行く春2   78句

花もみな散りぬる宿は行く春の故郷とこそなりぬべらなれ  紀貫之

行く春  春行く   春逝く  逝く春  ゆく春  春ゆく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
行く春や小さき額の小さき顔 藤丸誠旨 春燈 201507
行く春や根岸の里の松愛でて 武藤嘉子 201507
行く春に風はときをり強くあり 市川伊團次 六花 201507
行く春や窓の灯明き巨船出づ 辻井ミナミ 末黒野 201508
行く春を言葉の遅き子とおりぬ 林昭太郎 201510
行く春の魚板を打つや翁堂 津川かほる 風土 201512
行く春や新世界より駒の音 加藤みき 201605
行く春や眼らんらん筆持ちて 加藤みき 201606
行く春の鳶や高みに輪を絞り 千田百里 201606
行く春や余白の増えし日記帳 小松誠一 201606
行く春や栗鼠の尾走る宮の黐 深澤厚子 馬醉木 201606
行く春の机上に雲形定規かな 楠原幹子 201607
行く春や背筋伸ばして杖一本 吉澤恵美子 春燈 201607
行く春の気儘脱いだり羽織つたり 卯木堯子 春燈 201607
行く春の楽屋のれんに空の色 中嶋陽子 風土 201607
行く春の島に一会の放哉碑 落合絹代 風土 201607
行く春や波の奪へる虚貝 安斎久英 末黒野 201607
行く春の波の巻き込む藻屑かな 安斎久英 末黒野 201608
行く春や高圧線に作業員 小倉純 末黒野 201608
行く春や雨降り頻る鳰の湖 多方清子 雨月 201608
行く春や机の上に歎異抄 田中信行 201608
行く春や触れてはならぬ人の恋 高野昌代 201608
行く春の築地の吐丹寂れたる 細川洋子 201705
行く春やおもひ思ひに坐る牛 高橋あさの 201707
行く春や背に散りかかる花ごろも 菊谷潔 六花 201707
行く春を園児の列について行く 新海英二 春燈 201707
行く春のスマホに覗く潮見表 成田美代 201708
行く春の汐に褪せたる能舞台 宇都宮敦子 201708
行く春の島へ乗り合ふ能楽師 橋本榮治 馬醉木 201708
行く春をゆっくりめくる広辞苑 山本みち子 201806
行く春の鴎の翼しなやかに 森なほ子 あを 201806
行く春を嵐電駆って惜しみけり 井上石動 あを 201806
行く春の妻にせがまれをりしもの 大畑善昭 201807
行く春や草にかくれし水の音 豊谷青峰 春燈 201807
行く春や夕べの姉にカカオの香 岡田一夫 201807
行く春や巫女ジーパンで絵馬洗ふ 金子正道 京鹿子 201808
行く春や湖を眼下の峠茶屋 森清堯 末黒野 201808
行く春の腕になじみし抱き枕 工藤はる子 201905
行く春の大琵琶を斬る観光船 鈴鹿仁 京鹿子 201906
行く春や湖のたひらへ手を浸す 村田あを衣 京鹿子 201906
行く春のうぶすなの空鳶の空 土井三乙 風土 201906
行く春を惜しむ八十路のクラス会 小嶋恵美 春燈 201907
行く春やハヤシライスは母の味 山浦紀子 春燈 201907
行く春のカーブミラーに湖光る 小林陽子 201907
行く春や砂を吐きつつ貝動く 栗坪和子 201907
行く春や旅立ち祝す馬上杯 岡本尚子 風土 201907
行く春の昨日と違ふ今日の色 山森みちよ 風土 201907
行く春や母の問ひあげ讃仏偈 ふなかわのりひと 201908
行く春や声しつとりとたけくらべ 岩上行雄 末黒野 201908
行く春を宇宙へ向かうハンバーグ 塩谷則子 船団 201910
SMとSLは行く春の旅 静誠司 船団 201910
行く春の背にひんやりと聴診器 岩永みはる 追伸 202003
行く春やドクターイエロー通過中 上村葉子 風土 202007
行く春や読経の潤む女人堂 宮岡弘 202007
行く春や減りゆくものに骨密度 和田慈子 末黒野 202008
行く春や薬の残り数へをり 阿部さちよ 202008
行く春や四つ葉を捜す庭の隅 上月智子 末黒野 202008
行く春や生家帰ると白寿びと 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
行く春や本に補強のセロテープ 齊藤實 202101
終電の巻き上げて行く春の宵 平松うさぎ 202104
行く春や眉唾物の法螺話 瀬川公馨 202105
寝すごして行く春に追ひ越さる 井上静子 202106
行く春や接種予約を一番に ふなかわのりひと 202107
庭に佇ち行く春独り惜しみけり 西谷恵美子 春燈 202107
行く春の雲を突ついてゐる六三四 千田百里 202107
行く春へ信楽たぬき片手あぐ 富川明子 202107
行く春やラストを知つてゐるドラマ 高橋将夫 202107
行く春や業平竹のほつそりと 中根美保 風土 202107
行く春やことばの分かる犬とゐて 小林共代 風土 202107
行く春を病める小三治吉右衛門 岩藤礼子 やぶれ傘 202108
行く春やはるかの富士のうすき影 森清堯 末黒野 202108
句会ありそよそよと行く春袷 七郎衛門吉保 あを 202206
行く春を水の流れに惜しむ日や 安立公彦 春燈 202207
行く春の句碑に触れたるたなごころ 岩永はるみ 春燈 202207
行く春や仕掛時計の楽士たち 菅澤陽子 春燈 202207
行く春や石のくぼみの水溜り 太田佳代子 春燈 202207
行く春の風は何色さくら色 久米憲子 春燈 202207
行く春の三回鳴いて翔つ鴉 小泉里香 やぶれ傘 202208
行く春の斜めに立てる添へ木かな 柿沼盟子 風土 202208
行く春や触るればそむく猫の耳 中根美保 風土 202208
行く春やマストのまとふ潮曇 石黒興平 末黒野 202208
行く春を見ずに屍となりし君 渡辺節子 202209
行く春の沖へ沖へと漁の水脈 岡村尚子 202211
行く春→ 1

 

2023年4月12日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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