追 儺 1    203句

山国の闇恐ろしき追儺かな    原石鼎

節分 追儺 豆撒 豆打 年の豆 鬼やらい

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ぬくぬくの追儺の豆を両の手に 阿部幸右 京鹿子 200001
追儺きて邪気をがぶっと丸かじり 尾上有紀子 わがまま 200002
追儺鬼かゆきところに届かぬ手 宇都宮滴水 京鹿子 200003
酒あふり追儺火渡る列につく 谷野由紀子 俳句通信 200004
追儺の鬼あはやのことに人の声 水島夜雨 京鹿子 200005
やらはれし鬼の豆撒く追儺かな 大橋淳一 雨月 200005
追儺豆更に生きむと手にのする 村越化石 200005
追儺豆仏間の鉦にはじけたり 高萩弘道 春耕 200005
悪相の仏にあたる追儺豆 村上和子 ぐろっけ 200005
高下駄の鬼は小太り追儺式 高木篤子 ぐろっけ 200005
追儺の矢受く少年に鈴ひと際 塩貝朱千 京鹿子 200006
三方はビルの壁なり追儺寺 しおやきみこ 船団 200007
追儺会の鬼の威嚇のぎこちなし 丸尾和子 雨月 200101
追儺会の鬼の抗ふ雪舞ひて 久保田雪枝 雨月 200104
部屋の隅の一つ口にす追儺豆 大森美恵 風土 200105
沖縄の地図を見ている追儺かな 片岡秀樹 海程 200106
大注連の雪解しづくも追儺あと 岡本眸 200106
叡山のいただき点り追儺豆 中村房枝 六花 200202
京の追儺の鬼の溜り場雲ヶ畑 松崎鉄之介 200204
追儺の鬼父と解りて子のまつはる 土田祈久男 200204
神岡を追儺の鰯もて燻す 久保田雪枝 雨月 200204
鳩不意に翔たす追儺の余り風 羽根嘉津 200204
八十の年おそろしや追儺豆 寺田きよし 酸漿 200204
妙り豆の売切れてゐる追儺寺 山城やえ 春耕 200204
一湾の闇やはらかき追儺かな 加瀬美代子 200204
追儺会の鬼の力士と神酒頒つ 中村風信子 馬醉木 200205
身の内も追儺の声を通しけり 曷川克 遠嶺 200205
だしぬけに湯気噴きこぼす追儺榾 和田照海 京鹿子 200205
雇はれて追儺の鬼の咆哮す 大橋敦子 雨月 200205
煤天井追儺の炎立つ一丈に 浅井青二 雨月 200205
追儺鰯売れる一盛り一束ね 久保晴子 雨月 200205
参道が熱し追儺の鬼走り 谷村祐治 雨月 200205
追儺会を終へたる杜の星座濃し 谷村祐治 雨月 200205
神杉に身を寄せ追儺鬼を見る 堀田恵美子 雨月 200205
方相氏闇より追儺鬼連るる 堀田恵美子 雨月 200205
追儺寺梛の葉いちまい持ち帰る 黒田咲子 200205
機内食追儺の豆を配りけり 岸恒雄 春耕 200205
追儺会の鬼に会釈をされゐたり 塩川雄三 潮路 200210
追儺会の鬼逃げ闇の残りたり 塩川雄三 潮路 200210
若き死を悼む追儺の夜なりけり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
追儺火の沸点となる神の山 豊田都峰 京鹿子 200303
追儺会の法螺のひびける逢魔どき 川野喜代子 雲の峰 200304
追儺豆まさかアシウラ蹠を讀まうとは 中原道夫 銀化 200304
追儺会の闇蠢いてをりにけり 塩川雄三 築港 200304
匹と数読まれ出でたる追儺鬼 小澤友江 築港 200304
鬼のまだ余力残して追儺果つ 阿部一彦 築港 200304
大仰に転んでみせて追儺鬼 阿部一彦 築港 200304
追儺寺山門を人溢れたり 樋口美津子 築港 200304
空耳か追儺の夜の父の声 阿部正枝 絵具箱 200304
追儺会の鬼の踊も仕事なり 阿部一彦 築港 200305
まづ父がむんずと追儺豆掴む 岡淑子 雨月 200305
追儺寺裏にまろべるガスボンベ 太田寛郎 200305
俗人にかへり神酒汲む追儺鬼 岩崎憲二 京鹿子 200305
追儺宿灯せば波の走り寄る 岡本眸 200305
夜の波の白立あがる追儺かな 鹿野佳子 200305
追儺会の一の矢二の矢放たれり 中島知恵子 雨月 200306
幕内に号令かかり追儺式 長谷川鮎 ぐろっけ 200402
林間をけものが急ぐ追儺の夜 近藤栄治 200404
丹塗柱の罅に噛み込む追儺豆 三由規童 雨月 200404
豆掴み追儺の鬼を待ち構ふ 神原操 雨月 200404
追儺会の生田の森に躓きぬ 深澤鱶 火星 200404
追儺会の本堂闇がつつみたる 塩川雄三 築港 200404
追儺会の鬼が真赤なタイツ穿く 加藤弘一 築港 200404
追儺豆受く背負ひ子が両手出し 川角十四枝 築港 200404
薬売り追儺の豆に祓はれる 河本勇 築港 200404
追儺会の準備整ふ札所寺 一ノ瀬千恵 築港 200404
天に向け矢を射て始む追儺式 永野秀峰 ぐろっけ 200404
追儺鬼逃がる背を追ふそばの湯気 岩崎憲二 京鹿子 200405
追儺会の鬼を采配老宮司 山本漾子 雨月 200405
家中の灯を消さずおく追儺あと 澁澤志げ子 200405
マンションに追儺の面の消えにけり 西畑敦子 火星 200405
結界を解き追儺会の護摩火消ゆ 中島知恵子 雨月 200406
晴ればれと夕空匂ふ追儺寺 高橋さえ子 200406
追儺豆いたく焦がしてしまひけり 伊藤白潮 200503
むらさきを深め追儺の済みし闇 伊藤白潮 200503
女ばかり屋号を交し追儺寺 小林登喜枝 万象 200504
宙を飛ぶ豆に限界追儺豆 塩川雄三 築港 200504
息遣ひ荒くなりゐる追儺鬼 塩川雄三 築港 200504
追儺鬼大き鬼語を発したる 塩川雄三 築港 200504
石切のお下がり賜ふ追儺豆 阪口久子 築港 200504
追儺会の鬼の仕草の親しかり 前田久子 築港 200504
追儺豆歓声あげて手を伸ばす 前田久子 築港 200504
長老の破顔でしめる追儺かな 小黒加支 酸漿 200504
草臥れし鬼が社務所に追儺の夜 高野美佐子 雲の峰 200504
追儺会の豆ぷつぷつと踏み帰る 高野美佐子 雲の峰 200504
福は内のみの連呼や追儺寺 木暮剛平 万象 200505
蘆の矢を月へ放ちし追儺かな 三関浩舟 栴檀 200505
食堂に追儺恵方の表示され 谷内瑞江 栴檀 200505
買って出た鬼が泣き出す追儺豆 松本恒子 ぐろっけ 200505
早打ちの太鼓に追儺鬼散れる 竹内喜代子 雨月 200506
追儺豆まづは愁訴の鬼とばす 山元志津香 八千草 200508
山国の山黒ぐろと追儺かな 滝沢伊代次 万象 200602
追儺豆夫なき闇へ強く打つ 望月晴美 200604
追儺会へわらべ逸れり切通 横井博行 万象 200604
場外へ飛ばす力士の追儺豆 横井博行 万象 200604
子なければ鬼も追はずに追儺かな 鎌倉喜久恵 あを 200604
面とつて子に頬ずりの追儺鬼 池田好 200605
茫洋たる空へ太鼓や追儺式 片山茂子 遠嶺 200605
忘れ難きものへ発止と追儺豆 田原陽子 200605
父しのぶ夜となりけり追儺星 北川孝子 京鹿子 200605
鬼の面つきで売られて追儺豆 木暮剛平 万象 200605
結ひたての髪よりこぼる追儺豆 野口孝子 栴檀 200605
歌舞伎座も鬼の棲むてふ追儺式 松波とよ子 春燈 200704
ポケットに紛れ込みたり追儺豆 二村蘭秋 雨月 200704
鬼瓦追儺の闇を睨みけり 本間勇 酸漿 200704
バットもて逃げる子を追ふ追儺かな 中島玉五郎 200704
病み臥して追儺のこゑも聞かざりし 青山悠 200704
青竹を伐り揃へをる追儺寺 加瀬美代子 200704
追儺火の燻りて鬼も咳けり 築城百々平 馬醉木 200705
湯治すみ追儺の豆を買つてきし 大西八洲雄 万象 200705
追儺の鬼鉞振つて踊りたり 小林愛子 万象 200705
色白の肌初役の追儺鬼 馬越幸子 ぐろっけ 200705
赤子泣く追儺の鬼は父なるに 馬越幸子 ぐろっけ 200705
四股踏みて松明振りて追儺鬼 馬越幸子 ぐろっけ 200705
追儺祭帰りは鬼が支へられ 小林朱夏 200705
かろやかに夫の噛む音追儺豆 井口 初江 酸漿 200705
やや荒れて海の昏れゆく追儺かな 前田陶代子 200706
吉田山雪の追儺となりにけり 浅田光代 風土 200804
追儺とて幼児裃回向院 鈴木榮子 春燈 200804
大鉈を振ふ追儺の赤き鬼 古田考鵬 雨月 200804
護摩の火の真っ直ぐ挙り追儺寺 細川コマヱ 雨月 200804
追儺会の裃着付け手伝へり 戸村朗子 200804
雪へ投げ追儺の豆のたよりなし 竹内弘子 あを 200804
追儺に行きそびれたる梅茶漬 米澤光子 火星 200805
家中を開けて追儺の音たてぬ 樋口みのぶ 200805
追儺闇女ふたりの声高に 北川孝子 京鹿子 200805
幼にはさても恐ろし追儺鬼 大井邦子 ぐろっけ 200805
床の間に撒きし追儺の豆ひろふ 山嵜ヤス子 酸漿 200902
篭火に荒立つ鬼や追儺の夜 小澤菜美 200904
杜深く奏す篳篥追儺式 小澤菜美 200904
百歳の翁が撒けり追儺豆 石川元子 酸漿 200904
病む肌に己れたぢろぐ追儺かな 木下もと子 200905
追儺会の鬼出でまして火の猛る 岩木茂 風土 200905
あをあをと北斗逆立つ追儺かな 佐久間由子 200905
厚紙で父が作りし追儺の鬼 苑実耶 200905
追儺会の嶋をとよもす大太鼓 水田壽子 雨月 200905
吉田山に追儺近づく木槌の音 大城戸みさ子 火星 200905
鍵しかと確かめて寝る追儺の夜 高根照子 201005
追儺会の太鼓とろとろ波に乗る 綱川恵子 万象 201005
追儺の星へ開けたる蔵の窓 戸栗末廣 火星 201005
山伏の尻皮羨し追儺式 深澤鱶 火星 201005
下校子の手に鬼の面明日追儺 中山良子 末黒野 201005
出番待つ子鬼おしやべり追儺式 佐方敏明 ぐろっけ 201005
肩車追儺の放つ矢を掴む 仲田眞輔 ぐろっけ 201005
本山の山伏問答聞く追儺 久保田雪枝 雨月 201005
お火渡り追儺の護摩の火を鎮め 櫛橋直子 雨月 201005
出番待つ鬼と御神酒を追儺の儀 小原登志春 雨月 201005
床の間に昨日の追儺の豆ひとつ 松田明子 201006
さんざめく追儺の鬼の更衣室 坂本哲弘 山ざくら 201009
追儺豆多くは撒かぬ老二人 水原春郎 馬醉木 201103
鬼の世も闇深からん追儺豆 三村武子 酸漿 201104
大口のおかめ吐き出す追儺鬼 栗栖恵通子 201105
雪隠の鬼が逃げたぞ追儺の日 瀬川公馨 201105
追儺豆撒くも拾ふもひとりかな 小野口正江 末黒野 201105
火にかざす蹠ま白き追儺鬼 浜口高子 火星 201105
これも福眼鏡の受けし追儺豆 野口喜久子 ぐろっけ 201105
追儺寺千両役者出てきたり 柴田志津子 201105
赤鬼の追儺の衣裳縫ひにけり 木村コウ 酸漿 201105
追儺鬼面を外して子をあやす 田中清子 雨月 201105
ポケットに追儺の豆の入りこめる 秋葉貞子 やぶれ傘 201106
感知灯点く追儺豆三つぶ飛び 品川鈴子 ぐろっけ 201203
「鬼野郎」と響く神苑追儺式 山崎里美 201204
すぐ退散せるはばあばの追儺鬼 鈴木照子 201204
片寄せてあり追儺会の鬼の足 浅田光代 風土 201204
北面に追儺の鬼の打合せ 浅田光代 風土 201204
喫煙室追儺の豆のとびこめり 中山純子 万象 201204
画学生並べて雇はれ追儺鬼 白石善子 雨月 201204
先づ以て魑魅魍魎の字を追儺 石倉千賀子 ろんど 201205
追儺会の鬼が出を待つ桟敷下 田中栄久子 万象選集 201205
掃除器の追儺の豆を吸ひし音 竹貫示虹 京鹿子 201302
愛用のバッグヘ三度追儺豆 和田郁子 201304
酔ふ父の付け忘れたる追儺面 藤野力 馬醉木 201304
追儺豆ひと握りほど炒りにけり 松橋利雄 春燈 201305
声に出ぬままに追儺の豆を打つ 浜福惠 風土 201305
法螺一つ追儺の鬼を操りて 水野範子 ぐろっけ 201305
まつろはぬ阿弓流為やらふ追儺かな 山崎青史 ろんど 201305
祭神の名を長ながと追儺式 城戸緑 末黒野 201305
太鼓打つ男控へる追儺寺 一色奈和美 末黒野 201305
宮居の空覆ひ追儺の護摩猛る 足立典子 雨月 201305
月明し追儺の声を出し惜しむ 竹内弘子 あを 201307
追儺豆鬼のお面も慣はしに 上家弘子 末黒野 201404
人波のかぶさつてくる追儺かな 田所節子 201404
炮烙に願ひを乗せる追儺かな 飯田美千子 201404
追儺豆撒いて拾いて独りかな 福島しげ子 ろんど 201405
金の幣かかげ追儺の鬼来たる 山田春生 万象 201405
鬼役の遅れて来たり追儺寺 小林愛子 万象 201405
追儺会の僧の説得鬼が聴き 落合由季女 雨月 201410
追儺豆八十粒のあるがまま 頼田幸子 201504
追儺会や切火開きのご尊顔 能村研三 201504
堂内を揺るがす諷経追儺寺 岡真紗子 201504
鬼の面つけて下校子追儺の日 伊藤純子 201504
渡り廊鳴らし追儺の鬼猛る 山口誠 馬醉木 201505
追儺豆家に手強き鬼ひとり 半田稜 ろんど 201505
金欄の腹当光る追儺鬼 横山昭子 雨月 201505
追儺鬼鉞かざしきほふかな 横山昭子 雨月 201505
胆つめて今けいこ中追儺鬼 塩貝朱千 京鹿子 201505
追儺式しばらく鳩の旋回す 古川夏子 201506
追儺鬼豆に打たれて気負けり 穐好樹菟男 馬醉木 201604
追儺会やどの鬼吠えも人の声 上辻蒼人 風土 201605
泣き止まぬ児に泣いてゐる追儺鬼 塩貝朱千 京鹿子 201605
木の洞の闇大いなる追儺寺 戸栗末廣 201605
追儺会や百千の手が浮いてゐる 千田百里 201704
赤鬼の闇に還りて追儺果つ 笹村政子 六花 201705
この世見る眼差しやさし追儺鬼 升田ヤス子 六花 201705
内股に鬼の暴れる追儺式 赤松赤彦 六花 201705
赤鬼の松明かざす追儺の夜 延川五十昭 六花 201705
うつむきし鬼面の翳る追儺かな 延川五十昭 六花 201705
鬼面を古櫃に納め追儺やむ 延川五十昭 六花 201705
大津絵を抜け出たやうな追儺鬼 竹内喜代子 雨月 201706
病む母の枕辺に置く追儺豆 曽根富久恵 201706
昼酒や追儺の豆をつまみとし 林紀夫 春燈 201805
戌年に生れし歳月追儺かな 湯上稔子 春燈 201805
八重雲の杜を包むや追儺式 饗庭悪子 末黒野 201805
追儺仕舞ひ鬼門封じの矢を放つ 田代民子 201808
追儺 →2      

 

2022年2月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。