空 蝉 3     118句

空蝉の掴みし草の伸びにけり    松下道臣  まんまる

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
空蝉と女体と雨と公達と 小澤克己 遠嶺 200610
空蝉や芭蕉ゆかりの禅師の書 小澤克己 遠嶺 200610
空蝉の折り重なりし一樹かな 苑実耶 200610
空蝉の落ちし数だけ夢消えぬ 松田都青 京鹿子 200611
空蝉のいくつも縋り被爆楠 木場田秀俊 200611
空蝉といふこの世への形見かな 菅谷たけし 200611
空蝉のしがらみ消すや子等の声 高尾幸子 遠嶺 200611
無言館出て空蝉のごとくゐる 石原光徳 酸漿 200611
空蝉の夕日掴んでをりにけり 佐土井智津子 ホトトギス 200612
抽出しに空蝉一茶の墓のもの 安達風越 雨月 200612
空蝉や榕樹の下の子守唄 渡邉友七 あを 200611
空蝉を葉裏に梯梧咲き残る 荻原麗子 酸漿 200612
空蝉に入らんとする跼みやう 佐藤喜孝 あを 200612
空蝉の葉に付けるまま掃かれけり 松本文一郎 六花 200701
空蝉の落葉とならん葉に縋る 岸野美知子 酸漿 200702
空蝉が薄荷の花にゐて匂ふ 百瀬七生子 海光 200705
空蝉の脱皮で見する背ナ返り 鈴木榮子 春燈 200708
蝉声の中や空蝉みづみづし ことり 六花 200708
裏側に空蝉すがる滑り台 戸田春月 火星 200709
空蝉の吹かるるに似て吹かれをり 村越化石 200709
空蝉の夕べの風に飛びにけり 水谷ひさ江 六花 200709
空蝉に恋の桎梏なかりけり 入澤正 春燈 200710
空蝉の何を怺ふる葉末かな 植竹惇江 春燈 200710
空蝉につかみはなせぬもののあり 鈴木阿久 200710
空蝉を手にとりたれば阿波の國 石脇みはる 200710
空蝉のくだくる音よながさき忌 中尾杏子 200710
空蝉のすがる観音古りまさる 宇佐美ゆき 酸漿 200710
コバルトの空さかしまに空蝉よ 松原仲子 200711
空蝉よりうつろ心の術無けれ 杉山瑞恵 雨月 200711
空蝉を手にのせて行く法隆寺 坪内稔典 稔典句集U 200804
空蝉の目にまだ命あるやうな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
空蝉の命を風に移しけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
空蝉やさてはこの穴蝉の穴 林翔 200809
空蝉や母の気泡の吹硝子 石寒太 炎環 200809
空蝉の葉裏に縋る一つかな 水原春郎 馬醉木 200810
空蝉の祷る形に縋りたる 村上沙央 200810
空蝉や子の独り立ち案じをり 高村和子 春燈 200810
空蝉にふうと命を吹き込めり 森岡正作 200810
空蝉や言葉がどれもぶかぶかす 井上菜摘子 京鹿子 200810
手にのせて空蝉に影生まれけり 垣岡映子 火星 200810
空蝉そは高みをめざす祈りとも 木村美猫 ぐろっけ 200810
神木に打ち重なりて空蝉は 大橋晄 雨月 200810
いつも過ぐるブロック塀に空蝉つく 松崎鉄之介 200810
空蝉の前肢の拝む形なる 松崎鉄之介 200810
空蝉の爪立ててなほちからあり 藤田宏 200810
空蝉の体内風の吹き荒ぶ 亀田虎童子 200811
空蝉のすがれる雨後の閻魔堂 西川五郎 馬醉木 200811
空蝉や無礼な奴が踏んでゆく 竹内悦子 200811
空蝉の眼疑ふこと知らず 川口襄 遠嶺 200811
空蝉のひととせ褪せず壁にあり 渋谷ひろ子 酸漿 200811
空蝉の草の穂先をしかと抱く 東芳子 酸漿 200811
掃き寄するものに空蝉混りゐし 梅村すみを 200811
空蝉をはがせば指に縋りたる 広瀬千鶴 万象 200811
十字架の影に空蝉そよぎけり 三由規童 雨月 200812
捕れぬ子にせめて空蝉捕らせやる 宮村フトミ ぐろっけ 200812
児ら眠る空蝉の木に囲まれて 荒井千佐代 200901
空蝉の爪が貫くつばきの葉 鳳蛮華 200901
空蝉や思惟の歩となる墓の道 千坂美津恵 200909
空蝉のまだ濡れてゐる前のめり 久染康子 200909
空蝉の歩いてゐるよ長き道 佐藤喜孝 あを 200909
空蝉は手の鳴る方へむきをかへ 佐藤喜孝 あを 200909
空蝉の金剛力はとこしなへ 佐藤喜孝 あを 200909
空蝉は耳をすましてゐるのです 佐藤喜孝 あを 200909
空蝉にひと夏分の蝉のこゑ 佐藤喜孝 あを 200909
空蝉の生まるる刻に蓮ひらく 佐藤喜孝 あを 200909
花の先空蝉止る富貴草 浅野恵美子 酸漿 200909
泰山木日ごと空蝉ふやしをり 早崎泰江 あを 200909
空蝉のべっ甲色に朝日受け 奈佐幸子 200910
空蝉の琥珀となりて落ちにけり 米山喜久子 200910
いのち欲り縋るごとしや空蝉は 坂本悠亘 春燈 200910
空蝉の無限の刻を授かりし 小林朱夏 200910
空蝉に地下三尺の匂ひせり 渡部節郎 転舵の渦 200911
空蝉や一週間を雨降らず 西宮舞 200911
空蝉の供華にすがれる行者塚 薮脇晴美 馬醉木 200911
空蝉や岩滑りゆく水のこゑ 徳井節子 馬醉木 200911
木洩れ日の空蝉包む静寂かな 田耕造 末黒野 200911
言挙げしまま空蝉となりにける 柳川晋 200911
空蝉を集めてをりぬ無垢なる子 佐藤喜仙 壁炉 200911
地に落ちし空蝉枝に還しおく 安立公彦 春燈 200911
空蝉にあかときの風流れけり 井上春子 春燈 200911
掌に在るや否や空蝉かさと鳴る 林かよ 200911
空蝉の歩く姿でありにけり きくちきみえ やぶれ傘 200911
空蝉にもたれてどんぐり小僧かな 西山美枝子 酸漿 200912
空蝉の縋るロープに秋の風 大房帝子 酸漿 200912
空蝉や地にさらさらと風過ぐる 荘司正代 春燈 201002
空蝉の爪の力に春の風 佐藤喜孝 あを 201005
空蝉となりたることをまだ知らず 鷹羽狩行 201008
空蝉にものを見る目のなほ残り 片山由美子 201008
空蝉をのせて岩波文庫本 野沢しの武 風土 201008
空蝉や一つの過去にしかすぎず 渡邉友七 あを 201008
空蝉の琥珀光りの草の上 飛高隆夫 万象 201009
空蝉の声も混じれる蝉時雨 小林朱夏 201009
空蝉のこゑにふりむく轍かな 梶浦玲良子 六花 201009
生の苦を空蝉に見る夕べとは 大橋敦子 雨月 201009
空蝉の考へる人のごと幹に 木村茂登子 あを 201009
空蝉の琥珀の軽さ拾ひけり 市ヶ谷洋子 馬醉木 201010
分身のこと空蝉の祈りをる 近藤喜子 201010
空蝉をそつとはづしてやりにけり あさなが捷 201010
空蝉を机上に雨月物語 神田恵琳 春燈 201010
空蝉に語りかけゐる我がゐて 葦原葭切 春燈 201010
空蝉の命抜けたる軽さかな 大橋晄 雨月 201010
空蝉を宝と綿の上に置く 西出しず子 雨月 201010
空蝉に昨夜見し眼重なれり 山田孝枝 酸奬 201010
空蝉のかくも高きを仰ぎけり 藤原さちよ 酸奬 201010
空蝉や舗道の垣に二つ三つ 渋沢武子 酸奬 201010
大木に空蝉縋る朝の道 渋沢武子 酸奬 201010
空蝉の眼になほ力見つめられ 桂敦子 201011
空蝉の四肢に気負ひの残りけり 久保久子 春燈 201011
空蝉の前世は知らず吹かれをり 富永真代 春燈 201011
空蝉に天地の音届きけり 雨村敏子 201011
空蝉の目玉清らに透き通る 鳳蛮華 201011
いつとなく垣に空蝉増えにけり 長澤健子 酸奬 201011
空蝉の葉裏にしがみつく力 恒成久美子 ぐろっけ 201011
空蝉の縋りし風のジャカランダ 水田むつみ ホトトギス 201012
しんしんと空蝉鳴ける日なりけり 小形さとる 201012
空蝉のいのち支へし形かな 冨松寛子 201012
空蝉の何か語れる眼かな 高木千鶴子 酸奬 201012
空蝉の重なるままにに掃かれをり 松本文一郎 六花 201101
空蝉→ 4      

 

2021年8月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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