露 寒       122句

露寒し縷々とラジオの「尋ねびと」   伊丹三樹彦

  露寒  露霜.水霜  露けし つゆけし  涼し  露涼し  夏の露

作品
作者
掲載誌
掲載年月
露寒の机辺片付く二三日 稲畑汀子 ホトトギス 199810
六甲の露寒に午後晴れて来し 稲畑汀子 ホトトギス 199810
露寒の朝の砂丘に二三人 稲畑汀子 ホトトギス 199810
頭ほどの茯苓置かれ露寒し 上原瑞子 200002
露寒のあしたにまさるゆふべかな 鷹羽狩行 200101
露寒を纏ふ朝の間励まねば 稲畑汀子 ホトトギス 200110
露寒や地震とて遠きものならず 稲畑汀子 ホトトギス 200110
露寒の横川に偲ぶ月日あり 稲畑汀子 ホトトギス 200110
法要を待つ露寒の堂内に 稲畑汀子 ホトトギス 200110
露寒き山路朝の間なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200110
露寒の庭に心地のよき朝 稲畑汀子 ホトトギス 200111
露寒し手鏡を拭く服の袖 小島みつ代 200202
露寒の流星群をかくす雲 安原葉 ホトトギス 200204
露寒の渚を返し来し一人 稲畑汀子 ホトトギス 200211
露寒を纏ひ夜空に心置く 稲畑汀子 ホトトギス 200211
露寒や書けば失ひ読めば得て 鷹羽狩行 200212
磨崖仏毀損三体露寒し 久保晴子 雨月 200302
露寒の握りて厚き手なりしよ 岸風三樓 200310
露寒に加はる風も京のもの 稲畑汀子 ホトトギス 200311
今日噴火十三年目露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200311
湖照といふ目つぶしや露寒し 鹿野佳子 200312
はつらつと露寒の朝帰還せり 左官治郎 200401
露寒やみじかき便り読み返し 吉村紀代子 京鹿子 200401
師父の忌に集ふを終と露寒し 西村しげ子 雨月 200401
おしなべてうち伏す草や露寒し 鎌田つた枝 築港 200401
露寒の横川路に踏み入りにけり 安原葉 ホトトギス 200403
露寒の朝の間にする旅仕度 稲畑汀子 ホトトギス 200410
旅多きこと露寒に心して 稲畑汀子 ホトトギス 200410
光りつつ露寒消えてゆく朝 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露寒のどつと着きたる本整理 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露寒きことに忌心深きかな 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露寒に山は彩り尽しけり 稲畑汀子 ホトトギス 200411
露寒や思想は脈搏より粗く 芝生南天 河鹿 200412
悲話伝ふマリア聖堂露寒し 藤田誉子 雨月 200412
露寒やわが身と古りし化粧台 岡本眸 200412
露寒の被災の泪こぼすまじ 安原葉 ホトトギス 200503
露寒のつづく野宿に余震なほ 安原葉 ホトトギス 200503
欠航といふ露寒の夜をひとり 山田弘子 ホトトギス 200503
被災せしこと露寒の夢ならず 安原葉 ホトトギス 200504
露寒と思ふ俯瞰の海の風 稲畑汀子 ホトトギス 200509
朝の間の露寒消えてをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 200510
露寒の仕事の山を積むばかり 稲畑汀子 ホトトギス 200510
露寒と思ひはじめし旅の雨 稲畑汀子 ホトトギス 200510
露寒といふ快晴のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200510
露寒き消息ばかり届きけり 稲畑汀子 ホトトギス 200510
露寒を言ひ姉見舞ふこともいふ 野沢しの武 風土 200511
尾上にも炭燒くけぶり露寒し 瀧春一 常念 200606
露寒といひて心に期すること 稲畑汀子 ホトトギス 200610
露寒の由布の雄岳を見る目覚め 稲畑汀子 ホトトギス 200610
露寒きことも忌日の心添ふ 稲畑汀子 ホトトギス 200610
日の差せば露寒ほどけゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200610
かりそめの世の露寒と思へども 稲畑汀子 ホトトギス 200610
露寒き故山は墓碑を残すのみ 豊田都峰 京鹿子 200612
露寒の野は早々と星かかぐ 豊田都峰 京鹿子 200612
高過ぎて届かぬ望み露寒し 岩崎憲二 京鹿子 200701
露寒し弔辞読む掌の震へをり 太田絵津子 200701
露寒の地震の日またもめぐり来し 安原葉 ホトトギス 200703
覚悟してゐても解けざる露寒し 水田むつみ ホトトギス 200704
吸ひ込まれさうな露寒漲りぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200710
朝の窓閉めて露寒へだてけり 稲畑汀子 ホトトギス 200710
見えてくるまで露寒の星仰ぐ 稲畑汀子 ホトトギス 200710
刻々の過ぎゆく時間露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200710
返事書くすべなきことも露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200710
露寒の心伝ふるすべのなく 稲畑汀子 ホトトギス 200711
君逝きし日を偲びつつ露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200711
露寒し若き命を惜みつつ 稲畑汀子 ホトトギス 200711
初七日は明日と聞きつつ露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200711
露寒の湖畔の釣りの一会かな 中島玉五郎 200711
露寒の刑務所黒く夜明けたり 岡本眸 200810
露寒の活断層を男来る 本多俊子 200901
露寒や木骨レンガの繭倉庫 山下美絵子 遠嶺 200902
被災の日偲ぶ露寒来りけり 安原葉 ホトトギス 200904
癒やされよ露寒ほどけゆく如く 稲畑汀子 ホトトギス 200910
露寒の家路なりしと急ぎけり 稲畑汀子 ホトトギス 200910
一文字につまづく小筆露寒し 布川直幸 200912
露寒や女にもある居丈高 能村研三 200912
露寒やなにを願ひて百度石 飯沼孝男 201001
露寒やはや震災の五周年 安原葉 ホトトギス 201003
まだつづく仮設暮しや露寒し 安原葉 ホトトギス 201006
露寒の昨日逢ひしに今日は亡く 中村芳子 ホトトギス 201007
五十年同じ露寒なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201010
露寒の雨の忌日をみそなはせ 稲畑汀子 ホトトギス 201010
平和てふ言葉にも露寒きこと 稲畑汀子 ホトトギス 201011
世間とふ見えぬ錘や露寒し 川崎真樹子 春燈 201101
分け入れば分け入るほどに露寒し 三村純也 ホトトギス 201102
まためぐり来し露寒の被災の日 安原葉 ホトトギス 201103
露寒や忘れ得ざりし被災の日 安原葉 ホトトギス 201103
露寒のあしたの大地しかと踏む 井上浩一郎 ホトトギス 201103
露寒の点滴漏れの跡痛む 宮原悦子 雨月 201104
露寒の雨の一日いとはずに 稲畑汀子 ホトトギス 201110
雨止んで露寒を身に纏ひたる 稲畑汀子 ホトトギス 201110
露寒の風音連れて巡る苑 稲畑汀子 ホトトギス 201112
白虎隊の自刃の跡や露寒き 井口淳子 201201
又一つ訃報届きて露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201210
露寒き朝の渋滞抜けて湖 稲畑汀子 ホトトギス 201211
ひたすらな祈り届かず露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201212
真っ先に胃の呟く露寒み 仙石君子 雨月 201301
露寒の冬瓜の蔓引きちぎる 南うみを 風土 201302
露寒や灯点すコイン精米所 大山文子 火星 201302
露寒を忌日の心もて纏ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201410
露寒くとも摩耶山の快晴に 稲畑汀子 ホトトギス 201410
見晴らしへつづくきざはし露寒に 稲畑汀子 ホトトギス 201411
一念をもて露寒の面を打つ 水谷文謝子 雨月 201501
露寒の筧を水の流れ来る 國保八江 やぶれ傘 201502
露寒の探し当てたる墓ひとつ 三村純也 ホトトギス 201503
露寒やわけても那須の殺生石 鈴木静恵 花こぶし 201508
露寒の線香匂ふ観世音 水谷文謝子 雨月 201512
みな下向したる峰寺露寒し 安原葉 ホトトギス 201603
露寒の仕事は待つてくれざりし 稲畑汀子 ホトトギス 201610
露寒といひ快晴の一部分 稲畑汀子 ホトトギス 201610
露寒に癒えて行く日々ありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201610
スケジュール混みてほどけて露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201610
とり敢へず間に合ひしこと露寒に 稲畑汀子 ホトトギス 201610
漱石の講演準備露寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201611
露寒に人肌つやを増しにけり 高橋将夫 201701
露寒や江戸の鬼門の寺の鐘 中嶋陽子 風土 201801
露寒や山端に渡る風訛り 鷺山珀眉 京鹿子 201801
露寒や告げねばならぬ事告げず 西村白杼 京鹿子 201902
露寒を横川日和として忌日 海輪久子 ホトトギス 202102
露寒の被災野宿も一と昔 安原葉 ホトトギス 202104
露寒のつのる夕べの峰の寺 安原葉 ホトトギス 202204
光圀を偲ぶ名園露寒し 稲畑廣太郎 ホトトギス 202210

 

2023年10月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2023年10月7日