春逝く   86句

釈迦つつむ白煙杳と春逝く図    堀口星眠

行く春  春行く   春逝く  逝く春  ゆく春  春ゆく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
のど仏少し傾き春逝きぬ 深川治慧 海程 199907
白墨の円地に描きて春逝かす 能村登四郎 芒種 199911
男降りして一嶽の春逝かす 小澤克己 花狩女 200004
野の花は白ばかり春逝かむとす 林翔 200006
春逝くか海の奥津城藻の茂り 中原道夫 銀化 200006
くちびるは嫁入り道具春逝けり 櫂未知子 銀化 200006
鉛筆をやたら尖らせ春逝かす 岩崎法水 京鹿子 200009
びろうどの黒に身を置き春逝けり 北原武巳 船団 200010
春逝かす舌一枚で予報官 丸山佳子 京鹿子 200104
みほとけの九体ならび春逝けり 小林優子 酸漿 200104
春逝くか手ごたへのなき髪束ね 坂本京子 200201
獣王の一声ありて春逝かす 鈴鹿仁 京鹿子 200206
艦沈めて島の断面春逝かす 宇都宮滴水 京鹿子 200206
春逝くや馬籠にて買ふねずこ下駄 椙山正彦 200206
流木も枯れきつて春逝かむとす 斎藤道子 馬醉木 200207
酒匂ふ壷中の夫に春逝きぬ 赤座閑山 風土 200208
春逝かすつねに路傍の石として 野口香葉 天女櫻 200209
春逝くよ大仏の背に夕陽翳 鎌倉喜久恵 あを 200306
底至りといふ語覚えて春逝かす 松崎鉄之介 200307
春逝くに写経するごと色紙書く 松崎鉄之介 200307
湯どころに雨けむり春逝かむとす 村越化石 200406
薬袋の嵩のみ増やし春逝くや 沼田蓬風 河鹿 200407
春逝かす汀の音とゆれながら 豊田都峰 京鹿子 200506
ひとり居の灯のみ豊かに春逝かす 岡本眸 200506
春逝くや水の刻みし砂の紋 濱田萬里子 河鹿 200507
春逝くや遺りしものに志 鷹羽狩行 200507
目覚めをり春逝く胸に掌を重ね 望月晴美 200507
天草の天響春逝く夕日とす 豊田都峰 京鹿子 200507
春逝くや泣いてどうなる事でなし 尾堂Y 河鹿 200508
古篊を堤に揚げて春逝きぬ 瀧春一 菜園 200509
み仏にすべてを委ね春逝かす 綱徳女 春燈 200606
春逝くも風葬の野に鷹舞へり 松崎鉄之介 200707
飴玉のむかしの色に春逝けり 田口紅子 200712
黒地着て悔む間のなく春逝けり 宇都宮滴水 京鹿子 200802
双眼鏡景引き緊めて春逝かす 森岡正作 200806
埋没林海底の春逝きにけり 服部鹿頭矢 馬醉木 200807
春逝くやダリの時計の刻む音 西村純太 200807
病みてよりほどかぬ誓ひ春逝かす 勝見玲子 200807
「時間壺」の中の月日や春逝けり 林いづみ 風土 200807
鰐口のぐわらんぐわらんと春逝かす 佐橋敏子 春燈 200907
もののふの三つの寝棺春逝かす 鈴鹿仁 京鹿子 200907
春逝けりドロップは赤より舐める 竹下昌子 200910
地の涯は白峰いくたび春逝きし 豊田都峰 京鹿子 201007
五箇山に咽ぶ小切子春逝けり 森岡正作 201007
春逝くや森はふところ深くせり 大木清美子 201107
日の暈を後背として春逝く寺 豊田都峰 京鹿子 201107
さみしさは己にありて春逝かす 門伝史会 風土 201108
春逝くや城跡は碑を残すのみ 今井妙子 雨月 201108
幸村を追へば春逝くかげも濃く 豊田都峰 京鹿子 201208
春逝くや渡船は長く水脈をひき 白石正躬 やぶれ傘 201207
枝垂るる木一途に枝垂れ春逝けり 森岡正作 201306
春逝かす題名長き新刊書 小張昭一 春燈 201307
信玄像御身拭ひて春逝けり 野畑さゆり 201508
江の島へひと筋の水脈春逝けり 佐藤良二 末黒野 201604
黒潮の潮目はるかに春逝けり 森岡正作 201606
泊燈の瞬きに春逝かむとす 石本秋翠 馬醉木 201607
三面鏡の一人を連れて春逝けり 木村ふく 馬醉木 201607
渚ゆく一歩ごと春逝きにけり 深川淑枝 201607
地震のこと人事ならず春の逝く 稲畑汀子 ホトトギス 201704
壺活けの極楽鳥花春は逝く 能村研三 201806
菊坂をぶらりぶらりと春逝かす 森岡正作 201806
沖を向く灯台ひとつ春は逝く 安立公彦 春燈 201807
江戸城の石組そびえ春逝かす 若泉真樹 201902
又一人友失ひし春の逝く 稲畑汀子 ホトトギス 201904
逝く春を巻頭かざり旅立ちぬ 能美昌二郎 201906
鏡台の奥の手紙や春の逝く 岡本尚子 風土 201907
旧友をまたも失ひ春は逝く 大石よし子 雨月 201907
逝く春や炎に立てる青不動 橋添やよひ 風土 201908
夫送りけふ母送り春の逝く 三宅久美子 ホトトギス 201909
春逝くも飾りっぱなしのランドセル 七郎衛門吉保 あを 202006
一病に余命をあづけ春逝かす 土井三乙 風土 202007
春逝くや複製の鍵複製し 栗原公子 202007
影見えぬコロナ論争春逝かす 山下健治 京鹿子 202008
令和二年の国難に耐へ春逝けり 河本由紀子 京鹿子 202008
鬱積し屈折し春逝かんとす 岩岡中正 ホトトギス 202009
したたかなウイルスに春逝かんとす 岩岡中正 ホトトギス 202009
春逝かせ想ひおもひの家居かな 本郷公子 京鹿子 202009
旅鞄使はぬ春の逝きにけり 服部早苗 202010
詮なきことに心乱して春逝かす 中里よし子 春燈 202106
次の世は如何にあるらん春の逝く 田尻りさ 六花 202108
起き伏しの禁令あまた春逝けり 亀井福恵 京鹿子 202108
ウクライナの濃き蜂蜜や春が逝く 赤座典子 あを 202206
ツィゴイネルワイゼン音量あげて春逝かす 青柳雅子 春燈 202207
遠き戦地へ続く蒼穹春逝けり 平野加代子 春燈 202207
偏西風に硝煙がのる春逝けり 眞田忠雄 やぶれ傘 202210
師を亡くし腑抜けし春も逝かむとす 木村享史 ホトトギス 202210

2023年4月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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