蝉時雨 1    299句

蝉時雨子は担送車に追ひつけず   石橋秀野   桜濃く

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蝉時雨より抜け出して法師蝉 稲畑汀子 ホトトギス 199808
投票に修道女来る蝉しぐれ 杉浦典子 火星 199810
大丸とホテルを繋ぐ蝉時雨 山田弘子 円虹 199810
病む姉に小さき嘘や蝉時雨 長浜好子 円虹 199810
蝉時雨棺の釘打つ音高く 長浜好子 円虹 199810
蝉時雨果てて大樹の軽くなる 荻巣純子 雨月 199810
蝉しぐれ褪せ放題の緋の幟 中原道夫 銀化 199810
日照雨あとしきりや寺の蝉時雨 島田教夫 春耕 199811
たたら遺蹟番子の声か蝉時雨 松崎鉄之介 199811
蝋涙のぽとりぽとりと蝉しぐれ 佐藤たか 199811
オタターブ上る昼時蝉時雨 山本怜子 ぐろっけ 199811
子の一家発たせしあとの蝉しぐれ 光枝晴子 199812
目を覚ます以前よりこの蝉しぐれ 青山丈 199812
火の朱鳥石の茅舎や蝉時雨 中杉隆世 ホトトギス 199901
火の如き朱鳥の山河蝉時雨 中杉隆世 ホトトギス 199901
木洩れ日てふ地の賑はひや蝉しぐれ 萩原記代 199901
その間にも落つる蝉あり蝉時雨 藤崎久を ホトトギス 199903
なんじゃ\/なんじゃ\/と蝉しぐれ 岩田ひろあき 船団 199903
蝉しぐれ無力を感じ鴉ああ 丸山佳子 京鹿子 199909
耳遠きわれには淋し蝉しぐれ 保坂加津夫 いろり 199909
ひとり居の山荘無為に蝉しぐれ 久保田一豊 いろり 199909
この窯の焚かれしはいつ蝉時雨 水原春郎 馬醉木 199910
ひたすらに飯盛山の蝉しぐれ 杉阪大和 春耕 199910
蝉時雨彼岸此岸を結ぶ橋 北吉裕子 俳句通信 199910
風もなく人声もなく蝉時雨 内藤八重 俳句通信 199910
高砂の松老いにけり蝉時雨 田中潮音 俳句通信 199910
子規虚子も聞きしか城の蝉しぐれ 武内美津子 199911
石上布留の小川の蝉時雨 竹村竹聲 199911
おのづから顔昏れゆけり蝉時雨 竹村竹聲 199911
肩で泣く淡路人形蝉しぐれ 長谷川閑乙 馬醉木 199911
血に錆びし寺宝の太刀や蝉時雨 鈴木まゆ 馬醉木 199911
登るほど神に近づく蝉しぐれ 佐藤冨士男 円虹 199911
舟人の声なき宿場蝉時雨 柴原保佳 円虹 199911
蝉時雨のいつも真中に墓洗ふ 鈴木ふくじ 風土 199911
蝉時雨母の声ある家を出る 深澤鱶 火星 199911
蝉しぐれただ大きかり忠魂碑 世家栄子 199911
一書生る十七音の蝉しぐれ 川端実 遠嶺 199911
教会は祈りの時間蝉時雨 柴田蓉子 遠嶺 199911
腸にバリウムの満ち蝉時雨 玉川悠 遠嶺 199911
こんこんと水しんしんと蝉時雨 岩岡中正 ホトトギス 199912
初心とはいつも透明蝉時雨 岩岡中正 ホトトギス 199912
玻璃とは葬る一切蝉時雨 田中亜美 海程 199912
北を向く観音在す蝉時雨 芳賀雅子 遠嶺 199912
蝉時雨大き喝入れ枢閉づ 山路紀子 風土 199912
蝉時雨ふりかぶり頭の重くなる 和田敏子 雨月 199912
蝉しぐれ昼の食堂こみあえり 岩下恵美子 船団 199912
蝉時雨浴びる「あなたどうしたい?」 内野聖子 船団 199912
遺言を開きしあとの蝉しぐれ 中尾廣美 ぐろっけ 200001
逆縁の母もの言はず蝉時雨 滝青佳 ホトトギス 200002
杜の中蝉時雨かや傘をさす 尾上有紀子 わがまま 200002
恍惚の白き闇へと蝉時雨 わたなべじゅんこ 鳥になる 200003
回廊に円柱あまた蝉時雨 三宅やよい 玩具帳 200004
風渡るほどのしづかな蝉時雨 稲畑汀子 ホトトギス 200007
祝ぎ心昂りてより蝉時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 200007
蝉時雨自動ドアーの開くたびに 稲畑汀子 ホトトギス 200008
蝉しぐれ途切れて鳴くものも 熊谷みどり いろり 200008
桐の木のとなり柿の木蝉時雨 木下野生 200010
城門を移せし寺門蝉しぐれ 阿波谷和子 俳句通信 200010
目覚ましの鳴るより早き蝉時雨 桑垣信子 いろり 200010
蝉しぐれ故郷の大樹まなうらに 藤原紅 いろり 200010
蝉しぐれ人を恋しく思ふとき 篠田三七子 いろり 200010
蝉時雨たたき起こさる北枕 信崎和葉 六花 200010
柏手のしらじらとなる蝉時雨 大井邦子 ぐろっけ 200010
円空の粗き鑿あと蝉時雨 大森井栖女 馬醉木 200011
病院の匂ひから出て蝉しぐれ 黒田咲子 200011
この道はいつか来たやう蝉時雨 山田禮子 遠嶺 200011
木魚打つポックリ寺の蝉時雨 松本五軒町 遠嶺 200011
林苑の白砂の照りや蝉しぐれ 三崎由紀子 遠嶺 200011
庭隅の小さき書庫や蝉時雨 山田禮子 遠嶺 200011
足萎えの子に手を添へて蝉しぐれ 河野友子 六花 200011
蝉時雨日暮近づきことさらに 小滝奈津江 酸漿 200012
病苦とある牡丹の句碑に蝉しぐれ 金子兜太 海程 200012
頸椎損傷カルテの中の¥蝉時雨 前原勝郎 船団 200102
蝉時雨ポンポン山まであと2キロ 小川干子 船団 200102
蝉時雨泣き虫なりし足跡に 品川鈴子 船出 200104
馬車で行く古城の道や蝉時雨 河野彩 春耕 200107
蝉時雨妻に歩調を合せをり 栢森定男 あを 200107
蝉時雨どの一木に始まりし 塙告冬 円虹 200108
蝉時雨ぬけ来て神に祈りけり 塙告冬 円虹 200108
近くより遠くより蝉時雨かな 塙告冬 円虹 200108
昭和天皇お手植松の蝉時雨 田中芳夫 200109
旧道は寺から寺へ蝉時雨 高橋邦夫 風土 200109
蝉しぐれ紡ぎ継がれし真田紐 池田光子 風土 200109
蝉しぐれ真田屋敷に門三つ 池田光子 風土 200109
夕風にさらわれてゆく蝉時雨 柴田美佐子 いろり 200109
蝉時雨夢殿観音盗まれて 鈴木石花 風土 200110
湯の里のときに静まり蝉しぐれ 寺田善樹 風土 200110
とめどなき川の流れへ蝉しぐれ 桑島啓司 200110
電柱も木も傾かせ蝉しぐれ 桑島啓司 200110
滝よりも激しや那智の蝉しぐれ 桑島啓司 200110
難しき論の座を去り蝉しぐれ 桑島啓司 200110
本殿の屋根重くなる蝉しぐれ 桑島啓司 200110
酒蔵に酒の香の失せ蝉しぐれ 桑島啓司 200110
波音に負けじと島の蝉しぐれ 桑島啓司 200110
風に浪打つ海際の蝉しぐれ 桑島啓司 200110
呼鈴の応へ聞こえず蝉しぐれ 桑島啓司 200110
石段に湖の面に跳ね蝉しぐれ 桑島啓司 200110
裏返し干す作業衣へ蝉しぐれ 桑島啓司 200110
別称は草鞋の寺や蝉時雨 水原春郎 馬醉木 200110
貝塚に太古のこゑの蝉時雨 村上光子 馬醉木 200110
蝉時雨川底すりて舟下る 近藤暁代 馬醉木 200110
蝉時雨御坊のお茶の熱きかな 平野きらら 百鳥 200110
蝉時雨夫臨終にひと息つく 佐々木孝子 200110
蝉時雨わが忌の午後は雨降れよ 掛井広通 200110
問答の朗々蝉時雨珊々 長山あや 円虹 200110
MRI出て本当の蝉時雨 芝尚子 あを 200110
人の影見えぬ校庭蝉しぐれ 村重香霞 200111
円陣の解かれ再び蝉時雨 大曽根育代 遠嶺 200111
なきがらの掛けゐる眼鏡蝉時雨 甲斐遊糸 百鳥 200111
蝉時雨石段に腰かけてゐる 平田倫子 百鳥 200111
蝉時雨中心に椅子置いてあり 中村昭義 百鳥 200111
受話器とる声のうしろの蝉しぐれ 野澤あき 火星 200111
散歩する観音堂や蝉時雨 木戸波留子 いろり 200111
蝉しぐれ耳鳴りしぐれ昼ふかし 金子兜太 海程 200111
深々とホテルの杜や蝉時雨 遠藤裕子 円虹 200111
森の中人声もせず蝉しぐれ 長谷川登美 ぐろっけ 200111
蝉時雨脳の襞までしみ込めり 大井邦子 ぐろっけ 200111
蝉時雨ひやりと便器伝わって 皆吉司 船団 200201
この恋はイエロー信号蝉時雨 川副民子 船団 200201
速達に稿を中断蝉しぐれ 鷹羽狩行 200207
川音に和して花蓮の蝉時雨 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
地謡に加はりし蝉時雨かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
殻を脱け出て加はりぬ蝉時雨 稲畑汀子 ホトトギス 200207

 悼 藤原澪子様

馨咳をとどむすべなし蝉時雨

稲畑汀子 ホトトギス 200207
大寺の茅葺の吸ふ蝉時雨 松崎鉄之介 200208
蝉しぐれわれに返りし耳ありぬ 渡辺昭 200209
工場となりても母校蝉しぐれ 成宮紀代子 200209
晩学の坐す椅子無かり蝉時雨 広瀬元 200209
雨止みて鎮守の森の蝉時雨 長山野菊 雲の峰 200209
買物は子のものばかり蝉時雨 川瀬里江 雲の峰 200209
寝ね足りて覚むれば故郷蝉しぐれ 喜多初枝 雨月 200209
三井の晩鐘消え蝉しぐれ蝉時雨 堀田清江 雨月 200209
六道の辻々に骨蝉しぐれ 川名将義 銀化 200209
命日の即身仏に蝉しぐれ 黒坂紫陽子 馬醉木 200210
岬まで長き道のり蝉時雨 滝鼻渓水 百鳥 200210
一時間目は詩をつくり蝉時雨 青池亘 百鳥 200210
蝉時雨浴びすたすたと城下町 塩川雄三 築港 200210
蝉時雨ほのかに笑むや野の仏 川村政枝 築港 200210
訥々の弔辞途切れる蝉時雨 西田もとつぐ 雲の峰 200210
天蓋の揺るるともなし蝉時雨 鶴田武子 雲の峰 200210
地震跡の未だ整はず蝉時雨 島田厚信 火星 200210
武将墓碑敵味方なき蝉しぐれ 廣畑忠明 火星 200210
生き急ぐとても一生蝉時雨 小野あゆみ 銀化 200210
渓流に木橋ひとつや蝉時雨 河本順 200210
聞きやうによつては呪文蝉しぐれ 滝沢環 京鹿子 200211
山城を十重に二十重に蝉時雨 水上れんげ 200211
朝もやを動かし始む蝉時雨 遠藤匡子 遠嶺 200211
山水の空広がりて蝉時雨 田中聡子 遠嶺 200211
吊橋の向かう側なる蝉時雨 内山恵子 遠嶺 200211
畳にも机上にも反古蝉しぐれ 佐々木咲子 百鳥 200211
蝉時雨罵声浴びゐるごときかな 平田倫子 百鳥 200211
抑留の昔語らず蝉時雨 平田倫子 百鳥 200211
朝戸出の身を襲ひたる蝉しぐれ 相沢有理子 風土 200211
蝉時雨抜け出て天守跡の風 白石峰子 円虹 200211
城頭へ声の届かず蝉時雨 小西石蕗 円虹 200211
門を出る午前八時の蝉しぐれ 橋本佐智 円虹 200211
僧堂の開け放ちあり蝉しぐれ 辻田明 200211
蝉時雨真只中なる光堂 堀田清江 雨月 200211
一塊の杜一塊の蝉時雨 加藤暢一 200211
遠のいてまた新たなる蝉時雨 熊口三兄子 ぐろっけ 200211
太陽系一惑星の蝉時雨 村松紅花 ホトトギス 200212
水かぶるごと蝉しぐれ浴びにけり 山下しげ人 ホトトギス 200212
境内の奥の隅まで蝉時雨 筧節子 築港 200212
剥落は墓の裏より蝉時雨 渡辺伸一郎 百鳥 200212
蝉時雨話の弾む診療所 白川敏彦 遠嶺 200212
巫女下駄の急ぎ脱ぎして蝉しぐれ 和田照海 京鹿子 200302
一塊の杜一塊の蝉時雨 加藤暢一 200302
連日の山居わきたつ蝉しぐれ 浅井青陽子 ホトトギス 200302
山水の空広がりて蝉時雨 田中聡子 遠嶺 200306
蝉しぐれ下山の足を一歩づつ 中村克久 雲の峰 200309
お六櫛の句碑へ松蝉時雨かな 山上カヨ子 200309
だんだんと調子よくなる蝉時雨 塩川雄三 築港 200309
出払つて一人手枕蝉時雨 渡邉友七 あを 200309
山荘に解く枷いくつ蝉時雨 水原春郎 馬醉木 200310
寺ばかりなり寺町の蝉しぐれ 木下野生 200310
蕎麦切りの弾み包丁蝉しぐれ 坂ようこ 200310
恪勤をなほ励めとや蝉しぐれ 東野鈴子 雨月 200310
蝉時雨いつしか声の入れ替はる 金子つとむ 雲の峰 200310
古里やいつも変らぬ蝉しぐれ 延川五十昭 六花 200310
カ行ともサ行ともなり蝉時雨 蔦三郎 円虹 200310
一匹の蝉見つからず蝉時雨 東亜未 あを 200310
蝉時雨蝉の片羽落ちてゐる 森理和 あを 200310
篤農の兄の旅立ち蝉しぐれ 後藤志づ あを 200310
分け入りて我忘れさす蝉しぐれ 鈴木多枝子 あを 200310
日蓮の大坊坂の蝉しぐれ 及川澄江 風土 200310
蝉しぐれうぶすなに購ふ守り札 豊田都峰 京鹿子 200310
雷神の朱のあざやかに蝉時雨 石川貞子 対岸 200310
蝉時雨カレーライスをおかはりす 後閑達雄 対岸 200310
朝夕の仕事追ひたて蝉時雨 榎本みや 築港 200310
公園の遊具ひつそり蝉時雨 大石登志美 築港 200310
尼公の読経に混じる蝉時雨 加藤サヨ子 築港 200310
蝉時雨潜る参道宮参 上岡末喜 築港 200310
大樹よりどつと沸き立つ蝉時雨 大森玲子 築港 200310
蝉時雨吸ひこまれゆく天空に 岡村容子 築港 200310
蝉時雨降りしきる中句碑掃除 竹内紫翠 築港 200310
市街地を一望にして蝉時雨 竹内紫翠 築港 200310
一斉に鬨の声あぐ蝉時雨 竹内紫翠 築港 200310
親鶯の御廟へ朝の蝉時雨 本荘初枝 築港 200310
蝉しぐれに打たれ身の丈縮みけり 刈米育子 200311
蝉しぐれ僧形文殊菩薩かな 浅田光代 風土 200311
明け方の蝉時雨聞き経上ぐる 榎本みや 築港 200311
蝉時雨神馬振る首振り止まず 大川嘉智香 築港 200311
青春の謳歌さながら蝉時雨 大森玲子 築港 200311
蝉時雨蝉の飛び交ふ先を追ふ 徳永喜代子 築港 200311
男坂七十二段蝉しぐれ 中田富佐枝 帆船 200311
閑栖和尚忽と逝かれぬ蝉しぐれ 田中英子 200311
蝉時雨と競ふがごとく菜を炒む 佐藤輝子 200311
蝉しぐれのいつせいに止む空の穴 中野京子 200311
蝉時雨足場を密に寺普請 鈴木綾子 百鳥 200311
蝉しぐれ賽銭箱に杖あづけ 藤森万里子 百鳥 200311
二十六聖人の丘蝉時雨 水原春郎 馬醉木 200311
真正面は釈迦のまなざし蝉しぐれ 豊田都峰 京鹿子 200311
暮なづむ高野の町の蝉時雨 鵜飼紫生 雨月 200311
搦手門遺る城史や蝉時雨 東野鈴子 雨月 200311
母寝るはいつも右下蝉時雨 三井孝子 六花 200311
みんみんの声真ん中に蝉しぐれ 石平周蛙 対岸 200311
蝉しぐれ木枠の中の仁王像 石平周蛙 対岸 200311
蝉しぐれ風通しよき父の部屋 小橋末吉 対岸 200311
木像の傷み激しく蝉時雨 浅田光蛙 対岸 200311
蝉しぐれ子の卓球の新人戦 白井墨絵 遠嶺 200311
浜砂の漲る白さ蝉しぐれ 浜田はるみ 遠嶺 200311
水中に目ひらくごとし蝉しぐれ 岡本眸 200311
蝉時雨追はれるやうに日暮れけり 大橋夏生 200311
うなだれる球児称えて蝉しぐれ 土屋利之 ぐろっけ 200311
騒音に負けぬ車道の蝉しぐれ 恒成久美子 ぐろっけ 200311
病なる殻を脱ぎたし蝉時雨 山口和子 ぐろっけ 200311
髪に風まつはりつきて蝉しぐれ 神山ゆき子 200312
ふるさとや森は朝より蝉しぐれ 楠原彰子 200312
蝉時雨寝覚の滝の音かすか 渡辺幹雄 酸漿 200312
眞向うに奥羽山脈蝉しぐれ 藤原キヨ 風土 200312
蝉しぐれ笑ふ布袋尊ほていのお臍にも 石塚光江 200312
蝉しぐれむくろの蝉を走り根に 降矢郊二 百鳥 200312
一山が真空となる蝉時雨 橘沙希 月の雫 200404
塔しづく止むを待たずに蝉しぐれ 鷹羽狩行 200406
蝉時雨忘れ去られし忠魂碑 栢森定男 風よ 200407
蝉しぐれ静かさを増す鳳仙花 栢森定男 風よ 200407
蝉時雨別れの言葉言ひ出せず 栢森定男 風よ 200407
雁皮紙に墨置けば蝉しぐれかな 山田六甲 六花 200408
首洗井戸の辺ことに蝉時雨 能村研三 200409
蝉時雨たちまち乾く街の空 宮崎すみ 対岸 200409
まなうらに土葬の記憶蝉しぐれ 杉江茂義 京鹿子 200409
鳴きだして制御きかざる蝉時雨 塩川雄三 築港 200409
代代の藩主墓守る蝉時雨 武本文郎 築港 200409
蝉時雨赤子の寝息微かなる 庄野房女 築港 200409
移ろはぬ仲などあらじ蝉しぐれ 品川鈴子 ぐろっけ 200409
大塔の倒れて来さう蝉しぐれ 桑島啓司 200410
蝉しぐれ妻のみ蹤きし担送車 淵脇護 河鹿 200410
妻の忌の香煙縷々と蝉時雨 沼口蓬風 河鹿 200410
蝉時雨鳴きたきときはわつと泣け 鈴木榮子 春燈 200410
もう止めることの出来ない蝉時雨 黒田美恵子 春燈 200410
唐突に切り出す言葉蝉時雨 瀬下るか 200410
広島菜の絵のぬれてをり蝉しぐれ 秋岡朝子 200410
蝉しぐれ母の號珀のペンダント 長田曄子 火星 200410
蝉しぐれ猫の足うらピンク色 長田曄子 火星 200410
峡空へかざす鉄鉢蝉しぐれ 小宮山勇 遠嶺 200410
蝉しぐれひときは青き今朝の海 水野あき子 遠嶺 200410
豪族のいはれの古墳蝉しぐれ 寺内佶 遠嶺 200410
蝉しぐれその只中にゐてひとり 高橋あゆみ 200410
蝉しぐれ東にひとつ途切れゐる 豊田都峰 京鹿子 200410
蝉時雨地雷撤去の記事少し 丸井巴水 京鹿子 200410
こだまなす生者の側の蝉時雨 今瀬剛一 対岸 200410
蝉時雨五重塔の太き影 浅田光蛙 対岸 200410
蝉時雨ところどころを眠りけり 後閑達雄 対岸 200410
雨のち晴れところによつて蝉時雨 後閑達雄 対岸 200410
蝉時雨白いベルトを通しけり 後閑達雄 対岸 200410
ゆつくりと歩めば瀬音蝉しぐれ 野澤泰子 対岸 200410
蝉時雨共同謀議してゐたり 塩川雄三 築港 200410
哲学をしてゐる道や蝉しぐれ 望月力男 帆船 200410
蝉時雨蘆花の使ひし農具かな 上原カツミ 帆船 200410
蝉時雨聞えて門の現るる 望月周 百鳥 200410
切られゐる残りの林蝉時雨 渡邉友七 あを 200410
老松や海へ背を向け蝉しぐれ 有島夛美 河鹿 200411
蝉時雨声のみ時を動かせり 森野俊子 遠嶺 200411
黒門の弾痕いまに蝉しぐれ 金子孝子 200411
蝉時雨人恋ふ犬の尾を振れる 家塚洋子 酸漿 200411
全開の補習教室蝉しぐれ 秋千晴 200411
家黒くしづめてゐたる蝉時雨 小林朱夏 200411
水槽の水満満と蝉時雨 大塚隼人 対岸 200411
此岸から船の出てをり蝉しぐれ 植松美根子 200411
蝉しぐれ瀬毎に曲がる千曲川 三関浩舟 栴檀 200411
蝉しぐれ真只中の会津墓 高橋千美 京鹿子 200411
蝉時雨無名戦士が墓いくつ 原嶋光代 草の花 200411
銀婚の一夜の宿の蝉時雨 鈴木五鈴 草の花 200411
蝉時雨蝉のやうには恋できぬ 山の狸 六花 200411
蝉時雨今日また一つ命尽く 山の狸 六花 200411
今朝も亦尻に火のつく蝉時雨 永田勇 六花 200411
三つまで穴を数へて蝉時雨 中谷喜美子 六花 200411
閉ざされし竪穴住居蝉しぐれ 伊勢ただし ぐろっけ 200411
蝉時雨松風渡る声ばかり 松山佐治彦 河鹿 200412
蝉しぐれ身辺四天王を置き 角直指 京鹿子 200412
静けさをほしいまま鳴く蝉時雨 岩崎憲二 京鹿子 200412
蝉しぐれ止めば凝まる午後の森 伊藤希眸 京鹿子 200412
蝉時雨声張り上げて夫を呼ぶ 花房敏 ぐろっけ 200412
竹林の奥蝉しぐれ蝉しぐれ 安永圭子 風土 200501
鎖場の寸の一歩や蝉時雨 浅井よしみ 八千草 200501
ややこしやややこしやと聞く蝉時雨 あさなが捷 200502
蝉しぐれ樹が鳴きだしてしまひけり 曷川克 遠嶺 200506
蝉しぐれ土に母なる穴あまた 鷹羽狩行 200507
蝉しぐれ短き生を知りゐてか 大橋敦子 雨月 200509
蝉時雨→ 2      

 

2021年8月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。