涼し 1    200句

このあたり目に見ゆるもの皆涼し    芭蕉

涼し  涼気  露涼し

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蕎麦を打つ技を涼しく見せにけり 山田弘子 春節 199503
大橋を渡り終へたる涼しき灯 稲畑汀子 ホトトギス 199805
邂逅の友の涼しく現はれし 稲畑汀子 ホトトギス 199806
涼しげに和服着こなし去られけり 稲畑汀子 ホトトギス 199806
案内の涼しき声に従ひぬ 稲畑汀子 ホトトギス 199806
待つことにやがて涼しき消息も 稲畑汀子 ホトトギス 199806
見舞はざることも涼しき心かな 稲畑汀子 ホトトギス 199806
限りなく仕事涼しく減らしゆく 稲畑汀子 ホトトギス 199806
質問を涼しく聞いてゐることも 稲畑汀子 ホトトギス 199806
復元の庄屋に涼し竃神 松崎鉄之介 199807
馬場出でて馬蹄音立つ涼しけれ 大橋敦子 雨月 199807
樹下涼し木椅子にペルシャ猫眠り 水原春郎 馬醉木 199808
シンプルな暮しすなはち涼しかり 和田友季子 円虹 199808
樅の木のよはひ涼しき武家屋敷 鷹羽狩行 199808
魚棲まぬ湖の深さよ涼しさよ 鷹羽狩行 199808
摺鉢状湖底おもふだに涼し 鷹羽狩行 199808
星涼し病室出でぬ母と子に 水原春郎 馬醉木 199809
海こだまして尾道の鐘涼し 鷹羽狩行 199809
涼しさや緑釉すべる壺の肩 神蔵器 風土 199809
相席に目涼しく遣はれし 小澤克己 遠嶺 199809
眼の前の枝に尾長や苑涼し 坪井洋子 199809
島涼し兜と鎧相思かな 丸山海道 京鹿子 199809
鈴よりも鐘の涼しき焼山寺 鷹羽狩行 199810
ひたむきといふ涼しさをこの遺書に 山田弘子 ホトトギス 199810
動かねば涼しくありぬ盆三日 神蔵器 風土 199810
タバスコを振つて日中涼しくす 山路紀子 風土 199810
鍬入れの五挺の鍬の涼しけれ 伊藤柏翠 ホトトギス 199810
神のみそなはす涼しき起工式 桑田青虎 ホトトギス 199810
何事も神に誓ひて式涼し 桑田永子 ホトトギス 199810
地鎮祭塩の祝福涼しけれ 中村芳子 ホトトギス 199810
神慮涼し虚子記念館土祭 千原叡子 ホトトギス 199810
主の祈涼しく読まれ起工式 奥田花珠子 ホトトギス 199810
一枚の大地涼しき地鎮祭 宮地玲子 ホトトギス 199810
記念館涼しく鍬の入れられし 田中由子 ホトトギス 199810
鍬入れの鍬音涼し地鎮祭 辻千緑 ホトトギス 199810
末席に涼しき祈り起工式 辻順子 ホトトギス 199810
浜風の涼しき土地に鍬入るゝ 井上芙美子 ホトトギス 199810
主の祈り和す声涼し起工式 大石登喜和 ホトトギス 199810
起工式塩の祝福受け涼し 岡西恵美子 ホトトギス 199810
風涼し虚子記念館起工式 長安悦子 ホトトギス 199810
こみ上ぐるものの涼しき起工式 高橋千雁 ホトトギス 199810
鍬涼し産土神の在はす砂 柄川武子 ホトトギス 199810
起工式望み広がり氷涼し 小池玲子 ホトトギス 199810
地鎮祭涼しき祈り終へにけり こうのしづこ ホトトギス 199810
燦と日を受けて涼しき鍬入る 若槻香女 ホトトギス 199810
起工式了へよろこびの風涼し 斎藤翠 ホトトギス 199810
白涼し神の館の起工式 金沢漣 ホトトギス 199810
絶対の安堵に死とふ涼しけれ 密門令子 雨月 199810
真ん前の幹の撓ひや夕涼し 岡本眸 199810
全集の達治・中也と灯涼し 松岡隆子 199810
朝涼し球場にはか市場なり 伊藤真里 ぐろっけ 199810
幾重にも白波涼し石の庭 北村照子 遠嶺 199811
航涼し海の色変へ湯滝落つ 渡会昌広 馬醉木 199812
弁天の輪髷涼しや手桶積む 丸山海道 京鹿子 199812
ぶち抜きて涼しき座敷是清邸 光枝晴子 199812
涼しさは春画めきたるピカソの絵 内田美紗 船団 199812
笹舟の舳ゐならぶ涼しさよ 大島雄作 199901
木偶の瞳はたれにも向かず島涼し 井上菜摘子 京鹿子 199901
まこと夫らしき遺言涼しかり 密門令子 雨月 199901
朝涼し竹に注連結ふ漢たち 別府優 199901
涼しさや墳に太古の天体図 長谷川翠 馬醉木 199902
手品師のリング涼しき声のして 星野早苗 船団 199903
ふるさとの涼しき峡へ納骨す 中村美代 ホトトギス 199904
蒟蒻の茎の涼しき通り雨 小林鱒一 天牛 199904
毒舌を涼しく聞きて夫偲ぶ 稲畑汀子 ホトトギス 199905
一瞬の涼し美人とすれ這う 稲木款冬子 ヒッポ千番地 199906
水槽といふ涼しさに捕はるる 稲畑汀子 ホトトギス 199906
影拾ふときに涼しき風拾ふ 稲畑汀子 ホトトギス 199906
模様替して涼しさを演出す 稲畑汀子 ホトトギス 199906
一服の煎茶手前に風涼し 水原春郎 馬醉木 199907
風涼しけふ二回目を濯ぎ干す 永野由美子 円虹 199907
六甲の見ゆる涼しさ貰ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 199907
早暁の雨を涼しく発ちて来し 稲畑汀子 ホトトギス 199907
風通ふ涼しさはみちのくのもの 稲畑汀子 ホトトギス 199907
涼しき灯消して仕事を残しけり 稲畑汀子 ホトトギス 199907
新しき仲間にともす灯涼し 稲畑汀子 ホトトギス 199907
涼しき灯ともせばわが家なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 199907
差入れの涼しき配慮ありし宿 稲畑汀子 ホトトギス 199907
水音といふ涼しさの中に着く 稲畑汀子 ホトトギス 199907
趣向みな主の心宿涼し 稲畑汀子 ホトトギス 199907
起工式待つ昂ぶりの涼しさよ 稲畑廣太郎 ホトトギス 199907
祭服の涼しき白や起工式 稲畑廣太郎 ホトトギス 199907
黄檗山のところどころの涼しかり 山尾玉藻 火星 199907
鳥語あり木陰涼しき神の園 水原春郎 馬醉木 199908
皿涼し女人ばかりの蔵茶房 水原春郎 馬醉木 199908
サリー淑女ターバン紳士涼しけれ 鷹羽狩行 199908
涼しさの銅板に引く線なりし 高橋将夫 199908
超ハイのヒール蹠は涼しきや 林翔 199908
こどもらの記名涼しき下着かな 藤村真理 199908
手風琴かなでる老の髭涼し 夏目満子 酸漿 199908
ドナウ河のぞむテラスの風涼し 夏目満子 酸漿 199908
谷川の夜更けの宿の星涼し 有賀たもつ 遠嶺 199908
涼しさに木陰の深さありにけり 永森ケイ子 円虹 199908
玉手箱とやらの遺れる宮涼し 大橋敦子 雨月 199908
矢筈の斑涼しかりける芒かな 大橋敦子 雨月 199908
版木摺る一人の音の涼しかり 松崎鉄之介 199908
こどもらの句も載り濱誌涼します 村越化石 199908
こちら涼しと留守の鰥夫に航空便エアメール 亀丸公俊 銀化 199908
直な文字こよなく流し涼しかり 亀丸公俊 銀化 199908
夕涼しでんぐり返り出来ない子 林田加杜子 いろり 199908
雫して茅葺涼し薬師堂 深川知子 俳句通信 199908
窓涼し掛篭溢るノーゼンハレン 中川濱子 ぐろっけ 199908
風涼し和紙人形を折る音も 工藤義夫 馬醉木 199909
手のひらの百の眼涼し千手仏 西川織子 馬醉木 199909
星涼し舞台はなやぐ三番叟 村田近子 遠嶺 199909
湖のまはり涼しくホテルの灯 環順子 遠嶺 199909
そぞろ出し宿の裏手や鴨涼し 伊東みのり 遠嶺 199909
握り手へひびく乾杯!燈の涼し 戸田春月 火星 199909
湾航けば島の蹤きくる涼しさよ 鷹羽狩行 199909
御輿洗ひ済み洛中の水涼し 神蔵器 風土 199909
世界一ダイヤ涼しく輝けり 三村武子 酸漿 199909
十薬を一本生けて土間涼し 三村禮子 酸漿 199909
川幅が涼しさの幅波の幅 林翔 199909
涼しさの佐渡より届く竹細工 松崎鉄之介 199909
モネの絵に涼しくなりぬ美術館 中森百合子 199909
楽涼し我が娘に似たる奏者ゐて 大橋晄 雨月 199909
一礼の涼しく任を終へにけり 山本喜朗 雨月 199909
涼しさやここらは水の壱番地 豊田都峰 京鹿子 199909
秋篠の川面涼しむ遊歩道 奥村鷹尾 京鹿子 199909
涼しさや竹の葉擦れの妙心寺 辻のぶ子 俳句通信 199909
松涼し蕉翁句碑を遠巻きに 辻のぶ子 俳句通信 199909
鶏鳴きて柳生の古刹杉涼し 渡辺政子 俳句通信 199909
星涼し嬰だいて出る夜の庭 渡辺政子 俳句通信 199909
涼しさや湯宿の空に白鳥座 堀田知永 俳句通信 199909
茶店より見る楼門や風涼し 谷野由紀子 俳句通信 199909
藍涼し肉池に蘇州あしらはれ 亀丸公俊 銀化 199909
夕涼し誰かに見られゐるやうな 山田六甲 六花 199909
ゆく雲の魚のかたちや橋涼し 金田きみ子 199909
鐘涼し渕の龍から奪ひたる 品川鈴子 ぐろっけ 199909
瀬々涼しひらく投網に鹿島槍 岡田貞峰 馬醉木 199910
作務僧の背に涼しき荒目籠 鈴木まゆ 馬醉木 199910
涼しさや石の館に灯のともり 片山由美子 199910
魚偏に豊と書けば涼しけれ 片山由美子 199910
木蔭より木蔭へ試歩の道涼し 吉原一暁 199910
橋架けぬことの涼しき瀬戸の島 菰田晶 199910
島ことば覚えてよりの森涼し 小澤克己 遠嶺 199910
涼しさや小江戸囃子の佳境へと 小澤克己 遠嶺 199910
堂裏の石曼荼羅の庭涼し 今井松子 遠嶺 199910
星涼しギリシヤ神話の講座聴く 川端和子 遠嶺 199910
うるま島に蛇皮線流れ星涼し 斉藤利雄 遠嶺 199910
十文の史蹟の涼し滑川 中沢三省 風土 199910
水音の等々力渓谷風涼し 小林優子 酸漿 199910
星涼し噴煙白く立ちのぼる 田中よしとも 酸漿 199910
湖涼し牡蠣殻の山点々と 松崎鉄之介 199910
影涼し世阿弥配流の腰掛石 松崎鉄之介 199910
秋田路の銀線細工の店涼し 上原瑞子 199910
日本の最北端の星涼し 藤野佳津子 円虹 199910
無人島真向ひに見て海涼し 藤野佳津子 円虹 199910
馬っことばばさと民話涼しけれ 佐藤淑子 雨月 199910
鉾の上にありて大路の灯の涼し 本城布沙女 雨月 199910
亡き友の柩涼しく欅覆ふ 皆川盤水 春耕 199910
玉砂利を踏む沓音や朝涼し 岸恒雄 春耕 199910
目と鼻の先を浮かべて河馬涼し 利根川博 銀化 199910
大橋を望むデツキの航涼し 志水千代子 俳句通信 199910
涼しくて島より雨の流れ出る 青山丈 199910
冬冬木夏夏木なり宮涼し 村松紅花 ホトトギス 199911
せせらぎを辿る涼しき歩みかな 黒川南無観 ホトトギス 199911
北摂の山ふところや風涼し 黒川南無観 ホトトギス 199911
モネの絵にこころ養ひゐて涼し 田中みちよ 199911
水槽の魚と目の合ふ涼しさよ 小山森生 199911
木偶に着せ藍の涼しきめくら縞 長谷川閑乙 馬醉木 199911
涼しかり古代楽器の居並びて 井口初江 酸漿 199911
草原の朝涼しく歩みけり 渋谷ひろ子 酸漿 199911
朝涼し小雀の声を草原に 渋谷ひろ子 酸漿 199911
信濃鎌与平の銘の涼しかり 野口みどり 酸漿 199911
生きて地獄土葬の子規の涼しかり 神蔵器 風土 199911
武庫大橋涼しロミオとすれ違ひ 金澤明子 火星 199911
律令の医療をしるす邸涼し 林日園 京鹿子 199911
ふるさとの涼しさ夢もまた涼し 柳沢二葉 199911
祝福の光を撒いて鐘涼し 小澤克己 遠嶺 199911
風涼し森の神父の祈りゐて 花島陽子 遠嶺 199911
星涼しうたごゑ流れくる川原 穴澤光江 遠嶺 199911
桧皮葺反りの涼しき大社 迫谷富子 いろり 199911
昏れ残る富士一望に塔涼し 水田清子 199911
用を足す小犬を待ちて星涼し 萩原記代 199911
白酎に酔うて蒙古の星涼し 西村梼子 ぐろっけ 199911
墨の色涼し多佳子の自筆の句 松原到 ぐろっけ 199911
胸襟を開く涼しさ連句の座 史あかり ぐろっけ 199911
定刻に定員揃ひ議事涼し 三村純也 ホトトギス 199912
水引の淡路結びや涼しかり 山路紀子 風土 199912
瀬戸涼し西の方から人の来る 宇都宮滴水 京鹿子 199912
燈涼しシュメール文字の漣よ 三神あすか 船団 199912
語らるる花鳥諷詠涼しき目 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
起工式待つ昂りの涼しさよ 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
祝福の涼しき声に和してをり 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
念願の涼しさ極め主の祈り 稲畑廣太郎 廣太郎句集 199912
髪に指差し入れられて涼しさよ 津田このみ 月ひとしずく 199912
わがいのちみ手に委ねてゐて涼し 柏井幸子 ホトトギス 200001
脾睨のマリヤカラスの目の涼し 中里カヨ 酸漿 200001
小波の布目畳める湖涼し 中里カヨ 酸漿 200001
淡路人形守り来し家系涼しけれ 渡邊松美 雨月 200001
星涼し神にも逢瀬あることを 辻口静夫 ホトトギス 200001
分骨を所望せし虚子塔涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200001
星涼し検査を明日の下剤呑み 池田かよ ぐろっけ 200001
片隅に居て涼しかり寺の句座 田中藤穂 水瓶座 200002
青の洞門抜けて川風涼しけれ 田中藤穂 水瓶座 200002
旅づかれ水涼しくて未草 田中藤穂 水瓶座 200002
遠目には涼しくも見え誘蛾灯 田中藤穂 水瓶座 200002
涼しさや地球の自転寝ておもふ 田中藤穂 水瓶座 200002
涼しさに一番乗りす皇居前 谷泰子 ぐろっけ 200002
片隅に居て涼しかり寺の句座 田中藤穂 水瓶座 200002
青の洞門抜けて川風涼しけれ 田中藤穂 水瓶座 200002
旅づかれ水涼しくて未草 田中藤穂 水瓶座 200002
遠目には涼しくも見え誘蛾灯 田中藤穂 水瓶座 200002
涼しさや地球の自転寝ておもふ 田中藤穂 水瓶座 200002
涼しさに一番乗りす皇居前 谷泰子 ぐろっけ 200002
涼し→ 2      

 

2021年7月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。