1    200句

撞鐘もひびくやうなり蝉の声   芭蕉

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蝉声のぶあつさに住むをとこ神 豊田都峰 山の唄 198800
電工に釘の足場や蝉の森 岡本眸 199808
鳴く哀れ鳴かざるあはれ蝉一と世 大橋敦子 雨月 199809
蝉死すや忽ち蟻の餌食とな 大橋敦子 雨月 199809
蝉声に圧されて鵯のだんまりで 大橋敦子 雨月 199809
幹撫でて叩く気はなし蝉涼し 丸山佳子 京鹿子 199809
蝉鳴いて大社に昼の暗さあり 小澤克己 遠嶺 199810
起工式蝉も昼寝の昼下り 神沢雄次郎 ホトトギス 199810
蝉脱いで快哉といふ語を知れり 丸山海道 京鹿子 199810
蝉ひびく捨女庵の白障子 大野英美 風土 199811
蝉脱皮大浪の口闇に透け 丸山海道 京鹿子 199811
鳥は水を万蝉樹々をよこさずに 丸山佳子 京鹿子 199811
乱入の蝉逃しやり書にもどる 本城布沙女 雨月 199811
蝉捕りの子らのひそめる武家屋敷 田守としを 馬醉木 199811
熱の子に夜明の蝉の鳴き始む 長沼三津夫 199811
ずらりと蝉重盛清盛清盛重盛 島津亮 海程 199812
鈴懸に実や朝の蝉鳴き出でし 藤田宏 199812
蝉と明け蝉と暮れ行く北京かな 近藤憙治 船団 199812
初蝉や水の支へる杭の丈 前田陶代子 199901
夕蝉や父の齢を母が言ふ 野中亮介 馬醉木 199902
夕蝉や離れて仰ぐ塔の反り 長谷川翠 馬醉木 199902
初蝉の短かくなきてあとは風 桂信子 船団 199903
初蝉や術創深し吾も妻も 川端実 寒昴 199907
抜魂の経に加はる蝉の声 岩木茂 風土 199908
撫物はけふは不在や蝉の箱 中原道夫 銀化 199908
風筋の一瞬の紅蝉生まる 小澤克己 遠嶺 199909
海の日や谷の蝉声波となり 海上俊臣 酸漿 199909
ふかき夜や時移りゆく蝉の羽化 柳沢杏 酸漿 199909
蝉の木の風をいつぱい放ちをり 配藤和子 円虹 199909
初蝉や峰に真向ふ神の杉 勝田公子 199909
尻震はせ蝉のいまはの絶叫か 大橋晄 雨月 199909
明けかけし杜にあふるる蝉の声 中村幸子 俳句通信 199909
東京タワーにぶつかつて蝉鳴きにけり 梅田津 銀化 199909
読経に初蝉の声甲走る 桑垣信子 いろり 199909
石庭に在り初蝉を耳にせり 有働亨 馬醉木 199910
開け放つ窓初蝉のはるかより 増田富子 馬醉木 199910
蝉声の激しさむしろ快さ 柳生千枝子 火星 199910
電工の高く取り付く蝉の朝 山西みち子 火星 199910
山の蝉晴れた空には宇宙あり 道悠喜 海程 199910
啼いてゐる蝉の翅にもうらおもて 丸山佳子 京鹿子 199910
朝の蝉さざ波のごと茂の忌 皆川盤水 春耕 199910
死に眞似は蝉習ふにしくはなし 中原道夫 銀化 199910
蝉聲に心火下火となりゐたる 中原道夫 銀化 199910
曉紅のしじま貫く蝉の声 北吉裕子 俳句通信 199910
蝉の羽落ちて季節のかけ抜けり 林田加杜子 いろり 199910
医通ひの身支度せかす朝の蝉 塩谷はつ枝 馬醉木 199911
蝉声の早鐘を打つ原爆忌 上柿照代 馬醉木 199911
鯨幕張るに蝉の木借りにけり 長谷川千枝子 199911
熔岩原のいづこより湧く蝉の声 勝田公子 199911
車より花嫁降りぬ蝉の森 杉浦典子 火星 199911
江ノ電をはみ出してゐる蝉の声 飯塚ゑ子 火星 199911
蝉の骸拾ひしじまを背にす 金澤明子 火星 199911
夕蝉の呟き聞きつ小買物 北村香朗 京鹿子 199911
挙る蝉かの銀行は落城せり 藤田宏 199911
鳴きに鳴く夜蝉や己が持時間 竹部千代 199911
病院を出づれば太き蝉の声 饒菊枝 199911
高き嶺越えて蝉啼く静寂かな 川端実 遠嶺 199911
初蝉や心うきたつ会話して 田島秀代 遠嶺 199911
明日なきと知るよしもなき蝉の声 迫谷富子 いろり 199911
頭から水かぶる程蝉鳴けり 松山律子 六花 199911
せつせつと山蝉鳴けり急がねば 大城まつ子 199911
じいと鳴く蝉それきりの朝ぐもり 能村登四郎 芒種 199911
蝉生まる佳き教材を授かれり 福島鶴代 ぐろっけ 199911
拝殿のぐるりに深山蝉の声 鷹羽狩行 199912
蝉声の水かけられしごと止みぬ 櫨木優子 199912
蝉のこゑ合掌解きし身に戻り 櫨木優子 199912
蝉の木のもりもり重くなりたるよ 内田美紗 船団 199912
蝉の羽化始まり終わるEメール 桐木榮子 船団 199912
羽化終へて蝉しばらくの青雫 湯橋喜美 200001
気がつけばなくなりてをり蝉の声 菊地澄子 酸漿 200001
亡ぶのは蝉の支度が済んでから 岩崎法水 京鹿子 200001
盆地蒸す祇園まちにも蝉が鳴き 鈴鹿百合子 京鹿子 200001
背を割つて服脱ぎ蝉の羽化に似る 川村紫陽 200002
猫の手が蝉をころがす夜の三和土 松本恭昂 火星 200004
初蝉と気付きてよりの古都の景 稲畑廣太郎 ホトトギス 200006
耳鳴りに似て初蝉のはるかにも 小川匠太郎 200006
朝蝉の飛び込んで来し書屋かな 松尾緑富 ホトトギス 200007
ツインビルの壁の夕蝉いつまで鳴く 岡本高明 200007
嬰の声蝉鳴くなかをかきわけて 正木光子 いろり 200007
蝉鳴くや上手に鳴けぬものもゐて 熊谷みどり いろり 200008
あるべしや辛抱我慢と鳴く蝉も 木村風師 馬醉木 200009
初蝉や小さき流れすぐ其処に 織田敦子 200009
耳たぶに血の気がさして朝の蝉 秦洵子 200009
壮年さかりなき人の蒐めし蝉の聲 中原道夫 銀化 200009
鏡が池に初蝉のこゑ映し 水内慶太 銀化 200009
蝉涼し水の豊かな国に棲み 宮川杵名男 春耕 200009
仰のけの蝉動きゐる能舞台 白瀬露石 春耕 200009
野菜いただくしえ々謝々と朝蝉 林唯夫 海程 200009
蝉生れて鳴いては死んで仕舞ひたり 保坂加津夫 いろり 200009
蝉一つ鳴けば左右で唱和して 熊谷みどり いろり 200009
夜蝉鳴く神の森とてはばからず 山本潤子 いろり 200009
舂くや蝉遠ければ遠目して 千代田葛彦 馬醉木 200010
朝靄の杜蝉声の滲みだす 清水節子 馬醉木 200010
鳴かぬまま蝉移り行く上枝かな 中里カヨ 酸漿 200010
蝉の樹を透けて日射しの濃くなりぬ 大竹淑子 風土 200010
蝉の屍の転がってゐる土熱し 大竹淑子 風土 200010
汗引きし頃より蝉音肌に沁む 宮津昭彦 200010
人肌を知らず唖蝉死んでをり 保坂加津夫 いろり 200010
全山の蝉のま中の朝餉かな 藤原紅 いろり 200010
いつまでぞ蝉の交尾のこの静寂しじま 林翔 200010
他郷と言へど蝉声一にして 阿部寒林 200010
家より木場に知人多くて夜の蝉 阿部寒林 200010
禪堂に入り唖蝉の迷ひ飛ぶ 阿部寒林 200010
雨あがるしづくのやうに蝉鳴き出し 密田真理子 200010
初蝉やまだ濡れてゐる声なりし 内山和江 奧嶺 200010
競ひ鳴く蝉にも意地のあるならん 小野喬樹 馬醉木 200010
舟底を磨りし水位や旱蝉 中村翠湖 馬醉木 200011
放哉の庭木に朝の蝉並ぶ 飯塚ゑ子 火星 200011
蝉飛んで動物園へつづく 黒田咲子 200011
抽出しにつかへしは何夜蝉鳴く 斉藤小夜 風土 200011
下京天使突抜町の蝉羽化す 柳生正名 海程 200011
蝉声の算数できぬ子を囃す 檜紀代 200011
山雨去る昼のふかさやちつち蝉 柳沢杏 酸漿 200011
吾が家にも蝉の来て鳴く樹のありし 丹羽杏華 京鹿子 200011
幹いまだ濡れゐて蝉の鳴きはじむ 角直指 京鹿子 200011
蝉のほか鳴かず矢五郎扉より出ず 角直指 京鹿子 200011
埋め戻す遺構に蝉の幼虫も 細井隆子 200011
終戦日初めて聞こゆ蝉の声 長谷川登美 ぐろっけ 200011
夕蝉のいのち小出しに鳴きつづ 庄中健吉 200012
適塾の軒端六尺蝉生まる 戸田春月 光陰 200012
唖蝉のちからを握り直してみる 野平和風 200012
蝉当たるプラットホームの鉄の柱 高桑婦美子 海程 200012
人の噂聞くたび蝉のむくろかな 舘岡誠二 海程 200012
ひとり蝉に帝国陸軍学徒兵 土田武人 海程 200012
大声で身を破らんか残る蝉 須賀悦子 ぐろっけ 200012
医学にも限界ありと蝉の鳴く 正木泰子 ぐろっけ 200012
初蝉の水でできてる黒眼かな 河野志保 海程 200101
蝉の声蓄へて嶺々膨らみぬ 柴田奈美 銀化 200101
初蝉は黄泉の子の声鳴きほそり 武藤嘉子 木椅子 200102
しずけさや樹液をなめる蝉の息 樫井賢一 船団 200102
枝代へて蝉また鳴けりいろ暦 石丸孝子 京鹿子 200103
仮りの世のしがらみ解けり蝉むくろ 石丸孝子 京鹿子 200103
とほうもなき永き一生蝉の身に 仁藤さくら 船団 200103
木移りの蝉に銀髪かすめらる 品川鈴子 船出 200104
蝉生れて昔むかしの忘れ物 鳴海清美 遊び蔓 200105
蝉鳴くや六波羅密寺空也仏 小林優子 酸漿 200106
一水を浴びけり蝉を取り逃がし 鷹羽狩行 200107
蝉までが気に入つてゐる記念館 稲畑汀子 ホトトギス 200107
人の死も蝉の死も皆仰向ける 能村登四郎 200108
キリストになり損なって鳴く蝉か 松山律子 六花 200108
朝蝉の時間の一樹ありにけり 塙告冬 円虹 200108
百の蝉鳴く一匹の声殺し 大倉郁子 船団 200108
蝉声の焦げついてきし盆地かな 工藤義夫 馬酔木 200109
留書とめがきに迷ひてをれば夜鳴蝉 鷹羽狩行 200109
蝉鳴いて鰊番屋の太柱 川崎妙子 風土 200109
耳鳴りか蝉かと友と山路ゆく 富田志げ子 酸漿 200109
バジルの葉揺らして蝉の生れけり 青木政江 酸漿 200109
初蝉を聞きし旅なり日焼けたり 大串章 百鳥 200109
ひめゆりの塔初蝉の鳴きにけり 伊藤和枝 百鳥 200109
五号鉢蝉の一生終えてあり 水谷契江 六花 200109
生きるとふ直ごころこれ朝の蝉 大橋敦子 雨月 200109
君が訃に浪速の蝉の鳴き出づる 大橋敦子 雨月 200109
鋸山初蝉降らす磨崖仏 渋谷照代 200109
初蝉や三歩の試歩のままならず 石橋翠 いろり 200109
四方の蝉汗腺までも絞りけり 坂井法 200110
蝉折れの笛聞きすます初時雨 神蔵器 風土 200110
耳鳴りの奥に初蝉聞き分けて 柴田久子 風土 200110
土砂降りの蝉声二の丸三の丸 桑島啓司 200110
蝉声を浴びてくたくた宅配夫 桑島啓司 200110
蝉声に酔ひ酒に酔ひ峡暮らし 桑島啓司 200110
蝉声の止みたるときの波の音 桑島啓司 200110
立ちのぼる蝉声高層ビルの裏 桑島啓司 200110
反り強き屋根よりこぼれ蝉の声 桑島啓司 200110
数匹にして時雨なす蝉の声 桑島啓司 200110
掃き清められたる宮に落ちし蝉 桑島啓司 200110
初蝉のその懐差を愛しけり 野中亮介 馬醉木 200110
初蝉や螺鈿散らしの箱枕 山岸治子 馬醉木 200110
一蝉の鳴きやめばまた昼しづか 橋本榮治 馬醉木 200110
夜の蝉校舎に一つ灯のともり 石本百合子 馬醉木 200110
鉛筆の遺品短し夜の蝉 栗山よし子 馬醉木 200110
朝の蝉今日は良き事ありさうな 小池槇女 火星 200110
夕蝉が夜蝉とかはる道一里 加藤翅英 京鹿子 200110
一斉に蝉鳴きひと日始まれり 仲尾弥栄子 俳句通信 200110
蝉聲に倒伏の草起きろ起きろ 中原道夫 銀化 200110
戰前に鳴き戰後掃かれたる蝉 中原道夫 銀化 200110
蝉の声どう行く変形交差点 岩松八重 六花 200110
キャンパスに来て初蝉の声を聞く 高木良多 春耕 200110
初蝉の声が鎮守の大樹より 飯田眞理子 春耕 200110
庭占めて蝉勝鬨の声を張る 若江千萱 雨月 200110
見るからに負けず嫌ひの蝉とる子 小山尚子 雨月 200110
土蔵紋昏るるほかなき蝉部落 渡邉友七 あを 200110
異常気象蝉の序列の狂ひたる 後藤志づ あを 200110
苦行なすごとく朝から蝉の声 中本憲巳 200111
蝉声の波紋ひろぐる爆心碑 水岡芳子 馬醉木 200111
敵味方墓所を一つに蝉涼し 橋添やよひ 風土 200111
蝉鳴くや庫裡に煤けし二石釜 橋添やよひ 風土 200111
磨崖仏の鼻にとまりて蝉鳴けり 望月ひろゆき 百鳥 200111
とんばうも蝉も逃がして帰京せり 阿部敬子 百鳥 200111
朝戸出のいきなり蝉の声の渦 柳生千枝子 火星 200111
蝉の昼子がごくごくと水を呑む 柳生千枝子 火星 200111
廃校や当り散らして蝉の尿 渡辺俊子 京鹿子 200111
ひしひしと蝉声迫る青葡萄 永田二三子 酸漿 200111
羽化進みつつ透く羽は何蝉ぞ 江木紀子 雨月 200111
葬送のブラスバンドに蝉声添ふ 津野美都江 200111
蝉声を犇かせては火宅とふ 竹村悦子 銀化 200111
この木には鳴けざる蝉ばかり集ふ 田口傳右ヱ門 銀化 200111
蝉声の奈落のごときひとりの座 野路斉子 200111
初蝉や祝詞一瞬聞き漏らす 鳴海清美 六花 200111
蝉探す眼の少年になつてをり 田中武彦 六花 200111
蝉囃す表通りは選挙戦 大井邦子 ぐろっけ 200111
蝉→ 2      

 

2021年7月24日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。