春惜む 1     431句

春惜しむ白鳥(スワン)の如き溲瓶持ち    秋元不死男

暮春  晩春  春惜む  暮の春  惜春  春暮るる・春の果

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ひと駅を歩いて海の春惜しむ
朝目彩湖
船団
199811
春惜しむ富士に越中おわら節
金子里美
船団
199811
咲くものを散るものを春惜みけり
稲畑汀子
ホトトギス
199904
竣工の日は二年先春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
199904

 三月二十四日六木木「心研」にて心臓のRI検査

二心房 ふたへやに岐れし血潮春惜しむ

中原道夫
銀化
199905
春惜しむ法然院に大板木
神蔵器
風土
199906
逝きし人良いことばかり春惜しむ
伊藤一歩
いろり
199906
こつこつと腰の疲れや春惜しむ
松沢久子
いろり
199906
色紙への筆動かして春惜しむ
松沢久子
いろり
199906
灯台に登りて下りて春惜しむ
山川邦子
199907
釣るとなく垂れし釣糸春惜しむ
島田尚子
馬醉木
199907
梅干の種口中に春惜しむ
大場燈児
風土
199907
木場の香のありなしを言ひ春惜しむ
大場燈児
風土
199907
湖よりも低き宿の灯春惜しむ
小林共代
風土
199907
東京をふるさとにもち春惜しむ
能村登四郎
芒種
199911
師のごとく正座して春惜しみけり
能村登四郎
芒種
199911
春惜み丸ビル惜みつつ移転
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
彗星の遠退いてゆき春惜む
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
郷衛門九太夫と春惜しみけり
中村七三郎
七三郎句集
200001
春惜しむ夢二絵葉書買ひ溜めて
田中藤穂
水瓶座
200002
春惜む心に旅を惜みけり
稲畑汀子
ホトトギス
200004
健脚と云はれぬまでも春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200004
東京の雨の渋滞春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200004
国宝の濡れ縁に座し春惜しむ
朝妻力
俳句通信
200006
桐畑太夫の裔なる人と春惜む
大橋敦子
雨月
200006
いたづらに月日過ごして春惜む
大平保子
いろり
200006
勘違ひしたかも知れぬ春惜しむ
松沢久子
いろり
200006

 「河」小島健さんと

春惜しむ雨の眼鏡をともに拭ひ

岡本眸
200006
俳磚壁曼陀羅と見て春惜む
大橋宵火
雨月
200007
春惜しみ命を惜しむ一行詩
村越化石
200007
うしろ手に鞄を下げて春惜む
前田千枝子
200007
洗濯のシャツと吹かれて春惜む
仲村青彦
200007
靴深く沈む砂浜春惜しむ
太田寛郎
200008
老の身に念願ひとつ春惜しむ
大平保子
いろり
200008
巾広に在す薬師仏春惜む
大橋敦子
雨月
200008
先考を偲び虚子館春惜しむ
二村蘭秋
雨月
200008
泣き疲るデク吊り楽屋春惜しむ
伊藤鯰子
ぐろっけ
200010
ハーモニカ雲にも聞かせ春惜しむ
山口速
200105
春惜むいつとき多忙忘れゐし
浅利恵子
円虹
200105
いく度も訪ひし龍野の春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200105
三味線の古き合の手春惜しむ
河合笑子
あを
200105
寝ねざまの一語消えつつ春惜しむ
渡辺友七
あを
200105
観音に天平のいろ春惜しむ
梶田敬子
200106
春惜しむみかへり阿弥陀如来かな
神蔵器
風土
200106
淀の墓融の碑あり春惜む
大橋敦子
雨月
200106
春惜しむ近江は大き水の闇
近藤暁代
馬酔木
200107
春惜しむ野は夕映を尽くしたり
佐藤よしい
風土
200107
しみじみと老いを受け入れ春惜しむ
久保田一豊
いろり
200107
友も亦今を生きると春惜しむ
久保田一豊
いろり
200107
春惜しむ若葉明りの弓道場
伯井茂
春耕
200107
木母寺の寂と音なく春惜しむ
作山泰一
200107
金色の柱にもたれ春惜しむ
郷田健郎
百鳥
200108
春惜しむ一夜湖畔の宿に寝て
遠藤和彦
遠嶺
200108
須磨寺につなぐ仏縁春惜む
村田明子
円虹
200108
留守電に短かき言葉春惜む
甲田夏湖
船団
200111
春惜しむ直哉旧居の井戸のぞき
安養寺美人
200112
畦川の光ひとすぢ春惜しむ
武藤嘉子
200201
旅疲れなかりし如く春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200204
春惜みつつワキ出づるシテ出づる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200205

 郡上八播句碑除幕

美濃の地に印す一歩の春惜む

稲畑汀子
ホトトギス
200205
春惜しむ虫も殺さぬ岩に掛け
丸山佳子
京鹿子
200206
恐竜の肋の下に春惜しむ
野々村紫
百鳥
200206
くらわんか茶碗の瑕に春惜しむ
大柳篤子
雲の峰
200206
くわんおんの臍上向に春惜しむ
神蔵器
風土
200206
任一つ終へし余韻に春惜む
山田弘子
円虹
200206
旅果の小雨に濡れて春惜む
山田弘子
円虹
200206
万葉歌のこる近江路春惜しむ
久保田雪枝
雨月
200206
百年の上り框に春惜しむ
八條凛子
銀化
200206
埋立に貝の死を嗅ぎ春惜む
渡邉友七
あを
200206
南禅寺楼上に春惜しみけり
武井美代子
風土
200207
一つづつ包むパイ皮春惜しむ
代田青鳥
風土
200207
単線に学生二人春惜しむ
代田青鳥
風土
200207
劇場の淡雪羹に春惜しむ
西田もとつぐ
雲の峯
200207
象の目は祖母の目差し春惜しむ
尼嵜太一郎
ぐろっけ
200207
首振って張子の馬も春惜しむ
前田陽子
200208
ふくよかな志功菩薩も春惜しむ
山口速
200208
弔上げの斎の膳に春惜しむ
橋本梢明
200208
鈍行に乘換へてより春惜しむ
宮原みさを
花月亭
200208
春惜みつつみよし野を去らむかな
安原葉
ホトトギス
200209
春惜むディナーやクインメリー号
桑田青虎
ホトトギス
200212
海を見て船を見て春惜しみけり
梅村すみを
200301
春惜む心に雨の上りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200304
抽斗になければ棚に春惜む
堀内一郎
あを
200304
擧げてみな鬼籍の人よ春惜しむ
中原道夫
銀化
200305
唇を少しゆるめて春惜しむ
小林朱夏
200305
手料理に兜子夫人や春惜む
山田弘子
草の蝉
200305
耳あてて木の心音と春惜しむ
江頭信子
馬醉木
200306
県庁の高階に来て春惜しむ
村越化石
200306
漱石の部屋に座りて春惜しむ
清わかば
雲の峯
200306
先詰まりして来し未来春惜む
大橋敦子
雨月
200306
杖と言はずステッキと言ひ春惜む
大橋敦子
雨月
200306
春惜む三人句碑の前うしろ
堀内一郎
あを
200306
高嶺より三筋雲わき春惜む
芝宮須磨子
あを
200306
帯目の深き石庭春惜しむ
江頭文子
雨月
200307
街かどのジャズ演奏に春惜しむ
山田由利枝
雨月
200307
骨董市春惜しみつつひとめぐり
鶴岡美恵子
帆船
200307
オルガンのかの山かの川春惜しむ
山崎靖子
200307
春惜しむ外人墓地は故郷向き
三沢蘭
遠嶺
200307
墓参久に地下の燈児と春惜しむ
高橋邦夫
風土
200307
春惜しむ諸戸庭園一周し
佐藤たもつ
築港
200307
エーゲ海なる牛窓の春惜しむ
井手由紀江
築港
200307
花椒ホアジャンを挽いてをりけり春惜しむ
雨村敏子
200307
岬よりわが町のぞみ春惜しむ
戸栗末廣
火星
200307
旅先のスタンプ並べ春惜む
近藤貞子
ぐろっけ
200307
帰納法演繹法や春惜しむ
石川英利
百鳥
200308
洛北の春惜みつつ偲ぶ歩々
安原葉
ホトトギス
200311
ナプキンで口拭き館の春惜しむ
丸山佳子
京鹿子
200405
春惜む心は後の宴まで
稲畑廣太郎
ホトトギス
200405
散りしもの掃き庭の春惜みけり
稲畑汀子
ホトトギス
200405
春惜しむ旧居留地の角に立ち
朝妻力
雲の峰
200405
岩を抱く松の根つ子に春惜しむ
山田六甲
六花
200405
春惜しむ包丁研ぎの伝授かな
林裕美子
六花
200405
昼すぎのあくびになみだ春惜しむ
岡部玄治
200406
隠れ江の波の響の春惜しむ
鈴木伸一
200406
浮世絵の由比の高波春惜しむ
神蔵器
風土
200406
芭蕉の間等躬の間に春惜しむ
小林共代
風土
200406
春惜しむ長きドレスのフラメンコ
富永晃一
築港
200406
輪唱のひびく城址や春惜しむ
杉江茂義
雲の峰
200406
車椅子握る手に汗春惜しむ
吉弘恭子
あを
200406
裏見せぬ雲を見あげて春惜しむ
丸山佳子
京鹿子
200406
高台寺の鐘の音龍馬と春惜しむ
丸山佳子
京鹿子
200406
せせらぎを聞きゐて妻と春惜しむ
市川伊團次
六花
200407
序破急の和太鼓に春惜しみけり
松田欽吾
雨月
200407
夕膳の母の座に居て春惜しむ
内山照久
200407
折詰めの花結び解き春惜しむ
大塚まや
京鹿子
200408
能面の春惜しむ眼となりにけり
中村重雄
百鳥
200408
父母よりも長生きをして春惜しむ
大西正栄
雨月
200408
螺髪欠く奈良の仏と春惜む
岸本久栄
雨月
200408
瞬きを忘れし魚や春惜しむ
長屋璃子
火星
200408
春惜しみつつ千夜一夜の国憂ふ
内山照久
200408
木曽駒の肌の温もり春惜しむ
武田ともこ
ぐろっけ
200408
家うちをひろくつかつて春惜む
八田木枯
夜さり
200409
春惜しむ竹人形に竹の髪
若井新一
200412
今はただ思ひ出胸に春惜む
松尾緑富
ホトトギス
200502
春惜むにはこの日差この気温
稲畑廣太郎
ホトトギス
200504
乗り継ぎて稲城野に春惜みけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
200504
ふり返る旅は遥かよ春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200504
春惜むときは時間の止りけり
稲畑汀子
ホトトギス
200504
庭に咲くもの散るものに春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200504
まだ書けぬ文章に向き春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200504
流れ木に飛翔のかたち春惜しむ
安藤しおん
200505
春惜しむ世間知らずの岩にかけ
丸山佳子
京鹿子
200505
瀬戸迅き潮の綾目に春惜しむ
原田竜子
河鹿
200506
アトリエに届く潮騒春惜しむ
徳田千鶴子
馬醉木
200506
春惜しむには二重顎厚すぎし
酒本八重
里着
200506
呼びもどす術なき夕日春惜む
熊岡俊子
雨月
200506
八百年の楠に額当て春惜しむ
三輪洋子
200506
春惜しむ時計はむかし捻子を巻き
定梶じょう
あを
200506
墨堤を帰りは右手めてに春惜しむ
矢島久栄
200507
野に強き風船端ふなばたに春惜しむ
小澤克己
遠嶺
200507
足腰を伸ばす体操春惜しむ
瀬下るか
200507
春惜しむ母と二夜を京にをり
遊橋恵美子
風土
200507
踏みて鳴く石のしめりや春惜しむ
遊橋恵美子
風土
200507
憩ひ石あれば憩ひて春惜しむ
村越化石
200507
白寿の母と姨捨に来て春惜む
荒川文雄
200507
あかときの静かなる雨春惜む
飯隈球子
栴檀
200507
展望台見ゆる限りの春惜しむ
村山みよ
築港
200507
錠剤の赤や黄色や春惜しむ
長谷川千枝子
200507
春惜しむ亡き先生の蔵書印
藤井英子
対岸
200507
印旛沼あたりで食べて春惜しむ
青山丈
200507
砂利踏んで京都御苑の春惜しむ
小山國雄
百鳥
200508
三十三義母ははの回忌を春惜しむ
森津三郎
京鹿子
200508
窓のない救急室に春惜しむ
森津三郎
京鹿子
200508
翁の杖拝し近江の春惜む
森脇貞子
雨月
200508
寂一字刻みし墓に春惜む
浅井青陽子
ホトトギス
200509
赤べこの首の上げ下げ春惜しむ
若井新一
200509
春惜む野川の紅くやくるまで
瀧春一
菜園
200509
いささかはひらく愁眉に春惜む
瀧春一
菜園
200509
多羅葉に記す人の名春惜しむ
菅野末野
風土
200511
春惜み翁を偲ぶ縁かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200604
朝の温泉に音を重ねて春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200604
み吉野の旅はや遥か春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200604
春惜しむ風化途中の石を手に
ことり
六花
200605
更けし夜の船の灯数へ春惜しむ
加瀬美代子
200605
林泉の桃山ぶりや春惜む
瀧春一
常念
200606
大洋に向ひ砂丘の春惜しむ
水原春郎
馬醉木
200606
丘にのぼりて横浜の春惜しむ
牛田修嗣
200606
能登の春惜しむ鳴き砂踏みもして
佐々木よし子
200606
春惜しむそばの後より湯桶ゆとうかな
神蔵器
風土
200606
光陰は竹の一節春惜しむ
佐藤よしい
風土
200606
鉈彫の薬師を拝し春惜しむ
落合絹代
風土
200606
春惜しむ熊野の一節口遊み
岩崎眉乃
万象
200606
春惜しむ騎駝砂漠の夢見るや
沼口蓬風
河鹿
200607
春惜しむ一人を降ろす無人駅
橋口礼子
河鹿
200607
春惜しむ車輪埋もれぬ浜走り
佐々木よし子
200607
歩行器をゆつくりと押し春惜しむ
中上照代
火星
200607
枕頭に武士道の本春惜しむ
田島勝彦
遠嶺
200607
十五万石の城下に春惜しむ
峯桜子
遠嶺
200607
行間を置いて二伸の春惜しむ
野田梅月
遠嶺
200607
鉈彫の三尊拝し春惜しむ
落合絹代
雨月
200607
欲しきものなき齢なり春惜しむ
高倉恵美子
200607
水の上鳥が仲良く春惜しむ
村井アジト
六花
200607
再びの手児奈の里に春惜しむ
上村葉子はこ
風土
200607
爪ばかりやたらに伸びて春惜しむ
吉原一暁
200607
春惜しむ古き種痘のあと撫でて
芝尚子
あを
200607
童謡の丘にも登り春惜む
浅井青陽子
ホトトギス
200608
春惜しむ吉野書院の能面と
伊藤マサ子
ぐろっけ
200608
リーチ展一巡りして春惜む
浅井青陽子
ホトトギス
200609
人去りし閑かさに春惜しみけり
兼子栄子
酸漿
200609
端座して南郷庵に春惜しむ
岸川素粒子
万象合同句集
200703
春惜しむモザイクタイルの暖炉縁
能村研三
200705
春惜しむ魏志倭人伝逆走し
北川英子
200705
韓愈の過ぎし藍関に春惜しみけり
松崎鉄之介
200705
竹人形買ひ越前の春惜しむ
木暮剛平
万象
200706
春惜しむ態して老いのベンチかな
増田大
春燈
200706
春惜しむ銀座伊東屋地球儀に
上原重一
200706
人悼むこころに重ね春惜しむ
若江千萱
雨月
200706
あさゆふの道のさくらの春惜しむ
瀧春一
200706
春惜しむひとりふたりに蘆伸びぬ
瀧春一
200706
黒文字を軽く使ひて春惜しむ
宮脇ちづる
200707
土佐の岸辺龍馬の像と春惜しむ
向井芳子
春燈
200707
春惜しむ連山どつと背伸びして
中島あきら
200707
春惜しむ手紙短く書きなほし
栗原公子
200707
八十五齢吾れと同年春惜しむ
小野寺節子
風土
200707
春惜しむ生れしばかりの陶の影
田村すゝむ
風土
200707
ハンカチの木の花揺れて春惜しむ
竹内美知子
200707
よく噛んで食べる雑穀春惜しむ
樋口みのぶ
200707
休日に水槽洗ひ春惜しむ
市川十二代
ぐろっけ
200707
誕生日来て晩節の春惜しむ
下平しづ子
雨月
200707
梵鐘の下のしづもり春惜しむ
中谷葉留
万象
200708
ふらここの揺るるに委せ春惜しむ
隅田恵子
雨月
200708
禅林の魚板一打に春惜しむ
平野伸子
馬醉木
200708
室の津の丘の社に春惜む
浅井青陽子
ホトトギス
200709
引く波に面影を追ひ春惜む
多田まさ子
ホトトギス
200710
焼けのこる旋盤に春惜しみけり
堀内一郎
あを
200803
み吉野の旅はや遠し春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
200804
春惜しむ桜蘂敷く道に立ち
ことり
六花
200805
輪舞曲弾く指先に春惜しみけり
ことり
六花
200805
春惜しむ女人高野の渡廊
徳田千鶴子
馬醉木
200806
句碑ありてこその姨捨春惜しむ
藤森すみれ
200806
坂のぼり坂くだり春惜しみけり
服部早苗
200806
旅ごろも洗ひ晒して春惜む
中村阪子
万象
200806
毛筆の書翰賜り春惜む
大橋敦子
雨月
200806
山降りて蕎麦屋にひとり春惜しむ
白石正躬
やぶれ傘
200806
旅人と遅き湖北の春惜しむ
山口キミコ
200807
須彌壇の灯の金色に春惜しむ
小森泰子
馬醉木
200807
春惜しむ路面電車に揺られゐて
窪田粧子
馬醉木
200807
春惜しむ画布に花色塗りかさね
渡邉英子
馬醉木
200807
病む父の髭たくはへて春惜しむ
杉山哲也
馬醉木
200807
春惜しむ森に魁夷の白い馬
山口速
200807
富士塚へ再び登り春惜む
大西八洲雄
万象
200807
原語もてアリラン歌ひ春惜しむ
猪鼻純枝
万象
200807
全身を鏡に入れて春惜しむ
樋口英子
200807
春惜しむ白封筒にルームキー
栗原公子
200807
薬師寺の二仏を拝し春惜しむ
鈴掛穂
200807
奈良に買ふ干菓子は飛天春惜しむ
中原吟子
雨月
200807
石の上に座して座すまま春惜しむ
村越化石
200807
浄土寺や三尊のみの春惜しむ
有本勝
ぐろっけ
200807
旋回の紙飛行機や春惜しむ
山田富朗
遠嶺
200808
春惜しむ皿をこぼれてゐるチーズ
倉持梨恵
200808
ハンカチの藍染をして春惜しむ
山田春生
万象
200808
春惜しむ踊りの指は笛に乗り
三枝正子
万象
200808
絵硝子の水色に春惜しみけり
内藤恵子
万象
200808
金屏の源氏絵巻に春惜しむ
森ひろ
馬醉木
200809
哀しみに似て風の日の春惜む
瀧春一
深林
200901
青春の「帰らざる河」か春惜む
瀧春一
深林
200901
春惜む五十センチの歩幅かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
春惜む旅北へ行く西へ行く
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
春惜む人せかせかと丸の内
稲畑廣太郎
ホトトギス
200904
春惜しむ荷風が佇ちし山門に
能村研三
200904
春惜しむ沖に白波立つるにも
山田六甲
六花
200905
京菓子を近江に食みて春惜む
浦川聡子
炎環
200906
真白なる貝の内側春惜しむ
加藤峰子
200906
春惜しむ好みのパスタゆつくりと
岩谷丁字
春燈
200906
春惜しむ砂塵にまなこいたぶられ
布川直幸
200906
稿成りて一件落着春惜む
大橋敦子
雨月
200906
春惜しむ厄除橋の真中にて
西村純代
200907
手を振れば吊橋の揺れ春惜しむ
高橋英子
200907
紅顔の阿修羅像みて春惜しむ
望月晴美
200907
鯛せんべい食み房総の春惜しむ
三宅文子
春燈
200907
ひとときを手漕ぎの舟に春惜しむ
赤羽陽子
春燈
200907
春惜しむ雁のかたちの釘隠
片山博介
春燈
200907
白象に乗りし菩薩と春惜む
竹中一花
200907
春惜む茶菓子に刷ける薄緑
金澤明子
火星
200907
飛鳥山江戸の名残と春惜む
小俣剛哉
雨月
200907
シグナルの青や赤にも春惜しみ
丸山佳子
京鹿子
200907
裾あげのひと針ごとに春惜しむ
國保八江
やぶれ傘
200907
春惜しむ海をそびらに魚雷の碑
佐藤満智子
ろんど
200907
春惜しむ亡夫手作りの椅子に座し
隅田享子
200908
祖父の世の孫の手使ひ春惜む
大西八洲雄
万象
200908
観音の蓮弁にふれ春惜む
石原光徳
酸漿
200908
春惜しむ宿に志功の観世音
野田しげこ
200908
生きながら戒名をつけ春惜しむ
島貫寿恵子
雨月
200908
虚子若き日の声を聞き春惜む
千原叡子
ホトトギス
200909
極楽の文学に生き春惜む
竹下陶子
ホトトギス
200910
春惜むには恰好の雨一日
宮崎正
ホトトギス
200910
承久の駅鈴鳴らし春惜しむ
小林共代
風土
200911
春惜しむたたみいわしに眼の力
伊藤紀子
ろんど
201001
宮様のお成りの展示春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201004
展示無事終べし安堵に春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201004
子規も居て虚子もゐて春惜みけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201005
無事終へし展示を語り春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201005
島唄に武骨も和して春惜む
山田智子
201006
蕉翁像と握手してより春惜しむ
吉田政江
201006
木曽・長良・揖斐川越えて春惜しむ
千田敬
201006
引く波に乗らぬ足跡春惜しむ
掛井広通
201006
春惜しむ掛け声ぴしと柝の頭
和田満水
201006
一人用の俎板干して春惜しむ
代田青鳥
風土
201006
春惜しみ城内渡る午鐘かな
前川ユキ子
201007
老幹の力の限り春惜しむ
大島みよし
201007
旦夕の命なれども春惜む
瀧青佳
ホトトギス
201007
春惜しむ磯の香ふくむ置手紙
小山紫乃布
末黒野
201007
羽衣の舞ひ搦やかや春惜しむ
小山ミツ子
末黒野
201007
怠けたくなりてなまけて春惜しむ
根岸善行
風土
201007
起承転・結に留まり春惜しむ
根岸善行
風土
201007
あふとつの凹の部分の春惜しむ
根岸善行
風土
201007
日月も吾も過客や春惜しむ
鈴木直充
春燈
201007
湧水に手を濡らしては春惜しむ
近藤牧男
春燈
201007
真田坂だらだら下り春惜しむ
小林愛子
万象
201007
花守としての人生春惜む
博多永楽
雨月
201007
吹く風に春惜しみつつ袖払ふ
菊谷潔
六花
201007
水亭の歴史を語り春惜む
浅井青陽子
ホトトギス
201008
古民家の上がり框や春惜しむ
石田定子
201008
春惜しむマリアカラスの美声聴き
峰尾秀之
201008
春惜しむ毛馬の蕪村の詩碑を読み
河本利一
201008
絵手紙の筆の勢ひ春惜しむ
和田森早苗
201008
春惜しむ太陽へ手をかざしつつ
工藤ミネ子
風土
201008
病得し夫と歩みつ春惜しむ
石井邦子
酸奬
201008
歌舞伎座の行く春惜しむ甘栗屋
有賀昌子
やぶれ傘
201010
ありたけの瓶に花活け春惜む
児玉寛幸
馬醉木
201012
春惜み人を悼みて籠る日々
稲畑廣太郎
ホトトギス
201104
一斉に咲き競ふ春惜む日に
稲畑汀子
ホトトギス
201104
一天をとり戻したる春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201104
葬儀ミサ人悼み春惜みけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201105
立て直す予定加へて春惜む
稲畑汀子
ホトトギス
201105
春惜しむ人待ち顔の羅漢像
小山繁子
春燈
201105
春惜しむ形状記憶スーツかな
林昭太郎
201105
鉛筆は文士の遺品春惜しむ
宮内とし子
201106
春惜しむ『青踏』に身を乗り出して
千田百里
201106
春惜しむ若冲の鶏向き向きに
千田敬
201106
何となく落ち着かぬ日々春惜しむ
早崎泰江
あを
201106
蔵屋敷跡はビル群春惜しむ
伊藤純子
201107
春惜しむ背山妹山雨募り
松本三千夫
末黒野
201107
酔ひふかし杜甫の絶句に春惜しみ
今村千年
末黒野
201107
流木は二人のベンチ春惜しむ
大室恵美子
春燈
201107
吉水の玉座を偲び春惜しむ
山本とく江
万象
201107
あてもなく探す古本春惜む
金森教子
雨月
201107
手術痕見つつひととき春惜む
松元末則
酸漿
201107
水音のたつぽんと春惜しみけり
近藤喜子
201107
胴の間に艪をよこたふる春惜しみ
定梶じょう
あを
201107
護摩の火に焚かれる檜葉に春惜しむ
松井洋子
ぐろっけ
201108
結願の御朱印を享け春惜しむ
和気永子
万象
201108
春惜しみけり負け牛を撫でもして
川端俊雄
火星
201108
春惜しむかに山鳩の含み声
小川玉泉
末黒野
201108
巡り来てこの小城下の春惜む
浅井靑陽子
ホトトギス
201109
引出しに古き鉄筆春惜しむ
紀川和子
うらら
201202
咲き替はり咲き増ゆる庭春惜む
稻畑汀子
ホトトギス
201204
古書店の熟るる匂ひに春惜しむ 能村研三 201205
謎石のルーツを解いて春惜しむ 能村研三 201205
オカリナに息吹き入れて春惜しむ 宇都宮敦子 201205
春惜しむひと日近江の人となり 藤原若菜 春燈 201206
勘三郎せんべい買うて春惜しむ 森理和 あを 201206
春惜しみ傘かしげゆく神楽坂 田中藤穂 あを 201206
俯瞰する木津川ゆるり春惜しむ 坂根宏子 201207
川の跡さかのぼりゆき春惜しむ 柿沼盟子 風土 201207
落音のオルガンの息春惜しむ 岡本尚子 風土 201207
春惜しみけりみちのくの手漉和紙 高田令子 201207
遅く来て急きてゆく春惜しみけり 松嶋一洋 201207
立ち枯れの松の大樹や春惜しむ 四條進 201207
「出女」や碓氷関所に春惜しむ 鈴木静恵 春燈 201207
灯ともるに間ある暮色や春惜しむ 北川英子 201207
モニターにモノクロの春惜しみけり 篠藤千佳子 201207
ひと匙の上白糖や春惜しむ 篠藤千佳子 201207
退職の子の名紙面に春惜しむ 安斎久英 末黒野 201207
浮島を遠くに眺め春惜しむ 塚原洋子 201208
春惜しむ憩ふに太き木の根つこ 黒滝志麻子 末黒野 201208
せせらぎのいよよ高まり春惜しむ 稲垣佳子 末黒野 201208
山々の抱く秩父や春惜しむ 荒井貞子 末黒野 201208
切株に腰をおろして春惜しむ 太田チエ子 末黒野 201208
春惜しみけり灯台は雲の中 涼野海音 火星 201208
三十石船偲びなにはの春惜む 大橋晄 雨月 201208
いかるがの三塔拝し春惜しむ 立石萌木 雨月 201208
み吉野の切株に座し春惜しむ 南恵子 万象 201208
春惜しむ頬杖したる御佛と 國保八江 やぶれ傘 201209
春惜しむ心中ものの芝居見て 北崎展江 くりから 201209
名園に水車回りて春惜しむ 松本アイ ぐろっけ 201209
春惜しむ宮家殿下の御舟入り 上家弘子 ろんど 201209
和紙人形の鬢の解れや春惜む 藤井君江 馬醉木 201212
春惜む仮発行所資料室 稲畑廣太郎 ホトトギス 201304
はかどらぬ仕事に執し春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201304
王朝の至宝にふれて春惜しむ 井口淳子 201305
白き舟ふたつ浮かべて春惜しむ 海村禮子 春燈 201306
カクテルのうすももいろに春惜しむ 小柳千美子 かさね 201306
荒むしろ土橋十歩の春惜しむ 安藤しおん 201306
春惜しむ母校の門を出るごとく 高橋将夫 201306
庭下駄に直哉旧居の春惜む 長谷川閑乙 馬醉木 201306
コッペパン食めば昭和や春惜む 植田桂子 馬醉木 201306
春惜しむ加賀友禅の華のれん 横田矩子 201307
容よき石に腰掛け春惜しむ 鈴木鳳来 春燈 201307
外をへだつ曇硝子や春惜しむ 佐藤喜仙 かさね 201307
庭先に蘂の並びて春惜しむ 田中清秀 かさね 201307
縁側に大の字に寝て春惜しむ 大日向幸江 あを 201308
都心てふ学生街に春惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201404
もてなしは素人料理春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201404
孝養を尽くされて春惜む日に 稲畑汀子 ホトトギス 201404
庭少し模様替して春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201404
水音のアインザッツに春惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201405
潮待ちの出船の汽笛春惜しむ 森田利和 201406
浅草より下る隅田川や春惜しみ 山本丈夫 201406
春惜しむ郷関出でし頃のこと 山本丈夫 201406
春惜しむ音楽堂へ雨激し おーたえつこ 201406
懐かしきポスト置く宿春惜む 森理和 あを 201406
傘雨句碑の纏に掌を置き春惜しむ 味村志津子 雨月 201406
時空たつぷり灯台の春惜しむ 遠藤真砂明 201406
秩父霊場七つ巡りて春惜しむ 門伝史会 風土 201407
古民家のかまど火に春惜しみけり 楠原幹子 201407
堅牢の城壁に入り春惜しむ 桂敦子 201407
蒸したての饅頭苞に春惜しむ 小川玉泉 末黒野 201407
薯に土寄せ終はりたり春惜しむ 白石正躬 やぶれ傘 201407
春惜む鯛の刺身の歯応へに 石本秋翠 馬醉木 201407
春惜しむ稗田環濠亀の群 山口キミコ 201407
海舟の扁額に春惜しみけり 服部早苗 201407
鉄棒に身体を折りて春惜しむ 林昭太郎 201407
ゆつくりと言葉をさがし春惜しむ 三上程子 春燈 201407
まどろみの布団をがばと春惜しむ 有本南陵 ろんど 201407
まなかひに富士を仰ぎて春惜しむ 中里よし子 春燈 201407
古書店のほどよき暗さ春惜しむ 野畑さゆり 201408
大うねりせる樟に春惜しむ 小林愛子 万象 201408
遠き日の一丁倫敦春惜しむ 塙誠一郎 201408
ターナーの絵の暗がりに春惜しむ 杉浦典子 火星 201408
子の呉れし指輪のゆるみ春惜しむ 吉田きみえ 末黒野 201409
散り終えて段落のなし春惜しむ 鎌田悟朗 ろんど 201409
春惜しむ遠淡海の関に立ち 間島あきら 風土 201411
春惜しむだいこん足で猫好きで 鈴木みのり 201412
武蔵野を統べし社に春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201504
除幕せし日を恋ふは春惜むこと 稲畑汀子 ホトトギス 201504
春惜む句碑に集へる虚子門下 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
みよし野にむさし野に春惜みけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201504
春惜む庭の中心なかりけり 稲畑汀子 ホトトギス 201504
東京の滞在半ば春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201504
春惜む →2      

 

2021年4月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。