夏行く     61句

炎柱となり杭となり夏逝けり   竹内弘子

夏果つ  夏終る  夏の果  夏終る  夏惜む  夏行く  ゆく夏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
農日記嘘の書けない冷夏逝く 保坂加津夫 自在抄 199600
軽井沢のあやつり人形夏逝かす 宮澤さくら 遠嶺 199911
夏逝くにあと一尺が足らぬ紐 松本康司 銀化 200010
夏ゆくや小さく割れをり道路鏡 笹家栄子 200011
夏逝きぬ花笠の鈴ころげをり 小野誠一 春耕 200011
たとえば一本の杭と夏逝けり 油津雨休 海程 200108
夏行くや又三郎に会へぬまま 高田令子 200301
口笛で終るシャンソン夏行けり 吉田かずや 春燈 200510
夏行くや遠目に緊まる海の紺 成智いづみ 馬醉木 200611
夏逝かす橋の袂に小魚見て 松本鷹根 京鹿子 200612
夏逝くや地球の丸く見える丘 西山春文 200612
手花火に触れもせず夏逝きにけり ことり 六花 200701
夏逝くに沖の白帆の残りをり 児玉修 200710
朝の砂踏んで湖岸の夏行かす 廣畑忠明 火星 200710
分水嶺雨雲吐きては夏逝かす 豊田都峰 京鹿子 200711
私にも百歳の夢夏ゆくや 堀内一郎 あを 200809
夏逝くや風が頬打つ夕まぐれ 清水美子 春燈 200810
御本尊朝夕拝し夏行くかな 中山純子 万象 200810
夏逝くと悲しき声に鴎鳴く 村松紅花 ホトトギス 200812
夏逝くか一切がつさい泡立てて コ田千鶴子 馬醉木 200910
夏逝かす旅にも出ずに瓜を切る 鎌倉喜久恵 あを 200911
夏逝くや人影残る被爆石 鈴木照子 201010
ラピスラズリのスカラベしかと夏逝かす 荻野嘉代子 春燈 201011
スプーンのひらりひらりと夏逝けり すずき巴里 ろんど 201012
夏逝くと浮雲嶺々をわたりゆく 千田敬 201110
孫たちの帰るが如く夏逝けり 篠田純子 あを 201110
夏逝くかひとり外湯に身を沈め コ田千鶴子 花の翼 201111
病歴に加はる二項夏逝けり 粟倉昌子 201111
夏逝けり絶えぬ余震に水備へ 布川孝子 京鹿子 201112
夏逝くやひと月ごとの塊りに 塩田博久 風土 201210
夏逝きぬ茜に空を染めあげて 服部早苗 201210
またひとつ不義理かさねて夏逝かす 橋本リエ 春燈 201310
脚高きベネチアグラス夏逝けり 生田恵美子 風土 201311
虚子偲び学ぶ夏行や今になほ 安原葉 ホトトギス 201411
点さるる祈り火京の夏逝ける 伊東和子 201411
真つ直ぐな航跡残し夏逝けり 高橋将夫 201709
逝く夏や図鑑の魚は左向き 赤石梨花 風土 201710
夏が逝くふにやあと台湾流行歌 辻水音 201809
夏の夕塾に行く子と行かぬ子と 高橋均 六花 201810
逝く夏や海をはなるる空の色 能美昌二郎 201811
行く夏の海へ夫に逢ひにゆく 山田暢子 風土 201811
子等残す鉛筆削り夏は逝く 大内幸子 六花 201812
竹林に入れば風音夏逝けり 石黒興平 末黒野 201812
現世に長き足踏み夏は行く 河口知重 末黒野 201812
雨過ぎてきれいな日暮夏逝くか 田中藤穂 あを 201910
逝く夏や浜に干乾ぶ海星の死 佐津のぼる 六花 201911
砂浜と蒼海夏は行きにけり 西村梛子 馬醉木 201911
夏逝くや桧垣を過ぎる鳥の影 中島陽華 201912
登校の子ら列乱れなく夏は逝く 鈴木としお 春燈 201912
自転車に空気ぱんぱん夏の逝く 鳥羽夕摩 京鹿子 201912
逝く夏の浜にあまたの蟹の穴 田中佐知子 風土 202010
穏やかな安房の海坂夏逝けり 山岸明子 202110
フリスビーぱふつと落ちて夏行けり 辻美奈子 202209
夏逝くや「平和のための戦争展」 須賀敏子 あを 202210
終曲の打楽器乱打夏行かす 能村研三 202210
逝く夏や川面錆色して匂ひ 枇杷木愛 202210
逝く夏や余命を計る鯨尺 高橋将夫 202210
行く夏やきのふと違ふ波の音 今村千年 末黒野 202211
逝く夏を見送っている鏡の間 若泉真樹 202212
夏行くや仕切り直しのルーティーン 鈴木公子 202212
逝く夏や川面錆色して匂ひ 枇杷木愛 202301

 

2023年8月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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