冴返る 7     200句

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

冴返る机辺整理は喪の如し   安住敦   歳時記(第三書館)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
折鶴の千羽の無音冴返る 大橋伊佐子 末黒野 201404
弓張の月の蒼さや冴返る 川崎良平 雨月 201404
新聞の入試解答冴え返る 藤見佳楠子 201404
そちこちに忌中の簾冴返る 池元道雄 馬醉木 201404
晩年の杜甫の詩よめば冴返る 川崎良平 雨月 201404
公開の大津事件や冴返り 井口淳子 201405
地下道に響く靴音冴返る 佐々木永子 末黒野 201405
喪に服す日々なり風の冴返る 磯野しをり 雨月 201405
羨道を進みて闇の冴返る 塩見英子 雨月 201405
切株のいびつな楕円冴返る 野上杏 201405
針の穴通せなくなり冴返る 佐藤喜仙 かさね 201405
冴返る闇に島の灯瞬けり 後藤眞由美 春燈 201405
冴返る春は前やら後やら 菊谷潔 六花 201405
琺瑯のケトル笛吹き冴え返る 神戸京子 ろんど 201405
六道図嚇嚇とあり冴返る 石田阿畏子 馬醉木 201405
使ひ初む真塗りの椀冴返る 大文字孝一 春燈 201405
会はざりし人の訃報や冴返る 安立公彦 春燈 201405
輪塔に細き月あり冴返る 大上充子 馬醉木 201405
峰寺の鐘の余韻の冴返る 山本漾子 雨月 201405
師の亡くて冴返りまた冴返る 窪田佳津子 雨月 201405
病み臥して漲るいのち冴返る 神蔵器 風土 201405
仮の世の赤き待針冴え返る 高野春子 京鹿子 201405
坂多き上町台地冴返る 玉置かよ子 雨月 201405
冴返る野の道往くも街行くも 松本三千夫 末黒野 201405
冴返る灯や沖止めの油槽船 宮城勉 万象 201405
冴返る説法柱の黒びかり 雨宮桂子 風土 201405
冴返る己が書きたる誤字まざと 杉山瑞恵 雨月 201405
冴返る寒の極みを春と知る 菊谷潔 六花 201405
冴返るこの節々の不満足 木村茂登子 あを 201405
入院に捺印いくつ冴返る 阪上多恵子 雨月 201405
点滴のきざみゆく刻冴え返る 紅谷芙美江 万象 201405
葬り来て真の訣れ冴返る 佐藤淑子 雨月 201405
姉逝きて彼岸を前に冴え返る 池田光子 201405
長寿鯉すむ伏流池冴返る 渕上千津 201406
切株の増えし林や冴返る 戸田澄子 末黒野 201406
郷関の冴返りつつ暮れゆける 下平しづ子 雨月 201406
仁王の喝もらふ古刹や冴返る 南光翠峰 馬醉木 201406
帰りこぬ猫の二タ夜や冴返る 中島芳郎 201406
寄席を出て池畔の屋台冴返る 菅野日出子 末黒野 201406

 桂文枝六代目襲名披露会

冴え返る月に語りて六代目

井上曜子 201406
糶終へて午後冴返る魚市場 森清信子 末黒野 201406
路標にも海抜表示冴返る 森清堯 末黒野 201406
十二時のからくり時計冴返る 岡田香緒里 やぶれ傘 201406
冴返る木肌に鹿の食みし跡 中鉢弘一 万象 201406
冴返る日の光そのものさへも 島谷征良 風土 201406
冴え返る草庵茶室畳の目 井上曜子 201406
日の流れ運河のやうに冴返る 犬塚芳子 201406
道端に拾ひし写真冴返る 廣畑育子 六花 201406
一病に米磨ぐ音の冴返る 半田稜 ろんど 201406
五重塔五重の翳の冴返る 古賀しぐれ ホトトギス 201406
もう聴けぬ亡き師の話冴返る 乗光雅子 雨月 201406
風の研ぐ影みな尖り冴返る 松田都青 京鹿子 201407
冴返る関東白く塗り潰し 安原葉 ホトトギス 201407
冴返る鵜の瀬に注ぐお香水 横山昭子 雨月 201407
一病にあせりごころや冴返る 落合由季女 雨月 201409
法刀の一閃闇に冴返る 田中佐知子 風土 201411
鼻を撲つ老杉の香や冴返る 竹内弘子 あを 201502
白銀に都心仕上げて冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
冴返る別人といふ作曲家 稲畑廣太郎 ホトトギス 201502
オレンジの星はみはるや冴返る 竹中一花 201503
クラブ振る音まちまちに冴返る 中谷富子 201504
声飛ぶや海の劇場冴返る 中島陽華 201504
五分間の肩ストレッチ冴返る 坂上香菜 201504
仏ごとに過ごす一日や冴返る 安部和子 雨月 201504
冴返る朝の散歩や首すくめ 辰巳あした 雨月 201504
とうふ屋のらっぱ高鳴り冴返る 辰巳あした 雨月 201504
寺田屋の刀痕さやに冴返る 錫木妙子 馬醉木 201505
妙義嶺の痩尾根峨々と冴返る 山口誠 馬醉木 201505
津山盆地城軸として冴返る 生田作 風土 201505
石落とし覗く櫓や冴返る 鈴木庸子 風土 201505
冴返る本堂姉の大練忌 小川玉泉 末黒野 201505
竹林の道幅二尺冴返る 松本三千夫 末黒野 201505
爛爛と満天の星冴返る 大橋伊佐子 末黒野 201505
御社の神鈴の音冴返る 石原節子 春燈 201505
冴返る紙ふんだん使ひ捨て 楠原幹子 201505
水垢離の僧の浴身冴返る 秋葉雅治 201505
冴返る洞に異国の神隠し 柴田佐知子 201505
星空は神代のままに冴え返る 水野恒彦 201505
冴返る参道巫女の足早に 岩月優美子 201505
素直なる星の光も冴返る 椿和枝 201505
冴え返る和紙の表裏をさぐりをり 藤兼静子 201505
冴返る豆の皺なく煮ゆる音 佐渡谷秀一 対座 201505
ワイングラスかちりと当てて冴返る 小林愛子 万象 201505
隧道の風の重なり冴え返る 中田のぶ子 ろんど 201505
しのび返しの切っ先ひかり冴返る 西村しげ子 雨月 201505
冴返る街新しき灯の点り 樺山翠 雨月 201505
眠られぬ深夜刻々冴返る 堀井英子 雨月 201505
しろがねの伊吹聳ち冴返る 尾崎みつ子 雨月 201505
日の神と師に合掌し冴返る 塩貝朱千 京鹿子 201505
冴返る手擦れの聖書輪読す 平居澪子 六花 201506
冴返る指先のみの会話かな 野村鞆枝 京鹿子 201506
朝の鐘七つの音の冴え返る 福島せいぎ 万象 201506
大根煮る匂ひ厨に冴え返る 飯田ひでを 201506
彫深き鬚文字の碑や冴返る 山崎稔子 末黒野 201506
冴返る特急電車の通過音 本池美佐子 201506
沈黙は鋭利な声ぞ冴返る 松田都青 京鹿子 201507
冴え返る木の階段の黒光り 陽山道子 船団 201508
壁ドンも天ドンも好き冴返る 長谷川博 船団 201508
星ふたつみつよつ見えて冴返る 大崎紀夫 虻の昼 201510
冴返る雨ともならず上京す 稲畑汀子 ホトトギス 201602
墓碑銘の虚子の筆跡冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
正夢の夢入れ替り冴返る 神蔵器 風土 201603
引き直す道の白線冴返る 遠藤清子 末黒野 201604
鯨塚沖に向きゐて冴返る 水野恒彦 201604
冴返る晴のち雨の生に似て 犬塚李里子 201604
窓際に蕾揺ぎて冴え返る 山荘慶子 あを 201604
すんなりと採れし魚拓や冴返る 佐藤山人 201604
切株の放つ杉の香冴返る 馬屋原純子 馬醉木 201605
爪を剪る音のぱちりと冴返る 土井三乙 風土 201605
道に奥風にも奥や冴返る 根岸善行 風土 201605
志太とある木簡三寸冴返る 間島あきら 風土 201605
料亭の狸のふぐり冴返る 福島せいぎ 万象 201605
冴返る道を気功に急ぐ夜 藤波松山 京鹿子 201605
冴返る鴨居に赤きおぶひ紐 高野春子 京鹿子 201605
冴返るダ・ヴィンチ展の解剖図 相良牧人 201605
喧騒に倒れし徳利冴返る 中島芳郎 201605
検査着のしやつちよこばつて冴返る 相良牧人 201605
雨の降る白秋の島冴返る 松本三千夫 末黒野 201605
福耳に似合はぬピアス冴返る 黒滝志麻子 末黒野 201605
冴返る月をなぞりて雲が行く 谷島弘康 末黒野 201605
訃報聞くこころ幾たび冴返る 安立公彦 春燈 201605
数式の素数の孤独冴返る 川崎真樹子 春燈 201605
宝前の干魚の反りや冴返る 佐藤博重 春燈 201605
貝塚に離れ姫塚冴返る 本多俊子 201605
誰も居ぬ大樹の辺り冴返る 岩月優美子 201605
興福寺の塔の歳月冴返る 大橋晄 雨月 201605
阿修羅の眉目愈々深み冴返る 大橋晄 雨月 201605
管楽器並む楽器店冴返る 佐藤淑子 雨月 201605
冴返る診察室に解剖図 阪上多恵子 雨月 201605
冴返る戦禍の城の土の焦げ 密門令子 雨月 201605
飛鳥大仏いつよりの傷冴返る 片山喜久子 雨月 201605
結願の高野に鈴の冴返る 塩見英子 雨月 201605
連山の山襞白く冴返る 宮本俊子 雨月 201605
ふと触れて雨後の手摺の冴返る 水田むつみ ホトトギス 201606
裏返る空あらばこそ冴返る 熊川暁子 201606
冴返る手に火起こしの風囲ひ 吉武美子 201606
冴返る駅のホームに富士を見て 遠山のり子 201606
定員に満たぬ母校や冴返る 佐藤山人 201606
冴返る車窓一瞬遠筑波 橘正義 春燈 201606
前に立つ人の後れ毛冴返る 小山ようこ やぶれ傘 201606
喜捨受くる僧の手甲冴返る 安斎久英 末黒野 201606
切株の湿る年輪冴返る 森清堯 末黒野 201606
塔裏の出世観音冴返る 岡田史女 末黒野 201606
反り美しき甍連ねて冴返る 大石よし子 雨月 201606
冴返る旅風雪の関ケ原 安原葉 ホトトギス 201607
鋭角の星の煌めき冴返る 涌羅由美 ホトトギス 201607
九時間に及ぶ手術や冴返る 青柳雅子 春燈 201607
鑿あとの著き隧道冴返る 神谷さうび 末黒野 201607
早起きす三文得す冴え返る 中林明美 船団 201701
冴返る都庁展望階の視野 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
冴返る風が一片弄ぶ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
マラソンの果てし路面の冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
いつ雨の止みし忽ち冴返る 稲畑汀子 ホトトギス 201702
冴返るとも日の差してゐる間 稲畑汀子 ホトトギス 201702
筆跡はこころの鏡冴返る 太田昌子 馬醉木 201703
頑なに閉ざす御所門冴え返る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
筆跡はこころの鏡冴返る 太田昌子 馬醉木 201703
頑なに閉ざす御所門冴え返る 鈴鹿呂仁 京鹿子 201703
冴返る一番星を仰ぎけり 下平しづ子 雨月 201703
また一つ俳誌終刊冴返る 大畑善昭 201704
冴返る隣も眠れぬ四人部屋 佐々木良玄 春燈 201704
呉須深き形見の盃や冴返る コ田千鶴子 馬醉木 201704
冴返る胸にひとふり清め塩 佐藤保子 馬醉木 201704
吹き晴れて星空の冴返りたる 柴田昭子 雨月 201704
散歩道足の裏より冴返る 遠山悟史 京鹿子 201705
渇筆の内なる勢ひ冴返る 西村操 雨月 201705
算盤のぽつんと置かれ冴返る 寺田すず江 201705
朝刊の配達の音冴返る 荻布貢 201705
ひのき香のアロマライトや冴返る 七郎衛門吉保 あを 201704
冴返るとどめ刺すかに凶を引く 足立良雄 201705
冴返る棺の中の聴診器 加藤峰子 201705
冴返る峡や一途に紙干して 松本美簾 馬醉木 201705
追伸の二行の文字や冴返る 小林愛子 万象 201705
病む人の端書の余白冴返る 岡本敬子 万象 201705
拝啓の後のつまづき冴返る 上谷昌憲 201705
冴返る祈りの間の空調音 七田文子 201705
北山杉の枝打つ音や冴返る 藤代康明 201705
罅割れの仏足石や冴返る 豊谷青峰 春燈 201705
たまさかの雑巾がけや冴返る 吉川隆 春燈 201705
埠頭まで鉄路光りて冴返る 松本三千夫 末黒野 201705
骨董屋の抜身一振冴返る 松本三千夫 末黒野 201705
青白き外灯の径冴返る 黒滝志麻子 末黒野 201705
町中の海抜表示冴返る 石黒興平 末黒野 201706
拝殿へ禰宜の沓音冴返る 安斎久革 末黒野 201706
セロ弾きの路上ライブや冴返る 菅野日出子 末黒野 201706
大寺の百間廊下冴返る 今村千年 末黒野 201706
冴返る夜は鳥籠を布囲ひ 佐津のぼる 六花 201706
冴返る水道工事土の中 藤波松山 京鹿子 201707
冴返る日の風雪に旅立てり 安原葉 ホトトギス 201707
冴返る巫女の鈴の音三拍子 山田佳乃 ホトトギス 201707
吊橋を十歩で返し冴返る 今橋眞理子 ホトトギス 201708

 悼句友愛犬急逝

逆縁を告げる言の葉冴返る

稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
九年といふ生涯に冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
去り行ける魂の重みや冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
茫と富士凛と伊吹や冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
昼食はおにぎり一つ冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201802
白々と螺旋階段冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
移築てふ思ひ出の家冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
稜線を尖らせて風冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
吊橋の真中最も冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
冴返る→8      

 

2019年3月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。