初 霜     179句

はつ霜や犬の土かく爪の跡  北鯤

初霜   別れ霜  春の霜  忘れ霜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
初霜やうぶ着の竿の太かりし
高尾清子
199702
寝過ごして初霜消えてをりにけり
稲畑汀子
ホトトギス
199811
初霜に富士の変幻はじまりぬ
稲畑汀子
ホトトギス
199811
初霜に色を極めてゆく大地
稲畑汀子
ホトトギス
199811
初霜といふ菓子ひとつ波郷の忌
片山由美子
199904
初霜や提げて重たき旅鞄
稲畑汀子
ホトトギス
199911
初霜や雉子翔つ音の芋畑
皆川盤水
春耕
199912
初霜や抱きあげてきみ三歳に
山西雅子
200002
初霜となりゆく野の香纏ひをり
長山あや
円虹
200002
初霜やいのち愛しみ給へかし
長山あや
円虹
200002
初霜を踏み闘病も一と年に
松尾白汀
円虹
200002
初霜や園のベンチの忘れ傘
宮下秀昌
春耕
200002
初霜や踏まねば行けぬ草分けて
稲畑汀子
ホトトギス
200011
草原に置く初霜や由布晴るる
稲畑汀子
ホトトギス
200011
初霜に犬ジヤリジヤリと戯れて
稲畑廣太郎
ホトトギス
200011
初霜や昨夜の星屑降らせしか
稲畑廣太郎
ホトトギス
200011
初霜や赤く輝く冨士の肩
三澤福泉
俳句通信
200101
初霜や豆乳かをる裏通り
前阪洋子
俳句通信
200101
初霜を知らず蹲踞の大柏槙
岸上道也
京鹿子
200102
初霜や小鳥葬りし棒傾ぐ
沢ふみ江
春耕
200102
初霜と気づく早出の旅立に
稲畑汀子
ホトトギス
200111
すぐ消ゆるとも初霜の跡しかと
稲畑汀子
ホトトギス
200111
初霜や轍は蹄跡入れず
中原道夫
銀化
200112
初霜や野の幸を野に商へる
山田弘子
円虹
200201
初霜を当てて遺愛の鉢大事
山田弘子
円虹
200201
初霜や粥にひろがる茶の香り
小田悦子
雲の峰
200201
初霜やここは道草したるみち
田代史子
馬醉木
200202
初霜や枝つんつんと空を刺す
竹川美佐子
いろり
200202
初霜や日月といふかすれやう
春川暖慕
銀化
200202
初霜や朝の大地の緊張す
赤井よしを
円虹
200202
初霜や笛を吹きたる籠の鵯
長田秋男
酸漿
200204
初霜や残る齢は数ふるな
西川五郎
馬醉木
200212
初霜か食用菊の色変はり
須賀敏子
あを
200212
初霜を当てし甘味と諾ひぬ
山田弘子
円虹
200301
初霜のうすらに鬼門封じかな
矢崎すみ子
200302
初霜や今年も終る庭仕事
牧野耕二
ホトトギス
200303
初霜や寝癖髪立て登校児
高橋悦子
200303
初霜や薬罐の笛の空(くう)を裂き
芦川まり
八千草
200306
初霜に足音夜明けゆきにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200311
初霜を踏みて仕事の顔となる
稲畑汀子
ホトトギス
200311
初霜のたちまち消ゆる山日和
稲畑汀子
ホトトギス
200311
初霜を踏む旅立の夜明かな
稲畑汀子
ホトトギス
200311
初霜を踏みつつ人を悼みつつ
稲畑汀子
ホトトギス
200311
初霜を踏んで面接試験かな
上原カツミ
帆船
200401
初霜や掠れて今朝の飛行雲
戸木下節子
雲の峰
200401
初霜や火事跡といふ黒きもの
鷹羽狩行
200402
ワイパーに初霜掃かせバス始発
村上一葉子
200402
初霜月一人四役を菊五郎
小林優子
酸漿
200402
初霜や息とめて貼る湿布薬
迫口君代
河鹿
200403
初霜に土のぬくもりありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200405
初霜や朝をやさしくモカ香る
松井和恵
八千草
200406
初霜や池の水面のあたたかし
松井和恵
八千草
200406
初霜を踏めば都心の音と思ふ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200411
初霜の消えて足音の残りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200411
初霜のありし朝や旅帰り
稲畑汀子
ホトトギス
200411
初霜にはじまる晴と信じ発つ
稲畑汀子
ホトトギス
200411
初霜や懸巣の声が庭を過ぐ
長田秋男
酸漿
200411
初霜を拭きて木馬に跨りぬ
景山まり子
百鳥
200502
初霜の溶けて野山の寛げり
小野寺靖
百鳥
200503
初霜や町を流るる川の幅
服部早苗
200504
初霜のありし朝の旅立に
稲畑汀子
ホトトギス
200511
初霜に朝の光を得つゝあり
稲畑汀子
ホトトギス
200511
初霜の一画ほどけはじめけり
稲畑汀子
ホトトギス
200511
旅立の暁闇は初霜を踏み
稲畑汀子
ホトトギス
200511
初霜や抱けばとくとく犬の脈
竹内弘子
あを
200601
初霜のかがやく朝の始まれり
小山漂葉
酸漿
200602
初霜や星屑ほどのかそけさに
長山あや
ホトトギス
200604
初霜や鼠にシヤボン盗まるる
瀧春一
常念
200606
初霜に快晴の朝はじまりぬ
稲畑汀子
ホトトギス
200611
初霜の深き山路にさしかかる
稲畑汀子
ホトトギス
200611
初霜の阿武隈川の紅き橋
森高武
風土
200702
初霜を早起の父知らせけり
坂本知子
酸漿
200702
初霜や米穀通帳下げし痕
吉弘恭子
あを
200702
初霜といふ天地のレクイエム
長山あや
ホトトギス
200703
初霜を踏みしめ前に進むなり
わかやぎすずめ
六甲
200703
初霜の気配漲りはじめけり
稲畑汀子
ホトトギス
200711
初霜の便り届かぬまま逝かれ
稲畑汀子
ホトトギス
200711
暁闇の一歩初霜踏んでをり
稲畑汀子
ホトトギス
200711
マップ手に初霜の日や小諸着
井口淳子
200802
初霜や声掛け合ひて登校児
小山香月
酸漿
200802
初霜や仕舞ひ忘れし庭箒
大沼まり子
200803
初霜や訪ふ人もなき庭となり
大沼まり子
200803
初霜や手を揉んでより歩き初む
山田六甲
六花
200811
初霜やちらり見えゐる臍ピアス
石寒太
炎環
200901
初霜や樽に捺されし杜氏の名
内藤静
風土
200902
初霜の上におはやう交差せり
高木嘉久
200902
初霜の一夜に焦げし芋畑
八木岡博江
酸漿
200902
初霜や囲ひし葱の上の土
遠藤逍遙子
風土
200903
初霜に心のかろき一日なり
岩上定子
酸漿
200903
初霜や鴉大声あげゐたる
滝沢伊代次
万象
200911
初霜やプリンスホテルヘ直行す
高尾豊子
火星
201002
初霜や光散らして雀どち
東芳子
酸奬
201002
初霜を滑らぬやうに戸板橋
中川すみ子
201003
初霜や野山のいのち沈み初む
長山あや
ホトトギス
201003
初霜の降りたる朝の通学路
高橋均
やぶれ傘
201004
朝の間の初霜ほどけはじめけり
稲畑汀子
ホトトギス
201011
初霜の旅路はるけくありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
201011
よべ熟寝せし初霜の朝かな
稲畑汀子
ホトトギス
201011
初霜に一歩踏み出す旅の朝
稲畑汀子
ホトトギス
201011
初霜となりし旅立約す晴
稲畑汀子
ホトトギス
201011
初霜の消ゆる早さに旅立ちぬ
稲畑汀子
ホトトギス
201011
初霜の朝日に光る銀の畑
安本恵子
201101
初霜や使ひ勝つての竹箒
神蔵器
風土
201101
初霜やきしきし軋む夜の底
上原重一
201101
初霜に甘くなりたる大名葱
鈴木とおる
風土
201102
初霜や春日の巫女の薄化粧
雨宮桂子
風土
201102
初霜やひかり宿れり御所模様
岸本幸
ろんど
201103
初霜につつぱつてゐる鉄の橋
橋本くに彦
ホトトギス
201104
余生とはせざる初霜しかと踏み
井上浩一郎
ホトトギス
201104
初霜やひとりは一人の忙しさ
コ田千鶴子
花の翼
201111
初霜の消えぬ大地を旅立ちぬ
稲畑汀子
ホトトギス
201111
初霜の消え快晴となりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
201111
初霜や銀の燭台曇りをり 栗栖恵通子 201201
初霜や熊笹揺らすもの見えず 片岡久美子 201202
初霜やわが来し方の窪みにも 山崎青史 ろんど 201202
初霜の明日へ磨く心かな 藤原若莱 春燈 201203
初霜や鳥の素通る実の上に 吉村さよ子 春燈 201203
初霜や父似の兄の長寿眉 北崎展江 くりから 201209
初霜の音乾きたる朝かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
初霜に朝の空気の固まれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201211
初霜の踏めば応へぬ靴の音 稲畑汀子 ホトトギス 201211
初霜や一人住まひといふ自由 稲畑汀子 ホトトギス 201211
初霜や身軽に旅にあることを 稲畑汀子 ホトトギス 201211
日帰りの朝の旅立初霜に 稲畑汀子 ホトトギス 201211
初霜や延ばしつづけし返事書く 大木清美子 201301
初霜や西郷像の犬の背に 大島みよし 201302
初霜や自転車ペタル音重く 大島みよし 201302
初霜や前掛け紐の花結び 栗栖恵通子 201302
初霜の光るベンチに坐りける 中田禎子 201302
初霜や牛の乳房の湯気立ちて 二宮一知 万象 201303
早立ちの初霜の径明けの星 河野美奇 ホトトギス 201304
初霜のとけゆく光置き初めし 稲畑汀子 ホトトギス 201311
朝の間の初霜消えて石畳 稲畑汀子 ホトトギス 201311
初霜のありしと告ぐる光かな 稲畑汀子 ホトトギス 201311
初霜や心鎧ひて旅立ちぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201311
風さつと吹き初霜の消えてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201311
初霜の降りしと里の友の声 宮田豊子 春燈 201402
初霜の人間(じんかん)はやも汚れたる 瀬川公馨 201404
初霜の光となりて夜明け来し 稲畑汀子 ホトトギス 201411
初霜や頭部MRIを受く 井口ふみ緒 風土 201502
初霜や発電パネル息づきぬ 相良牧人 201503
初霜の畑を被ふ白布とも 鈴木礼子 末黒野 201503
初霜や仏師の庭のかぐはしき 笹村政子 六花 201504
初霜の降りくる窓のやじろべゑ 山田佳乃 ホトトギス 201505
初霜の暗き境内鐘を突く 吉宇田麻衣 201508
初霜にだらけし野面引き締まる 布川直幸 201510
初霜の降りて星空整へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
初霜の降りプロ野球終はつてもた 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
日の昇るまでの初霜踏んで来し 稲畑汀子 ホトトギス 201511
早立ちの靴音ひそめ初霜に 稲畑汀子 ホトトギス 201511
一面の初霜敷ける狭庭かな 稲畑汀子 ホトトギス 201511
朝月を仰ぎ初霜踏みて旅 稲畑汀子 ホトトギス 201511
初霜や富士まだ姿整はず 根岸善行 風土 201602
初霜の草光りそむ濡れそむる 根岸善行 風土 201602
初霜や薄化粧せり母の墓 広田貞治 風土 201602
初霜を耳で気がつく朝かな 江島照美 201604
初霜や人増ゆ朝の丸の内 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
初霜や人増ゆ朝の丸の内 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初霜を踏んで家出る午前五時 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初霜を踏んで句座へと急ぎけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201611
初霜も無い立冬のずんべらぼう 中林明美 船団 201612
初霜や庭師が残す高梯子 柴田久子 風土 201702
初霜や畔にスマホの農婦佇つ 小島昭夫 春燈 201801
初霜や注連の張らるる地鎮祭 峰幸子 末黒野 201802
初霜やこゑ尖らせて山鴉 布施政子 馬醉木 201812
初霜を歩む手を振り肩を振り 内藤静 風土 201903
初霜を侮ることのゆるされず 竹下陶子 ホトトギス 201908
旅立の朝の初霜踏み分けて 稲畑汀子 ホトトギス 201911
初霜に関東ローム層目覚め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
初霜の大地を覆ふ刹那かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
初霜や悠久の天綺羅星に 竹下陶子 ホトトギス 201911
初霜の夜小面に小さき翳 鈴鹿呂仁 京鹿子 202001
初霜は天のふりかけ千枚田 菊池和子 京鹿子 202002
初霜や一樹の影の残る庭 松本峰春 京鹿子 202002
合意なき決定とやら初霜降る 井尻妙子 京鹿子 202002
初霜の便り列島を南下 井尻妙子 京鹿子 202002
初霜の地窓明りとなりにけり 中田みなみ 202003
初霜や曇りガラスのやうな窓 湖東紀子 ホトトギス 202004
早立ちの一歩初霜踏みしめて 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜を踏み来し靴といはずとも 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜に朝の光を置き初めし 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜に都心の朝の縮みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
忙しき都心初霜降りてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
初霜に株の粧ふ田面かな 藤生不二男 六花 202102
初霜やそぞろ信濃の旅心 山西商平 ホトトギス 202103
初霜と聞きしばかりに集ふ会 稲畑汀子 ホトトギス 202111
初霜に気づきしよりの家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 202111
初霜や故郷の土踏みしめて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
初霜や物干し場まで道ひとつ 関道子 春燈 202202
初霜や小さく洗ふ朝の顔 石原孝人 京鹿子 202203

 

2022年12月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。