蛇出づ 1     212句

穴を出る蛇を見て居る鴉かな   高浜虚子   五百句

 蛇出づ 蛇穴に入る 秋の蛇 穴惑い 青大将

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蛇穴を出て整はぬ草の丈
山田弘子
春節
199503
蛇穴を出て世の中は尚不況
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
蛇穴を出でて最初に舌を出し
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
蛇穴を出でて次郎を泣かしたる
杉浦典子
火星
199907
蛇穴を出でゝ溪水青きかな
山尾宗和
京鹿子
199909
蛇出づる眼窩の深き流民たち
藤井清久
海程
199910
世の怖れひとつふやして蛇出づる
能村登四郎
芒種
199911
蛇穴を出で早速の嵌り役
松本康司
銀化
200004
一筋のしろがねの道蛇出づる
加藤みき
200005
蛇穴を出て一川を歪ませり
小澤克己
遠嶺
200005
蛇穴を出で化野を迷ひをり
當麻幸子
俳句通信
200005
蛇穴を出て北天に北斗かな
高橋将夫
200006
蛇出でて遠回りする使ひの子
堤節子
ぐろっけ
200006
蛇穴を出づなめらかに草滑り
副島いみ子
ホトトギス
200007
蛇穴を出て誰と遭ふ僕と遭ふ
蔦三郎
ホトトギス
200007
蛇穴を出て何をする木にのぼる
蔦三郎
ホトトギス
200007
蛇穴を出でて淡海を見る高み
依田明倫
ホトトギス
200007
蛇穴を出でて淡海の歌暦
依田明倫
ホトトギス
200007
蛇穴を出でて全長滑りけり
依田明倫
ホトトギス
200007
執念は人にあり蛇穴を出づ
藤丹青
ホトトギス
200007
蛇穴を出でて地獄か極楽か
藤丹青
ホトトギス
200007
蛇穴を出で価値観を変へてをり
木村淳一郎
ホトトギス
200007
蛇穴を出づればすでに生臭し
貝森光大
六花
200008
蛇穴を出て人生のど真ん中
小西昭夫
船団
200010
蛇穴を出て校門を出てゆけり
小西昭夫
船団
200010
蛇穴を出でて手ごろな縄となる
竹内弘子
あを
200101
断層の深さを言へり蛇出でて
阪本哲弘
200105
足取もなし蛇穴を出てからは
中原道夫
銀化
200105
蛇穴を出づればすでに風土記かな
峯尾文世
銀化
200105
蛇穴を出るふっきれし物思ひ
関口ゆき
あを
200105
蛇穴を出づ金色の歓喜天
石田阿畏子
馬酔木
200106
蛇出づるペンペン草の田面かな
黒田咲子
200106
蛇穴を出でて巧言覚えけり
中塚龍之介
銀化
200106
蛇穴を出で一本のひかりなす
稲葉ちよこ
風土
200108
蛇穴を出で神木に隠れ終ふ
本城布沙女
雨月
200108
蛇穴を出て球音を聞きにけり
石田邦子
祭笛
200109
蛇穴を出るに大江戸線が邪魔
折原あきの
船団
200110
わが書斎片づけん蛇穴を出づ
稲畑汀子
ホトトギス
200203
蛇穴を出て名苑でありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200203
蛇穴を出て濡色のとぐろかな
島谷征良
風土
200203
蛇穴を出てジーンズの丈に魂消る
西村葉子
京鹿子
200205
蛇穴を出て祖国などすでに無し
亀田憲壱
銀化
200205
海峡のまぶしき日差し蛇出でて
伊藤冬留
200205
蛇穴を出づ休日のスタジアム
遠藤和彦
遠嶺
200206
蛇穴を出る変身の叶はずに
海輪久子
円虹
200206
蛇穴を出づ土篩ふ畑先に
白瀬露石
春耕
200206
蛇穴を出て小流れの水増せり
田村文江
春耕
200206
蛇穴を仰臥漫録闇を出づ
長山あや
ホトトギス
200207
蛇穴を出づや地靄の青かりき
桑田眞佐子
火星
200207
蛇出でて竹薮にまだ何かをる
高橋将夫
200209
蛇穴を出でしところの水溜り
青山丈
200209
蛇穴を出づる性分ちと曲り
須佐薫子
帆船
200303
蛇穴を出る逡巡も遺跡山
伊藤白潮
200305
蛇出でて二者択一を迫らるる
伊藤白潮
200305
蛇穴を出づ校内の司祭館
須佐薫子
帆船
200305
蛇穴を出づほど世には蛇がゐず
宮坂静生
200305
蛇穴を出づ石棺の蓋のづれ
近藤喜子
200305
教会の鐘蛇穴を出でにけり
岩月優美子
200306
蛇穴を出る蒟蒻が手をすべり
渡部義雄
200306
蛇出でて碑文ひとつの旧居跡
加藤峰子
200306
蛇穴を出でて水かげろふのなか
渡辺きよえ
百鳥
200306
湧水に蛇出で騒々しき人ら
斉藤静枝
あを
200306
蛇出づと息を殺して見遣りをり
斉藤静枝
あを
200306
蛇穴を出づる明日香の風荒し
久保晴子
雨月
200307
蛇穴を出づ札所道にぎはひて
竹内旦
百鳥
200307
蝮蛇出づ傲岸の頭を雨に挙げ
松本幹雄
馬醉木
200310
蛇穴を出て雨一日風一日
稲畑汀子
ホトトギス
200403
蛇穴を出る石垣に元さんが
山田六甲
六花
200403
蛇穴を出て薬師寺のにはたづみ
福嶋千代子
200405
蛇穴を出づるか孔子廟しづか
菅谷たけし
200406
蛇穴を出でて流行のシャツを着る
中尾公彦
200406
蛇穴を出づ日の丸を出しそびれ
高橋澄子
200406
蛇出でてカーテンことごとく洗ふ
田村園子
200406
蛇穴を出て眼力のいかほどに
黒田咲子
200406
蛇穴を出て登城道登り行く
延江金児
築港
200410
留守中に蛇穴を出て湿りをり
秋千晴
200411
蛇穴を出で石垣にぶら下がる
滝沢伊代次
万象
200503
蛇穴を出づれば吉野人溢れ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200504
蛇穴を出でけるところ巫女の列
延広禎一
200505
蛇出づや鑑真の留守長びきて
神蔵器
風土
200505
蛇穴を出でたる後の烟かな
高橋将夫
星の渦
200505
蛇穴を出てより住所不定かな
小林正史
200506
蛇穴を出づおばさんの社会性
瀬下るか
200506
蛇出でて聳ゆる句碑を迂回せり
林玲子
200506
蛇穴を天地無用の箱積まれ
丸山佳子
京鹿子
200506
様変りせし村里や蛇出づる
柴田靖子
200507
蛇出しと豆腐屋鈴を鳴らしけり
小田元
六花
200507
蛇出でて竹藪にまだ何かをる
高橋将夫
星の渦
200507
弘法に見えんと蛇穴を出づ
中杉隆世
ホトトギス
200509
蛇出づる蕨手文の暗さより
柴田佐知子
200509
蛇穴を出るに出られぬ山の風
稲畑汀子
ホトトギス
200603
蛇穴を出でて親権行使かな
伊藤白潮
200605
穴を出し蛇の目空のいろ映す
鎌倉喜久恵
あを
200605
蛇出でて島の古墳の光り出す
淵脇護
河鹿
200606
蛇穴を出て通り魔に襲はれぬ
呉文宗
春燈
200606
蛇穴を出づまさかあの叔母呆け
成宮紀代子
200606
蛇穴を出づ完璧な身づくろひ
田原陽子
200606
蛇穴を出て墓石に添ひにけり
高倉和子
200606
日溜りに穴を出し蛇動かざる
安原葉
ホトトギス
200607
蛇穴を出て生身とはしなやかな
辻美奈子
200607
蛇穴を出てより行方不明なり
高倉恵美子
200607
蛇穴を出て振りかぶる鳥の声
徳丸峻二
風土
200607
蟄居する人あるに蛇穴を出づ
東野太美子
ホトトギス
200608
蛇出でて竜神の森風騒ぐ
池田光
200608
蛇穴を出づ鉄分の足らざる日
辻美奈子
200702
一つこと成りしと穴を出し蛇に
稲畑汀子
ホトトギス
200703
老蛇の穴出でてより迷ひをり
大口憧遊
春燈
200705
蛇穴を出でいきなりの悲鳴きく
富川明子
200705
蛇穴を出づ伊勢街道の径の辺に
吉田郁子
風土
200705
蛇出でて手積みの石のぬくみかな
倉谷紫龍
万象
200706
それは措く蛇穴を出づそれも措く
小形さとる
200706
蛇穴を出づ哲学のゆきどまり
小澤克己
遠嶺
200706
穴を出し蛇少年に打たれたり
齋部干里
ぐろっけ
200706
百日の穴を出て来し蛇の大きさ
丸山佳子
京鹿子
200706
蛇穴を出でて頭の力抜く
小林幹彦
200706
登山道に蛇穴を出て独り言
鴨下 昭
200707
蛇穴を出て相棒がまだ居ない
山田弘子
ホトトギス
200708
細心にして大胆に蛇出づる
河口仁志
200709
蛇穴を出でて仲良くしたいのよ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200803
蛇穴を出でたる庭と承知して
稲畑汀子
ホトトギス
200803
不発弾処理蛇穴を出づる日よ
稲畑汀子
ホトトギス
200803
蛇穴を出づる逡巡あるやなし
稲畑汀子
ホトトギス
200803
蛇穴を出すぎて穴をかへりみる
宇都宮滴水
京鹿子
200803
穴を出し蛇見送らむ村わつぱ
塚本みのる
春燈
200805
蛇出でて山やはらかくなりしかな
田口紅子
200806
蛇穴を出で陵の日向まで
城孝子
火星
200806
蛇穴を出て梵妻に叱らるる
和田照海
京鹿子
200806
蛇穴を出でて膕のばしたり
本多俊子
200807
穴出でし蛇一生を棒にふる
宮地れい子
春燈
200809
蛇穴を出ればざらつく別れかな
河西志帆
京鹿子
200809
蛇穴を出づるこれより外出がち
稲畑汀子
ホトトギス
200903
蛇穴を出て驚愕世の不況
塩路五郎
200904
蛇出でて桂郎の眼につき当り
神蔵器
風土
200904
蛇穴を出づ堂守はひたに老い
柴田佐知子
200904
蛇穴を出づふるさとの意気高し
斎藤雅子
炎環
200905
穴出でしばかりの蛇の虚心かな
高橋将夫
200906
蛇穴を出でて入りたる朱雀門
竹内悦子
200906
蛇穴を出でてたまたま日曜日
定梶じょう
あを
200906
蛇穴を出てネクタイを締め直す
田原陽子
200907
蛇出でて械れる街を徘徊す
久米なるを
200907
蛇穴を出て鳶の輪の真ん中に
阿久津勝利
万象
200907
蛇穴を出て子規の風虚子の風
山田弘子
ホトトギス
200908
蛇穴を出づる陽気と思はねど
稲畑汀子
ホトトギス
201003
蛇穴を出でてその家の主となる
稲畑汀子
ホトトギス
201003
穴を出しばかりの蛇と気づかずに
稲畑汀子
ホトトギス
201003
日の本を諦めて蛇穴を出づ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201003
蛇穴を出て動物園の死角かな 矢口笑子 春燈 201005
蛇出て鶴川村も東京都 神蔵器 風土 201005
賑やかな巫女と出遇へり蛇出でて 阪本哲弘 201006
穴を出て蛇とりあへず藪に入る 高橋将夫 201006
蛇出でてしばらく光ゲの中に坐す 久津見風牛 201006
蛇穴を出でどろんこの奈良ホテル 山城孝子 火星 201006
断層の深きを言へり蛇出でて 坂本哲弘 山ざくら 201009
蛇穴を出でて旅路の待つてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201103
蛇穴を出て赭土をこぼしけり だいじみどり 201105
蛇穴を出て読む空気甘からず 小林正史 201106
蛇穴を出で王道を行きにけり 前田美恵子 201106
蛇穴を出づや瓦礫に立往生 藤原照子 201106
蛇穴を出づる楔の石外し 田中貞雄 ろんど 201106
蛇出でて人ごゑに舌つかひけり 戸栗末廣 火星 201107
蛇穴出づ来賓席は白クロス 山田美恵子 火星 201107
蛇穴を出て先づ人を驚かす 松田明子 201108
蛇穴を出ればだご鼻地蔵かな 吉田葎 201204
蛇穴を出でて瓦礫を嘆じけり 阪本哲弘 201205
蛇穴を出て半畳の風封ず 鈴鹿呂仁 京鹿子 201205
蛇出でて走り根は地を奪ひ合ふ 宇都宮敦子 201205
蛇穴を出づまづまづ存す日本国 原田達夫 201205
蛇穴を出て高校三年生 鶴濱節子 始祖鳥 201206
豪胆に石積みにけり蛇も出づ 中村嵐楓子 春燈 201206
蛇穴を出でて私に驚けり 森岡正作 201206
復興の音聞きて蛇穴を出づ 浅野吉弘 201206
蛇出でて黒書院より白書院 池田光子 風土 201206
穴出でし蛇の戸惑ひ新団地 小澤菜美 201207
穴を出し蛇ポマードをつけてをり 原友子 201207
蛇様へ蟇の貫録舌を出す 植木緑愁 201209
穴を出し蛇に始業のチャイム鳴る 原友子 201302
蛇穴を出づる諸般の事情あり 安居正浩 201303
蛇穴を出でたる静寂うごきけり 近藤喜子 201305
蛇穴を出で肌を刺す風に遭ふ 岡崎伸 201305
蛇穴を出るや褪せたる鈴の紐 齊藤實 201305
蛇穴を出て白い原子炉覗きをり 池田光子 201305
蛇穴を出づ竹林に日矢ふかき 礒貝尚孝 201306
南無三や大蛇ゆつくり穴を出づ 瀬川公馨 201306
蛇穴を出でかたちよきヒップあり 藤田素子 火星 201306
蛇穴を出でて南北緊張す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
蛇出でて風上に舌使ひをり 戸栗末廣 201405
蛇穴を出でて一気に川渡る 林八重子 馬醉木 201405
蛇穴を出づ玄室の闇を曳き 近藤喜子 201405
蛇出でてしばし母屋を窺へり 原友子 201406
蛇出づる屋敷神とはいふものの 田代貞枝 201406
蛇穴を出て全身反抗期 火箱ひろ 201406
蛇穴を出て神杉に這ひのぼる 井島郷雲 万象 201406
蛇穴を出づ戦略すでに微に細に 上山永晃 春燈 201406
蛇穴を朽葉もたげて出るところ 南うみを 風土 201406
ぎりぎりの穴の寸法蛇出づる 中田みなみ 201407
蛇穴を出て国境を過ぎにけり 高倉和子 201407
ぎりぎりの穴の寸法蛇出づる 中田みなみ 201408
蛇穴を出るや口元泡だらけ 小川明美 万象 201408
蛇穴を出でふるさとは日本晴 栗原京子 201503
暗闇を穴に脱ぎ置き蛇出づる 布川直幸 201504
蛇穴を出で水の香をとらへたり 堤京子 馬醉木 201505
蛇出でて廊下の奥に目を凝らす 石田康明 春燈 201505
蛇穴を出づ厄介な長さもて 望月晴美 201505
蛇穴を出て全長をもて余す 戸栗末廣 201505
蝮蛇出て六甲らしくなりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201506
蛇穴を出て三角の赤い屋根 辻水音 201506
蛇出でて希望が丘に丈のばす 神蔵器 風土 201506
蛇穴を出て思慮深きひかりかな 齋藤厚子 201506
政庁は右肩上り蛇出づる 吉村摂護 201506
蛇穴を出て随行の殿に 相良牧人 201507
蛇穴を出て地震点鬼簿を確かめる 鴨下昭 201507
穴出でし蛇ゆつくりの長さかな 青野安佐子 201507
蛇出でて二男三女とかがやかす 神蔵器 風土 201508
蛇穴を出て仕事の手の遅し 赤松赤彦 六花 201508
穴を出し蛇天帝の見給へる 竹下陶子 ホトトギス 201510
蛇穴を出づ国境の海昏し 原田達夫 箱火鉢 201511
蛇穴を出れば力道山の墓 稲畑廣太郎 ホトトギス 201603
蛇出づ→ 2      

 

2021年3月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。