春惜む 2     180句

春惜しむ白鳥(スワン)の如き溲瓶持ち    秋元不死男

暮春  晩春  春惜む  暮の春  惜春  春暮るる・春の果

作品
作者
掲載誌
掲載年月
東京の滞在半ば春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201504
春惜む富士全容を明かさざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201505
春惜む放談終へて又集ふ 稲畑汀子 ホトトギス 201505
春惜む浮桟橋に人を待ち コ田千鶴子 馬醉木 201505
深川に蕉翁偲び春惜む 大橋晄 雨月 201506
図書館は絶対城や春惜しむ 神蔵器 風土 201506
曽孫より若やぎもらひ春惜しむ 吉田きみえ 末黒野 201506
連載の終るを惜しむ春惜しむ 高橋道子 201506
春惜しむ鉄路幾すぢ俯瞰して 千田百里 201506
春惜しむ子規の机に触れもして 甲州千草 201506
春惜しみ子規を思ひて座するかな 七田文子 201506
行き帰り道を違へて春惜しむ 峰崎成規 201506
くり抜かる机の虚ろ春惜しむ 峰崎成規 201506
春惜しむ場所にはあらず壇ノ浦 高橋将夫 201507
カピバラと日出づる国の春惜む 竹中一花 201507
春惜しむ千住の由来もとほりつ 安立公彦 春燈 201507
刺繍するひと色ひと色春惜しむ 浅木ノヱ 春燈 201507
口惜しき春惜しむことなく送る 藤丸誠旨 春燈 201507
きれぎれの根岸の路地に春惜しむ 能村研三 201507
石仏の閉ぢし眼や春惜しむ 鈴木良戈 201507
子規庵にしばし端座し春惜しむ 塩野谷慎吾 201507
能面の裏の凹凸春惜しむ 斎藤房枝 201507
城跡の三葉柏に春惜しむ 安永圭子 風土 201507
春惜しむあるかなきかの雨を聞き 藤岡紫水 京鹿子 201507
芭蕉句碑にその終の地に春惜む 宮平静子 雨月 201507
記念写真うぅーんと背伸び春惜しむ 赤座典子 あを 201507
春惜しむ富士を遠見の城の跡 森清堯 末黒野 201508
仏頭の額に一文字春惜しむ 間島あきら 風土 201508
乙訓の牡丹の噂春惜む 後藤立夫 ホトトギス 201509
旅終へて旅恋ふ心春惜む 今橋眞理子 ホトトギス 201509
食前酒おしゃれに飲んで春惜しむ 大山夏子 201602
春惜む自動改札ぬけるより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201604
浮世絵の由比の高波春惜しむ 神蔵器 風土 201604
春惜しむ天下為公の刻み石 山田六甲 六花 201605
千年の大樹を仰ぎ春惜しむ 清水佑実子 201606
身に合はす杖の長さや春惜しむ 小張昭一 春燈 201606
眼裏に遺るあれこれ春惜しむ 加藤良子 春燈 201606
山鳥のひと声に春惜みけり 石川倜子 馬醉木 201607
影といふ相棒と春惜しみけり 近藤牧男 春燈 201607
声にして山なみ親し春惜しむ 吉村さよ子 春燈 201607
四足門遺る菅浦春惜む 大橋晄 雨月 201607
二十四の瞳の稿に春惜む 落合絹代 雨月 201607
探し得ぬ句碑を惜みて春惜む 落合絹代 雨月 201607
憤ること多けれど春惜しむ 根岸善行 風土 201607
両手足浸す汽水湖春惜しむ 間島あきら 風土 201607
春惜しむちぎつて食べるフランスパン 上村葉子 風土 201607
内股に歩く家鴨と春惜しむ 阪倉孝子 201607
人遠く雲遠く春惜しみゐる 深川淑枝 201608
島裏よりうすき遠富士春惜しむ 森清堯 末黒野 201608
春惜しむ船出の汽笛つぎつぎと 横路尚子 末黒野 201608
観音に野の花供へ春惜しむ 山田春生 万象 201608
春惜しむハリスの像の丸眼鏡 三屋英俊 万象 201608
しばらくは一人暮しよ春惜しむ 志方章子 六花 201608
災害にせめて募金や春惜しむ 野中圭子 京鹿子 201608
春惜み拾ふ小貝に紅のいろ 室伏みどり 雨月 201608
また戻り来てこの庭の春惜む 安原葉 ホトトギス 201609
惜しむほど愛しくなりて春惜 和田華凛 ホトトギス 201609
春惜みつつ湯畑に立ちにけり 中杉隆世 ホトトギス 201609
吉野葛とろりと口に春惜しむ 土井ゆう子 風土 201609
旧友と洛北の春惜しみけり 王岩 あを 201701
春惜し母校の門を出るごとく 高橋将夫 蜷の道 201703
寺町の路地から路地へ春惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201704
春惜しむポケット多き旅かばん 田部井幸枝 201705
鼓ヶ浦渚伝ひに春惜しむ 村上美智子 雨月 201706
春惜しみ子規のひと世を惜しみけり 尾崎みつ子 雨月 201706
鯉跳ねる落してゐたり春惜しむ 中田禎子 201706
バス停は木椅子一つや春惜しむ 笹倉さえみ 雨月 201707
楼上の解脱門より春惜む 落合絹子 雨月 201707
春惜しむ太古へ弓を引き絞り 柴崎英子 201707
冷戦の戦中戦後春惜しむ 田中信行 201707
仏像の遠まなざしや春惜しむ 遠山のり子 201706
退院のあてなき夫と春惜しむ 宮本加津代 万象 201707
春惜しむしばしを蕉翁句碑の辺に 安立公彦 春燈 201707
厄除けの鐘撞いて春惜しみけり 佐藤信子 春燈 201707
城跡のトランペットや春惜しむ 堺昌子 末黒野 201708
総持寺の夕鐘永く春惜しむ 高橋泰子 末黒野 201708
花綱の五色にふれて春惜しむ 水野加代 万象 201708
帆船の舳先に立ちて春惜しむ 溝渕弘志 六花 201708
春惜む眩しすぎたる庭の日に 湖東紀子 ホトトギス 201709
みな同じさみしさ抱きて春惜む 和田華凛 ホトトギス 201709
檀一雄絶筆の句と春惜しむ 角野良生 201709
新しき生活にも慣れ春惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
春惜む尾張の風に包まれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201804
赤ネギをホイル焼して春惜む 黒澤佳子 あを 201805
自噴井にひたすてのひら春惜む コ田千鶴子 馬醉木 201805
春惜しむ一葉の井戸汲みもして 林昭太郎 201806
水奔り木々は戦ぎて春惜しむ 菊地光子 201806
金魚・菊・鐙・坂の名春惜む 清水佑実子 201806
菊坂の井戸に手濡らし春惜しむ 宮内とし子 201806
春惜しむマンホールよりヘルメット 辻美奈子 201806
愛聴のレコードに疵春惜しむ 佐津のぼる 六花 201806
鎌倉の五山巡りて春惜しむ 福岡芳子 雨月 201806
哺乳類ヒト科ヒト亜種春惜しみ 定梶じょう あを 201807
春惜しむなんじやもんじやの花の寺 安藤久美子 やぶれ傘 201807
火口湖に映る青空春惜む 市ヶ谷洋子 馬醉木 201807
春惜しむ夫の遺せしぬり絵して 笹村政子 六花 201807
ひとり来て仲見世に春惜しみけり 宮沢治子 春燈 201807
ワッフルの溝にはちみつ春惜しむ 小山唄枝 やぶれ傘 201807
ねんごろに古都を描きて春惜しむ 今村千年 末黒野 201808
春惜しむ黄泉比良坂母の許 塩見英子 雨月 201808
春惜しむ万年筆の孤独感 山中正己 船団 201811
春惜しむ金婚記念伸び伸びに 伊藤昌枝 201902
ハンカチの花が降られて春惜しむ 大山夏子 201902
忘れ得ぬ思ひ出幾つ春惜む 稲畑汀子 ホトトギス 201904
咲くものに散るものに春惜みけり 稲畑汀子 ホトトギス 201904
公園の雀も犬も春惜む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201904
春惜み帰天惜みて葬儀ミサ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201905
春惜しむ野に茶を点てる遊びして 栗原公子 201906
春惜しむあるかなきかの雨を聴き 藤岡紫水 京鹿子 201906
風の吐息池に映して春惜しむ 片山煕子 京鹿子 201907
オムライスのてつぺんくづし春惜しむ 辻水音 201907
平成の最後の講義春惜しむ 大石よし子 雨月 201907
廃校の尊徳像や春惜しむ 伊藤よし江 201907
詠みきれぬ季語の数数春惜しむ 石橋みどり 201907
春惜しむ浅草六区フランス座 三宅文子 春燈 201907
封筒を投函す春惜しむ月 田中臥石 末黒野 201907
春惜む最中の鮨のさくら色 一民江 馬醉木 201907
茅葺の寺の門前春惜しむ 赤松赤彦 六花 201908
砲丸を投ぐる雄叫び春惜しむ 和田啓 末黒野 201908
小面の柔きまなざし春惜しむ 石黒興平 末黒野 201908
七福神の四人にまみえ春惜しむ 石田蓉子 201908
木曽川の渡しの跡や春惜しみ 今村千年 末黒野 201908
きしむ櫓と舟打つ波に春惜しむ 小泉三枝 春燈 201908
風揺らす紙垂の神話や春惜しむ 中川のぼる 201909
春惜しむガードレールに腰かけて 松下道臣 201909
 

悼・宍戸錠

アクションを地で行く俳優春惜しむ

鈴木としお 春燈 202004
春惜む年尾の時代偲びつつ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202004
春惜む視線や富士はあの辺り 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
春惜む十連休の中日かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
その中の紫に春惜しみけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
春惜む三百年の旧家かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202005
絹の道来し鏡とや春惜む 石本百合子 馬醉木 202005
春惜しむ手の向き違ふ阿修羅像 杉原かほる 202006
シフォンケーキほろほろちぎり春惜しむ 波戸辺のばら 202006
微睡の森に深入り春惜しむ 森岡正作 202006
外出のままならぬ日々春惜しむ 及川照子 末黒野 202007
貴船まで上がりて洛の春惜しむ 宮岡弘 202007
春惜しむ紅茶に落すブランデー 谷口一献 六花 202007
オオカミの腹に石詰め春惜しむ 川崎真樹子 春燈 202007
籠の鳥出るに出られず春惜しむ 磯部時枝 京鹿子 202008
異人館遠き汽笛に春惜しみ 森清信子 末黒野 202008
木村屋の桜あんぱん春惜しむ 石田康明 京鹿子 202008
人を避け人を思うて春惜しむ 山下朝香 京鹿子 202008
吹かれきしひとひらに春惜みけり 今橋眞理子 ホトトギス 202008
せつせつと胸の火灯し春惜しむ 雨村敏子 202008
亡父の品鑑定たのみ春惜しむ 江口九星 202009
春惜む声聞くだけの電話して 今橋眞理子 ホトトギス 202009
遊興のはなし立消え春惜しむ 田岡千草 202010
淡路島典つ正面に春惜しむ 岡村尚子 202010
神野寺の虚子の歯塚に春惜しむ 小林共代 風土 202104
入日いま尽くす光芒春惜しむ 松本鷹根 京鹿子 202105
吉祥天のほほふつくらと春惜しむ 釜田敬司 202105
鍬の柄に頬杖しばし春惜しむ 森岡正作 202106
春惜しむ巡回バスの列につき 広海あぐり 202106
春惜む水平リサイクルへ整理 長崎桂子 あを 202107
春惜しむわが身に兆す老い疎み 安立公彦 春燈 202107
ありたけの景色眼に春惜しむ 喜田君江 末黒野 202107
陸奥湾の島を数へて春惜しむ 秋谷美智子 202107
春惜しむ水音ひびきくる樹海 吉田順子 202107
ダリの時計に合はせ損ねて春惜しむ 和田照海 京鹿子 202107
春惜しむ野に咲く花のむらさきに 浜福惠 風土 202107
廃校の廊下つややか春惜しむ 六車佳奈 風土 202107
春惜しむ青ふかぶかと有田焼 山本泰人 春燈 202108
自転車の片足大地春惜しむ 松下道臣 202109
我老いしこと春惜む心にも 木村享史 ホトトギス 202110
四万十の清き流れに春惜む 星野椿 ホトトギス 202110
束ねたる書は知の地層春惜しむ 峰崎成規 202205
古本の数の思ひ出春惜しむ 横山さくら 春燈 202206
春惜しむ香炉を包む萌黄布 鷺山珀眉 京鹿子 202207
山の辺の道を抜けきて春惜しむ 黒滝志麻子 やぶれ傘 202207
ぬるき茶のぬるき会話や春惜しむ 太田良一 やぶれ傘 202207
弓なりの街道の灯に春惜しむ 頓所友枝 202207
指先に鉛筆まはし春惜しむ 小泉三枝 春燈 202207
水音を背に木曽の春惜しむ 久保久子 春燈 202207
春惜しむ歳月重き句集かな 荒井慈 春燈 202207
花のひとひらひとひらづつの春惜しむ 沼田桂子 春燈 202207
勿体無いやうな青空春惜しむ 沼田桂子 春燈 202207
校庭につむじ風あり春惜しむ 天野美登里 やぶれ傘 202208
春惜しむ老兵といふ臥石をり 田中臥石 末黒野 202208
掛軸の父の字清し春惜む 高浜礼子 ホトトギス 202210
遠き日の一丁倫敦春惜しむ 塙誠一郎 家系図 202211
春惜む→ 1

 

2023年4月30日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。