余 寒 2      100句

南都いまなむかんなむかん余寒なり    阿波野青畝

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

寒が明けてからまだ残る寒さ

作品
作者
掲載誌
掲載年月
磨かれし廊下を歩く余寒かな 田中清司 200205
余寒なほひたと吸ひつく椀の蓋 門伝史会 風土 200205
余寒なほ宿のスイツチどれがどれ 武井美代子 風土 200205
余寒なほ一尾の魚赤く煮て 柴田久子 風土 200205
ひらひらと僧の過ぎゆく余寒かな 柴田久子 風土 200205
見舞客帰りて俄なる余寒 岩田沙悟浄 円虹 200205
恙なき暮しいつの日余寒なほ 岩田沙悟浄 円虹 200205
余寒なほ浮雲焦す朝の峡 中川悦子 酸漿 200205
入船の汽笛高鳴る余寒かな 飯田眞理子 春耕 200205
ニコライの鐘鳴る坂の余寒かな 岩崎正子 春耕 200205
余寒なほ一人へりたる米炊ぐ 島田尚子 馬醉木 200206
堂の扉の賽口くらし春余寒 丸山冬鳳 京鹿子 200206
竹の根の石を抱へし余寒かな 望月末夫 百鳥 200206
棟上げの生木のにほふ余寒かな 戸田喜久子 200206
流されては積みし墓石の粗や余寒 密門令子 雨月 200207
佳きことはすぐに過去ともなる余寒 辻口静夫 ホトトギス 200208
蕉像の瞳虚ろに余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
丸の内より森下に来て余寒 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
ルチフェルに魂売りし余寒かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
雨上り余寒も消えてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
葬に侍す余寒の胸の黒真珠 斉藤由美子 ぐろっけ 200302
顔と名が中々合はぬ余寒かな 能村研三 200303
ひとりごちをりぬ余寒の姫鏡台 斉藤由美子 ぐろっけ 200303
駅階段手摺りに寄りて余寒なほ 田中藤穂 あを 200304
町筋の昼薄暗く余寒かな 長崎桂子 あを 200304
透析の時彦おもふ余寒かな 神蔵器 風土 200304
五社と言ふ無人の駅の余寒かな 樋口多嬉子 雲の峰 200304
杉匂ふ箸の作業場余寒なほ 藤田壽穂 雲の峰 200304
粗塩に藁の混れる余寒かな 飯田はるみ 築港 200304
余寒空佐久の鯉濃恋ひにける 大橋敦子 雨月 200304
世話好きは物議を醸す余寒かな 鎮田紅絲 200305
黒松の踏ん張つて立つ余寒かな 岩月優美子 200305
太刀魚の身丈のひかり余寒かな 吉田島江 火星 200305
堰音に苑の余寒のありにけり 小西石蕗 円虹 200306
尼寺と飲屋真向ひ余寒なる 佐原由紀子 200306
濤音に余寒なほある間垣邑 塩路隆子 花衣 200307
真砂女亡し余寒へ晒す割烹着 山元志津香 八千草 200309
ポリ容器満タンにする余寒かな 中島英子 八千草 200310
歳月の墓拭ひをる余寒かな 生方ふよう 200401
居に近き岸を歩きて余寒尚 小澤登代 草の花 200403
余寒きびし使はぬ部屋の青畳 木下節子 雲の峰 200404
病む友の後につきゆく余寒かな 茂木妙子 雲の峰 200404
顎を引き一歩踏み出す余寒あり 鎌倉喜久恵 あを 200404
日の丸で送りしのちに余寒あり 須賀敏子 あを 200404
風船の空気ゆるみし余寒かな 片岡静子 200405
裏山をゆさぶって来る余寒かな 綿谷美那 雨月 200405
寒に耐へ余寒にも耐へ竹立てり 村越化石 200405
鶴千羽折らむ余寒の灯を入れて 三好智子 200405
踏み落とす熔岩のかけらの余寒かな 淵脇護 河鹿 200405
余寒かな畑のビニールひらひらす 加古みちよ 火星 200405
余寒なほ抽斗の種思ひ出す 小林和子 風土 200405
大仏の御身を透す余寒かな 小林和子 風土 200405
尼公の茶房へ寄らる余寒かな 加藤弘一 築港 200405
母の忌や余寒の寺に香絶えず 福留ゆみえ 河鹿 200406
人はみな背ナに余寒の荷を負へる 大磯幸子 河鹿 200406
余寒なほオカリナの音の透き通り 内山照久 200406
病名は告げずに帰す余寒かな 村上恵生 200406
太郎冠者余寒の床をたたら踏み 長谷川祥子 馬醉木 200406
磨り減りて欠けたる百度石余寒 中田寿子 ぐろっけ 200406
観音に馬券捨てある余寒かな 竹内喜代子 雨月 200407
余寒とてさることながら奈良盆地 綿谷美那 雨月 200407
店仕舞早き仲見世余寒の灯 橘澄男 山景 200408
老人の背に貼りつきし余寒かな 八田木枯 夜さり 200409
余寒とも言ひて心のけぢめ置く 稲畑汀子 ホトトギス 200502
部屋ごとに余寒ひそみてゐし家居 稲畑汀子 ホトトギス 200502
招じたる客間の余寒詫びながら 稲畑汀子 ホトトギス 200502
揃ふまで余寒の去らぬ会場に 稲畑汀子 ホトトギス 200502
朝の間の余寒引きずりをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200502
スケジュール混みて余寒の失せてをり 稲畑汀子 ホトトギス 200502
床下に瓦の古ぶ余寒かな 高村淳 200503
余寒の灯川面に遠き位置映す 宮津昭彦 200504
白杖の倒れし先の余寒かな 佐々木悦子 帆船 200504
夜景より膳に見とれし余寒かな 岩瀬発 帆船 200504
余寒あり湯と酒親し山の宿 岩瀬発 帆船 200504
余寒空金柑くはへ尾長飛ぶ 木村迪子 酸漿 200504
煮豆の火ゆるめてよりの余寒かな あきの澪 200505
盧舎那仏螺髪傷みし余寒かな 荻野嘉代子 春燈 200505
負けられぬ一石を打つ余寒かな 長志げを 遠嶺 200505
づかづかと畳屋が来る余寒かな 荒木甫 200505
水行の鎖骨尖らす余寒かな 阿部いく子 百鳥 200505
宿余寒いくたびも温泉に身を沈め 仙石君子 雨月 200505
余寒なほ隆々として桑の瘤 東芳子 酸漿 200505
美浜原発雨にけむれる余寒かな 木内徴子 万象 200505
神杉に星の跳ねたる余寒かな 曷川克 遠嶺 200506
繋留のヨット犇めく余寒かな 鈴木實 百鳥 200506
父の数珠幼ナが持ちて通夜余寒 丸美砂子 ぐろっけ 200506
二階から豆腐屋を呼ぶ路地余寒 丸美砂子 ぐろっけ 200506
余寒なほ秒針ひびく夕間暮 丸美砂子 ぐろっけ 200506
ひとりなる喪の家の主余寒なほ 丸美砂子 ぐろっけ 200506
蓮池に動くものなき余寒かな 柏木去孔 200506
コツと鳴る昭和の骨の余寒かな 苑田ひろまさ 200507
物音を立てぬ足裏の余寒かな 大槻球子 遠嶺 200507
室町の世を経し劫月院余寒 角直指 京鹿子 200507
余寒なり画廊を探す銀座裏 片野美代子 酸漿 200507
余寒なお合い言葉出る今朝の街 佐藤利夫 200507
干物屋の七輪囲む余寒かな 石川賢吾 200507
若者の未来に口を出し余寒 福山至遊 200508
お悔みのみな齢聞く余寒かな 立石萌木 雨月 200508
葦叢の浮島めきし余寒かな 吉田三保 200601
雨降れば濡れて余寒に捉はるる 稲畑汀子 ホトトギス 200602
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2021年2月6日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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