年の豆     149句

年の豆蜜柑の核も落ちりて   其角

節分 追儺 豆撒 豆打 年の豆 鬼やらい

作品
作者
掲載誌
掲載年月
嫁ぎたる子の部屋灯し年の豆 原山幸子 199904
国会の裏に踏みたる年の豆 中谷まもる 火星 199904
年の豆五捨六入をしてをりぬ 関根洋子 風土 199905
八十粒といふ年の豆如何にせむ 能村登四郎 芒種 199911
鬼の豆てのひらにのり年の豆 山尾玉藻 火星 200004
道の辺の水子地蔵に年の豆 村上和子 ぐろっけ 200005
年の豆社員食堂でも配り 藤野佳津子 円虹 200005
年の豆噛みをりピアス動きをり 柳生千枝子 火星 200005
年の豆撥ねとばしたる木彫熊 藤田宏 200005
鳥の来る庭隅年の豆放る 阿部晶子 200005
年の豆入院食に隻眼に 安陪青人 雨月 200104
年の豆地震の裂け目へ転がれり 品川鈴子 船出 200104
掃除機の邪慳に吸ひし年の豆 泉田秋硯 200105
年の豆皮を大事と炒りゐたり 夏秋明子 火星 200105
年の豆数へくれしを掌にあます 岸風三樓 200202
年の豆夫は撒かぬと云ひ張って 松沢久子 いろり 200203
年の豆年の数ほど食べられず 大関靖博 200204
年の豆古稀とは食うべきれぬ数 浅井青二 雨月 200205
長靴に一夜ひそみぬ年の豆 池元道雄 馬醉木 200205
ひと粒を十と数ふや年の豆 平田紀美子 風土 200205
天国はガラスの向こう年の豆 東亜未 あを 200303
外国の豆やも知れぬ年の豆 宮本俊子 雨月 200303
九つの皿に十づつ年の豆 二村蘭秋 雨月 200304
父の世の桝の刻印年の豆 阿部正枝 絵具箱 200304
幾度も数へ直せり年の豆 小峯雅子 酸漿 200304
園児等の手に手に持てる年の豆 東芳子 酸漿 200304
年の豆ぽりぽりかんで七十余 板倉幸子 築港 200304
年の豆齢ほとほと古りにけり 有山紫於 雨月 200305
年の豆数へてゐしを忘れをり 後藤立夫 ホトトギス 200306
年の豆傘寿越えたる思惟仏 大井貞一 京鹿子 200306
年の豆撒くつれあひの分も撒く 伊藤白潮 200403
ゴムの木の鉢に落ちたる年の豆 岡本眸 200403
年の豆伴には逝けぬ夫婦なり 戸田和子 200404
寺で買ふ袋入りなる年の豆 加納花子 築港 200404
恙なく齢重ねし年の豆 大森玲子 築港 200404
年の豆鴛鴦と分かちて食べにけり 上原カツミ 帆船 200404
年の豆半分食めど恙無し 中田寿子 ぐろっけ 200405
退院を祝ぎ噛みしめな年の豆 二村蘭秋 雨月 200405
陰膳に年の豆置く夕べかな 竹内喜代子 雨月 200405
年の豆三十までで寝てしまふ 浜田はるみ 遠嶺 200405
閼伽井屋の屋根にも飛んで年の豆 東尾G子 馬醉木 200405
年の豆ぽりぽり食べて生きてゐる 木田千女 200406
父祖よりの桝を大事に年の豆 橘澄男 山景 200408
鬼を追ふ幼声して年の豆 鎌倉喜久恵 あを 200504
夜風澄む粗掴みして年の豆 土肥屯蕪里 雲の峰 200504
年の豆思ひ出豆となりにけり 林翔 200504
鬼のゐる闇へぶつけて年の豆 吉原理夫 対岸 200504
年の豆胸の小鬼は払ひえず 藤井良子 200504
老漁夫の手づかみに受け年の豆 前田青紀 馬醉木 200505
年の豆百と二数ふ母在りき 馬場三枝子 200507
八十八ヶ食ふに骨折る年の豆 松崎鉄之介 200604
年の豆かぞふる不承ぶしょうにて 窪田佳津子 雨月 200605
山の神桁を外せし年の豆 丸井巴水 京鹿子 200605
小窓から主が留守の年の豆 佐々木はな子 遠嶺 200607
間違へず九十四個の年の豆 二村蘭秋 雨月 200704
美濃紙を折りて桝とす年の豆 井上幸子 酸漿 200704
遠来の友と拾へり年の豆 小松渓水 酸漿 200704
振舞の湯呑みの底に年の豆 大井邦子 ぐろっけ 200705
外つ国の子の荷に加ふ年の豆 三輪温子 雨月 200705
参道の雪に沈めり年の豆 安部康子 万象 200705
振り返るなく年の豆打ち帰る 本城布沙女 雨月 200708
いまさらに驚く年の豆の数 大橋敦子 雨月 200803
気づきてはまた口にして年の豆 大橋敦子 雨月 200803
年の豆今日も明日もあさっても 大橋敦子 雨月 200803
瘤とりの翁にも分く年の豆 伊藤白潮 200803
年の豆声なき声の祈りかな 広瀬敏子 酸漿 200804
仏にも鬼にもなれず年の豆 水成玲子 春燈 200804
豆腐屋の届けてくれし年の豆 八田マサ子 馬醉木 200804
よく合はぬ義歯に難渋年の豆 御橋忠一 200804
九十爺九つほど食ふ年の豆 御橋忠一 200804
倦怠期砂糖を塗す年の豆 大空純子 ぐろっけ 200805
年の豆握つて闇へ撤きにけり 中道愛子 200805
年の豆撒かずに確と食べにけり 和田郁子 200904
やれやれとお茶を飲み干す年の豆 長崎桂子 あを 200904
禅寺の不浄門より年の豆 小林馨 火星 200904
年の豆身ぬちに義歯といふ部品 守屋井蛙 酸漿 200905
年の豆も院内食のうちなりき 植田利一 春燈 200905
老人に年の豆とはボーロなり 大橋敦子 雨月 201003
脳活性の暗算すらすら年の豆 伊東和子 201004
年の豆双手の窪に受けてさて 井田実代子 雨月 201005
紙の枡子が作りたる年の豆 兼子栄子 酸漿 201005
長生きをしすぎたといふ年の豆 中山皓雫 201005
引き潮の波紋に残る年の豆 綱川恵子 万象 201005
年の豆とんで南京玉すだれ 梶浦玲良子 六花 201005
おほかたは地べたに落ちて年の豆 山田和夫 201006
大台に届く喜び年の豆 井田実代子 雨月 201009
年の豆八十粒の掌にあふれ 塩路五郎 201104
ひと粒を十と数へて年の豆 千田敬 201104
幼児のこゑに睦ぶや年の豆 安立公彦 春燈 201104
多すぎて食べぬ二人や年の豆 中田寿子 ぐろっけ 201105
年の豆すくふやぴたと歳の数 井田実代子 雨月 201105
年の豆九つ食べ寿 島貫寿恵子 雨月 201105
七十を数へ切なき年の豆 森下康子 201204

 友逝く

年の豆数ふるすべなきこの夕べ

植田利一 春燈 201204
入れ歯欠き無念や年の豆喰へず 小林清之介 風土 201204
ダルビッシュ張りのフォームで年の豆 蓮尾みどり ぐろっけ 201205
年の豆両の掌あふれけり 古林田鶴子 ぐろっけ 201205
豆殻の箸で炒りけり年の豆 小林愛子 辻楽師 201206
年の豆一合枡のてんこ盛り 川井秀夫 ろんど 201206
年の豆煎りてをるなり炮烙鍋 北崎展江 くりから 201209
山宿の膳に添へられ年の豆 辻知代子 201304
赤ん坊の握り締めたる年の豆 加藤みき 201304
拾ひたる年の豆まだあたたかき 石脇みはる 201305
便座にも年の豆撒く清掃婦 藤田かもめ ぐろっけ 201305
年の豆十分の一を掌に 古林田鶴子 ぐろっけ 201305
越前和紙に四角く包む年の豆 山本耀子 火星 201305
掌に受くる傘寿の年の豆 城戸緑 末黒野 201305
いつよりか数へずなりし年の豆 窪田佳津子 雨月 201405
娘に送る荷物の隅に年の豆 中道愛子 201405
桟敷より幼子目ざし年の豆 有賀鈴乃 末黒野 201405
八十五食ぶかと問はる年の豆 寺岡ひろし 雨月 201405
神棚に一合桝の年の豆 國保八江 やぶれ傘 201406
宝船の絵に包まれて年の豆 竹内喜代子 雨月 201406
賑やかに拾ふ子もなし年の豆 斉藤裕子 あを 201504
二人して声は大きく年の豆 斉藤裕子 あを 201504
年の豆熄まぬ夜雪へ打ちにけり 小林輝子 風土 201505
開きたる絵本をこぼる年の豆 原田しずえ 万象 201505
年の豆あたりし矮鶏のひた走り 乗光雅子 雨月 201505
年の豆数へず旅に歳忘れ 荻巣純子 雨月 201505
眼鏡拭くさびしき鬼や年の豆 高野春子 京鹿子 201505
婆三人寄りて数ふる年の豆 石川叔子 201506
消え残る雪を穿てり年の豆 原田しずえ 万象 201605
小袋の一つで足りず年の豆 森清堯 末黒野 201605
正座して年の豆手にあふれける 中貞子 201605
年の豆数へ米寿へあと三年 玉置かよ子 雨月 201605
年の豆夫と齢を噛みしむる 塩見英子 雨月 201605
先生と一つ違ひの年の豆 落合由季女 雨月 201704
定命とふ言の葉の味年の豆 久保田雪枝 雨月 201705
十分の一で良いわと年の豆 廣畑育子 六花 201705
年の豆百から七を引くドリル 塙誠一郎 201705
生かさるる幸せ分かつ年の豆 高埜良子 春燈 201705
鬼の面附き年の豆買ふことに 安藤久美子 やぶれ傘 201805
看護師の数へてくれし年の豆 林徹也 201807
年の豆打つ神の年男 田代民子 201808
端なれども仏にも年の豆 田代民子 201808
二合半の酒のつまみや年の豆 高木邦雄 末黒野 201905
心中の鬼の数だけ年の豆 西村白杼 京鹿子 201905
馬齢だけ虚子を超えたる年の豆 木村享史 ホトトギス 201908
年の豆ざしきわらしが数へをり 山田正子 201909
押し合へる顔にたばしり年の豆 大橋櫻坡子 雨月 202002
生涯を通す現役年の豆 豊谷青峰 春燈 202004
ため息のひとつ深きや年の豆 荒井千瑳子 202004
年の豆いつしか減らす齢かな 高埜良子 春燈 202004
仏間より一擲年の豆を撒く 小河原清江 梛の木 202007
年の豆掌よりこぼるる齢となり 門伝史会 風土 202105
邪気払ふ両手に余る年の豆 佐藤勝代 末黒野 202105
疫病打つべしと掴んで年の豆 木村享史 ホトトギス 202108
時の気に怖ぢつ向かひつ年の豆 谷口律子 末黒野 202204
二つ三つ投げてはつまみ年の豆 岡村尚子 202211

 

2023年2月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。