春 寒 7       200句

春寒き空へつき出て避雷針   高島茂

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春寒といふ薄紙をまとひたる 戸栗末廣 201503
春寒や見舞ひ終へたる安堵顔 中島玉五郎 201503
春寒しいづくへ置かん喪のこころ 藤岡紫水 京鹿子 201504
豊満な裸弁天春寒し 岡真紗子 201504
春寒や使はぬ部屋の掛時計 塩野谷慎吾 201504
春寒し数かぞへつつ湯に浸る 伊庭玲子 201504
廃棄せる百科事典や春寒き 藤本秀機 201504
春寒や箸に辿れる被災地図 竹内弘子 あを 201504
春寒の風に触れゐる窓硝子 田中藤穂 あを 201504
春寒や机の裏に本落す 塩田博久 風土 201505
春寒や棚二巡して選びかね 柿沼盟子 風土 201505
春寒し海ひとところ日の当り 松本三千夫 末黒野 201505
春寒し歩道の禁煙マークかな 内山照久 201505
春寒や原発といふ異界の火 中田とも子 201505
本陣の大梁あらは春寒し 竹内タカミ 201505
古墳寂び春寒の景に嵌りゐて 犬塚李里子 201505
春寒し聖書の置かる信徒席 原田達夫 201505
春寒し生木を攀ぢる白鸚鵡 宇都宮敦子 201505
老猫の死を諾ふや春寒く 中島芳郎 201505
春寒し陶の神狐のあまたの眼 中島讃良 ろんど 201505
春寒しけら穴暗き布留の宮 石垣幸子 雨月 201505
春寒く窯場の薪の匂ひけり 笹村政子 六花 201505
春寒や発表までの宙ぶらりん 藤井啓子 ホトトギス 201506
帝陵の辺に春寒の殉死塚 密門令子 雨月 201506
春寒や走り根止めし石畳 松本文一郎 六花 201506
戦争を知らぬ議員や春寒し 神田惣介 京鹿子 201506
春寒や医者よ薬よ神御座す 野中圭子 京鹿子 201506
春寒しパンタグラフのかたかたと 小山陽子 やぶれ傘 201506
春寒し日向で食べるチョコレート 國保八江 やぶれ傘 201506
春寒し放射線科は地下二階 柴田久子 風土 201506
人屋めく喫煙室や春寒し 石黒興平 末黒野 201506
春寒や梢に風の集まりぬ 本間せつ子 末黒野 201506
春寒の待ち針落とす真夜の音 成田美代 201506
春寒や余分なことを言ひに来し 亀井紀子 201506
散髪をして来し銀座春寒し 安原葉 ホトトギス 201507
皆が言ふ都心の夜は春寒し 安原葉 ホトトギス 201507
旅人のなき春寒の京の路地 安原葉 ホトトギス 201507
春寒の雨乾坤の潤へり 河野美奇 ホトトギス 201507
春寒の齢に重き引戸かな 河口知重 末黒野 201507
春寒の浜に遠流の思ひあり 岩岡中正 ホトトギス 201508
春寒の荒るる沖より後鳥羽院 岩岡中正 ホトトギス 201508
春寒く舌打ち多いアンパイア ねじめ正一 船団 201508
春寒しまだいとけなき雉の声 石川賢吾 201508
春寒やじんわり痛む手術痕 落合由季女 雨月 201510
春寒し聖書置かるる信徒席 原田達夫 箱火鉢 201511
春寒も未来へ繋ぐ一歩かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201602
春寒くとも明るさよ静けさよ 稲畑汀子 ホトトギス 201602
次のこと考へて春寒くとも 稲畑汀子 ホトトギス 201602
口にしてより春寒でありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201602
存問は心にありぬ春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201602
邂逅よ春寒とても寄せつけず 稲畑汀子 ホトトギス 201602
明るさに馴れたる油断春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201602
不祝儀の黒よそほへば春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201602
口に出す人出さぬ人春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201602
春寒といふ口実のありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201602
春寒も家居にあれば自ら 稲畑汀子 ホトトギス 201602
書き上げし一稿に春寒を解く 稲畑汀子 ホトトギス 201603
春寒といふより風の痛きほど 稲畑汀子 ホトトギス 201603
ただならぬ春寒星座彩りぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201603
東京は近し遠しと春寒く 稲畑汀子 ホトトギス 201604
春寒の何か足らざる思ひかな 稲畑汀子 ホトトギス 201604
香箱をつくる野良猫春寒し 鈴木阿久 201604
春寒し聞く名曲に身をぬくめ 四條進 201604
煮豆屋の吊り電球や春寒し 波多野孝枝 末黒野 201604
春寒や絵馬の白蛇いとけなし 田村園子 201605
春寒し必勝祈願する親子 高橋正江 末黒野 201605
骨ひろふ春寒の箸定まらず 安立公彦 春燈 201605

 悼・上山永晃先生

春寒やアスクレピオスの杖置かる

藤丸誠旨 春燈 201605

 悼 本多游子師

句会報絶筆の文字春寒し

山崎刀水 春燈 201605
春寒や番茶を炒ってをりにける 近藤紀子 201606
春寒のどこかに空気清浄器 樋口英子 201606
春寒し憲法遵守の幟旗 山内洋光 201606
追分の雲の流離や春寒し 鈴木静恵 春燈 201606
春寒し生活大へん主婦の娘や 水谷直子 京鹿子 201606
春寒し点きつ放しの常夜灯 小山ようこ やぶれ傘 201606
過去帖に妻の名「をんな」春寒し 有賀昌子 やぶれ傘 201606
春寒し聖ニコライに燭点す 亀田やす子 万象 201606
被爆地に佇む少女春寒し 大島寛治 雨月 201606
春寒くとも杖二本突かうとも 千原叡子 ホトトギス 201607
追悼の日より春寒つづく旅 安原葉 ホトトギス 201607
消息をしかとも聞けず春寒し 三村純也 ホトトギス 201607
雲丸くまとめながらも春寒し 橋本くに彦 ホトトギス 201607
わが町のハザードマップ春寒し 青柳雅子 春燈 201607
春寒や草に隠るる道祖神 古川幸子 春燈 201607
春寒や路上ライブに歩をとどめ 石黒興平 末黒野 201607
竹林の風の響きや春寒し 及川照子 末黒野 201607
満天の星降る里の春寒し 橋本くに彦 ホトトギス 201608
咳をするひとりひとりの春寒し 磯崎啓三 風土 201609
春寒し小川のめざす瀬戸内海 磯崎啓三 風土 201609
春寒や富嶽全容顕にす 稲畑廣太郎 ホトトギス 201702
春寒きこと癒えし身をいとはれよ 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春寒の外出に心添ひゆける 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春寒の庭一巡りして来しと 稲畑汀子 ホトトギス 201702
快晴が春寒ほどきゆきにけり 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春寒の表情消えてより会に 稲畑汀子 ホトトギス 201702
春寒き朝と気づきしよりのこと 稲畑汀子 ホトトギス 201702
祝賀会済み春寒き朝となる 稲畑汀子 ホトトギス 201702
厄年の埒外にゐて春寒し 能村研三 201703
春寒の仕草も多し豆腐売り 高野昌代 201704
春寒の写経の筆をほぐしけり 菅澤陽子 春燈 201704
殉教の遺品数々春寒し 手島伸子 雨月 201704
春寒し水の硬さに手を洗ふ 中村洋子 風土 201705
春寒の日の吹かれ散る欅かな 浅井青二 雨月 201705
春寒や右手に冷たき花鋏 宮本俊子 雨月 201705
春寒き両国海鮮丼豪華 田中藤穂 あを 201704
ほんだはら砂に乾涸び春寒し 宇都宮敦子 201705
春寒の無聊を又の「藪の中」 藤井美晴 やぶれ傘 201705
照射室の鉄扉は厚し春寒し 宮井知英 201705
春寒し枠のみ残る観覧車 大川ゆかり 201705
春寒し触れてはならぬものに触れ 本田保 春燈 201705
春寒の殊にならひの海の音 田中臥石 末黒野 201705
春寒料峭箕面の麓そぞろ行く 大橋晄 雨月 201706
春寒や軍馬軍犬慰霊像 太田良一 末黒野 201706
春寒やオリオンの空手に触れむ 岡本秀子 201706
腰越の波春寒をたたみ来る 岡田貞峰 馬醉木 201707
春寒や路上ライブのコード延び 斉藤マキ子 末黒野 201707
春寒や固くなりたる鍵の穴 山田佳乃 ホトトギス 201707
春寒の橋行きて旅人となる 岩岡中正 ホトトギス 201707
明るさに誘はれし庭春寒し 今橋眞理子 ホトトギス 201707
春寒の忌日の墓にひとり来て 山田閏子 ホトトギス 201707
春寒や宇陀の月斗の忌に招れ 上辻蒼人 風土 201706
春寒や金目銀目の猫抱いて 田尻勝子 六花 201707
春寒し服脱ぐたびに背の縮む 岸洋子 201706
早立ちの春寒ほどけきし旅路 安原葉 ホトトギス 201708
春寒を弾き返せる海の綺羅 千原叡子 ホトトギス 201708
春寒のはじめて付けし手摺りかな 中田みなみ 201707
窓からは病棟ばかり春寒し 曽根富久恵 201707
春寒といひつつ今日も出掛け来し 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春寒の予報次々日本海 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春寒に加はる予定ありしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春寒に放り出されし都会かな 稲畑汀子 ホトトギス 201802
大股に歩き春寒退ける 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春寒を逃るる家路なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201802
春寒の加はる齟齬となりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201802
滞在は三日の着替へ春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201802
考への二転三転春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201802
見学といふ春寒き道案内 稲畑汀子 ホトトギス 201803
春寒し記憶の回路つながらず 稲畑汀子 ホトトギス 201803
垣間見し暮し質素や春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201803
指先に春寒残りをりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201803
春寒き風舐め回す水面かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201803
立春寒波やたら元気な鼓笛隊 上谷昌憲 201804
春寒し池の小石の苔むして 松本三千夫 末黒野 201804
深呼吸しては句作り春寒し 秋川泉 あを 201804
川石をめくれば雑魚や春寒し 志方章子 六花 201805
春寒し攻め焚きに入る登り窯 中村房子 馬醉木 201805
春寒のことのみ言うて暮れにけり 青柳雅子 春燈 201805
春寒し雑木林の径とぎれ 柴崎英子 201805
焼跡へ一歩たじろぐ春寒し 門伝史会 風土 201805
兜太逝き選なき紙面春寒し 落合絹代 風土 201805
輪蔵の軋める音や春寒き 神谷さうび 末黒野 201805
春寒にルーぺで羊歯の胞子見て 渡邊孝彦 やぶれ傘 201805
思はざる別れとなりて春寒し 佐藤淑子 雨月 201806
口惜しと叫んでみても春寒し 佐藤淑子 雨月 201806
声かけてみても詮なし春寒し 佐藤淑子 雨月 201806
春寒料峭泣き事なべて封じたり 佐藤淑子 雨月 201806
春寒し闕所の淀屋跡に立ち 西村しげ子 雨月 201806
春寒し日記を読むは音を消し 高木晶子 京鹿子 201806
春寒やオリンピックに明け暮れて 志方章子 六花 201806
春寒や手をつなぎゐる老夫婦 志方章子 六花 201806
病状を問はず語らず春寒し 三村純也 ホトトギス 201806
春寒し石をはじくに石蹴つて 柿沼盟子 風土 201806
空回る作り水車や春寒き 黒滝志麻子 末黒野 201806
春寒や入江に戻る生簀船 安斎久英 末黒野 201806
爆音の頭上過りぬ春寒し 今村千年 末黒野 201806
鯉群れて春寒緩ぶ源氏池 今村千年 末黒野 201806
出汁の香の駅の蕎麦屋や春寒く 小田嶋野笛 末黒野 201806
ウィンクの信号を待ち春寒し 岩上行雄 末黒野 201806
兜太逝く甲武信ヶ岳の春寒く 及川照子 末黒野 201806
鍼を打つ細きベットや春寒し 長谷川はまゆう 末黒野 201806
また春寒溜息そっと木戸を掃く 長崎桂子 あを 201806
過去帳に妻の名「をんな」春寒し 有賀昌子 やぶれ傘 201807
君病みて一年が経つ春寒し 木村享史 ホトトギス 201808
春寒や老いには善も悪もなし 沼田巴字 京鹿子 201902
春寒や狛犬番い子育て中 植木やす子 201902
虚子生れし日と聞く訃音春寒し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201903
人惜みても惜みても春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201903
淋しさは言葉とならぬ春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201903
訃報とは突然に来る春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201903
迷ふ筈なきビル迷ひ春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201903
空席はやはり来ぬなり春寒し 能村研三 201903
春寒や屁理屈捏ねの多くなり 室井津与志 春燈 201904
塗替への駅舎の匂ひ春寒し 滋野暁 末黒野 201904
立春寒波明日あることを知り尽し 伊藤希眸 京鹿子 201904
春寒し軽トラに積むコレラの豚 田中藤穂 あを 201904
保育器のいのち春寒ゆるびそむ 河前隆三 馬醉木 201905
春寒料峭野鍛冶鋸鍛冶廃れけり 中里よし子 春燈 201905
春寒や道に迷うて抜けられず 大谷満智子 春燈 201905
春寒の捨田にソーラーパネル着く 南うみを 風土 201905
寝床から出られぬほどに春寒し 出口誠 六花 201905
春寒し解体に飛ぶ土埃 廣畑育子 六花 201905
篁は風のたまり場春寒し 森清堯 末黒野 201905
おほぶりの湯呑みいくぶん春寒く 森睡花 201905
隣国は近くて遠し春寒し 藤田美耶子 201905
春寒し沖の汽笛も波音も 谷村祐治 雨月 201905
採血の痕むらさきに春寒し 谷村祐治 雨月 201905
君の名の消ゆる名簿や春寒し 竹内喜代子 雨月 201905
春寒しそぞろにつづく胃のつかへ 溝内健乃 雨月 201905
壁に仰ぐトナカイの角春寒し 田中藤穂 あを 201905
春寒しアンドロイドが無常説く 森なほ子 あを 201905
春寒 →8      

 

2021年3月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。