春の霜       75句

曙や麦の葉末の春の霜    鬼貫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春霜や兄を連れ去る救急車 野沢しの武 風土 199905
春の霜むかし輪禍の足痛む 吉岡久江 火星 200010
春霜に仔犬は糸のごとき尿 藤田宏 200104
春の霜童女踏むあと吾も踏む 中村裕子 200106
春霜や角の取れたる河原石 棚山波朗 春耕 200205
春霜のむかしむかしの二人かな 梶浦玲良子 波小舟 200205
産土に朝の日差しや春の霜 林友次郎 遠嶺 200305
開け放つ彌撒の扉や春の霜 丹羽啓子 馬醉木 200404
降り立ちて雀は春の霜の中 大熊けん子 草の花 200405
荼毘の鶴春霜ほどのはかなさに 大磯幸子 河鹿 200406
情報の波に溺れず春の霜 舩越美喜 京鹿子 200407
ふはと踏む弘道館の春の霜 蓮井崇男 対岸 200504
にこやかに厳しき助言春の霜 白神知恵子 春燈 200505
砂時計返す天地や春の霜 大島翠木 200506
脳細胞音なくこはれ春の霜 楠原幹子 白卓布 200602
古墳二つ縦走をして春の霜 今瀬剛一 対岸 200604
鐘の音の落ちゆく先の春の霜 高梨美佐子 遠嶺 200606
春の霜踏めばけものの匂ひする 雨村敏子 200606
戸籍より夫の名消ゆる春の霜 斎藤妙子 200606
泣く救ひ忘るる救ひ春の霜 滝沢幸助 春燈 200608
畦道を抉るわだちや春の霜 小山香月 酸漿 200704
春の霜白し朝刊に龍太の死 大畑善昭 200705
春霜や富嶽一景かくれなし 鈴木直充 素影 200811
春の霜踏むだけ踏んで泣き止みぬ 米澤光子 火星 200905
紫の衣召されし春の霜 渡辺数子 火星 200905
野晒しの石に十字や春の霜 上柿照代 馬醉木 200906
土塊のままの畑や春の霜 廣瀬雅男 やぶれ傘 200907
み吉野の谷の一夜の春の霜 安原葉 ホトトギス 200909
逝きしとふこと音信に春の霜 井上信子 201004
通院の裏の近道春の霜 北岸邸子 春燈 201004
春霜のきびしき息に気圧されぬ 椿和枝 201005
快晴は昨日のことよ春の霜 稲畑汀子 ホトトギス 201007
春霜に野菜の苗の悲鳴かな 仁平則子 201007
怖けつつ春霜光るかづら橋 塩路隆子 201104
春霜や朝日にむかひ番鳥 大松一枝 201105
墓の娘の寒かろ春の霜強き 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
春の霜つけて打球の転びけり 数長藤代 201107
春の霜人間ドツクは異常無し 児玉有希 京鹿子 201109
春の霜踏みて散歩の田舎道 菊地崇之 かさね 201205
浅草の老いし踊り子春の霜 山田正子 201205
干反りせる土持ち上ぐる春の霜 原田達夫 201205
発掘の鍬の崩せる春の霜 野茂木弘子 万象 201205
若き日の夢はまだ夢春の霜 山田正子 201206
一丁目の端ゆく銀座に春の霜 柿沼盟子 風土 201205
若き日の夢はまだ夢春の霜 山田正子 201206
春霜を解かぬふるさと父母在さず 塩路隆子 201304
パン種のふくらみきりし春の霜 前田忍 火星 201305
生涯の嘘とまことと春の霜 水野恒彦 201306
立春の雉鳩霜を啄めり 瀧春一 花石榴 201312
湧き水の音のひろごる春の霜 庄司久美子 201404
何ごとも無心がよろし春の霜 森下康子 201405
春の霜身を引きしめて明日を待つ 柴田靖子 201506
鳥の餌零しながらの春の霜 鈴木阿久 201604
そのことに触れてはならぬ春の霜 田中藤穂 あを 201604
洗濯の竿に張り付く春の霜 大村かし子 万象 201606
阿蘇くじゆう墨絵の如き春の霜 平澤侃 末黒野 201705
真夜中の沈思の果てや春の霜 若泉真樹 201902
霜白く春日の杜に鹿の糞 たかはしすなお 201903
朝光を弾き返して春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 201912
ビル街の目覚は早し春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
朝光を弾き返して春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
春の霜ここも都心の一等地 稲畑廣太郎 ホトトギス 202002
春霜の野はひとときの万華鏡 良知悦郎 202004
儚さを秘め逞しき春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
草野球三塁側の春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
春の霜都心に残る砂地かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
春の霜分子に還りゆく刹那 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
春の霜色なき庭の色として 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
育ちゆくもの潤して春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
転生のその果て知らず春の霜 諸岡孝子 春燈 202204
春の霜この通学路とも別れ 藤井啓子 ホトトギス 202206
春霜や鼻奥つんと歩き出す 石井美智子 風土 202206
春霜や土手一面の薄化粧 宮元陽子 末黒野 202206
春の霜降りて天使は羽畳む 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
這ひ出づるものに春霜てふ試練 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
水音に育てられたる春の霜 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302

 

2023年2月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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