ゆく春   78句

ゆく春やをりをりたかき沖津波  久保田万太郎  草の丈

8行く春  春行く   春逝く  逝く春  ゆく春  春ゆく

作品
作者
掲載誌
掲載年月
ゆく春や寿の字押さるる診察券 百瀬虚吹 風土 199807
縁ありてこの地に老いてゆく春ぞ 萩原記代 199901
ゆく春の意を色にたゝむ波 海輪久子 円虹 199907
ゆく春を湿りにつつや缶の海苔 池田澄子 船団 199909
ゆく春のカラー写真の迷ひ猫 藤田宏 200007
ゆく春や膝に広ぐる旅の地図 江頭信子 馬酔木 200107
ゆく春の手傷を負ひし後ろ影 谷村比呂未 銀化 200206
ゆく春や丁寧に拭く老眼鏡 加藤奈那 ぐろっけ 200207
ゆく春の縄文土器に触れにけり 今井松子 遠嶺 200208
ゆく春や片つ端から磨く靴 小島とよ子 遠嶺 200209
ゆく春や進路決めたる子の瞳 林裕美子 六花 200308
ゆく春や摺師が華の大首絵 岡田貞峰 馬醉木 200308
ゆく春や家長といへど妻一人 西川五郎 馬醉木 200405
ゆく春の裏かへりたる海星かな 本多俊子 200406
ゆく春の見飽きぬ川の光かな 山口幸子 200407
ゆく春の雨は日なたを濡らし降る 八田木枯 晩紅 200409
ゆく春の水はすがたのままに暮れ 八田木枯 夜さり 200409
ゆく春の旅愁へにがき陀羅尼助 山元志津香 八千草 200409
ゆく春の母より賜ふ帯を締め 岩田都女 風土 200506
ゆく春や造り酒屋で買ふ土産 守屋井蛙 酸漿 200511
ゆく春の耳掻き耳になじみけり 久保田万太郎 春燈 200603
ゆく春や鼻の大きなロシア人 久保田万太郎 春燈 200603
ゆく春のうしろ姿を見てゐたり 佐藤よしい 風土 200606
ゆく春の胸のピンポン玉が掌に 林いづみ 風土 200611
ゆく春や所かまはず絵文字ふえ 丸山佳子 京鹿子 200706
ゆく春の寺に忌明の経上ぐる 樺山翠 雨月 200707
ゆく春のふなれな僧の草鞋かな 大西洵子 遠嶺 200707
ゆく春のわれは何処へ車椅子 村越化石 200707
ゆく春も綱のうへなり傘をさし 佐藤喜孝 あを 200707
ゆく春や死者に履かする逆草鮭 須田紅三郎 200804
ゆく春の木に還らんと仏達 田中佐知子 風土 200806
ゆく春や指に馴染し電子辞書 穐好樹菟男 馬醉木 200806
ゆく春の沼べり帽子押へ詰め 田村園子 200807
ゆく春のなじみとなりし憩ひ石 村越化石 200807
ゆく春や旅の荷上げる棚高し 斉藤小夜 風土 200807
ゆく春の李朝水滴仄白き 山岸治子 馬醉木 200808
ゆく春や渚に消ゆる下駄の跡 安立公彦 春燈 200907
ゆく春のシチュー寝かせている静か 中原幸子 船団 200909
ゆく春や影ふやしゆく浜鴉 小林共代 風土 200911
ゆく春や寝釈迦顔なる伊吹山 安立公彦 春燈 201007
ゆく春の五指に余る訃語り合ふ 千原叡子 ホトトギス 201009
ゆく春や潮したたる舫ひ綱 村上絢子 馬醉木 201107
ゆく春や望郷の詩空に詠む 鈴木セツ 201107
ゆく春の遺愛の地酒供へけり 大湊栄子 春燈 201205
ゆく春の雲へ梯子をのばしけり 近藤牧男 六月 201206
遅く来て急きてゆく春惜しみけり 松嶋一洋 201207
ゆく春の風をはさめる朱印帳 石橋邦子 春燈 201307
ゆく春や船上に立つ老船頭 菊地崇之 かさね 201307
ゆく春の兩手ひろげて寄する波 佐藤喜孝 あを 201306
ゆく春の風をはさめる朱印帳 石橋邦子 春燈 201307
ゆく春や畳紙に残る母の文字 井浦美佐子 201407
ゆく春の音なき雨のひと日かな 武藤嘉子 201407
ゆく春の伏見は水に浮みゐし 深澤鱶 火星 201408
ゆく春や語り半ばで母眠る 古川夏子 201410
ゆく春の鴫立庵に五智如来 小林共代 風土 201506
ゆく春や舷を打つ波のおと 根橋宏次 やぶれ傘 201507
ゆく春や邪鬼の逃げたる多聞天 山本則男 201605
ゆく春や娘二人を嫁がせて 今橋眞理子 ホトトギス 201610
消えてゆく春虹離さぬあふみの海 塩貝朱千 京鹿子 201705
せせらぎに流されてゆく春の綺羅 山田天 雨月 201705
坂道をからすおりゆく春隣 大崎紀夫 やぶれ傘 201705
靴跡へ歩を添はせゆく春渚 岡井マスミ 末黒野 201707
ゆく春や無表情なる今日の空 山内四郎 春燈 201708
ゆく春や大道芸を独りで観る 林徹也 201709
風荒き一と日過ぎゆく春隣 稲畑汀子 ホトトギス 201802
次々と予定消しゆく春灯 稲畑汀子 ホトトギス 201803
ゆく春の手帖に付箋朱青黄 波戸辺のばら 201806
ゆく春はどこへ行くのかあかさたな 近藤紀子 201807
ゆく春の魚の一身透くばかり 岩岡中正 ホトトギス 201810
ゆく春や使ふ当てなきパスポート 永井惠子 春燈 201905
ゆく春を伸びるにまかすヤギの髭 辻水音 201907
ゆく春や百葉箱の白ペンキ 小島良子 202006
ゆく春や休校といふ宙ぶらりん 藤井啓子 ホトトギス 202008
ゆく春やひとりぼつちの腕を組み 山内四郎 春燈 202008
ゆく春やまた会へる日を待つばかり 今橋眞理子 ホトトギス 202009
ゆく春のちあきなおみのビギンかな 三上程子 春燈 202107
ゆく春や六法全書戻す棚 稗田寿明 202207
ゆく春の匣をはみだす首飾り 鈴木直充 春燈 202207

 

2023年4月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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