冴返る 8     111句

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

冴返る机辺整理は喪の如し   安住敦   歳時記(第三書館)

作品
作者
掲載誌
掲載年月
城へ来て石のほとほと冴返る 山田六甲 六花 201803
冴返る星を仰ぎて雨戸引く 長崎桂子 あを 201804
長旅の高麗茶碗冴返る 中田禎子 201804
男舞まふ手の白し冴返る 塩貝朱千 京鹿子 201804
夕刊に初号の見出し冴返る 小野恵美子 馬醉木 201804
郵便受けまでの六歩や冴返る 松本三千夫 末黒野 201804
電話機をことりと置くや冴返る 高橋和女 春燈 201804
高位級と名乗る陣営冴返る 赤座典子 あを 201804
大いなるマラソン日和冴返る 須賀敏子 あを 201804
筆立に書けるペン減り冴返る 谷口一献 六花 201805
冴返る太陽のやうな町医逝く 大内幸子 六花 201805
うぶすなを追はれし鬼や冴返る 片山煕子 京鹿子 201805
冴返る木偶人形の白眼かな 小張志げ 春燈 201805
一筋の轍の深し冴返る 岩永はるみ 春燈 201805
冴返る灰の中より師の雅印 門伝史会 風土 201805
いて来るものに靴音冴返る 落合絹代 風土 201805
冴返る九十九里浜潮の音 亀卦川菊枝 末黒野 201805
手で拭ふ玻璃戸のくもり冴返る 饗庭悪子 末黒野 201805
晴れてゐる北西の空冴返る 丑久保勲 やぶれ傘 201805
冴返る金星の色鮮やかに 鈴木みのり 201806
一禽の杜の一声冴返る 森清堯 末黒野 201806
月光の我射る白さ冴返る 森清信子 末黒野 201806
動かざる鯉の尾鰭や冴返る 加藤静江 末黒野 201806
縄文の骨の笄冴返る 深川淑枝 201806
戒めのごとくに天地冴返る 岩岡中正 ホトトギス 201807
湖の今日は色無く冴返る 湖東紀子 ホトトギス 201807
篆刻に遺る君が意冴返る 千原叡子 ホトトギス 201808
魚市の魚は鈍色冴返る 石橋幾代 201808
冴返るどうやら女性車両らし 福岡貴子 船団 201811
嬰の崩す積木の音や冴返る 森なほ子 あを 201904
冴返る入札待ちの銅版画 赤座典子 あを 201904
冴返る三番線は岬行き 森岡正作 201904
冴返る森が吸ひこむ鳥のこゑ 五十畑悦雄 201904
冴返る動物園に慰霊の碑 浅田光代 風土 201904
冴返る書棚の隅に借りし本 川高郷之助 201904
城壁の石に刻印冴返る 岡田正義 雨月 201905
真夜に来る救急車の音冴返る 片岡良子 雨月 201905
冴返る延命の是非迫られて 山田夏子 雨月 201905
冴返る我が心音の乱れ打ち 谷村祐治 雨月 201905
冴返る今日の夕月只者ではない 岡田桃子 201905
はじまりは小さな異変冴返る 柳川晋 201905
山頂の一灯とほく冴返る 森睡花 201905
天神の絵馬整然と冴返る 岡野里子 末黒野 201905
相模武蔵分かつ隧道冴返る 松本三千夫 末黒野 201905
薬玉の進水式や冴返る 江見巌 六花 201905
穴太積隠忍自重冴返る 奥田筆子 京鹿子 201905
五分刈の医師の眼光冴返る 西村洋平 春燈 201905
轢死てふ倒木のきず冴返る 鈴木まゆ 馬醉木 201905
冴返る夫の法名諳んじて 秋友昌子 雨月 201905
跳箱に挑む前傾冴返る 柴田佐知子 201906
古井一戸の網よりのぞき冴返る 森清信子 末黒野 201906
写真展「戦火の記憶」冴返る 赤座典子 あを 201906
外気舎の壁の節くれ冴返る 須賀ゆかり 201907
冴返る商ひを継ぐ姉妹 曽根富久恵 201907
爺さんと呼ばれ一瞬冴返る 鍋島武彦 末黒野 201908
オリオンに落ち行きさうぞ冴返る 山田六甲 六花 202003
仏蘭西はクレープまつり冴返る 山田六甲 六花 202003
防犯カメラに幾つのわれや冴返る 井上菜摘子 京鹿子 202003
三更や思案の淵の冴返る 小倉征子 202004
リハーサルルームに鏡冴返る 根橋宏次 やぶれ傘 202005
冴返る被災せざるは答めきて 升田ヤス子 六花 202005
冴返る脳の画像の小宇宙 藤田美耶子 202005
ささくれのつゆも治らず冴返る 小山よる やぶれ傘 202005
水琴窟の音の重なり冴返る 森清堯 末黒野 202005
山里にも塾の看板冴返る 片岡さかえ 末黒野 202005
工房の藍のひと色冴返る 杉田智榮子 馬醉木 202005
貝の死に真珠一粒冴返る 森なほ子 あを 202005
仁王像の眼の光り冴返る 有賀鈴乃 末黒野 202006
駅前のバスを待つ列冴返る 森美佐子 やぶれ傘 202006
ぱっふんぱっふんマスクの呼吸冴返る おーたえつこ 202006
花嫁の駆け込み乗車冴返る 篠田純子 202006
国揺るがす病の行方冴返る 平野無石 202006
人類にコロナの試練冴返る 石橋みどり 202006
ひたひたと真闇の音や冴返る 今井千鶴子 ホトトギス 202006
玻璃ごしの日は上機嫌冴返る 高濱朋子 ホトトギス 202006
冴返る江戸疾走の夢絶たれ 松井季湖 202007
冴返る事を覚悟の旅仕度 湖東紀子 ホトトギス 202007
冴返る音のする程空晴れて 湖東紀子 ホトトギス 202007
冴返る朝旅立ちて来たりけり 稲畑汀子 ホトトギス 202102
結論を出さねばならぬ冴返る 稲畑汀子 ホトトギス 202102
雨に発ち来て冴返る晴となる 稲畑汀子 ホトトギス 202102
流行の病如何にと冴返る 稲畑汀子 ホトトギス 202102
航跡を歪めて流れ冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
冴返る豪華客船てふ異界 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
冴返る度に未来を近付けて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
皆顔を隠す都心や冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202102
すくと立つ鴎の足の冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202103
鳴り止まぬナースコールの冴返る 田中佐知子 風土 202104
冴返る首甲に残る刀疵 本池美佐子 202104
冴返る腰に日毎の貼り薬 五十畑悦雄 202104
冴返る御統の星鮮やけし 武田未有 202104
解体のビルがらんどう冴返る 松山三千江 春燈 202105
冴返る遠きを想ふ埴輪の眼 渡辺若菜 春燈 202105
冴返る闇を抜け来る猫の影 後藤眞由美 春燈 202105
武蔵野の水面の戻り冴返る 林いづみ 風土 202105
終息のあてなき日々や冴返る 土井ゆう子 風土 202105
古民家の土間の光や冴返る 津川かほる 風土 202105
流木をもてあそぶ波冴返る 森清信子 末黒野 202105
雲寄せぬ十字架の空冴返る 長尾タイ 末黒野 202105
冴返る小学校のベルの音 鈴木千恵子 末黒野 202105
本堂に朝の御勤め冴返る 水谷昭代 202105
冴返る刃文浮き立つ富士の峰 澤田英紀 202105
また一つ消えし老舗や冴返る 熊谷成子 202105
冴返る夜風歴史の忍者逝く 平野無石 202105
殊の外今宵の星の冴返る 高濱朋子 ホトトギス 202106
みちのくの地揺れ風突き冴返る 山岡純子 202106
まじまじと津波の記録冴返る 石橋みどり 202106
宇宙より届く地球画冴返る 鹿間島あきら 風土 202106
救命センター耿耿として冴返る 土井ゆう子 風土 202106
結婚記念日の夜半の旅立ち冴返る 河本由紀子 春燈 202106
冴返る星座ふたたび光得て 今橋眞理子 ホトトギス 202107
御身呉呉も大事に冴返る 岩岡中正 ホトトギス 202107
冴返る富士の頂模様替 河野昭彦 ホトトギス 202107
座り産む吊目の土偶冴返る 深川淑枝 202108
冴返る眼閉ぢゐる歯科の椅子 林徹也 202108
冴返るパンタグラフの青火花 森祐司 202110
冴返る山口の見えぬ闇にゐて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
冴返る窓全開の電車かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202202
冴返る→1
遠嶺更け架橋灯の冴返る 松本鷹根 京鹿子 202203
冴返る電子書籍の長恨歌 平野加代子 春燈 202204
早暁の丸き残月冴返る 瀬戸峰子 春燈 202204
交はしゐる話の余韻冴返る 瀬戸峰子 春燈 202204
冴返る山湖の水位低きまま 瀬戸峰子 春燈 202204
朝日より夕日親しく冴返る 瀬戸峰子 春燈 202204
杉山の鉾先ゆるび冴返る 瀬戸峰子 春燈 202204
冴返る旅立ちの日の駅ピアノ 小林陽子 202204
黒鉄の甲冑に罅冴返る 諸岡和子 202204
転院の決まりし夜や冴返る 谷田明日香 風土 202204
「イマジン」流る開会式や冴返る 赤座典子 あを 202204
冴返る交通整理の重装備 長崎桂子 あを 202204
抱くもの欲し四肢の先冴返る 松本三千夫 薫風 202205
薄墨の筆ペン買つて冴返る 矢口笑子 春燈 202205
冴返る楷書で記す誓約書 大文字孝一 春燈 202205
地球儀に戦禍の国や冴返る 荒井ハルエ 春燈 202205
冴返る音叉のやうな都庁ビル 千田百里 202205
予報士の棒の先より冴返る 能美昌二郎 202205
黒曜石の太古の光冴返る 小川流子 202205
全集のひとつが逆さ冴返る 秋山信行 やぶれ傘 202205
刀身を流るるひかり冴返る 佐藤千恵 京鹿子 202205
シャーベットの道へ足跡冴返る 菅野日出子 末黒野 202205
三回目のワクチン接種冴返る 岡田史女 末黒野 202205
デフォルメの裸婦の油彩画冴返る 中村洋子 風土 202205
冴返る空也上人像の口 間島あきら 風土 202206
侵攻の一面見出し冴返る 遠山悟史 京鹿子 202206
冴返る道路工事の点滅灯 岡野里子 末黒野 202206
外灯の裸電球冴返る 菅野日出子 末黒野 202206
地球儀をまはせば歪み冴返る 岩佐英子 京鹿子 202207
ともに泣き一人また泣き冴返る 今橋眞理子 ホトトギス 202207
子にたよる夜更の地震や冴返る 菅野日出子 やぶれ傘 202207
瓦礫の街を思ふ節電冴返る 布施由岐子 やぶれ傘 202207
殉教史播く碑文冴返る 猪俣北洞 ホトトギス 202210
ポケットに手大番屋跡冴返る 祐森司 202210
言の葉を失ひし人冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
記念樹の枝の先より冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202302
十六時四十八分冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 202303
霊苑の雨の字消えて冴返る 篠田大佳 あを 202304
冴返る莟もじもじためらふて 長崎桂子 あを 202304
冴返る早めの湯舟身を庇ふ 長崎桂子 あを 202304
風神の継ぎ接ぎぶくろ冴返る 鈴鹿呂仁 京鹿子 202304
谷底へ届かぬ日差冴返る 森清信子 末黒野 202305
冴返る貼りたる切手やや斜め 石黒興平 末黒野 202305
保津峡や俯瞰の渓流冴返る 西村白杼 京鹿子 202305
天地へ白が白生み冴返る 西村白杼 京鹿子 202305
棚田落つ水音硬し冴返る 石原孝人 京鹿子 202305
ストレッチャーに付きゆく廊下冴返る 森清堯 末黒野 202306
口笛に夜道を行くや冴返る 大川暉美 末黒野 202306
冴返る眠れる町を救急車 片岡さか江 末黒野 202306
冴返る右脳左脳のせめぎあひ 元橋孝之 京鹿子 202306
冴返る挺子でも開かぬジャムの蓋 田岡千章 202309

 

2024年3月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。