穴 惑 1    324句

草ゆらしゆける頭や穴惑ひ   山西雅子   夏越

 蛇出づ 青大将  蛇穴に入る  秋の蛇 穴惑い

作品
作者
掲載誌
掲載年月
穴惑ひ濁世逃がるるごと墳へ 皆川盤水 春耕 199811
穴まどひ日に黄金色してゐたり 皆川盤水 春耕 199811
九竅のひとつ分けやろ穴惑 中原道夫 銀化 199812
穴まどひ小さき誤解の解けぬまま 松井洋子 ぐろっけ 199812
穴惑山の日射の痛からむ 大島雄作 199901
梵妻に諭されてゐる穴まどひ 三輪温子 雨月 199901
穴惑ひ海は落暉に燃ゆるなり 宮嵜亀 船団 199903
穴まどひゐるとも見えず失せにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199909
叱られてすぐ居らずなる穴惑 小川匠太郎 199909
穴まどひ天が下をる恃み穴 丸山海道 海道全句集 199910
穴惑うしろすがたのほか知らず 山田弘子 円虹 199911
金閣の金に拒まれ穴惑ひ 遠藤若狭男 199912
穴惑せぬやう防空壕埋めむ 中原道夫 銀化 199912
穴まどい穴に大小ありにけり 小西昭夫 船団 199912
穴まどいとは文字通り蛇行せり 小西昭夫 船団 199912
龍神の鳥居を潜り穴まどひ 中村祭生 ぐろっけ 199912
穴惑ひ首根違へてをりにける 栗栖恵通子 200001
女らの円陣とけず穴まどひ 田畑幸子 火星 200001
一瞬は振り向きもして穴惑 林和子 俳句通信 200001
穴惑ひ都大路に出でにけり 川名将義 銀化 200001
日溜りの沸騰したる穴まどひ 神蔵器 風土 200001
穴惑ひ遅れがちなる刻合はす 田淵昌子 京鹿子 200001
水溜りばかりの墓地や穴まどひ 服部幸 200002
待つてゐてくれたる句碑と穴まどひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200009
神鏡に縁のなかりし穴惑ひ 栗栖恵通子 200011
肌荒れに幾度塗れる穴惑 中原道夫 銀化 200011
高からぬ敷居といふに穴惑 武田菜美 銀化 200011
穴まどひ全長見えてゐたりけり 野平和風 200012
走り根の山路をふさぐ穴惑 中村静江 酸漿 200012
穴惑急ぐや草の九十九折り 華明日香 銀化 200012
切株のまだ木の匂ひ穴惑 山田三江子 200101
穴惑ひの尾の残像の草むらに 二神節子 200101
疲れたとひとこと残し穴惑ひ 保坂加津夫 いろり 200101
穴まどひざらつと舌に残るもの 福島茂 200101
穴まどひ径に出てゐる山日和 武井美代子 風土 200102
村雨に首振るだけの穴惑 町野昭人 遠嶺 200102
穴惑日向に未練残しけり 泉田秋硯 月に逢ふ 200103
動くとも無くずれゐたる穴まどひ 品川鈴子 船出 200104
尾先糸めく四尺の穴まどひ 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ錦文様ずらしては 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ巳年の亡き名呼びかけむ 品川鈴子 船出 200104
岩陰に尾を余したる穴まどひ 品川鈴子 船出 200104
巻く岩といづれ冷たき穴まどひ 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ筋金入りの紐もたげ 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ吾を釘付けの小半時 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ応じてならぬ誘ひあり 品川鈴子 船出 200104
穴まどひせせらぎ舐める糸の舌 品川鈴子 船出 200104
穴まどひ「莫妄想」といふけれど 西村純 200107
いくばくの艶あるゆゑの穴惑ひ 能村登四郎 200108
穴惑とて近寄れぬ威ありけり 稲畑汀子 ホトトギス 200109
ハイカーの足止め過る穴まどひ 岡本明子 ぐろっけ 200109
穴惑ひめく逡巡のわれにもあり 能村登四郎 羽化 200110
穴惑地球の危機をきいてをり 後藤志づ あを 200111
人声に木を登り行く穴まどひ 高垣和恵 雨月 200111
穴まどひ万事遺漏の無きやうに 土井田晩聖 銀化 200111
刈り干しの上さらさらと穴まどひ 澤野粂子 春耕 200111
渡舟場の列を乱せし穴まどひ 出岡実 春耕 200111
片頬は抜歯のしびれ穴まどひ 品川鈴子 ぐろっけ 200111
音もなく一途遁走穴惑 大西正栄 雨月 200112
頼政の扇の芝や穴まどひ 神蔵器 風土 200112
舌出して風たしかむる穴まどひ 岡和絵 火星 200112
穴まどひ地質しらべの答出る 宇都宮滴水 京鹿子 200112
茅原にひそみてゐたる穴まどひ 佳藤木まさ女 春耕 200112
地に届く奉納草鞋穴まどひ 川澄祐勝 春耕 200112
穴まどひ母の戸惑ふ厨口 柳堀喜久江 春耕 200112
甲斐信濃分つ小径や穴惑ひ 水原春郎 馬醉木 200201
穴惑ひ漆喰土蔵はげちよろに 牧野睦子 200201
白砂ゆく灰の匂ひの穴まどひ 水野恒彦 200201
所在なく穴惑とも対峙せむ 岡田順子 ホトトギス 200202
石を抱き日を恋ふさまの穴まどひ 芦田実 200202
穴まどひ消えて月日のいそぎ足 内田雅子 馬醉木 200202
穴まどひ再びあひていく度も 鈴鹿野風呂 京鹿子 200202
胸中をまだぬるぬると穴惑 菅谷たけし 200202
道端にうたた寝をして穴まどひ 長田秋男 酸漿 200204
人の目に触るることより穴惑 稲畑汀子 ホトトギス 200209
残されし石失せてゐし穴惑 稲畑汀子 ホトトギス 200209
竹林の日ざしに金の穴まどひ 鷹羽狩行 200211
しんがりの人が叫びぬ穴まどひ 村山方 築港 200211
藻の上を日当たりながら穴まどひ 中川晴美 雲の峰 200211
小振りなる在来線や穴まどひ 赤座典子 あを 200211
穴まどひ惑はず草に消えにけり 永野由美子 円虹 200212
穴惑ひ尾のひと振りに入りにけり 伊藤多恵子 火星 200212
磐座のところで消えし穴まどひ 大島翠木 200212
山荘に度肝抜かれし穴惑ひ 足利ロ子 ぐろっけ 200212
風の吹く草に驚き穴まどひ 今瀬剛一 対岸 200212
花壇より花壇へすすみ穴まどひ 押尾弘子 対岸 200212
穴まどひ風くる方へ来る方へ 数長藤代 200301
穴惑ひ唐より五代の古窯趾 松崎鉄之介 200301
大日や鱗落ちたる穴まどひ 延広禎一 200301
外濠の埋められてをり穴まどひ 川口襄 遠嶺 200302
大黒に道うながさる穴まどひ 長坂ヤス子 酸漿 200302
瞑想に入り難しかや穴惑 池田倶子 雨月 200303
舗装路の冷たさにゐて穴まどひ 能村研三 200310
穴惑ひいつも日当る石のあり 伊藤敬子 遠嶺 200312
讃仏の声ながながと穴惑 後藤志づ あを 200312
碧祥寺の日向移りに穴惑ひ 神蔵器 風土 200312
標高二百日本平に穴まどひ 蓮尾あきら 風土 200312
あら草に胸すりゆけり穴惑 水野恒彦 200312
穴まどひ木屑の匂ひありにけり 岩月優美子 200312
穴まどひ見られて舌を出しにけり 長谷川守可 百鳥 200312
穴まどひ栗林公園滑り込む 田中眞由美 ぐろっけ 200312
軒下に重ねる割木や穴まどひ 南奉栄蓮 風土 200401
わだつみに白波立ちし穴惑 本多俊子 200401
穴惑遠空に雲吹き寄せて 岡本まち子 馬醉木 200401
ためらはず来世を待とう穴惑ひ 鈴鹿仁 京鹿子 200401
炯眼の刃いづこに穴まどひ 鈴鹿仁 京鹿子 200401
穴惑ひするする関所破りたる 伊藤和枝 百鳥 200401
穴惑ひ庭下駄の上で身じろがず 笠井育子 200401
穴惑ひ長々と陽を吸ひてをり 河原一夫 200401
穴まどひ人工島の藪に入る 大石登志美 築港 200401
穴惑お尋ね者ではなささうな 森理和 あを 200401
白緑の巨腹はら持て余す穴惑ひ 中田征二 ぐろっけ 200401
おほぞらは微熱なりけり穴惑ひ 八田木枯 夜さり 200409
穴惑余生にもある迷ひかな 高橋十三夜 春燈 200411
穴まどひとぐろ解くより棒となる 植竹美代子 雨月 200411
穴まどひ夕日がみたいだけのこと 豊田都峰 京鹿子 200411
半眼にじつとためらふ穴惑ひ 品川鈴子 ぐろっけ 200411
穴惑やり残すこと多かりき 内山照久 200412
へらへらへ鯱鉾立ちの穴まどひ 延広禎一 200412
日は西にみろくの辻の穴惑ひ 三島富久恵 草の花 200412
穴まどひ善根積みし覚えなし 荻野千枝 京鹿子 200412
穴まどひ音なく隠る素十の墓 須永トシ 200412
穴惑ひ盲導路より逸れずゆく 村越化石 200412
落葉松の根元うろつく穴惑ひ 石川慧 200412
日や砂や遊び足らざる穴惑ひ 神蔵器 風土 200501
地下街にある七曲り穴まどひ 山本浪子 風土 200501
疎む目に追はれどほしや穴まどひ 長沼冨久子 馬醉木 200501
とぐろ巻き座禅の石に穴惑 前田青紀 馬醉木 200501
穴まどひ切腹岩の前にかな 青山悠 200502
黒蛇の穴惑ひゐて昏きかな 高橋美智子 200502
隠国の池澄みゐたり穴まどひ 浜口高子 火星 200502
お水送りの道に出でたる穴まどひ 平田紀美子 風土 200502
穴惑まどひて地球温暖化 稲畑汀子 ホトトギス 200509
永らへて庭の神なる穴惑ひ 能村研三 200510
穴惑ひならずペットの果といふ 伊藤白潮 200511
くれなゐを纏ひ出でたる穴まどひ 工藤ミネ子 風土 200511
決断のつきかねてゐる穴まどひ 塩川雄三 築港 200511
穴惑いぢめ殺してしまひけり 泉田秋硯 200512
弁天に入るまで見られ穴惑ひ 大島翠木 200512
背水の穴惑とはなりにけり 伊藤白潮 200512
長身をもてあましゐる穴惑ひ 有元文子 風土 200512
煙管もつ女形白塗り穴まどひ 村田とくみ ぐろっけ 200512
穴まどひその後の熔岩へ踏み入らず 淵脇護 河鹿 200601
穴惑ひまどひの果に礫かれける 林翔 200601
群青のそら揺らぎたつ穴惑ひ 宮川みね子 風土 200601
児に追はれ脇街道の穴まどひ 近藤幸三郎 風土 200601
楼門は一間一戸穴惑ひ 林いづみ 風土 200601
尾の先を忘れてゐたり穴惑 一瀬昭子 馬醉木 200602
ことここに及びてもなほ穴まどひ 苑実耶 200602
杣路に日を浴びながら穴まどひ 滝沢伊代次 万象 200610
穴まどひ顔貌とくに変らざり 宇都宮滴水 京鹿子 200611
ただならぬ浄土の空や穴まどひ 延広禎一 200611
穴まどひ汲み置き水の日向にも 中山純子 万象 200612
うしろより大きな雲や穴まどひ 榎本文代 万象 200612
穴惑ひ「星の王子」の美術館 馬場宏 春燈 200612
人声を集めてをりぬ穴まどひ 笠井敦子 200612
仮の世の光堂より穴まどひ 神蔵器 風土 200612
穴惑こまかき鱗ほてらせつ 竹内弘子 あを 200612
闇のいろすでに帯びたり穴惑 八染藍子 200701
身の先をこころ駈けゆく穴惑 上野進 春燈 200701
このところ仏事多かり穴まどひ 荒木甫 200701
鱗紋はきと小さき穴惑 指尾直子 雨月 200701
桂郎忌日をする音の穴まどひ 神蔵器 風土 200701
棒立ちす出合ひ頭の穴惑 須藤美智子 風土 200701
一つづつあきらめてゆく穴まどひ あさなが捷 200702
穴まどひ鎌首もたげ平家谷 高村俊子 万象 200702
穴惑い蛇行の語源にあらざれど 貝森光洋 六花 200702
明け方の二度寝の夢に穴惑ひ 市場基巳 200703
穴惑ひ急ぐところを見られたる 百瀬七生子 海光 200705
穴惑貝殻坂にかかりけり 百瀬七生子 海光 200705
穴惑とても追はるる哀しさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200709
おのが記憶深土に疼く穴まどひ 新関一杜 京鹿子 200710
穴まどひ話のつなぎ見つけたり 緒方佳子 火星 200711
穴惑ひ極限を見し貌をして 寺田すず江 200712
穴惑ひ性善説を思ひをり 岩月優美子 200712
穴惑竹の走り根青光り 升田ヤス子 200712
大寺に日向をのこす穴惑ひ 神蔵器 風土 200712
穴まどひよりも細目に立ちつくす 齋藤厚子 200712
ふと消えしあとの日だまり穴まどひ 藤岡紫水 京鹿子 200712
穴まどひ畝傍の見える畦の道 佐久間多佳子 京鹿子 200712
穴まどひ水防小屋に人の影 佐久間多佳子 京鹿子 200712
離宮棲み首を竦めぬ穴惑ひ 品川鈴子 ぐろっけ 200712
穴まどひ御嶽山へもぐり込む 泉田秋硯 200801
教室の人体隅に穴まどひ 大山里 200801
三山のこよなく晴れし穴惑 城孝子 火星 200801
青大将穴惑ひなどなかりけり 小林雪雄 200801
穴まどひ石の鏃の出し辺り 斉藤敬子 万象 200801
目の会ひて微かな躊躇穴惑 勝野薫 ぐろっけ 200801
穴まどひ去年もここで見たやうな 加藤奈那 ぐろっけ 200801
平泉裏山道の穴まどひ 石脇みはる 200802
薬師仏のうしろの正面穴まどひ 岩下芳子 200802
鷲峰山の竹林深し穴まどひ 宮川みね子 風土 200802
穴まどひ池の囲りで出くはせり 奥田妙子 ぐろっけ 200802
ゆるやかに草をすべりて穴惑 吉村摂護 200803
穴惑駆込寺に入りけり 真保喜代子 200803
穴まどひ武蔵の踏みし肥後の径 坂上香菜 200810
樹齢八百年の木下や穴まどひ 浜福恵 風土 200811
うつそみをしばし日おもて穴惑ひ 荒井和昭 200812
穴まどひ俳句止めるを惜しむかな 有馬克代 200812
穴まどひむかしいくさの河川敷 辺見狐音 炎環 200812
乾く音ひきずつてをり穴まどひ 清水明子 遠嶺 200812
穴まどひ夢の浮橋わたりゆく 西村純太 200812
隠蔽色とうに剥がれて穴まどひ 吉田政江 200812
毒を持つ錦まだらの穴惑 久保田由布 ぐろっけ 200812
穴まどひ道のまなかを這うてゐし 岡和絵 火星 200812
穴惑赤黄青を身にまとひ 本多俊子 200901
客土してかばかりの洞穴惑 渡辺昭 200901
ETC持たぬ車や穴惑ひ 和田満水 200901
穴惑消えし庭石近づけず 大泉美千代 雨月 200901
穴まどひ追ふ子熊蜂捕へし子 瀧春一 深林 200901
村の子に尾を掴まれし穴惑ひ 高橋ひろ 万象 200902
穴惑蛇身の視野は低からむ 久保田由布 ぐろっけ 200902
穴まどひ板一枚の橋渡る 奥太雅 万象 200908
長々とながながと穴まどひかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
穴惑ふために草丈ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
穴まどひ千年杉を登りゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 200909
穴まどひ家族構成問はれたる 辻直美 200911
人間に逃げてばかりの穴惑 久保田由布 ぐろっけ 200911
物言へば答へさうなり穴まどひ 前川明子 200912
穴まどい好かれることが苦痛なり こうのこうき ろんど 200912
穴まどひ天満宮の商店街 佐田昭子 ぐろっけ 200912
目が合ふも身じろぎもせず穴惑ひ 安本恵子 201001
欠伸でる日和に迷ふあなまどひ 久津見風牛 201001
護摩焚の老僧のをり穴まどひ 中田禎子 201001
水神の日当る祠穴惑 石田邦子 遠嶺 201001
湯の神の鳥居小さし穴まどひ 大西八洲雄 万象 201001
この穴はハズレかやとて穴惑ひ 石川裕美 ぐろっけ 201001
練兵の匍匐の記憶穴惑ひ 小林一榮 末黒野 201002
存在を引きずつてゆく穴まどひ 湖東紀子 ホトトギス 201003
穴まどひ迷ひし我等招くかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
いつの間に傘壽いつまで穴惑ひ 竹貫示虹 京鹿子 201009
桂郎の眼のかうかうと穴惑 神蔵器 風土 201011
穴惑コンパスを持つ女かな 中島陽華 201012
廃線の鉄路を過ぎる穴まどひ 佐々木新 春燈 201012
穴まどひ少し踵の高き靴 中村洋子 風土 201012
鞍馬から貴船へ下る穴まどひ 中村洋子 風土 201012
木の上に上人在す穴まどひ 内藤静 風土 201012
穴まどひ楽しき事の多すぎて 山本浪子 風土 201012
忘れ物探してゐるや穴惑ひ 山本浪子 風土 201012
しなやかな手で差してをる穴まどひ 近藤きくえ 201101
地の涯をゆくはこの世の穴まどひ 西村純太 201101
絶えたるか遂に見ざりし穴まどひ 溝口健也 201101
時ならぬ異常気象や穴惑ひ 川崎光一郎 京鹿子 201101
穴まどひ蒼穹忘じ難く候 辻本俊子 京鹿子 201101
失せてより恐怖つのりし穴まどひ 山下美典 ホトトギス 201102
穴惑ひ外国籍の増ゆる街 横内かよこ ぐろっけ 201102
関址の空堀に落つ穴まどひ 小林洋子 万象 201104
その中に忘れられたる穴まどひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
人も又まどうてをりぬ穴惑 稲畑汀子 ホトトギス 201109
赫々と崖はあり穴まどひ 山尾玉藻 火星 201110
穴まどひ恭仁京跡のしるべ石 山田春生 万象 201110
鍬先で畦に押しやる穴まどひ 宮井知英 201111
穴惑ひ宝前はいま一日まみれに 山尾玉藻 火星 201111
とろとろと鴫立庵や穴惑ひ 神蔵器 風土 201111
神域の未だ解脱せぬ穴惑ひ 池内結 ろんど 201112
穴惑ひ声もたてずに嗤ひけり 水野恒彦 201112
浮島の錬金術師穴惑 中島陽華 201112
穴惑ひツボを探りつ針灸師 栗栖恵通子 201112
胎蔵界金剛界と穴惑ひ 柳川晋 201112
穴惑樹上に慈悲の日に浴し 水谷芳子 雨月 201112
穴惑草に朱の斑を滑らせて 曽根満 万象 201112
火袋を通りぬけたる穴まどひ 那須淳男 馬醉木 201201
大山の錬金術師穴惑 中島陽華 201201
ひき際の尚艶のあり穴惑 近藤きくえ 201201
穴まどひ水の際より草に消ゆ 赤松郁代 万象 201201
朝刊を取りに一驚穴まどひ 相沢有理子 風土 201201
日をつれて関所の獄屋に穴惑ひ 池田光子 風土 201201
穴惑ひ草の戦ぎを見納めて 鎌田政利 京鹿子 201201
穴惑ひこの世なかなか落ちつかず 菅谷たけし 201201
飛石に尾を乗せてをり穴惑 桜三奈子 201202
穴まどひ畦一文字に通せんぼ 福田かよ子 ぐろっけ 201202
身半分かくし切れずや穴惑ひ 松本恒子 ぐろっけ 201202
穴惑ひ礫かれしままに干涸びて 水野範子 ぐろっけ 201202
穴惑い駅の構内工事中 野沢光代 ぐろっけ 201202
大伽藍臍なる所穴まどひ 川崎かずえ ろんど 201202
穴惑すかいぐれいでありしかな 井上信子 201111
日溜りに伸び切つてゐるあなまどひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
穴まどひ居さうな風の匂ひかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
穴惑ひ羽黒の山の木漏れ日に 北崎展江 くりから 201209
一休の鉄鉢にさび穴惑ひ 神蔵器 風土 201212
穴惑ひ人の後にゐて見たり 宮川みね子 風土 201212
自動扉我より先に穴まどい 福田かよ子 ぐろっけ 201212
処理場なき瓦礫の山の穴惑 河口仁志 201212
何くれと未練あるらし穴まどひ 丹生をだまき 京鹿子 201212
魔王殿の結界越ゆる穴惑ひ 南恵子 万象 201212
ちぢ込みて長々とあり穴惑 山田六甲 六花 201212
斐伊川の八岐大蛇穴惑 山田六甲 六花 201212
情熱の残量僅か穴惑 宮崎高根 201301
良寛の書に入りけるは穴まどひ 西村純太 201301
源流へ遡りたる穴まどひ 岩下芳子 201301
天上に余生預けし穴まどひ 山根征子 201301
誰か目を逸らすときまで穴惑 吉田政江 201301
穴惑ひ迷ひ込みたるトラピスト 荒井千佐代 201301
玄関に寝そべりゐたる穴まどひ 福島せいぎ 万象 201301
銀鱗の光淋しき穴まどひ 小田嶋野笛 末黒野 201301
穴まどひとは追ひ掛けてみたくなる 須藤常央 ホトトギス 201302
穴惑午後の光を斑にし 小河原清江 201302
悪童にさとされてをり穴まどひ 甕秀麿 201302
土人堂の屋根深く反り穴惑ひ 柿本麗子 千の祈り 201307
叢へ残像確と穴惑 松本三千夫 末黒野 201311
穴惑蹤き来る猫を尾で怒り 大畑善昭 201312
穴惑ひ汝も放蕩しすぎしか 中山皓雪 201312
穴惑ひ原発事故の収まらず 山本茂子 末黒野 201312
組紐のゆるりほどけて穴まどひ 池田かよ ぐろっけ 201312
Sの字に体うねりつ穴まどひ 安藤虎酔 かさね 201312
大金も小銭もなくて穴惑ひ 石川裕美 ぐろっけ 201401
穴惑ひ天狗山にてばつたりと 白石正躬 やぶれ傘 201401
穴惑ひするりと岡本太郎の目 水野恒彦 201401
靄込めの日をひきずれる穴まどひ 小林輝子 風土 201401
出でてきしところと違ふ穴惑 辻美奈子 201401
遠回りしてゐるやうな穴惑ひ 高倉和子 201401
悪童にさとされてをり穴まどひ 甕秀麿 201402
穴惑なさねばならぬこと数ふ 岩永はるみ 春燈 201411
穴惑ひ金剛杖に払はるる 柴田志津子 201411
ひさかたの天の香久山穴惑 河野亘子 馬醉木 201412
俳徊は人にもあるや穴まどひ 小泉貴弘 春燈 201412
穴まどひ防空壕の記憶かな 石田きよし 201412
穴惑消えたる跡の草撓み 塩見英子 雨月 201412
穴惑先行く人の振り向かず 生田恵美子 風土 201501
無住寺の塀を窺ふ穴まどひ 仙頭宗峰 万象 201502
穴まどひほどに迷うたことはなし 高橋将夫 201502
穴惑 →2      

 

2021年9月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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