春寒 4       132句

春寒のよりそひ行けば人目ある   高浜虚子   五百句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
春寒し夜の座のお湯のたぎる音 坂林智代 対岸 200606
汝が声かそは空耳の春寒し 水野節子 雨月 200606
みつめゐてなも見てをらず春寒き 斎藤妙子 200606
春寒をいとへと電話まだつゞく 浅井青陽子 ホトトギス 200607
雑踏といふ春寒もありにけり 岩岡中正 ホトトギス 200607
適塾の階のますぐに春寒し 徳永亜希 馬醉木 200607
春寒や波に相寄る集魚燈 石川 馬醉木 200607
病窓にネオン華やか春寒し 中村江利子 京鹿子 200607
飴噛みて喉を癒すに春寒し 伊澤政子 200607
春寒し荷づくりの箱積みあげる 四葉允子 ぐろっけ 200607
春寒し草木はすでに芽ととのへ 山形麗子 ぐろっけ 200607
春寒のきびしさ言ひて別れけり 浅井青陽子 ホトトギス 200608
春寒の意を決するに赤き服 服部早苗 200608
上州に友失ひて春寒し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
悌はこの春寒とともにあり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
春寒きこと都心にも故郷にも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
春寒の太陽小さく描く子かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
春寒を覚ゆ麟麟の歩みとも 稲畑廣太郎 ホトトギス 200702
春寒のこけしどこかに手を隠し 杉良介 200702
春寒に長短針は重なれど 森田子月 ぐろっけ 200702
旅衣着替へもならず春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200703
春寒し本堂に目の慣るるまで 高倉和子 200703
春寒のたびごと酔ひの濃くなれり 菅原健一 200704
春寒の軒重ね合ふ宿場町 志村美江 酸漿 200704
一隅を照らす春寒鳶かな 米山喜久子 200704
春寒や母の写真を探しをり 田中藤穂 あを 200704
日溜りの庭にしあれど春寒し 稲岡長 ホトトギス 200705
春寒の築地に売らる卵焼 高橋道子 200705
教へ子の死亡広告春寒し 足利徹 ぐろっけ 200705
龍太大人逝きましし春寒かりし 大橋敦子 雨月 200705
春寒の自画像哀しきまでに鼻大き 貝森光洋 六花 200705
春寒の乾きし土に芽吹きあり 筒井八重子 六花 200705
姉川の戦碑しづもり春寒し 山崎泰世 200706
春寒し五百羅漢は何を問ふ 米山喜久子 200706
春寒や紫煙くゆらす消防団 仁平則子 200706
春寒し生簀の蟹の海底色 笹原紀世子 200706
膝の水抜かれうそうそ春寒し 大橋敦子 雨月 200706
がん告知乞ふ書に署名春寒し 淡地和子 雨月 200706
春寒料峭遺されしことうべなへず 樺山翠 雨月 200706
築提の蛇籠の荒き春寒し 青木翠亭 春燈 200707
春寒に坐す忍者寺の隠し部屋 木暮剛平 万象 200707
米撒いて雀呼ぶ日の春寒き 小林清之介 風土 200707
春寒し怒り肩なる女居り 田中ヨシヱ 200707
春寒しまた確むるパスポート 田原陽子 200707
春寒し水晶体の消ゆるとき 大橋晄 雨月 200707
春寒や耳にやさしき伊予ことば 清水和子 酸漿 200707
春寒のもののかたちに添ひてをり 中島たまな 200707
父祖の地に買い手のありて春寒し 内山弘幸 八千草 200708
朝は納豆ゆらりゆらりと春寒し 堀内一郎 あを 200801
春寒き決断をせし手紙かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
春寒き歩幅海岸線を行く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
春寒き庭より戻り来し無口 稲畑汀子 ホトトギス 200802
春寒や空の明るさありながら 稲畑汀子 ホトトギス 200802
明るさに惑はされたる春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200802
そのつもりして春寒を寄せつけず 稲畑汀子 ホトトギス 200802
春寒や竹林に透く人の影 鷹羽狩行 200802
体調を問はるることも春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200803
旅一つあきらめしより春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200803
春寒や膝に頭と膕と 鷹羽狩行 200803
春寒きことしばらくは心地よし 稲畑汀子 ホトトギス 200804
春寒し舞台係の雪駄かな 能村研三 200804
暗証番号変へよと音声春寒し 内山花葉 200804
春寒の鳩たちを容れ大欅 西山美枝子 酸漿 200804
春寒の路は左右に離宮跡 安藤久美子 やぶれ傘 200804
春寒を言ひ煎餅を焼くをとこ 前川明子 200805
春寒のホール小さきコンサート 高橋道子 200805
春寒し店先にゐて筆選ぶ 長瀬恒子 遠嶺 200805
春寒やのそりのそりと老いと犬 小國佐世子 遠嶺 200805
春寒や単皮の御用は爺かぎり 神山志堂 春燈 2008605
春寒や踏めば鶯張りの床 木暮剛平 万象 200805
春寒や獣の匂ふ奈良小径 岩井ひろこ 火星 200805
春寒の灯の尖りたる北新地 大橋晄 雨月 200805
胸底に響く波音春寒し 北川とも子 ぐろっけ 200805
春寒やふつくらパンの焼き上る 大西まりゑ 酸漿 200805
実感の湧かぬ骨箱春寒き 中川すみ子 200806
春寒し軋む引き戸の古厨 松田和子 200806
春寒や西に東に控の間 緑川啓子 馬醉木 200806
温暖化叫ばる地球春寒し 松嶋一洋 200806
春寒を握り駅まで一直線 斉藤小夜 風土 200806
春寒や歩き疲れの足洗ふ 徳丸峻二 風土 200806
春寒の旅や嵯峨野の和紙細工 邑橋節夫 菊揃へ 200806
錦帯橋渡るに寒き春の風 神田一瓢 雨月 200806
春寒くとも快晴を約せし日 稲畑汀子 ホトトギス 200902
春寒をかこつことより旅路かな 稲畑汀子 ホトトギス 200902
春寒の旅路を解く家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 200902
準備とはどこかが不安春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200902
東京の滞在三日春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 200902
棒読みの代理挨拶春寒し 能村研三 200903
春寒し聞けば些事とも云ひきれず 岡本眸 200903
個人情報匿せる絵馬や春寒き 鈴木照子 200904
肺機能低下を自覚春寒し 坂上香菜 200904
春寒き薄茶点前の筒茶碗 飯田美千子 200904
春寒に追ひつかる橋越えてより 豊田都峰 京鹿子 200904
広すぎてこぼれしやうにある春寒 豊田都峰 京鹿子 200904
春寒し暗示にかかる猫もゐて 鈴鹿仁 京鹿子 200904
春寒の鴉鳴きつつ飛びゆけり 長谷川照子 春燈 200904
春寒や横書きの字の右上り 長谷川照子 春燈 200904
目標は生涯青春寒の月 筏愛子 200904
その席へよみがへる声春寒し 松本美智子 炎環 200904
春寒や振り子動かぬ鳩時計 能勢栄子 200905
春寒し思はず衿を合はしけり 岡佳代子 200905
龍の目の妖しき光春寒き 増田一代 200905
春寒や揉み手しながら厨房へ 岡田和子 馬酔木 200905
春寒や寝衣は白をもてなせり 加藤みき 200905
春寒しシャベル沈めて川光る 早崎泰江 あを 200905
春寒の書庫に花袋の震災記 藤原はる美 200905
春寒や百円市の文庫本 佐藤信子 春燈 200905

 悼石田小坡氏

春寒やさつても拈華微笑仏

橋爪隆 春燈 200905
遮断機の長々下りて春寒し 秋千晴 200905
わりなしや友の訃続き春寒し 島貫寿恵子 雨月 200905
春寒し真夜の耳底鼓動打つ 北川とも子 ぐろっけ 200905
春寒の身を引き上ぐる階手摺 小松美保子 ぐろっけ 200905
春寒に無敵のデビュー栗毛馬 宮田香 200906
退学の子よりの手紙春寒し 藤井啓子 ホトトギス 200906
春寒し廃船繋ぐ廃漁港 桑島啓司 200906
春寒や午後の潮鳴り厨まで 荒井千佐代 200906
春寒や女子高生の膝小僧 川崎光一郎 京鹿子 200906
春寒し単身赴任宇宙なり 宇賀令子 春燈 200906
春寒のひとりの昼餉あたためて 吉沢陽子 200906
春寒し忿怒ひときは多聞天 網野茂子 酸漿 200906
春寒や遺品の整理はかどらず 家塚洋子 酸漿 200906
浮き足立つミサイル誤報春寒し 金井香ル 200907
春寒きけふは寄りみちせぬ家路 安原葉 ホトトギス 200907
うべなつてをり人の死も春寒も 岩岡中正 ホトトギス 200907
春寒し壊す生家の伽藍洞 野田しげこ 200907
留守にせし家の春寒しぶとかり 嶋田摩耶子 ホトトギス 200908
標本と思へど蠍春寒し 和田崎増美 雨月 200908
春寒の旅を労ふ伊予訛 小林玲子 ぐろっけ 200909
風呂敷の結び目しまる春寒し 吉岡知香 京鹿子 201001
予報には従ふ旅程春寒し 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒を託つことなく旅終る 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒き表情捨てて集ひ来し 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒を託つを承知せる出先 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒の話の齟齬を立て直す 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒き庭の順路にありし池 稲畑汀子 ホトトギス 201002
池一つ増え春寒き庭となる 稲畑汀子 ホトトギス 201002
春寒→ 5      

 

2021年2月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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