秋の蝉 2     200句

背凭れにもたれず居りぬ秋の蝉    本橋仁

秋の蝉  秋蝉  残る蝉  法師蝉  つくつく法師    ひぐらし

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秋の蝉てふテナーからバリトンに 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608
大方は大地に戻り秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200608
滞在の短き帰国秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200608
虚子記念文学館の秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200608
秋の蝉足湯つかつてきしと言ふ 大西八洲雄 万象 200611
秋の蝉忽とひとこゑ終ひ風呂 山川好美 春燈 200611
忘れてゐたこと思ひ出す秋の蝉 倉持梨恵 200612
夕暮を惜むごとくに秋の蝉 川口利夫 ホトトギス 200701
秘仏守る在所ことばや秋の蝉 山本正 京鹿子 200701
門前町人恋へば湧く秋の蝉 佐々木幸 200702
淋しくて幹を叩けば秋の蝉 清水裕子 200702
早生れ遅生れの声秋の蝉 森一枝 八千草 200703
秋の蝉あの日はみんな若かつた 稲畑廣太郎 ホトトギス 200708
秋の蝉鳴き絶えてゐるしじまかな 大橋敦子 雨月 200710
パレットに乾きし絵具秋の蝉 田中春生 200711
真夜中に鳴くは我が身や秋の蝉 馬場宏一 春燈 200711
村にいまも大き水車や秋の蝉 今井妙子 雨月 200711
ときどきは息を調へ秋の蝉 鈴木多枝子 あを 200711
鳴きしぼりまた鳴きしぼり秋の蝉 榎本文代 万象 200712
唱題に和す一山の秋の蝉 曽根治子 風土 200712
走り根の掴む土塁や秋の蝉 伊藤たか子 遠嶺 200712
声明と一体となる秋の蝉 乗光雅子 雨月 200712
ともすれば聞き納めなる秋の蝉 坂本知子 酸漿 200712
昼過ぎの日差しに媚びる秋の蝉 佐久間多佳子 京鹿子 200712
御用邸跡や鳴きつぐ秋の蝉 佐藤和子 万象 200801
秋の蝉虚子恋ふ如く鳴きにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
波音と入れ替りたる秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 200808
秋の蝉三百年を語り継ぐ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
秋の蝉ちよつと遅すぎるんとちやふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 200809
飛ぶことの惑へるさまの秋の蝉 宮津昭彦 200810
眠らない街の灯に鳴く秋の蝉 中村悦子 200811
鈴なりの鈴ひとつ落つ秋の蝉 常盤優 炎環 200811
秋の蝉心の虚に閉ぢ込めし 飯塚惠美子 炎環 200811
深川めしの大看板や秋の蝉 笠真木 炎環 200811
初秋の蝉声もなき雨の音 浅野恵美子 酸漿 200811
秋の蝉あのひとことの痛むかな 田原陽子 200811
始まりはサヨウナラから秋の蝉 北島和奘 風土 200811
丹田をためして鳴けり秋の蝉 中山純子 万象 200811
もう一回あと一回と秋の蝉 倉持梨恵 200901
秋の蝉影もろともに翔ちにけり 一ノ瀬次郎 春燈 200901
ふと思ひ出したるやうに秋の蝉 安原葉 ホトトギス 200903
筆塚を拝むがごとく秋の蝉 飯田ひでを 200910
怠惰には過せぬ余生秋の蝉 井上正子 春燈 200910
黙祷や遠き記憶の秋の蝉 こがわけんじ 炎環 200910
秋の蝉カーテン越しの癌患者 斎藤雅子 炎環 200910
日射はや敷居またぎぬ秋の蝉 伊東恵美子 馬醉木 200911
イーゼルの脚水に立つ秋の蝉 西谷良樹 春燈 200911
糠雨にまなこをあらふ秋の蝉 布川直幸 200911
秋の蝉鳴きいそぐかに詣道 水田壽子 雨月 200911
深き闇一声に斬る秋の蝉 松本周一 200911
ゆったりと道よぎる猫秋の蝉 篠田純子 あを 200911
おほ寺に最終章の秋の蝉 竹内悦子 200912
発心の声となりたる秋の蝉 近藤喜子 200912
逡巡の眉間けはしき秋の蝉 木下もと子 200912
秋の蝉網戸にすがり鳴きつのる 三好かほる 万象 200912
罅走る観音立像秋の蝉 水野加代 万象 200912
ゆつくりと鳴き出しにけり秋の蝉 島谷征良 風土 200912
白砂にうらがへりたる秋の蝉 水野恒彦 201001
明けやらぬ櫻に秋の蝉しぐれ 内藤恵子 万象 201003
粗相して草に落ちたり秋の蝉 冨山俊雄 山居抄 201008
鳴いてゐる命の証秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201008
秋の蝉声小さくなる低くなる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
落ちること忘れたやうに秋の蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
転調をして秋の蝉らしくなる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201008
秋の蝉日を誘へる高さかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201009
秋の蝉トンネル多き北の国 大西八洲雄 万象 201011
羽白く開きて生るる秋の蝉 高倉恵美子 201011
人知れず生まれて死にし秋の蝉 島本知子 ぐろっけ 201012
歯を病みて通院の道秋の蝉 渋谷ひろ子 酸奬 201012
夜に入りて二声太き秋の蝉 柿沼盟子 風土 201101
御手洗の水のさざめく秋の蝉 きくちきみえ やぶれ傘 201101
秋の蝉名園といふ音色かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
永らへて八日目を鳴く秋の蝉
石田康明
春燈
201111
秋の蝉をとこの胸にとびつきぬ
榎本文代
万象
201111
肩書は未亡人なり秋の蝉
宮崎高根
201111
補聴器の土砂降りとなる秋の蝉
原田達夫
201111
石の上に今朝は骸の秋の蝉
和田政子
201111
落慶の金襴門扉秋の蝉
田中貞雄
ろんど
201111
退院の荷物の多さ秋の蝉
高倉恵美子
201112
遠い木や近い木秋の蝉沁みて
松田泰子
末黒野
201112
拾はむとするや鳴きたる秋の蝉
松田泰子
末黒野
201112
闘病の夫の晩年秋の蝉
戸田澄子
末黒野
201112
いくたびも窓にぶつかる秋の蝉
山路紀子
風土
201112
ひとつ鳴きひとつころがる秋の蝉
石田きよし
201201
予感ありし訃報届くや秋の蝉
井上正子
春燈
201201
諸九尼の生家杜なす秋の蝉
柴田志津子
201201
鳴き負けて御所を罷るる秋の蝉
北村梢
京鹿子
201201
長男は念珠を持てと秋の蝉
田中貞雄
万華鏡
201206
秋の蝉春雨庵の伽として
稲畑廣太郎
ホトトギス
201208
秋の蝉平家の里は谷あひに 大西八洲雄 万象 201210
吾が町に秋の蝉鳴く一里塚 大西八洲雄 万象 201210
秋の蝉東京の町坂多し 大西八洲雄 万象 201210
過ぎし日の小過のあまた秋の蝉 田中藤穂 あを 201211
鳴くだけのいのち一途や秋の蝉 藤岡紫水 京鹿子 201211
わが町に秋の蝉鳴く一里塚 大西八洲雄 万象 201211
城跡に今はの際の秋の蝉 東良子 201211
騒がしや秋の蝉鳴く森の中 柳田晧一 かさね 201211
雨上り声に張りある秋の蝉 本郷宗祥 かさね 201211
千年杉のパワーに縋る秋の蝉 鈴木照子 201211
秋の蝉書棚に並ぶ故人の書 宮川みね子 風土 201212
人生に余りはあらじ秋の蝉 鶴巻誉白 ろんど 201301
突として思はぬ近さ秋の蝉 高濱朋子 ホトトギス 201301
掠れたる諸声あげて秋の蝉 塩見英子 雨月 201311
時惜み声のかぎりを秋の蝉 堀田こう 雨月 201311
賽銭のとぼしき堂や秋の蝉 荒木稔 ぐろっけ 201311
温泉の四方の森より秋の蝉 吉田きみえ 末黒野 201311
限りの日ひたすら手繰る秋の蝉 峰崎成規 201311
秋の蝉まなこ濡らして鳴きにけり 有松洋子 201311
一村を覆ひて秋の蝉時雨 青野安佐子 201311
秋の蝉雲呼び寄せて地を濡らす 四條進 201311
麺麭売りにしばし鳴き止む秋の蝉 安立公彦 春燈 201311
家族葬総勢九人秋の蝉 瀬戸悠 風土 201311
吹けば飛ぶ骸ありけり秋の蝉 柳田皓一 かさね 201311
銀ブラの思はぬときに秋の蝉 柳田皓一 かさね 201311
小雨さにはたと止みけり秋の蝉 柳田皓一 かさね 201311
梅の枝ゆつくり動く秋の蝉 柳田皓一 かさね 201311
奥山や鳴き絶えてゐる秋の蝉 柳田皓一 かさね 201311
声を限りとふは切なき秋の蝉 宮平静子 雨月 201312
黙祷に念仏唱ふ秋の蝉 佐藤山人 201312
秋の蝉モノトーンなる声の壁 杉本薬王子 風土 201312
高枝に鳴いて名残の秋の蝉 野崎昭子 春燈 201312
交ごもに桜樹に来ては秋の蝉 小川玉泉 末黒野 201401
照り降りの狭間も惜しむ秋の蝉 橋本くに彦 ホトトギス 201401
魂を吸うては鳴いて秋の蝉 須藤常央 ホトトギス 201402
半時を網戸で過ごす秋の蝉 赤座典子 あを 201409
櫓の灯ぶつかり飛べる秋の蝉 篠田純子 あを 201409
爺爺と気安かりけり秋の蝉 森岡正作 201410
山井戸に声をあづけむ秋の蝉 田中貞雄 ろんど 201410
呼気量の少なさ嘆く秋の蝉 藤丸誠旨 春燈 201411
秋の蝉丸子の宿の月の寺 四條進 201411
一山の一声となる秋の蝉 川村文英 ろんど 201411
手の届くところに鳴けり秋の蝉 廣瀬雅男 やぶれ傘 201411
鎌倉の谷戸深く来て秋の蝉 秋友昌子 雨月 201411
秋の蝉刻惜しむかに大寺裏 橋本靖子 201411
父のなき部屋へ飛び込み秋の蝉 上林純子 ホトトギス 201412
那智大社の高みに鳴ける秋の蝉 伊東和子 201412
草に坐す思惟観音や秋の蝉 岡野里子 末黒野 201412
往生の大の字小さき秋の蝉 小田嶋野笛 末黒野 201412
束の間の命惜しむや秋の蝉 土田亮 末黒野 201412
戸に当たり柱に当たる秋の蝉 松村光典 やぶれ傘 201412
秋の蝉啼き止み何か遠くなる 水野恒彦 201412
声立てず幹を守るなり秋の蝉 川南隆 ろんど 201412
輪唱のこゑのくぐもる秋の蝉 神戸京子 ろんど 201412
欅大樹の耳鳴り巣喰ふ秋の蝉 柳本渓光 ろんど 201501
秋の蝉めつきりへりぬ昨日今日 小倉純 末黒野 201501
声絞り絞りしぼりて秋の蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
とけてゐるアイスクリーム秋の蝉 木下夕爾 春燈 201508
命三つ四つ五つ六つ秋の蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201509
補聴器の土砂降りとなる秋の蝉 原田達夫 箱火鉢 201511
アルバムに亡き人悼む秋の蝉 深川敏子 春燈 201510
しろさるすべり鳴き始めたる秋の蝉 上原重一 201510
教会の庭のバリトン秋の蝉 卯木堯子 春燈 201511
秋の蝉なにか言ひ置くやうに鳴く 近藤喜子 201511
歩けない日の体操や秋の蝉 野中圭子 京鹿子 201512
充電のやうに樹を抱く秋の蝉 宇都宮敦子 201512
充電のやうに樹を抱く秋の蝉 宇都宮敦子 201512
秋の蝉ローカル線の一人旅 石川叔子 201512
連れ鳴きの声よどみなき秋の蝉 佐津のぼる 六花 201512
秋の蝉鳴いて気怠き園の午後 稲畑廣太郎 ホトトギス 201608
限りある命鳴き次ぐ秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201608
わが余生急ぐな急かすな秋の蝉 吉田順子 201610
秋の蝉声高らかに斉唱す 横山さくら 春燈 201610
いつの日のいつの記憶か秋の蝉 横山さくら 春燈 201610
鎮魂の靖国の杜秋の蝉 丸山允男 春燈 201610
秋の蝉四五匹ほどが鳴いてをり 大橋晄 雨月 201611
一適のこゑを惜しまず秋の蝉 有松洋子 201611
秋の蝉波郷の墓のあたりより 布施まさ子 風土 201611
秋の蝉寄る辺なけれど歩みけり 山田六甲 六花 201611
代替りして故郷の秋の蝉 井上和子 201611
骨拾ひをへいつせいに秋の蝉 江見悦子 万象 201611
ひと風に鳴き止む秋の蝉飛べり 落合裕子 万象 201611
秋の蝉昨日を今日につなぎけり 横山さくら 春燈 201611
竹藪の向かひに倉庫秋の蝉 大島英昭 やぶれ傘 201611
内陣に紛れ込んだり秋の蝉 小嶋紘一 末黒野 201611
譲らるる創刊号や秋の蝉 広渡敬雄 201612
秋の蝉夕日に命しぼり鳴く 堀井英子 雨月 201612
山裾の夕べを早め秋の蝉 三輪温子 雨月 201612
とつぷりと暮れて一鳴き秋の蝉 廣瀬克子 春燈 201612
秋の蝉聴き分けている雨上り 浦川哲子 201701
充電のやうに樹を抱く秋の蝉 宇都宮敦子 201702
時惜み命惜みて秋の蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
競ふこと忘れて秋の蝉となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
時惜み命惜みて秋の蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
よく晴れてをりしを告ぐる秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201708
駐車して会場までの秋の蝉 稲畑汀子 ホトトギス 201708
今逝きしばかりの秋の蝉ひろふ 石田きよし 201711
靖国の神門秋の蝉しぐれ 石田きよし 201711
飛んで来て寡黙の構へ秋の蝉 齋藤厚子 201711
秋の蝉いのちつくづく惜しといふ 松本三千夫 末黒野 201711
秋の蝉鳴きやみしとき風立ちぬ 浅田光代 風土 201711
はからずもひと夜入院秋の蝉 山崎靖子 201712
秋の蝉はなればなれに置く湯呑 井上菜摘子 京鹿子 201712
犬が犬見てゐて秋の蝉の声 小山陽子 やぶれ傘 201710
夕暮れて時惜しむごと秋の蝉 石塚清文 やぶれ傘 201710
秋の蝉子の宿題はまだ半ば 石塚清文 やぶれ傘 201710
そそくさと鳴いて飛び立つ秋の蝉 石原健二 やぶれ傘 201710
はじまりもをはりも祈り秋の蝉 井尻妙子 京鹿子 201802
敦盛の塚より海へ秋の蝉 戸栗末廣 201801
雨止みしこと秋の蝉告げてをり 稲畑汀子 ホトトギス 201808
みちのくの秋の蝉より旅路あり 稲畑汀子 ホトトギス 201808
秋の蝉→3      

 

2021年8月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。