法師蝉 4     96句

法師蝉の一匹はたしかに泣き笑い    橋本夢道

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寺に生れ寺で往生法師蝉 藤岡紫水 京鹿子 201610
ゆっくりと経は誦すべし法師蝉 宮原悦子 雨月 201611
人逝きて昭和遠のく法師蝉 川上恵子 雨月 201611
刎頸の友身罷れり法師蝉 小木曽文明 雨月 201611
ちちははの墓の小さし法師蝉 赤石梨花 風土 201611
法師蝉浄土の庭を住処とす 森高武 風土 201611
走り根の上に走り根法師蝉 成田美代 201611
黙祷の一際高き法師蝉 室井津与主 春燈 201611
締切の稿急かさるる法師蝉 久保田雪枝 雨月 201612
行く道の先に後にと法師蝉 桜井知恵子 雨月 201612
法師蝉遠き木に鳴きはたと消ゆ 柴田靖子 201612
法師蝉鳴きやみ天の揺れてをり 田尻勝子 六花 201612
やや遠い木に移りたり法師蝉 田中藤穂 あを 201610
リオ五輪熱気のあとの法師蝉 七郎衛門吉保 あを 201610
移ろひは違ふことなく法師蝉 湖東紀子 ホトトギス 201701
曲がるたび胸突八丁法師蝉 山田六甲 六花 201710
夕日影濃き廃校の法師蝉 塩見治郎 雨月 201711
まどろみて寝返りうてば法師蝉 笹倉さえみ 雨月 201711
軽く聞きだんだん重し法師蝉 太田昌子 馬醉木 201711
渓流の連れ弾きとなり法師蝉 山口ひろよ 201711
神木(ぼく)に鳴いてをるなり法師蝉 吉田順子 201711
西へゆく日を追うて啼く法師蝉 有松洋子 201711
生きること精いつぱいや法師蝉 寺田すず江 201711
その杉は父の手植ゑよ法師蝉 木村美翠 201711
何もかも未完に終の法師蝉 上谷昌憲 201711
ほうしほうし木木も老いたり法師蝉 片山煕子 京鹿子 201712
縄文の火起こし法師蝉しきり 藤原照子 201712
教科書は線で真赤や法師蝉 近藤真啓 春燈 201712
留守電の言ひ分け長々法師蝉 呉文宗 春燈 201712
法師蝉暮れても声を絞りをり 小川玉泉 末黒野 201712
結論は後日申さむ法師蝉 田岡千章 201801
波音のほかにときをり法師蝉 戸栗末廣 201801
法師蝉一人旅だと友訃報 竹村淳 201801
鳴き終へて腰落としけり法師蝉 角野良生 201803
法師蝉静雲句碑を震はせて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201808
山荘の滞在長し法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201808
法師蝉よき一本に恵まれて 沼田巴字 京鹿子 201808
気にかかる消息聞きぬ法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201808
虚子像にうすき胸あり法師蝉 今井肖子 ホトトギス 201809
落ちてまたはじめから鳴く法師蝉 松本峰春 春燈 201811
訃は突然そこへいきなり法師蝉 松本峰春 春燈 201811
女院御所へこゑ遠まきに法師蝉 塩貝朱千 京鹿子 201811
法師蝉近し地蔵に声しぼり 谷村祐治 雨月 201811
法師蝉墓仕舞せし墓の後 秋友昌子 雨月 201811
法師蝉道なりに来て道失せぬ 平沢恵子 春燈 201812
法師蝉門を出でずに鳴きにけり 橋本順子 201812
閼伽桶の出払つてをり法師蝉 小川玉泉 末黒野 201812
まどろむや耳にやさしき法師蝉 河口知重 末黒野 201812
法師蝉日の斑の揺るる大欅 岡野里子 末黒野 201812
法師蝉天動説を唱へをり 高木晶子 京鹿子 201812
法師蝉初鳴き美術館出でて 大山夏子 201904
法師蝉のクレッシェンドに急かさるる 赤座典子 あを 201910
寂しげに大公園の法師蝉 大橋晄 雨月 201910
初声にしては短かし法師蝉 小川玉泉 末黒野 201910
筆換へて写経はかどる法師蝉 狭川青史 馬醉木 201910
妻逝かせ母逝かしめぬ法師蝉 工藤義夫 馬醉木 201910
法師蝉二三度鳴いてそれつきり 白石正躬 やぶれ傘 201911
法師蝉眼鏡外して聴きにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201911
法師蝉鳴き出づ妻の七回忌 小川玉泉 末黒野 201911
どの家も垣めぐらさず法師蝉 黒滝志麻子 末黒野 201911
白壁の土蔵の罅や法師蝉 小林紫乃 春燈 201911
住む人のなきお屋敷の法師蝉 笹倉さえみ 雨月 201911
最後まで話は聞けと法師蝉 齊藤實 201912
参道の薦樽ゆかし法師蝉 田中嘉信 春燈 201912
法師蝉もとのひとりとなりて聴く 橋添やよひ 風土 201912
法師蝉急出立の声残し 森清堯 末黒野 202001
鳴き移る龍子旧居の法師蝉 大久保白村 ホトトギス 202001
谺する声に色あり法師蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
言の葉を奏でるやうに法師蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 202006
抱かれし児の手ひらひら法師蝉 西住三惠子 202010
DNAに虐待のきず法師蝉 篠田大佳 あを 202010
法師蝉もやしの尻尾取りをれば 丑久保勲 やぶれ傘 202010
しみじみと時歌ひをり法師蝉 柴田靖子 202011
宿題はまだかまだかと法師蝉 高野昌代 202011
昏鍾を誘ふごとく法師蝉 内藤静 風土 202011
黙祷にいつせいに鳴く法師蝉 能美昌二郎 202011
吹割のしぶく水合ひ法師蝉 浜崎喜美子 202011
夕暮れてなほ鳴き止まぬ法師蝉 村上國枝 春燈 202011
つくづくとひとりと思ふ法師蝉 三代川玲子 春燈 202011
最後まで話は聞けと法師蝉 齊藤實 201911
まつすぐに空突く大樹法師蝉 高木邦雄 末黒野 202011
夕風に声のびやかや法師蝉 森清堯 末黒野 202012
昨日より早き落暉や法師蝉 斉藤マキ子 末黒野 202012
法師蝉説法超えの舌鋒よ 北郷和顔 末黒野 202012
山の端に沈む夕日や法師蝉 西計郎 末黒野 202012
山寺や暮れゆく渓の法師蝉 延川五十昭 六花 202101
朝方に裏に来て鳴く法師蝉 黒澤次郎 やぶれ傘 202101
読み止しの本にうつ伏せ法師蝉 滋野暁 末黒野 202104
法師蝉論し聴して老い凌ぐ 松本鷹根 京鹿子 202109
法師蝉待つててくれる交差点 大谷満智子 春燈 202111
急かさるる用事もたねど法師蝉 佐渡谷秀一 春燈 202112
夕照の神南備山や法師蝉 高木邦雄 末黒野 202112
呼び覚ます青雲の頃法師蝉 伊藤鴉 末黒野 202112
一筋の風のソリスト法師蝉 古賀しぐれ ホトトギス 202201
独唱の果の沈黙法師蝉 古賀しぐれ ホトトギス 202201
法師蝉→ 1

 

2022年8月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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