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呼吸とはこんなに蜩を吸うことです    金子兜太

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
強弱をつけて蜩輪唱す 木藤ヒデ子 築港 200511
せせらぎと蜩もつれ峡の村 長崎桂子 あを 200511
蜩のみそぎのごとく鳴き暮るる 清原彰子 河鹿 200512
蜩の声につつまれ歩かれず 庄中健吉 200512
蜩や今日生きて今日何為せし 林翔 200512
蜩やなんのこれしき母の守 荒井和昭 200512
蜩の声のとび込む訃の電話 風間史子 200512
蜩のさびしみにあり今日も亦 寺島順子 雨月 200512
蜩も静けさの内吉田山 舩越美喜 京鹿子 200512
帰りは一人初蜩は短く了る 瀧春一 瓦礫 200606
初蜩よ朝めしの熱いじやがいも 瀧春一 瓦礫 200606
拍手の音蜩を鎮めたる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
蜩の四部合唱といふ距離に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
うぶすなの六甲むこの蜩君を待つ 品川鈴子 ぐろっけ 200607
蜩を近づけひとり閼伽を汲む 伊藤白潮 200609
蜩の駅師を訪ふに降りし駅 宮津昭彦 200610
蜩の鳴ける古刹の杜深し 綿谷美那 雨月 200610
蜩の夕日しみたる声放つ 鈴木栄子 酸漿 200610
茅蜩やことばをすこしづつうすめ 佐藤喜孝 あを 200610
蜩や抜道鎖し官舎の灯 芝宮須磨子 あを 200610
蜩をこころに聴きてひとり旅 泉田秋硯 200611
蜩の他は聞こえず乗り継ぐに 山崎靖子 200611
蜩や又変り来し潮の色 飯田明己 遠嶺 200611
蜩の一笛澄める蝉時雨 千手和子 馬醉木 200611
蜩の水の流れを研ぐごとく 伊東恵美子 馬醉木 200611
蜩や驟雨を浴びて息づける 一瀬昭子 馬醉木 200611
蜩や父祖の育てし雑木山 田中峰雪 雨月 200611
蜩や丁寧な字の手紙来る 田中藤穂 あを 200611
蜩を背に総門を出でにけり 近藤きくえ 200612
ウインド・サーファーにも蜩の声とどく 宮津昭彦 200612
蜩の合宿所なる大欅 石橋萬里 ぐろっけ 200612
茅蜩のたかどのまもる磨崖佛 林美智 ぐろっけ 200612
蜩の高音に夕日呼び落す 稲岡長 ホトトギス 200701
蜩のこみちと名付け散歩かな 滝川あい子 雨月 200701
通されし庫裡に蜩鳴きをりぬ 岡本直子 雨月 200702
蜩のささやく夕へ歩を延ばす 藤原りくを 八千草 200703
蜩やシグナルやがて光りそむ 瀧春一 200706
蜩や白雲尚もかゞやける 瀧春一 200706
梅雨の峽蜩鳴けば暮れ心地 瀧春一 200706
蜩の祈りに似たる神の山 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
蜩に森従つてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
蜩を聞きつつ決めてゆけること 稲畑汀子 ホトトギス 200708
蜩やよすがの山のひとつ雲 鈴鹿仁 京鹿子 200709
蜩や鏡の裡を過ぐ月日 須田紅三郎 200709
蜩や顧みて坂まだ半ば 林翔 200709
蜩のけふ鳴き初むや梅雨最中 青木政江 酸漿 200709
蜩に許されてゐる心地かな ことり 六花 200709
休み休み鳴くが優しき蜩は ことり 六花 200709
道路橋蜩の声反射せり 宮津昭彦 200710
蜩を終章として灯をともす 豊田都峰 京鹿子 200710
をちこちに湧く蜩や子の手曳く 永峰久比古 馬醉木 200710
蜩に水びたしなる森の中 佐藤喜孝 あを 200710
蜩の声につぶされさうな宿 鈴木多枝子 あを 200710
読経に蜩相の手を入るる 木下もと子 200711
灯点さずゐる蜩の二階かな 蘭定かず子 火星 200711
蜩の一と節長く編む妻よ 丸山冬鳳 京鹿子 200711
蜩や夕空雲のかけらも無く 丸山冬鳳 京鹿子 200711
父の木の蜩のまたはじめから 水野恒彦 200711
蜩や句友と並ぶ句碑の前 梅田秀子 酸漿 200711
蜩のこゑの中なる巫女神楽 松元末則 酸漿 200711
蜩のよく鳴く丹波山まろし 稲岡長 ホトトギス 200712
蜩に六甲の朝はじまりし 稲畑汀子 ホトトギス 200808
蜩の森に沈める山の荘 稲畑汀子 ホトトギス 200808
ごぼごぼと天然の水初蜩 中山純子 万象 200810
蜩の陣立ち上がる霧の中 丹間美智子 炎環 200810
蜩のそれきりなりし別れかな 柳生千枝子 火星 200810
蜩の一声耳に納めけり 中村しげ 酸漿 200810
蜩の腹からつぽに鳴けるなり 小泉貴弘 筑波の道 200811
蜩や吾が逍遥を待ちゐたる 泉田秋硯 200811
臥す夫と夕蜩を聴きてをり 千手和子 馬醉木 200811
蜩の奥にひぐらし峡のバス 米山のり子 馬醉木 200811
嬰抱きて蜩へ押す乳母車 藤田良 炎環 200811
蜩や巌を文殊として祀り 高垣和恵 雨月 200811
蜩や耳成山みみなし降りて消えし友 松崎鉄之介 200811
蜩や白檀の香の柩まで 岸はじめ ぐろっけ 200811
蜩や温暖化のとき疑わず 櫻木道代 ぐろっけ 200811
ファックスの直筆にじむ夕蜩 山崎靖子 200811
蜩や売家の札の大屋敷 西村雪園 風土 200811
蜩や二人に戻る夕廚 村上絢子 馬醉木 200812
蜩や書斎兼居間兼食堂 吉岡一三 200812
近づけば蜩の声はたと止み 田口登代 遠嶺 200812
蜩や奴豆腐の箸とむる 高橋宏行 遠嶺 200812
蜩のきこえて講座終りけり 西本輝子 雨月 200812
蜩や指呼に言問ふ山のあり 出口貴美子 雨月 200812
蜩の呼び合うて野を広げけり 鈴掛穂 200812
すりこ木に夕蜩の遠さかな 梶浦玲良子 六花 200812
蜩の仕舞よ墓所の桜の木 北島正太郎 炎環 200901
月に覚め遠蜩に明けそめぬ 瀧春一 深林 200901
丘は蜩青田に沈む多古の町 瀧春一 深林 200901
遅れたる蜩のあり二た三声  浅井青陽子 ホトトギス 200902
蜩に明日の太陽確とあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
蜩に山気吸ひ寄せられてをり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200908
山荘の蜩にして名残あり 稲畑汀子 ホトトギス 200908
風音となりて蜩遠ざかる 稲畑汀子 ホトトギス 200908
隠岐島夕蜩に包まるる 清水伊代乃 酸漿 200909
蜩やむかしの記憶くひちがふ 田中藤穂 あを 200909
蜩や外人墓地の石畳 松山三千江 春燈 200910
蜩の声ひき寄せて台所 藏本博美 ぐろっけ 200910
産土に蜩ききに出かけたり 坂井和子 酸漿 200910
蜩や日のあるうちに湯浴みして 樋口みのぶ 200910
蜩の少し切なき夕間暮 下野啓子 200910
蜩や裏大山の男振り 和田森早苗 200911
蜩がひぐらしを呼び風となる 伊東恵美子 馬醉木 200911
朝風を入れ蜩に耳澄ます 小川玉泉 末黒野 200911
蜩や風のまにまに鳴きふえて 清海信子 末黒野 200911
蜩にひとしき間合ありにけり 西岡啓子 春燈 200911
蜩の飛び入り森のコンサート 古田カイ 万象 200911
蜩や上りの列車通り過ぐ 福島茂 200911
蜩や岩座太古より傾ぎ 高垣和恵 雨月 200911
耳冷えて遠蜩を聞いてをり 柳生千枝子 火星 200911
蜩やリハビリの膝こきこきと 古林阿也子 200911
蜩の古き街道斎宮趾 文田多加 200911
蜩や南木曾の路地の夕ごころ 遠藤和彦 遠嶺 200912
蜩や亡き夫のこと友のこと 塩野きみ 遠嶺 200912
蜩や働きにゆく日曜日 倉持梨恵 200912
声降るも湧くも蜩峠道 水野加代 万象 200912
蜩や梁の重なる寺の土間 有本勝 ぐろっけ 200912
蜩の下山をせかす高音かな 森清尭 末黒野 201004
蜩の鳴けば雨止みゐしことを 稲畑汀子 ホトトギス 201008
蜩の遠ざかりたる下山かな 稲畑汀子 ホトトギス 201008
山影に蜩の声深みけり 高谷栄一 201010
蜩のこゑの底なる女院陵 石田厚子 馬醉木 201010
初蜩夕の庭に家族呼ぶ 大野ツネ子 酸漿 201010
蜩や夜明を待ちて繰る雨戸 大野ツネ子 酸漿 201010
蜩や生絹のやうな幕を張り 佐藤喜孝 あを 201010
蜩や母の箪笥の香袋 清水美子 春燈 201011
蜩の声の膨らむ雨上り 渡辺崖花 末黒野 201011
彼の世より蜩吾を呼びつづく 泉田秋硯 201011
蜩の宇宙に吾も暮れてゐし 泉田秋硯 201011
蜩に母の一世の骨ひろふ 遠藤真砂明 201011
蜩や墓地中央に大欅 瀬島洒望 やぶれ傘 201011
夕やみに初蜩のはたと止む 長澤健子 酸漿 201011
蜩のめくつてゆきし野のぺージ 湖東紀子 ホトトギス 201012
蜩や駄目だし繁き立稽古 村上沙央 201012
啼きつぎて蜩夕を昂ぶらす 城戸緑 末黒野 201012
蜩や比叡越えれば京ことば 小堀寛 京鹿子 201012
蜩のこゑの中なるバーベキュー 國保八江 やぶれ傘 201101
山荘の蜩の頃なりしかと 稲畑汀子 ホトトギス 201108
蜩 →4      

 

2021年8月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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