夏果つ 1    100句

獄中の俳句は陰画夏果つる    高島茂

夏果つ  夏終る  夏の果  夏終る  夏惜む  夏行く  ゆく夏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
夏果ての東国馬糞懐しや 金子兜太 海程 199811
夏果てや庚申猿の薄埃 朝妻力 春耕 199910
印画紙にモノクロの海夏果つる 岡田万壽美 俳句通信 199910
夏果ての引湯の径も硫黄の香 山岸治子 馬醉木 199911
高熱に夏果て口中砂漠めく 三浦勲 199911
夏果の父祖の地しばし俯瞰して 堀田恵美子 雨月 199912
からくりという言葉聞き夏果てる 星野早苗 空のさえずる 200002
掃除機の首長々と夏果てる 星野早苗 空のさえずる 200002
一筋の傷痕を身に夏果てぬ 水原春郎 馬醉木 200010
夏果やウェイトレスが水零し 真保喜代子 200101
夏果ての男は乳首のみ老いず 能村登四郎 200108
夏果といふ酢の色のごときもの 山野みどり 銀化 200109
背負ひ籠に残る潮の香夏果てぬ 春田淳子 俳句通信 200110
欲もなく得もなく居て夏果てる 松沢久子 いろり 200110
夏果ての浜に四五人芥焼く 伊藤和枝 百鳥 200111
青紫蘇を摘んで揃へて夏果てる 高尾豊子 火星 200112
夏果ての血の滲みたるダンス靴 村田美穂子 百鳥 200112
夏果ての身に添ふものにひかり苔 稲見光 船団 200201
夏果つや疲れきったる万歩計 宮原みさを 花月亭 200208
枸橘の実の真つ青に夏果てぬ 手島靖一 馬醉木 200210
水きつてある夏果の生簀籠 小山徳夫 遠嶺 200211
夏座敷設へぬまま夏果つる 久保晴子 雨月 200211
夏果つる医師の予測のはづれては 中原吟子 雨月 200301
流れ行く雲の数だけ夏果てぬ 瀬下るか 200311
夏果ての浜砂こぼれ旅鞄 富川明子 200311
戒名を頂き母の夏果てる 平居澪子 六花 200311
夏果つる小さき焚火へメモ投げて 岡本眸 200408
夏果つる木立の端の水あかり 岡本眸 200409
夏果の肉桂の樹にふれてをり 谷村幸子 200410
夏果ての山国の山昏れ残る 生田作 風土 200410
夏果ての海群青の蜑屋裏 能村研三 200410
文鎮によき石三つ夏果つる 渡辺美代 対岸 200411
水晶の大塊に夏果むとす 水野恒彦 200411
夏果の胃の腑に冬瓜汁旨し 味村志津子 雨月 200411
夏果てやインクの滲む旅便り 林美水流 河鹿 200412
夏果つる雲ひそやかに湧きつぎて 糸井芳子 200412
夏果てて動く歩道の早歩き 能村研三 200510
鵜の家に獣医のバイク夏果つる 安藤しおん 200510
引潮の渦の高鳴り夏果てぬ 新田巣鳩 馬酔木 200511
白地図に色塗り分けて夏果つる 藤井智恵子 百鳥 200511
カリヨンの音階はづれ夏果つる 鎌田篤 雨月 200511
夏果ての森匂はせて通り雨 坪井洋子 200511
わたつみへ鐘を撞きをり夏果つる 上薗シヅ子 河鹿 200512
夏果つる忙しさに倦みゐたりけり 岡本眸 200609
梛の樹に霊気のひそみ夏果つる 能村研三 200610
落丁の地図かと生地夏果つる 竹生田勝次 風土 200610
東京の日かげ四角く夏果つる 浜口高子 火星 200611
夏果ての空恋果ての忘れ潮 三橋泥太 遠嶺 200611
夏果つる鋼の音の冷凍魚 白井友梨 馬醉木 200611
夏果や歩む少年草の丈 木内憲子 200611
捨て上手子に学びつつ夏果つる 北川孝子 京鹿子 200612
藁編みのスリッパ捨てゝ夏果てぬ 秋田直己 ぐろっけ 200612
大路行く一人一人に夏果つる 青木朋子 200612
夏果つやステーキに刃を深く入れ 宮津昭彦 200709
夏果ての空デネブ・ベガ・アルタイル 三橋泥太 遠嶺 200712
夏果つる雲の気ままを飽かず見て 糸井芳子 200712
夏果ての母にこくりと夜が来る 水野恒彦 200810
夏果ての海や決志の稿起こす 小澤克己 遠嶺 200810
蝉時雨めぐり合へずに夏果てぬ 池田光子 200810
夏果てぬ眼鏡ケースの中は空 浦川聡子 炎環 200810
阿波衆の踊り尽して夏果つる 博多永楽 雨月 200810
恩愛やかくもきびしき夏果つる 青山正生 200811
夏果てて僕は苦手な麗子像 藤田守啓 船団 200901
自動ドア開く夏果ての渚へと 荒井千佐代 200901
夏果てぬ山草勁き硬きを敷く 瀧春一 深林 200901
夏果の一輪挿しの茎より根 辻美奈子 200909
夏果つと京の夜景に誘はれ 岸本久栄 雨月 200910
水兵と遭ふ夏果ての楽器店 小山徳夫 遠嶺 200911
夏果ての海へと風の舟ふたつ 遠藤和彦 遠嶺 200911
夏果てぬお伽草紙と俘虜記読み 大坪景章 万象 200911
豆腐屋の笛の途絶えて夏果てぬ 池田光子 200912
空を切る夜たかの軌跡夏果てて 能村研三 201009
コピー機の夏果ての紙吐き出せり 佐々木群 201010
怠け癖つき夏果ての出納簿 吉田政江 201011
青空に雲の大柄夏果てり 高橋道子 201011
夏果ての案内板に鋲あまた 齋藤厚子 201011
九十九折り箭となりて夏果つる 大森尚子 風土 201012
夏果つや天に被曝のこゑ残し 安立公彦 春燈 201109
昨日けふ父の忌師の忌夏果つる 坂本依誌子 春燈 201110
スニーカー一足つぶし夏果つる 宮崎裕子 春燈 201111
米櫃の虫怒鳴りつけ夏果つる 佐々木良玄 春燈 201111
夏果の雲の行方の大まかに 遠山みち子 201111
夏果つる茶房にひとり海を見て 出口貴美子 雨月 201112
夏果つる身に入り込むや逮夜経 佐藤満智子 ろんど 201201
夏果つる炎を入れし鍋返し 能村研三 201209
淀君の自刃の碑なり夏果つる 北崎展江 くりから 201209
黙祷の一分間や夏果つる 坂本依誌子 春燈 201210
夏果ての正宗鍛冶屋火花散り 松本三千夫 末黒野 201211
孤影濃きスカイツリーや夏果つる 加藤静江 末黒野 201211
夏果の雲のかたちの面白き 遠山みち子 201111
己の座いつもの位置に夏果つる 菅野蒔子 末黒野 201211
豆腐屋も肉屋も閉ぢて夏果つる 松木清川 ぐろっけ 201301
雲流れつつ夏果の転車台 松本俊介 春燈 201311
夏果ての激しき雨に目覚めをり 高橋照子 雨月 201311
繰り返す高温豪雨夏果つる 笹井康夫 201312
夏果てのかもめよ此処は街ですよ 池田澄子 船団 201401
夏果や唸るを止めぬ室外機 布川直幸 201409
鳴き砂の声を失ひ夏果つる 吉村摂護 201410
松籟に闇の匂ひや夏果つる 稲垣佳子 末黒野 201511
夏果つ→ 2      

 

2023年8月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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