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もらひ乳やましらの叫ぶ霜の音  芥翁

初霜   別れ霜  春の霜  忘れ霜  霜柱

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨降って霜のなごりもなかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 199805
今日こそは稿書き上げん霜の朝 稲畑汀子 ホトトギス 199811
霜とざす蒙塵の道葬の列 松崎鉄之介 199811
鬢に霜置きて包丁さばきかな 中原道夫 銀化 199812
霜凪や背山を樵りはじめたる 片田千鶴 馬醉木 199901
旗掴み帰る霜夜のチンドン屋 別府優 199901
朝富士は住し枕木の霜とけて 土田栄 199901
句碑除幕祝詞谺す霜の谿 水原春郎 馬醉木 199901
嵩減りし葎や畑の霜きびし 太田蓁樹 馬醉木 199902
強霜や糀のはなが立ちあがる 鈴木庸子 風土 199903
人恋ゆる町も白かり霜いぶし 秋山深雪 船団 199903
霜荒れの焼跡は石ばかりなる 藤田宏 199903
霜の草いつもの犬の喉笛に 加藤かな文 199903
想像の円を描けば霜が降る 南村健治 船団 199903
秩父より届く霜被し若菜籠 小林俊彦 春耕 199903
大霜や星の触れあふ音すなり 新開一哉 円虹 199904
強霜や測られてゐる遊里跡 吉田島江 火星 199904
霜踏んで応へはるかに聞いてをり 水内慶太 銀化 199904
受難曲聴き抜くだる霜夜かな 三輪温子 雨月 199904
新教徒へ霜夜鋭利に月出(い)でぬ 大橋嶺夫 海程 199904
詩を刻す墓も石なり霜の花 片山由美子 199904
霜晴や天にも地にも師はひとり 岬雪夫 199905
霜晴や由布岳二峰天そそり 和田敏子 雨月 199905
蔵の戸を確かめに出る霜夜かな 鈴木卓 風土 199905
アロエ長身育ちて冬も霜知らず 岡本眸 199906
手を擦つて机辺離るる霜の聲 岡本眸 199907
霜の庭散るは咲くより美しと 丸山海道 丸山海道全句集 199910
雪霜に丹波の朝明月照りぬ 丸山海道 丸山海道全句集 199910
切り放つ霜の貨車一駅夫添ひ 丸山海道 丸山海道全句集 199910
霜踏んで来し夢殿を去りにけり 高橋将夫 199912
天上に星の混み合ふ霜くすべ 中田ゑみこ 馬醉木 199912
霜置きし畝に落ち着く苺苗 乾フヂ子 俳句通信 200001
一書読みおのれ励ます霜夜かな 片山喜久子 雨月 200001
月の沼霜夜の雁を漂はす 佐藤国夫 馬醉木 200001
十二神将固むる寺は霜を前 有働亨 馬醉木 200001
水霜を浴びし青菜を賜はれり 梅田秀子 酸漿 200002
霜晴や湖心に絞りゆく青さ 加藤あけみ 円虹 200002
霜の荻揺るぎも見せぬ余生かな 土肥屯蕪里 俳句通信 200002
霜天に満ち一灯に手紙書く 小澤克己 遠嶺 200002
霜敷きを惜しみつ使ふ菜洗場 能村研三 200002
蕎麦殻のささやくは霜置くらしも 千代田葛彦 馬醉木 200002
刻々と闇を貫く霜の音 尾上有紀子 わがまま 200002
満天の星瞬きて霜太る 加藤あけみ 円虹 200002
夜ついにふたつの嘘は霜の下 尾上有紀子 わがまま 200002
逆縁の嘆きも三とせ霜のこゑ 千代田葛彦 馬醉木 200002
庭木剪って木の香の顕ちし霜日和 熊岡俊子 雨月 200002
手で拭ふ霜夜の窓や流れ星 平しげる 酸漿 200002
煌々と霜夜の花屋灯を満たす 田中藤穂 「水瓶座」 200002
ラーメンの腰のぬけたる霜夜かな 伊藤格 200002
蝋梅も霜をまとひて年迎ふ 阿部ひろし 酸漿 200002
強霜や安房の里山初景色 水野北迷 200003
前生も霜夜の猫を抱きすくめ 中原道夫 銀化 200003
霜晴のホームに切れし己が影 武久昭子 風土 200003
発進の愛車しばしば霜を被て 能村研三 200003
ゆたかなるこころ霜夜の劇終はる 小澤克己 遠嶺 200003
賽の目の血走つてゐる霜夜かな 松本康司 銀化 200003
音のみの電車過ぎけり霜の夜 中川悦子 酸漿 200004
夜勤明け路傍の草に今朝は霜 川崎不坐 火星 200004
霜解けて紅白ボール泥化粧 木原今女 ぐろっけ 200004
霜の道桂馬桂馬のランドセル 塩見恵介 虹の種 200005
病む母の寝息確む霜の声 大塚民枝 酸漿 200005
峰の星みな熟れてをり霜くすべ 水内慶太 銀化 200006
虚子の忌や椿子に過ぐ幾星霜 本城布沙女 雨月 200006
堰きとめし子音大霜の抱擁は 田中亜美 海程 200006
胸を抱き眠りに落ちる霜の夜 田中桜子 船団 200007
地下足袋で踏み出す父の霜くすべ 皆川盤水 春耕 200007
やわらかく霜夜の電話鳴りつづく 原しょう子 「二十五時」 200010
みんなみんな聞いてほしがる霜夜かな 中原幸子 「遠くの山」 200010
一泊の高野の坊の霜の朝 稲畑汀子 ホトトギス 200011
イースト菌動き出したる霜夜かな 高尾豊子 火星 200101
水洟の工夫は霜の道路掘る 栢森定男 あを 200101
鉛筆に枯の匂のある霜夜 甲州千草 200101
一面の屋根かがやけり今朝の霜 熊谷みどり いろり 200101
籾殻の燻昂る霜日和 藤谷紫映 馬醉木 200101
霜の夜の宿に確かむ非常口 島田和子 風土 200102
深霜や遠くに夫の声きこゆ 福田みさを いろり 200102
霜の夜の笛を納めし笛袋 山尾玉藻 火星 200102

夫手術

夫預け来しは霜夜の無菌室

山田弘子 円虹 200102
つぶやきに応へのありて霜夜かな 杢子安子 200102
土のもの土に寝かせて霜の市 浜口高子 火星 200102
白毫に陽の一閃や霜の花 関根洋子 風土 200102
霜光る枯山水の汀かな 飯塚ゑ子 火星 200103
霜の夜のペン走らせる音ばかり 史あかり ぐろっけ 200103
村の子のふたつの眉に霜ふたつ 山尾玉藻 火星 200103
霜の声山家を包む寝覚めかな 前川みどり 春耕 200103
峡に入りひさびさ踏みし霜の音 阿部ひろし 酸漿 200103
箒目のすがし参道霜の朝 長島恵吉 遠嶺 200103
湯上りの髪拭きてゐる霜夜かな 高野美佐子 俳句通信 200103
手遊びの銀紙のこゑ霜の夜 祐森弥香 遠嶺 200103
一人ゆゑ急がぬ歩み霜の路 光枝晴子 200103
一呼吸おきて踏み出す霜の道 保田英太郎 風土 200103
満天に星のはりつく霜の夜 長島恵吉 遠嶺 200103
夜の霜人逝く刻とおもひをり 畑佳与 京鹿子 200103
鉄瓶の音は霜夜の音なりし 山尾玉藻 火星 200103
雑草がきらきら光る霜の道 栢森敏子 あを 200103
鎖樋しつとり濡れしけさの霜 竹部千代 200103
雑居家族眠る地震ずれ霜瓦 品川鈴子 船出 200104
子へひらく双手は翼霜の花 岡本眸 200104
歯ならしに牛噛む霜の丸太柵 品川鈴子 船出 200104
霜解けの穴のふえたる室生村 夏秋明子 火星 200105
耳遠くなりたる犬よ今朝の霜 松浦途子 ぐろっけ 200105
どの畦もかがやき出づる霜日和 小泉晴露 酸漿 200105
玻璃の外ソウルの霜夜ならむかな 河野美奇 ホトトギス 200105
利根長堤霜被て烟る廐出し 岩崎きゑ子 馬酔木 200106
暗き灯の通り過ぎたる霜くすべ 石田阿畏子 馬酔木 200106
今の子等霜害警報など知らず 保坂加津夫 いろり 200107
霜掃きし箒しばらくして倒る 能村登四郎 200108
朝日・霜けぶらふ中に立ちてをり 能村登四郎 羽化 200110
晴れし日のけぶり豊かに霜の庭 能村登四郎 羽化 200110
椿葉の霜乾きゆく時にあり 能村登四郎 羽化 200110
早霜に目覚めて樹々の客となる 渡邉友七 あを 200111
霜の朝床掻く馬の息白し 栢森定男 あを 200112
霜消えて同じ朝ではなくなりし 稲畑汀子 ホトトギス 200112
霜解けの地に貼りつきし塔の影 安養寺美人 200112
霜の夜のこころ全く凪ぎゐたり 能村研三 200112
落葉松の針にしろがね襲ね霜 大島康弘 銀化 200112
霜一度二度降り山河顔を見す 村越化石 200201
霜夜かな猫の肛門ももいろに 中原道夫 銀化 200201
霜の夜の稿責めに書の砦積み 能村研三 200201
霜の葬妄執を切り刻む鐘 村戸裕子 円虹 200202
霜晴や人工砂丘惨とあり 森茉明 京鹿子 200202
霜晴や大きく腕を振り歩き 高垣和恵 雨月 200202
霜畑にそのまま残る屋根の影 伊藤いな栄 酸漿 200202
こらへゐしケトル鳴き出す霜夜かな 吉川郁美 200202
画眉鳥の霜どけ畦に集ひをり 三浦カヨ子 酸漿 200202
夜明へと傾く星座霜の声 岩瀬良子 円虹 200202
唇に喇叭張り付く霜夜かな 長田秋男 酸漿 200202
霜晴や建て替へられし塔の空 大畠政子 雨月 200202
機音のもれくる霜の秩父みち 朝倉喜代子 春耕 200202
だぶつける靴で踏み込む霜の花 浜口高子 火星 200202
霜晴の腹にひびけり護摩太鼓 黒坂紫陽子 馬醉木 200202
街灯の消えぬままなり霜の朝 浅井千鶴子 いろり 200202
木道の霜やふと地の果のこと 関洋子 200202
幡枝柿霜寂びはやき時雨ぐせ 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
外出の母に手を貸す霜の朝 竹川美佐子 いろり 200202
霜晴れや透きとほるまでキャベツ煮て 荒井千佐代 200202
飛火野の霜に降りたつ大鴉 渡辺政子 春耕 200202
大根を洗ふ河原の霜煙 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
霜か雪か人を通さぬ村下坂 神蔵器 風土 200203
阿蘇谷を一枚にして霜白し 松崎佐 円虹 200203
霜踏みし犬の足跡踏みにけり 竹中一花 200203
微小なる柱を組みて霜の華 関洋子 200202
(笑)にて座談の了はる霜夜かな 松本康司 銀化 200202

松村武雄氏逝去

霜晴れの天へ旅立つみ霊かな

林翔 200202
山峡の田面這ひゆく霜煙 田邊英夫 円虹 200202
霜の華ダリの線みな尖りゐる 澤本隆子 200203
応々と托鉢呼ばふ霜の谷戸 手島靖一 馬醉木 200203
言ひたきを言はずに耐ふる霜夜かな 綿谷美那 雨月 200203
闇に降る霜の声とも葉ずれとも 橋本佐智 円虹 200204
風音の止んでひたひた霜の声 村田明子 円虹 200204
雀らに待たるる霜の目覚かな 干代田葛彦 馬醉木 200204
強霜や煙突伝ひに日の昇り 柿沼盟子 風土 200204
霜の夜の明けて朝日の雑木山 橋本佐智 円虹 200204
霜置きしごみを鴉の蔑視せり 吉川啓示 200204
霜気満つ行く人ごゑの懐かしき 干代田葛彦 馬醉木 200204
霜の花明智首塚径の辺に 吉田島江 火星 200204
乙字忌の強霜窓に貼りつけり 米屋道子 200204
曝さるる茶筌の竹の霜の華 谷村祐治 雨月 200204
動悸収まらず霜夜の白みたる 桑田青虎 ホトトギス 200204
強霜や土俵の俵浮き上がり 郷田健郎 百鳥 200204
水霜の消えて朝市終りけり 佐藤冨士男 ホトトギス 200205
火に少し濁りありたる霜くすべ 能村研三 200205
霜解や眩しき庭に尉鶲 小浦遊月 酸漿 200205
霜の夜の円座の数は僧の数 近藤幸三郎 風土 200206
霜くすべ石積むごとく齢重ね 藤井昌治 200207
全景に山をめぐらし霜くすべ 和田照海 京鹿子 200207
よべ星を仰ぎし朝の霜踏みて 稲畑汀子 ホトトギス 200211
芝踏めばいまし夜明の霜の音 阿部ひろし 酸漿 200212
落葉松の金きらきらと霜の朝 外川玲子 風土 200212
霜のこゑ築百年の長押より 鷹羽狩行 200212
霜夜更けやうやく仕事はかどりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200212
霜解の光をまとふ御師の畑 阿部ひろし 酸漿 200212
御師がはや霜を踏みをり朝作り 阿部ひろし 酸漿 200212
水霜や胸内に澱む悔ひとつ 関口ゆき あを 200212
よべの星大地に霜を置きはじむ 稲畑汀子 ホトトギス 200212
霜に日の昇る朝の輝けり 稲畑汀子 ホトトギス 200212
来し方の受難数々霜を踏む 村越化石 200301
霜のまへ萱草がまた萌えゐたり 阿部ひろし 酸漿 200301
霜育つ音なり星をまたたかす 糸井芳子 200302
畦の霜玉葱苗のまつすぐに 三浦カヨ子 酸漿 200302
黙読の喉の乾びし霜夜かな 谷口みちる 200302
先のこと覚悟は決まる霜の屋根 笠井敦子 200302
霜晴や山気じめりの旅ごろも 高橋さえ子 200302
全景に山をめぐらし霜くすべ 和田照海 京鹿子 200302
霜夜しんしん大椀に盛る薩摩汁 田中藤穂 あを 200302
霜踏めり時には鬼女の心にて 刈米育子 200302
庭下駄に霜白き朝休刊日 上田繁 遠嶺 200302
愛の唄聴いてをりたる霜の夜 野澤あき 火星 200302
霜のこゑ二日つづきの夢醒めて 北川孝子 京鹿子 200303
霜の夜の傾げて注ぐ灯油缶 大山文子 火星 200303
葬列を畦で見てゐる霜日和 大山文子 火星 200303
霜の朝気合を一つ戸を出づる 堀田恵美子 雨月 200303
枕辺にペンと裏紙霜の声 守屋井蛙 酸漿 200303
雲抽きて常念岳蒼し霜晨 村上光子 馬醉木 200303
御嶽の灯遠く瞬く霜夜かな 青木政江 酸漿 200303
犬の掻く土黒々と霜の畑 小林れい 酸漿 200303
霜の野の照るとみるみる煌めける 松林順子 雨月 200303
水漏れの音を聞きゐる霜夜かな 徳永真弓 百鳥 200303
霜踏んで気功の手先宙にあり 駒井でる太 200303
      霜 2 へ

 

2022年2月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。