法師蝉 2     156句

法師蝉の一匹はたしかに泣き笑い    橋本夢道

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
法師蝉余生を無為に過ごすまじ 沼口蓬風 河鹿 200401
机に対ふ朝一番の法師蝉 松尾緑富 ホトトギス 200404
法師蝉爪の半月見つめ居り 橘沙希 月の雫 200404
追伸の文字の乱れや法師蝉 橘沙希 月の雫 200404
その中の大樹は法師蝉のもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 200408
法師蝉杉の鼓動を深くせり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200409
天日もたぢろぐ声の法師蝉 鷹羽狩行 200410
廃坑の錆びし扉や法師蝉 浅川正 雲の峰 200410
法師蝉赤子のしぐさ見てゐたり 渡辺すみれ 草の花 200410
鳴き止めば只の木法師蝉いづこ 長谷川千枝子 200411
法師蝉去りし夕映え眺めけり 佐渡谷秀一 春燈 200411
花嫁の白を潤ませ法師蝉 山崎靖子 200411
雨だれや朝の光に法師蝉 十川たかし 200411
槍掛の残る東司や法師蝉 山口マサエ 雲の峰 200411
玉川上水の橋の名美し法師蝉 平田紀美子 風土 200411
ロスタイムなしの人生法師蝉 九万田一海 河鹿 200412
感性を磨けみがけと法師蝉 川口襄 遠嶺 200412
法師蝉止みて萬斎哄笑す 浜田はるみ 遠嶺 200412
いのちしつくづくをしと法師蝉 山口速 200412
法師蝉如庵の苔の湿りかな 藤田佑美子 栴檀 200501
巻雲はバベルの塔か法師蝉 山元志津香 八千草 200503
鳴き出して法師蝉とはそれらしく 稲畑汀子 ホトトギス 200508
週末は子等と過ごさん法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200508
声上げて法師蝉まだ少数派 丁野弘 200508
いましがた打ちしは三時法師蝉 鷹羽狩行 200510
又しても庭に鳴き出す法師蝉 小笠原扶美女 築港 200510
法師蝉途切れ途切れに鳴き始む 石田經子 築港 200510
御船代祭のさなかに法師蝉 鷹羽狩行 200511
馬手かばふ弓手邪慳や法師蝉 木田秀子 200511
うら声で人ふり向かす法師蝉 丸山佳子 京鹿子 200511
法師蝉泣くには非ず謳歌すと 服部菰舟 雨月 200511
法師蝉遺されし子もはや六十路 大西正栄 雨月 200511
法師蝉御坊に鳴くやただ一つ 大橋晄 雨月 200511
法師蝉邪魔臭ささうに鳴き収む 塩川雄三 築港 200511
法師蝉終りの節を聞き分くる 安部桂 築港 200511
独唱も輪唱もある法師蝉 安部桂 築港 200511
法師蝉神木の注連縋り鳴く 北嶋薫 築港 200511
法師蝉鳴頻く五島天主堂 中里信司 酸漿 200512
声々に夜色を怖る法師蝉 瀧春一 瓦礫 200606
白雨あと声したたりて法師蝉 水原春郎 馬醉木 200610
少年に大き夕日や法師蝉 丹羽啓子 馬醉木 200610
岩陰に並べる法師蝉の穴 山田六甲 六花 200610
山寺の大樹離れし法師蝉 沖倉好秋 酸漿 200610
君逝くや聞こえぬ耳に法師蝉 松崎鉄之介 200611
喪の煮炊き昼時急かす法師蝉 宝玉トシ子 200611
みささぎは人入れしめず法師蝉 磯野しをり 雨月 200611
日晒の木椅子が一つ法師蝉 松林順子 雨月 200611
八甲田兵の碑法師蝉 鈴木多枝子 あを 200611
木洩れ日の中より法師蝉の声 前田祐治 200612
リフレイン五回が限度法師蝉 林直入 ホトトギス 200612
真夜中に鳴き出だしたる法師蝉 寺沢千都子 万象 200612
太幹のさびしくなりぬ法師蝉 辻直美 200612
日晒しの木椅子が一つ法師蝉 松林順子 雨月 200612
眺望の丘に聞きゐる法師蝉 大井彌雨 雨月 200612
法師蝉秋月城址暮れなんと 松尾緑富 ホトトギス 200701
次の木に移り一から法師蝉 荻原正三 200703
崖の道奥社に通じ法師蝉 中村禎子 八千草 200703
病み抜けしからだとこころ法師蝉 上崎暮潮 ホトトギス 200704
西方のそこひに鳴けり法師蝉 水野恒彦 200707
ふと声のつづきを待ちぬ法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200708
芝刈りの神父の真顔法師蝉 布川直幸 200710
月命日泣いて笑つて法師蝉 山口登志 200710
老杉の旧街道や法師蝉 中村悦子 200710
法師蝉いまがいちばん遠き過去 神蔵器 風土 200710
法師蝉歌へば油蝉伴奏 小林清之介 風土 200710
林火忌の朝より聞けり法師蝉 松崎鉄之介 200710
樟の真昼の木肌法師蝉 吉沢陽子 200711
医者通ひ行きも帰りも法師蝉 小林清之介 風土 200711
蝉声に混りて鳴ける法師蝉 齋部千里 ぐろっけ 200711
法師蝉何かを語りかけてをる 高橋将夫 200711
難聴の福耳ふたつ法師蝉 上原恒子 雨月 200711
鍬の柄を立てて息つく法師蝉 菊地英雄 酸漿 200711
戦国の土塁の址や法師蝉 四條進 200712
法師蝉瓦葺なる井戸屋形 東郷すみ江 万象 200712
津軽路より南部へ入るに法師蝉 山下昇士 200712
つくづくと余生長かり法師蝉 小阪喜美子 遠嶺 200712
初恋の人老いてをり法師蝉 高橋あつこ 遠嶺 200712
庭石は心のかたち法師蝉 山本康 200712
遠く鳴くあり間近あり法師蝉 阿部ひろし 酸漿 200712
女郎塚の昔をかたる法師蝉 竹下陶子 ホトトギス 200807
富士よりの風に囃され法師蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
法師蝉零るる山の迫る句碑 稲畑汀子 ホトトギス 200808
今生の別離切なや法師蝉 森下康子 200810
いちはやく生家を囲む法師蝉 鴨下昭 200810
革命の第一声や法師蝉 泉田秋硯 200811
祝詞とは知らず鳴きだす法師蝉 鷹羽狩行 200811
気楽さの中の孤独や法師蝉 杉本綾 200811
かたくなに調べ崩さぬ法師蝉 狭川青史 馬醉木 200811
法師蝉加はりいよよ終楽章 斉木永久 馬醉木 200811
鳴き方に哲学ありぬ法師蝉 近藤喜子 200811
ツクツクかオーシーが先か法師蝉 青木ちづる 200811
法師蝉一万石は表高 西村雪園 風土 200811
山影は山に戻りて法師蝉 千田敬 200811
せかせかと鳴きをさめたる法師蝉 伊藤節子 200812
法師蝉会ひたき父母の墓にたつ 高尾幸子 遠嶺 200812
下町や小寺に繁き法師蝉 高橋宏行 遠嶺 200812
城跡や絶ゆる間もなき法師蝉 神田一瓢 雨月 200812
公園墓地人の疎らに法師蝉 山本漾子 雨月 200812
夕暮れて未だ鳴き止まぬ法師蝉 岡本直子 雨月 200812
樹を替へて鳴き続きをり法師蝉 岡本直子 雨月 200812
書き遺すことは謝辞のみ法師蝉 小林和子 風土 200812
紫雲閣に二十五菩薩法師蝉 及川澄江 風土 200812
風の尾となりて鳴き止む法師蝉 山田弘子 ホトトギス 200901
縁側からいつも帰る子法師蝉 鈴木朗月 万象 200901
暁のあれは寒露か法師蝉 佐藤眞隆 京鹿子 200901
その中に聞きとどめたる法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200908
さぼりたる子供の理屈法師蝉 中島玉五郎 200908
終焉を知りてかせはし法師蝉 早崎泰江 あを 200909
きいきと朝風ゆらす法師蝉 上原重一 200910
法師蝉飽かずご破算繰返す 佐藤山人 200910
朝採りの野菜刻むや法師蝉 和田郁子 200911
そそくさと済ませし供養法師蝉 北尾章郎 200911
うつし世のくり返し事法師蝉 井上あい 風土 200911
蝉しぐれ中に異色の法師蝉 泉田秋硯 200911
法師蝉声を畳みてまろび落つ 泉田秋硯 200911
湖近く曼陀羅に鳴く法師蝉 竹中一花 200911
法師蝉一樹一樹が負ふ孤独 藤岡紫水 京鹿子 200911
法師蝉ほふしほふしと大師道 細川コマヱ 雨月 200911
唇の色なき目覚め法師蝉 柳生千枝子 火星 200911
竹林を日照雨の走る法師蝉 戸栗末廣 火星 200911
夕映の柳生の墓や法師蝉 中村風信子 馬醉木 200912
終鳴きの静寂しじまを残し法師蝉 桂敦子 200912
法師蝉一瞬転び落ちたる死 泉田秋硯 200912
法師蝉結論すでに出でにけり 小澤克己 遠嶺 200912
病床の友に笑みあり法師蝉 三羽永治 遠嶺 200912
法師蝉夕日の中の挽歌かな 吉澤恵美子 春燈 200912
法師蝉切れ字ふまへて鳴き止みぬ 卜部黎子 春燈 200912
法師蝉遺影顎鬚たくはへし 木下もと子 200912
法師蝉妻に黒髪なくなれり 渡邉友七 あを 200912
背山より風に流され法師蝉 永森とみ子 ホトトギス 201001
栃の木の根方に陽の斑法師蝉 大島英昭 やぶれ傘 201002
一条の轍に風の法師蝉 梶浦玲良子 六花 201002
干物のよく乾く日よ法師蝉 丸田安子 酸奬 201002
後楽園法師蝉寿 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
つくつくを少し長めに法師蝉 鷹羽狩行 201009
法師蝉さへも寺苑の一部分 稲畑汀子 ホトトギス 201009
法師蝉ひるなお暗き鞍馬山 貝森光洋 六花 201010
鳴き止みてしばしは翔たず法師蝉 渡邉友七 あを 201010
龍馬駈けし脱藩道や法師蝉 鈴木照子 201011
鳴かぬ日は鳴かぬで淋し法師蝉 宮崎左智子 201011
年金に恃むくらしや法師蝉 鈴木一三 末黒野 201011
戦争を語り継ぎたし法師蝉 家塚洋子 酸奬 201011
盆僧の読経短し法師蝉 海上俊臣 酸奬 201011
法師蝉應ふる夫の声と聞き 井上幸子 酸奬 201011
法師蝉海より聞ゆ淡路なれ 大橋晄 雨月 201011
きれぎれに鳴き昏れんとす法師蝉 水谷芳子 雨月 201011
急かさるる気分となりし法師蝉 中田禎子 201012
旧堡塁暗し暗しと法師蝉 桑島啓司 201012
龍馬駆けし脱藩道や法師蝉 鈴木照子 201012
手の皺に齢つくづく法師蝉 筏愛子 201012
無住寺をほうし法師と法師蝉 川崎光一郎 京鹿子 201012
家毎に経を手向けて法師蝉 森田尚宏 201012
長崎忌調子外れの法師蝉 吉村摂護 201101
法師蝉声の混雑して終る 上﨑暮潮 ホトトギス 201102
葱刻み終るを待ちし法師蝉 白石不舎 201105
次のことその次のこと法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201108
法師蝉→3      

 

2021年8月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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