豆 撒 1     213句

病室に豆撒きて妻帰りけり   石田波郷   酒中花

節分 追儺 豆撒 豆打 年の豆 鬼やらい

作品
作者
掲載誌
掲載年月
豆撒けば出てゆく鬼は何と何 松山律史 船団 199811
豆撒のあとをぶらつく夜の靄 土田栄 199901
豆撒や子育て時代思ひゐる 平保子 いろり 199904
わが家のみ豆撒く声を憚らず 田中蘇水 馬醉木 199905
豆撒きの掛声ほどでなかりけり 澤本三乗 199905
己捨つやうに豆撒く四方の闇 小宮山勇 青胡桃 199905
京なれや舞妓芸妓が豆撒いて 萩谷幸子 雨月 200001
内弁慶そそくさと豆撒きにけり 上谷昌憲 200004
豆撒いて夜勤に出づる父なりけり 加藤かな文 200005
やらはれし鬼の豆撒く追儺かな 大橋淳一 雨月 200005
隣家の子の豆撒のすぐ終る 伊藤公子 酸漿 200104
豆撒や鬼より赤く赤子泣き 細川知子 ぐろっけ 200105
豆撒の日は残業をするなと子 稲畑廣太郎 ホトトギス 200202
豆撒く声艀溜りをとびとびに 皆川盤水 春耕 200203
豆撒いて障子いぢめる童かな 三嶋隆英 馬醉木 200204
豆撒きしあと春節の賀状受く 松崎鉄之介 200204
豆撒いて清貧に悔いなかりけり 樋口多嬉子 雲の峰 200204
豆撒くや鬼へ二才の好奇心 森下康子 200205
こっそりと豆撒くつもり妻の留守 大堀鶴侶 雨月 200205
豆撒の声整はず神の前 小浦遊月 酸漿 200205
豆撒や妻はうしろに控へをり 小浦遊月 酸漿 200205
豆撒いてともかく齢加へけり 藤井昌治 200206
豆撒きて庭に鴉の降り立ちぬ 早崎泰江 あを 200303
豆撒や身の片隅に鬼がいる 早崎泰江 あを 200304
酢の香る厨にも豆撒きにけり 水上秀一 雲の峰 200304
豆撒いて静寂な闇残りたる 塩川雄三 築港 200304
豆を撒く豆撒く方へ人動く 永川絢子 築港 200304
豆撒の終つて吾に返りけり 新子禎自 築港 200304
多賀大社豆撒く顔の誇らしげ 辻田忠俊 築港 200304
ひとり居の豆撒くときは声高に 鈴木佐和子 築港 200304
豆撒や犬にも犬の年の数 唐澤まさし 酸漿 200305
豆まきの鬼の面テの穴ふたつ 雨村敏子 200305
角折れし二人となりて豆撒かず 馬越幸子 ぐろっけ 200305
豆撒や金棒もたぬ鬼のゐて 大井昌 京鹿子 200306
豆撒いて日の暮るるにはまだ早し 藤原たかを 馬醉木 200309
年の豆撒くつれあひの分も撒く 伊藤白潮 200403
フォルティッシモの声もて妻の豆撒けり 宮川典夫 200404
豆まきの櫓組み終へ鳶の者 芝宮須磨子 あを 200404
産土に豆撒く声の二三人 野口年江 酸漿 200404
鬼の棲むあたりめがけて豆撒けり 井之口貢久 対岸 200404
豆撒けば豆撒くこゑのあなたより 井之口貢久 対岸 200404
豆撒けず捻挫の足を投げ出せり 橋本梢明 200405
豆撒きのさなか薬缶の湯が沸けり 澁澤志げ子 200405
豆撒きの豆もて余す夫婦かな 平居澪子 六花 200405
豆撒いて老後はじまりをる夜ぞ 石原緑 200406
原稿を切り上げて豆撒きにけり 松崎鉄之介 200504
尊位に未だ近付けず豆撒かる 禰寝瓶史 京鹿子 200504
豆撒く声変りばんこに隣から 斉藤裕子 あを 200504
豆撒くや鬼の気配の黒闇に 木暮剛平 万象 200505
豆撒くや戦地帰りの父の声 三関浩舟 栴檀 200505
豆撒の声の小さきを咎めらる 保田英太郎 風土 200505
豆撒きのまめにそれし手天掴む 飛鳥由紀 200505
媛宮の豆撒巫女も駆り出され 久保晴子 雨月 200505
豆撒くや何はらふともなき思ひ 阿部ひろし 酸漿 200505
佗び住みて形ばかりの豆撒きを 北村香朗 京鹿子 200506
独居かな豆撒きの窓ひそと開け 馬場三枝子 200507
豆撒きし闇やはらかに赤子寝る 服部早苗 200507
豆撒きの児の大声に福のぞく 藤原りくを 八千草 200508
粒毎に豆撒き猫をそそのかす 品川鈴子 ぐろっけ 200603
豆撒くや今年最も寒き夜 松崎鉄之介 200604
豆撒の上に増えきし鳶の輪 横井博行 万象 200604
豆撒いて怠惰の鬼もやらふべし 椋本一子 雨月 200604
豆撒いて声の若しと言はれけり 大西八洲雄 万象 200605
豆撒や荒行僧の大音声 大坪景章 万象 200605
毘沙門さん芸妓こぞりて豆撒けり 中條睦子 万象 200605
豆撒も独り居なればうたてしよ 水野節子 雨月 200606
豆撒くやマータイサンのもったいない 藤原りくを 八千草 200608
豆撒きて明治をかへす大藁屋 神蔵器 風土 200703
豆撒や清潔ぐせの世となりて 坂上香菜 時流 200703
大パチンコにて豆撒く深川不動なる 新倉舒子 200704
折紙の枡持て子等は豆撒けり 齋部千里 ぐろっけ 200705
山寺の豆まき賑はふ人の波 松下幸恵 六花 200705
路地窓の豆撒人の影絵力 岩松八重 六花 200705
豆撒の折紙の枡箪笥の上 松山直美 火星 200705
宮太鼓合図にどつと豆撒けり 野畑小百合 200706
豆まきをわすれてゐたと笑ひ合ふ 芝尚子 あを 200804
豆撒く声思ひきりとはゆかぬなり 青山正生 200805
豆撒いて恵方巻食ぶ年男 木暮剛平 万象 200805
豆撒いて己の心立て直す 府川房江 母の空 200808
禰宜ひとり鳩に豆撒く神の留守 川崎光一郎 京鹿子 200902
全身麻酔解けし吾が身や豆撒く夜 坂上香菜 200904
鬼役のパパヘ真剣豆撒く子 鈴木照子 200904
甲板に豆撒くガダルカナル沖 品川鈴子 龍宮の客 200904
豆撒くや齢といへど甘えずに 平野伸子 馬酔木 200905
豆撒きの鬼寒がつてゐたりけり 関口青稲 万象 200905
豆撒くや心に祈る事多く 筒井八重子 六花 200905
豆撒や鬼のかなしみ残る闇 長山あや ホトトギス 200906
豆まきや桝の屋号を尊びて 佐々木良玄 春燈 201003
ゼロ歳と辛寿とともに豆撒く夜 三原利枝 201004
豆撒きの終りはみんな鬼になる 安居正浩 201004
一家揃つて豆撒にやつてくる 辻直美 201004
旅に買ひし小袋の豆まきにけり 阿部文子 酸漿 201004
豆撒やシテの赤鬼逃げ巧者 小河平男 201005
豆撒の豆と小雪と歓声と 櫛橋直子 雨月 201005
豆撒やころがる声の保育園 中山隆士 末黒野 201006
豆撒や園児の百の手ひらひらす 矢野百合子 201006
豆撒く空吾が青春は透明に 苑田ひろまさ 201006
豆撒きや福に満腹なるわらベ 牛尾文雄 六花 201103
豆撒きのこゑ露地多き神楽坂 大西八洲雄 万象 201104
帰りざま節分の豆撒けと言ふ 大西八洲雄 万象 201104
豆撒やわからぬ妻の胸の内 江見巌 六花 201104
豆撒や小さき升は孫の数 谷合青洋 酸漿 201104
日章旗真中に立てて豆撒ける 大橋晄 雨月 201104
鬼の居ぬ豆撒のやや物足りな 大橋晄 雨月 201104
父の齢遥かに遠く豆撒きぬ 北村香朗 京鹿子 201105
豆撒の声軽やかに代替る 木村コウ 酸漿 201105
豆まきや板間をはづむ豆の音 白石正躬 やぶれ傘 201106
豆撒きの鬼役外へ星の風 市川伊團次 六花 201203
豆撒きの豆炒る匂ひありにけり 市川伊團次 六花 201203
豆撒きの鬼を追ひ出す父の影 市川伊團次 六花 201203
豆まきは一部屋三粒置くことに 山田をがたま 京鹿子 201204
豆撒や今年も古りし枡をもて 服部珠子 雨月 201205
退院す直ぐ豆撒きの鬼となり 斎藤民恵 ろんど 201205
豆撒きの済んで消す灯のひとつづつ 近藤牧男 六月 201206
豆撒いて年の数まで豆食へず 青木英林 かさね 201207
豆撒きの鬼役外へ星の風 市川伊團次 六花 201212
豆撒きを受くる年もありバケツにて 菅原孟 かさね 201302
ツーリング豆撒き眺め小休止 和田勝信 かさね 201305
豆撒きの裃擦れる仮舞台 和田勝信 かさね 201305
豆撒や鬼面の下の幼顔 林八重子 馬醉木 201305
豆撒きにゴルフコンペの夫帰る 横田晶子 風土 201305
便座にも年の豆撒く清掃婦 藤田かもめ ぐろっけ 201305
豆撒のはじめの声を臆しけり 西川みほ 末黒野 201305
豆撒のまことひとりのつまらなく 宮平静子 雨月 201305
豆撒きの人に溺れて手を振りて 栗原京子 201305
どの家も豆撒き夜道鬼ばかり 栗原京子 201305
豆撒きの役者退く道空けて待つ 栗原京子 201305
豆撒や鬼役休む寺の裏 西川みほ 末黒野 201306
独り世に撒く豆はただ一抓み 品川鈴子 ぐろっけ 201402
なやらひの豆を撒きたる安堵かな 丸山允男 春燈 201404
豆まきの戸の開け閉めや風のこゑ 石原健二 やぶれ傘 201404
ソプラノの声に寄り添ひ豆を撒く 松嶋一洋 201404
追儺豆撒いて拾いて独りかな 福島しげ子 ろんど 201405
鬼やらひ一人居の爺豆を撒く 市川伊團次 六花 201405
小夜ふけて豆撒く声や闇に消ゆ 吉田美智子 末黒野 201405
豆撒きに我を忘るる心地良さ 江島照美 201405
豆撒いて大寒を呼び戻したり 大坪景章 万象 201405
豆撒いてそろそろ起そうお雛様 鎌田慶子 ろんど 201405
豆撒いてそろそろ起そうお雛様 鎌田慶子 ろんど 201405
肩車されて鬼打つ豆を撒く 石川叔子 201406
利き腕のいささか太し豆を撒く 大野芳久 やぶれ傘 201406
豆撒きや牙を天地に鬼の面 柴田志津子 201406
よく喋る出戻りの人豆を撒く 網野月を 201410
豆撒くやこの世二上り三下り 木村ふく 馬醉木 201501
豆撒くや届くところが浄土なり 柳川晋 201504
豆撒いてみても他人のやうな闇 安居正浩 201504
豆撒きを見てゐるのみの東長寺 だいじみどり 201505
豆撒きて悔い改むることもなく 柳川晋 201505
三軍を指揮した声で豆を撒く 佐藤山人 201505
星ひとつ出てより豆を撒きにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201505
わが鬼の数の知れざる豆を撒く 竹下陶子 ホトトギス 201506
煩悩の闇の奈落へ豆を撒く 竹下陶子 ホトトギス 201506
九十年二人三脚豆を撒く 丸山允男 春燈 201604
豆を撒く使ふことなき子の部屋も 山崎刀水 春燈 201604
「お騒がせしました」とまた豆を撒く 斉藤裕子 あを 201604
面影や母の部屋より豆を撒き 井口ふみ緒 風土 201604
かみしもの優勝力士豆を撒く 森田節子 風土 201605
豆撒きの一投に声湧きあがる 栗原京子 201605
髭遠き少年力士豆を撒く 澤田美佐子 201605
豆撒やミス鎌倉の白き腕 石黒興平 末黒野 201605
豆撒の鬼の金棒新聞紙 原久栄 末黒野 201605
老いたれば二人とも鬼豆を撒く 白水良子 201606
豆撒きの鬼役募集幼稚園 秋千晴 201606
豆を撒く締めは闇夜へ高く吼ゆ 元橋孝之 京鹿子 201606
豆撒きや撒き手拾ひ手老い二人 大橋伊佐子 末黒野 201606
豆撒くや大鬼小鬼大世帯 多田光子 京鹿子 201705
豆撒きの小窓を開けてをりにけり 廣畑育子 六花 201705
豆撒も遠くなりけり父もまた 竹内慶子 春燈 201705
豆撒きの新横綱の男ぶり 古川幸子 春燈 201705
豆撒くや帰宅の遅き子の部屋も 窪みち子 201706
豆撒くや見栄切るやうに役者の手 田代貞香 201706
豆を撒く鬼の棲みつく納戸より 田代貞香 201706
豆撒きて毘沙門立ちの芸者衆 門伝史会 風土 201805
名の力士の福豆掴み福を撒き 田中繁夫 末黒野 201805
豆撒きを隣の人に見られけり 黒澤次郎 やぶれ傘 201806
先づ父の豆撒く声に子のつづく 吉田万喜子 雨月 201806
豆撒きや逃げる鬼パパ見栄を切る 酒井たかお 201902
豆撒いて活気五体に漲れる 大橋淳一 雨月 201905
鬼達の逃げやすきやう豆を撒く 中村洋子 風土 201905
父よりも母よりも生き豆を撒く 杉崎妙子 201905
我に住む心の鬼へ豆を撒く 山咲和雄 末黒野 201905
豆撒や鬼へ五才の好奇心 黒滝志麻子 末黒野 201905
豆撒やなへゑを走る鬼のゐし 瀬川公馨 201905
吾に宿る怠惰の鬼に豆を撒く 竹下陶子 ホトトギス 201908
豆撒きの嫗ぶかぶかの裃 曽根富久恵 201909
ひとつかみ豆撒いて父ねむりけり 三上程子 風聴くや 202003
ならはしの疎かならず豆を撒く コ田千鶴子 馬醉木 202003
危険行為にホイッスル豆撒き中断 篠田純子 あを 202004
豆撒くや鬼と鬼嫁のみの家 千田百里 202004
豆を撒く心の闇を追ひはらふ 沼田桂子 春燈 202004
豆撒 →2      

 

2023年2月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。