903
リハビリを受けてベッドの余寒かな 塩千恵子 200904
一灯を点し余寒の中にをり 黒澤登美枝 200904
絵馬堂の算額解けじ余寒かな 道坂道雄 炎環 200904
見たくないもの見てしまふ余寒かな 芝宮須磨子 あを 200904
吾が杖の倒れし音す余寒なほ 宮崎左智子 200904
垂れつけぬ団子の並ぶ余寒かな 和田政子 200904
日の当たる塀沿ひの道余寒かな 三村八郎 炎環 200904
母にバイバイエレベーターのドア余寒 篠田純子 あを 200904
母の葬終へし機内や余寒なほ 小嶋泰家 炎環 200904
余寒この色の未熟の草木染 和田政子 200904
余寒なほ夫リハビリに通ひをり 高橋幸子 200904
エレベーター余寒の空気分ち合ひ 内山照久 200905
つまづきし缶を蹴る身の余寒かな 中野英伴 春燈 200905
つまづきし小石蹴り上げ余寒かな 羽賀恭子 200905
つまづきて喝入れらるる余寒かな 水田壽子 雨月 200905
嘘の裏くぐる紅引く余寒かな 中野英伴 春燈 200905
更けて夜の余寒ひとりの厨ごと 橋爪隆 春燈 200905
朱の鳥居百をくぐりて余寒かな 鈴木鳳来 春燈 200905
錠剤の掌のくぼすべる余寒かな 門伝史会 風土 200905
人形の口元締まり来る余寒 田原陽子 200905
禅僧の背へ余寒の湖あかり 横松しげる 遠嶺 200905
片減りの墨に父恋ふ余寒かな 佐藤信子 春燈 200905
本堂の大きしじまの余寒かな 佐治奈津 雨月 200905
明日発たす子を囲む灯の余寒かな 佐藤信子 佐藤信子集 200905
免許証更新通知来し余寒 近恵 炎環 200905
余寒なほ樹はその姿くつきりと 後藤とみ子 ぐろっけ 200905
余寒なほ張子の耳の真くれなゐ 米澤光子 火星 200905
落款に色紙息づく余寒かな 布川直幸 200905
甲冑になほ反骨の余寒かな 柴崎英子 200906
釣針に返しありける余寒かな 栗栖恵通子 200906
天心に月魂とどむ余寒かな 西村純太 200906
襟もとのこころもとなき余寒かな 白石紀子 200907
電球の忽と切れたる余寒かな 高橋英子 200907
余寒→ 4      

 

2021年2月7日 作成

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